Mr. Cats' Gardenのブログ あるいはニャンスケの生活と意見
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オペラ『末摘花』オペラシアターこんにゃく座公演(光組), 俳優座劇場, 原作:榊原政常「しんしゃく源氏物語」、作曲:寺嶋陸也、演出:大石哲史、舞台監督:八木清市、音楽監督:萩京子. 姫(末摘花):高岡由季、 侍従(少将の娘、姫の幼なじみ):小林ゆず子、少将(乳母):岡原真弓、宰相(世話役、お目付役):花島春枝、叔母:山本伸子、右近:石窪朋、左近:荒井美樹、ピアノ:寺嶋隆也図1 末摘花のチラシ(表)と半券図2 末摘花のチラシ(裏)に場内配布チラシの一部を貼り付け 京風の古語と現代語、想像上の往時の京風音楽と現代音楽、フュージョンが醸し出す能リズムと古典衣装を纏った現代劇。 鼻が長く先が赤く長い顔の尖った顎---要するに何かの間違えで常陸宮という宮家に生まれてしまった西欧人との混血児の姫、主人公の醜女・末摘花。 これまた源氏の君の何かの気まぐれで一夜の寵愛を受けてしまい、その再訪を信じて乳母その他の女官たちと、広いお屋敷に逼塞している。ーーー その主人公の末摘花、どんな姿で?と目を上げると、舞台の姫は、確かに鼻は少し高く長く先赤に付けていたが、小顔丸顔優しい系可愛い系、外見も中身も清楚な魅惑的美人が隠れもない。演技なんだから、もう少しメイクあるいは被り物などでらしくしたらと思わず言いたくなる。 ユッタリとした進行、そういえば、チョット間が開いて能舞台をみる時に感じる‘つんのめり感’と似ている。メロディーラインと言葉から期待されるインド-ネーションとの間にズレ?これは林光さんが言っていた西洋音楽に日本語を合わせることの困難に由来するのかそれとも京言葉とニャンスケが慣らされている東京言葉とのズレなのか? しかし、舞台が始まって20分も経った頃には、そこで醸し出されている雅のペースにも、とてもカワユイ主人公にも馴染み、まちがいなく超一流と言えそうな情感あふれる歌唱や台詞回しに感心しながら末摘花(姫)、乳母、侍女、この屋敷を見限って出ていった侍女たちなどの、様々な人間模様に引き込まれていた。今まで見た「こんにゃく」上演の中で、最上位か2番手か?初演ではオケで演奏されたというこのオペラの作曲者が今回は自らピアノ演なのかも知れない。 舞台が始まったのは源氏の君が須磨に赴任になり、この屋敷への御行幸が途絶えたのもやむをえずと納得していた春先。でも、その姫の楽天的想いにすがる様に呆れて次第に人が去って行き寂しくなるお屋敷。秋、源氏の君が須磨から帰られた。直ぐに見えるに違いない、と活気づく一同。だが行幸は無く、また人が減って、次第にお屋敷も破れ屋に。。。そして、翌年の既に藤の咲く季節、たわわな藤の花の下、源氏の君が都に戻られた噂から早半年、末摘花が待ち焦がれる行幸はおろか何の便りも無く、姫の一途な心持ちにあきれ果てた皆は去って行き、残されたのは乳母と幼なじみの若い侍女1人。既に大きな屋敷は破れ屋の体になりつつある。以前去った叔母が、残っていた侍女に、「西国に向かうことになった私の息子の嫁になれ。」と誘い、それを聴いた末摘花は、侍女の嫁入りに賛成し、餞別をあげるからと、侍女を誘い奥へ消える。これを聴いた乳母は、自分1人が末摘花の許に残されたと悲嘆慷慨し、私はこの廃屋で末摘花と残され飢え死にし朽ちていくのだと、悲嘆の決意を語る。 そこへ奥から出てきた姫とは幼なじみの件の侍女が、「なにも無いからこれを餞別に」と末摘花から渡されたといいながら包みを開く。それは末摘花があつめていたという彼女自身の髪の毛の束。 