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2023年11月10日
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テーマ: 健康・薬(109)
 高齢化などにより医療費の絶対値が増大する中、厚生労働省は薬価の安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の利用を推奨している。
厚生労働省 公式サイト
I ジェネリック医薬品について
1.ジェネリック医薬品とは
 医薬品には、一般の薬局・薬店で販売されている「一般用医薬品」と、医療機関で診察を受けたときにお医者さんから処方される「医療用医薬品」があります。さらに、「医療用医薬品」は、先発医薬品と後発医薬品とに分かれていて、後発医薬品はジェネリック医薬品とも呼ばれています。(図表1)
 先発医薬品(新薬)は、医薬品メーカーによって独占的に製造・販売できる特許期間等があります。しかし、その特許期間等が終わると、有効成分や製法等は国民共有の財産となり、厚生労働大臣の承認を得れば、他の医薬品メーカーでも製造・販売することができるようになります。先発医薬品の特許等の期間満了後に販売される医薬品がジェネリック医薬品です。(図表2)
 欧米では、医師が薬を処方する際に、銘柄名を記載するのでなく、generic name(一般名、成分名)を処方せんに記載することが多いために「generics」(ジェネリック医薬品)と呼ばれており、世界共通の呼称となっています。
 先発医薬品(新薬)の開発には、9~17年程度の長い期間と数百億円もの投資が必要といわれておりますが、ジェネリック医薬品の開発には、期間が新薬ほどかからず、費用も少なくすむため、薬の価格も安くなっています。
  ー  引用終わり  ー
     ​
 承認審査、品質管理について先発医薬品と同様に安全・安心な医薬品として、ジェネリック医薬品の使用促進、普及啓発に努めていることが記載されている。
沢井製薬 公式サイト
 ジェネリック医薬品は、新薬の特許が切れた後に製造販売されるお薬です。
 新薬と同じ有効成分で作られ、効き目が新薬と同等であると国に承認されたお薬で、欧米の国々と同じように、日本も医療費節減のために、ジェネリック医薬品の使用を積極的に促進しています。
  ー  引用終わり  ー
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 政府は医療費を抑制するため、病院や薬局が後発薬を選んだ場合の診療報酬を手厚くするなど、様々な手立てで普及を図ってきた。現在ジェネリック医薬品の使用率は、政府が目標とする8割に達しつつあるほど普及した。
 2005年に後発医薬品の製造販売の参入要件が緩和され、中小の会社が乱立するようになった。薬価が継続的に引き下げられ、競争激化で不採算品目を抱えても、需要がある限り簡単には製造をやめられない状況となった。一方、輸入原料や包装資材の高騰で製造原価は上昇し利幅が減少した。
 ジェネリックの商売が繁盛するにつれ、過度な競争もあり適正な利潤の確保が難しく、品質管理が疎かにされたのだろうか。 
沢井製薬の沿革
 出典:Wikipedia
2021年(令和3年)
 4月1日 - 持株会社サワイグループホールディングス株式会社を設立。沢井製薬との間で株式移転を行い、沢井製薬及び子会社は持株会社の子会社になると共に、持株会社が上場。
 10月 - 胃炎・胃潰瘍治療剤エカベトナトリウム顆粒66.7%「サワイ」など12成分26品目を販売中止にする方針を固め、同月18日に医療関係者向けサイトで案内を開始。
 12月3日 - 品質不正問題が発覚した同業の小林化工から全工場と人員、物流や研究開発拠点の譲渡を受けることを発表。
2023年(令和5年)
 5月11日 - 取締役会で澤井光郎代表取締役会長を代表取締役会長兼社長とする役員人事を決定。
 9月13日 - 胃炎薬の品質試験を不正実施していた疑いが浮上したことから、製造販売業許可を出している大阪府が立ち入り調査。同年10月23日、販売後に行う品質を確認する試験で不正をしていたとして、薬の自主回収を進めていることを発表。
  ー  引用終わり  ー
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 日医工、小林化工の品質不正問題が発覚した時期以降、国内の医薬品の供給不足が続いていることが報じられてきた。
