日本語で話そう

June 6, 2011
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ある日、母のホスピスからの帰り、駅を通りかかる。ふと見ると駅の駐輪場に青い幟がはためいていた。
「レンターサイクル」

そうだ、日曜日はこれで海辺をサイクリングしよう。
頭の中の豆電球に電気が灯った。

さてその日曜日の朝、夫とともに駐輪場で自転車を選ぶ。
たぶん、置き捨てられた自転車を市が修理して観光用に貸し出しているのだろう。
代金は500円。

出発前に海辺のサイクリングコース地図と特典地図とアンケートを渡された。

それではと自転車にまたがって両足を着く。このスタイルでしか出発できない。
考えてみたら、生まれてこの方、自転車に乗ったことなんて観光地の湖畔めぐりで2・3回、2人乗り自転車の後ろに乗ったことがあるだけだ。

はたして乗れるのか?

何しろ輪っかが4つある乗り物以外安心できないのだから、2つなんて心配。
海に落ちないだろうか、車道に倒れないだろうかとふらふらしながら進む。
後ろからついてくる夫、そんな私を見て、15mも行かないうちに早くも、「自転車返して歩こうか」と言う。

最初は川沿いを海までまっすぐ。
HatじゃなくてCapにすれば良かった。風で帽子が川に落ちそうだ。
帽子だけならまだいいがという考え方もあるが・・・。

海辺を走ってトンネルの見えるところで歩道の細いトンネル内を避ける。
トンネルをぐるっと迂回すると最後は急な下り坂。
私は怖くて乗ったままでは下れない。自転車を押してというより落ちようとする自転車に引きずられるようにして坂を下る。
その横を夫が自転車に乗ったまま、ブレーキをゆるく効かせながら抜かして行った。

自転車に乗ったり降りたりしていると、歩道を歩く人に追い抜かれる。
「歩く人の方が早いね」

「まあまあ、なんとでも言ってくれ」

市のヨットハーバーを通り抜けると、かっては造船所が有った浦賀湾。
以前は「海王丸」や「日本丸」の帆船を良く見たものだ。

湾をぐるりと回る道は歩道も狭く自転車が走りにくいから、渡し船に乗る。
人間150円+自転車50円。

「ああ、市の自転車だから無料だよ」
船頭さんが言った。自転車には大きな市のマスコットが付いているのだった。
さっそく特典。

大きなクルーザーハーバーの横を再び海辺のコースへと走り抜ける。

潮の匂い。
漁港の臭い。

海辺の道はスリル満点、車道にはみ出るか、舵取りを間違えて海に落ちるか。

青い海の先に博物館とイタリアンレストランが見えて来た。

「お尻が痛い、食事にしよう」夫が言った。
昼食にと決めていたホテルのレストランまでは持たないらしい。

今日は夫の奢り。
自転車特典で10%off

早すぎる昼食後再出発。

海水浴場を過ぎ、美術館を過ぎ、海の見える温泉を過ぎ、大好きな海を眺めるカフェのあるホテルを快調に通り過ぎる。

横浜のランドマークが見え始める頃、急な上り坂を自転車を押していると横を電動アシスト自転車のおばさんがすいすいと通り過ぎて行った。

見下ろすと東京湾ではたくさんの人が潮の引いた浅瀬で潮干狩りをしていた。
東京湾特産のタコもいるんだろうな。

今度は下り坂をブレーキをキイキイ言わせて突っ走る。緑の風が爽快。
猿島を右手に見て海岸パームプロムナードを走る。

もう私はベテラン自転車ランナー。

海辺釣り公園を過ぎ、三笠公園を過ぎ、アメリカンベースを過ぎるとそこはもうヴェルニー公園。

薔薇の咲きほこる公園からは朝日のマークを付けた日本の潜水艦やアメリカ軍の戦艦、日本の自衛隊の艦船らが見えた。
震災の時はこの港から救助の船が一斉に出港したのだという。
今日は南極観測船「しらせ」はいない。南極に行っているのかな。

赤いバラと戦艦をバックに記念撮影をし、もう一つの自転車駐輪場に「楽しかった」と書いたアンケートとともに自転車を返した。

ホテルのレストラン、美術館、最近できたばかりのもう1つの温泉、猿島航路の自転車乗車券の特典はこの次のチャンスの使おう。


そこからはJRの電車で帰路に就いた。

さわやかな初夏の日のサイクリングデビュー!

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ヴェルニー公園のバラと潜水艦










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Last updated  June 8, 2011 09:43:25 AM
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