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2023年05月14日
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テーマ: 日本の未来(224)
 物流業界の危機「2024年問題」が話題になっている。コロナ禍でものが作れないことが話題となってきたが、ものがあっても容易に届かない時代が目前に迫っている。
 主に自動車を使用しての安価な宅配の進展、コンビニエンスストアの少量多頻度配送の確立、そして通信倍の普及拡大などで、人々は便利な生活を実現してきた。
 少子化、高齢化、運転免許制度の細分化に加えて、2024年から働き改革による運転手不足が予定されている。コロナ禍で発展した通信販売などの影響で実売店でも、店舗側の配送料無料・即日配送なども重なり、定時、定点に荷物が届かない…という事態が予測されている。
 誰か(消費者)の便利は、誰か(物流関係者)の努力に大きく支えられていた。
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送料無料・即日配送で疲弊する運転手たち
=原彰宏
2023年4月27日 MONEY VOICE
物流の「2024年問題」
 働き方改革を目的とした改正労働基準法の施行により、2024年4月からトラック運転手の時間外労働に年960時間の上限が課され、年間拘束時間は現行の3,516時間から原則3,300時間へと厳格化されことになりました。 それにより、運転手の労働環境改善が期待される一方で、1人の運転手が1日で運べる荷物量が減るため、人手不足が深刻化して物流が滞るリスクが指摘されています。
 人件費増加で中小事業者の利益が圧迫される懸念もあり、輸送効率向上や運賃へのコスト転嫁などが課題となっています。
 物流業界では、慢性化している運転手不足がさらに深刻となり、各地で荷物が運べなくなる事態が懸念されています。
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 野村総合研究所は、この問題により 2030年に予想される国内の荷物量のうち35%が運べなくなる可能性があると試算 しています。
 ラストワンマイル……物流におけるラストワンマイルとは、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのことを表現したもので、「最後の1マイル」という距離的な意味だけではありません。
 お客様へ商品を届ける物流の「最後の区間」のことを「ラストワンマイル」と表現しています。
 EC(ネット通販)の普及で、人々の買い物スタイルが、お店に足を運ぶのではなく、PC画面上でマウスをクリックすることで買い物を楽しむスタイルに変わってきています。
 人々の買い物のあり方が大きく変わるなかで、物流市場への参入事業者が年々増加していて、他社との差別化を図るために「送料無料」「当日配送」などに取り組む事業者が多く出てきました。
 それまで拠点を集約し、配送の部分を宅配業者に委託する形で物流を構築していたものを、よりエンドユーザーに近い場所に配送拠点を設けることで、ラストワンマイルを縮めてサービス強化する動きが活発化してきました。
 しかもドライバーの努力によるもので、価格転嫁ができないものです。まさに「サービス合戦」ですね。
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全国対応、当日配送、翌日配送サービス…。
 ところが、これらのサービスが、今後は継続できないかもしれないという「物流の危機」が訪れようとしています。
 「宅配業者への配送料金が見合っていない」「年々増加し続ける宅配貨物の物量」「再配達による業務効率の低迷」など、ECの拡大によって宅配サービスの取扱量が急増しているなかでの、ラストワンマイルの物流サービスのあり方が考えられる時期にきているところに、この「物流の2024年問題」がのしかかってきているのです。
過剰サービスだった?
 労働人口の減少や作業内容等の物流労働環境の問題により、物流の担い手が年々減っているなかで「働き方改革」が進められているのはよくわかります。
・トラック運転手の時間外労働に「年960時間の上限」設定
・年間拘束時間が、現行の3516時間から原則3300時間へと厳格化
 これらを守るということは、1日に運べる量は減少し、即日配達とか翌日配達などの、今までのサービス提供が困難になる
 たしかに、健康被害や過労死、人で確保にとっても悪いイメージとなる長時間労働の実態是正は重要です。過労が事故につながることもありますからね。
 翌日配達だけでなく、即日配達は顧客にとって本当に必要なのかという「過剰サービス合戦」のあり方も見直すべき時なのかもしれません。
 そういった今までの“あたりまえ”となった風潮の見直しも、場合によっては必要かもしれませんね。
ドライバーの収入減も問題に
 この残業制限などは、ドライバー側からは“収入が減る”ことを懸念する声も出ています。
  …  (略)  …
 業務が大変な割には儲けが少ないと、ドライバーの“成り手”が減っていきます。そうなると、ものが運べなくなるのです。
企業側も対策しているが…
 人手不足対策として物流網維持のためには、
 ・料金割増し
 ・運送頻度低下
 ・輸送の効率化(ダブル連結トラック活用)
 ・トラック輸送から船や鉄道に転換
 ・複数の会社での共同輸送
など、様々なことが試みられています。
 また、再配達の多さや荷受け・荷降ろし時の待ち時間の長さも長時間労働を招く要因となっています。
  …  (略)  …
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 ローソンは、これまで1日3回コンビニエンスストアへ配送を行なっていたチルド・定温商品について、2回に削減することで、コスト抑制とCO2排出量の削減を行なうとしています。
 これも2024年4月に施行される働き方改革関連法に向けての取り組みになります。
 元々コンビニエンスストアへの配送業務は長時間拘束になりやすい配送体制で、新しい基準を満たすために、現状の配送スケジュールを実現するには、配送車と配送ドライバーの追加が必要となり、年間約20億円のコスト増が見込まれるそうです。
 このため、配送スケジュールを見直すことで、コストを抑えようとしているのです。
  ―  引用終り  ―
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 関連法制とインフラの整備が進まなければ、自動運転トラック、ドローン、宅配ロボットの普及は進まない。
 物流の2024年問題は、2024年を過ぎても課題であり続けることだろう。少子高齢化は社会のあらゆるところに見直しを迫る。
 物流について、コンビニは配送スケジュールだけでなく、人口減少地帯を中心に、営業時間の見直しを迫られることだろう。





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最終更新日  2023年05月14日 06時00分09秒
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