 2023年10月6日、医療機関の9割が「入手困難な医薬品がある」と回答していることが日本医師会の調査結果として公表された。
 せき止め薬やたんを切る「去痰(きょたん)薬」の入手が特に難しく、半数の医療機関が、発注しても納品されない医薬品があるとのこと。
     ​
供給不足続くさなか、見過ごされた3度の合図
2023年11月1日 東洋経済オンライン
 「サワイなら安心だ、と思っていた患者さんや医療機関の期待を裏切ってしまったことに、心からお詫びを申し上げる」
 10月23日の午後、急きょ開催された記者会見。後発医薬品メーカー最大手、沢井製薬の澤井光郎会長は沈痛な面持ちで頭を下げた。
 沢井製薬は同日、胃薬「テプレノンカプセル50mg『サワイ』」で、品質試験における不正が2015年から継続的に行われていたことを明らかにした。
 後発薬業界では2020年以降、品質不正が続々と発覚し、製品の自主回収が相次いでいる 。業界大手だった日医工や、中堅の小林化工が業務停止命令を受けた影響で製品の流通に混乱が生じ、3年経った現在も供給不安が続く。そんなさなかで判明した最大手の不正に、業界関係者は「さらなる混乱につながるのでは」と不安をあらわにする。
  …  (略)  …
法令より上司の指示を優先する風土
 不正が繰り返されてきた背景について、調査報告書は「法令よりも上司の指示を優先する」という異常な組織風土があったと指摘する。
 2017年以降、生産本部長を務めていた沢井製薬の木村元彦社長は会見で「工場組織では上から下に指示命令を出すのも必要な部分があるが、その部分の指示が強すぎたために、誤った認識となっていた可能性もある」と反省。過度な上下関係が遠因となった可能性があるとした。
 安定性試験では、薬を保管する際の温度や湿度などに関する基準が2013年に厳格化されていた。これにより試験に不適合となる薬が増えたことも、現場がカプセルの詰め替えを継続した動機となったようだ。
 一方、調査報告書は一連の不正は現場の認識の甘さが原因であるとして、「上層部が関与して組織的に行われた行為であったとまでは認められない」と結論づけている。報告書がいう“上層部”とは、本社の社長や会長、不正があった工場の責任役員や工場長などを指す。
  …  (略)  …
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最大手のずさんな内情に広がる衝撃
  …  (略)  …
 沢井製薬は今後、社員の法令遵守意識を高めるための研修を行うほか、安定性試験の実施手順が承認書と齟齬がないか確認を徹底するという。薬の溶出性に懸念が生じた場合は、「製造のやり方から見直すか、代替できる薬があれば販売自体を中止する可能性もある」(同社広報)。
 8年もの間、不正が常態化しながら上層部がそれを感知できなかった組織体制や、社員の法令遵守意識の低さを露呈した調査報告書は、業界関係者に衝撃を与えている。
 沢井製薬は現時点で、テプレノンのように承認書と異なる検査方法が口伝されていたような事例はないとしている。ただ、ある後発薬メーカーの現役社員は「現場の思い込みだけのせい、というのはさすがに無理筋だ」と不信感を示す。 後発薬メーカーの元社員は「誰がどう考えても、試験に合格しなかった薬を放置するのはおかしいと分かるはずだ。ガバナンスが利いていると思えない現場で、本当に他の薬は大丈夫なのだろうか、という心配が拭えない」と話す。
  ー  引用終わり  ー
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 経営者、管理者、監督者に異を唱えると雇用が危うくなるので、企業に対する忠実性が高い日本企業では「企業の論理」が優先されがちになる。ビッグモーターのように高給で社員をつなぎとめた場合、企業の論理一辺倒になる。
 人の命を左右する製薬業界とて社畜となれば同じこと。また一つ、「国産なら安心」が幻想であることが明らかになった。








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最終更新日  2023年11月10日 06時00分11秒
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