侍女、乳母、元女官それぞれの重いが披瀝された後、元女官と侍女は西へ出立。乳母をも傍から家族の元に返そうとする末摘花と、廃屋でのこれからを。。。というところで、出立した筈の侍女が戻ってきた。源氏の君が門口を通られ、藤の花を見て、末摘花のことを思い出された。直ぐにこちらに見えるに違いない。一気に活気づいた皆、西方に行く話も消し飛び、出ていった女官も懇願して末摘花の許に戻る。末摘花は、嘗ての女官がいつも一張羅の薄緑衣装の末摘花を見かねてくれていた余り着物を付けて、めかし込む。その着物はガラリと変わったあかね色。 でもチョット源氏の君の御行幸が遅い。皆で迎えに出よう。末摘花とそれを取り巻く数名の女性たちは、揃って並んで舞台前面に、そして並んだまま舞台を半歩下りさらに下へ。。。というところで幕。 多分、乳母が廃屋での末摘花との看取られるままの餓死を思い始め、姫が髪を下ろしたあたり、あるいは衣装を若草薄水色系からあかね色に変えたあたりが、黎明の境であったのだろう。それは昨年12月に見たLa Traviataの最後と重なってしまった。(この日記その話をに書いたのは2020年2月13日。)いいものを見た清々しさと、改めて、豊かさは心の弾力の大きさで決まるのだと知らされたのであった。見た目も中身も美しかった末摘花、高岡由季さんの好演に特に乾杯。 蛇足:こんにゃくオペラは、半世紀前に,日本のオペラを本来のオペラにしよう、言葉がわかる演劇性のあるオペラ、畏まって拝聴する日本流古典音楽鑑賞(音学のお勉強)から脱却しよう、という主張で芸大学生サークルから始まったという。林光さん、萩京子さんが顧問という感じだったのかなと想像してしまう。だから、団員の横並び活動がイメージされ、そこからスターが飛び出ることはあまり予想していなかった。 然るになのだ、歌は歌い手に依存すると言うこともあるのだ。美空ひばりはどんな歌でも歌いこなし名曲にしてしまう。ひばりに一度歌ってもらうと、変な詞が名詞に、駄歌が名歌曲に仲間入りする。日本語がオペラに乗らない問題は、歌詞をメロディに併せて語る力量とそれを発揮する自由度を歌い手が持つと大きく変化してしまうこともあるのえではないか?こんにゃくオペラが目指したものへの答えの一つを、光組の姫を演じた高岡由季が示してくれたのでは無いか。 昨年9月、こんにゃくオペラで「不思議なたまご」がごく自然な判りやすく聴きやすく楽しい出来になっていて、林光さんが感じていた困難は子供相手になると解消するのかときいう感想を持った。(この日記では2019年9月30日に記載。)しかし、その時の主役の少年を演じていたのは高岡由季さんだったのだ。 ニャンスケは説明が出来て納得しました。半世紀を経て、判りやすいオペラへの意外な鍵の一つと、予想していなかったこんにゃく座からのスター誕生が、半世紀記念の花束なのでしょうか!朗読CD源氏物語 第四集 末摘花/紅葉賀円地文子訳 竹下景子朗読 3CD源氏物語分巻末摘花【送料無料】 正訳 源氏物語 本文対照 第2冊 末摘花・紅葉賀・花宴・葵・賢木・花散里 【全集・双書】人物で読む源氏物語(第9巻) 末摘花 [ 上原作和 ]源氏物語06末摘花すえつむはな -新編紫史【電子書籍】末摘花 五編〜八編/バーゲンブック/3980円以上送料無{沢田 五猫庵 編 太平書屋 文芸 古典国文学 恋 春}定本誹風末摘花/バーゲンブック{岡田 甫 太平書屋 文芸 古典国文学 生活}円地文子訳源氏物語(第4集(末摘花/紅葉賀)) 新潮CD (<CD>) [ 円地文子 ]
2020.09.21
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