「霞」を食べていた2人のところへ急に割り込んできた男・・・・天国ですから住人ならば誰でも「霞」を出す事ができるはずなんですけど、この男は「神様」の出した「霞」を食べにきました。
つまり、天国の住人ではないようです。
ならば、密入国?
いえいえ、その可能性もないわけではありませんが、「お歯黒女官」のように、天国へ住む権利のある「神様」にくっついて入国すると、その「神様」の出した「霞」や「食料」を食べる事ができるのです。
つまり、この男は誰かのお供としてくっついてきたのですが、いつの間にかはぐれてしまったということが一番考えやすいのです。
しかし、この天国で連れとはぐれるとは・・・・
「お前は誰じゃ?」
「神様」も思わず尋ねました。
その男はしばらくじっと「神様」の事を見ていましたが、急にわっと泣き出したのです。
そして、すぐに泣き止むとまた、「霞」を食べだしました。
「神様」はあきれて二の句が接げません。
「お歯黒女官」の方が、怒りだしました。
「ねえ・・・あなた・・・私たちの食事を勝手に食べるんじゃないわよ・・・食べるにしてもいただきますの一言があってもいいんじゃないこと?・・・ねえ・・・うんとかすんとか言いなさいよ!」
このときまだ黙っていれば良かったものを・・・・この男・・「お歯黒女官」のこの言葉に「うん」と答えたものですから、かえって油に火を注ぐ結果になったのです。
「うんじゃないわよ!・・・名前を名乗りなさい名前を!」
このとき初めてきちんと返事をしたのです。
「サル」
「猿?・・・・・あなた猿なの?・・・・どう見ても人間にしか見えないのに・・・」
「そうじゃねえずら・・・・・わしゃ藤吉郎だに・・・」
その時、「神様」が反応しました。
「お前・・・・豊臣秀吉か?」
「なんですかこの男?・・・猿って言ってみたり、藤吉郎っていってみたり・・・神様まで豊臣秀吉だなんて・・・・」
「お前は知らんのか?」
「豊臣秀吉は知ってますけどね・・」
「ここでのシキタリをお前は知らんかったな・・・マロが説明しよう」
「神様」は懇切丁寧に説明を始めました。
「ここは天国じゃから、神様とか現世で良いことをしたものだけが来れるところなんじゃが、マロがお歯黒を連れてきたようにお供ではいることは誰でもできるのじゃ。
それにな・・・歴史上悪人といわれたものでも、信者のようなものがいるならば・・・神として扱われる。・・・・じゃから悪人でも入れる。
それと・・・・例えば彼のように・・・・・本来ならば彼ひとりでも信者を持っておるから神のように扱われるものでも、・・・・きっとそういうことだと思うが、彼の主人・・・織田信長が彼をお供としてここへ連れてきた場合・・・・彼は”霞”や”食料”を出すことができないんじゃ」
これは図で描いて説明しないとわからないかもしれないなあ・・・と筆者は思うのですが・・・面倒なので、読者の皆さん考えてください。
「という事は・・・この男はけっきょく誰なんですか?」
「歴史上の人物で、信者のようなものをたくさん持つ織田信長の家来・・・木下藤吉郎・・・じゃろうな?」
「神として扱われている織田信長が、ここへ来るとき木下藤吉郎をお供として連れて来たと言うことですか?」
「そういうことじゃ」
「それじゃ・・・同じく神として扱われている豊臣秀吉はここにはいないんですね?」
「ところが、豊臣秀吉は豊臣秀吉として・・・別人格を持ってここにいても不思議ではない」
「お歯黒女官」は頭が痛くなってきました。
つまり、織田信長が連れてきた木下藤吉郎は、まだ豊臣秀吉になっておらず、あくまでも織田信長の信者である木下藤吉郎・・・ってことなんですけど・・・皆さんご理解いただけましたか?
って時間だ・・・続く
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