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2024年08月30日
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カテゴリ: 民間航空
 原油を精製してできるのは、 ガソリン、ジェット燃料の他、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、灯油、軽油、潤滑油ベースオイル、重油、アスファルトなど。
 設備構成によっては、芳香族炭化水素やプロピレンなどの石油化学製品も生産される。
 ジェット燃料は、市販されている灯油やガソリンに近い性質をもつ。
 コロナ禍が明けインバウンド客が回復しつつある中、航空関係者の不足とともに、航空燃料の不足が顕在化しつつあるという。
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……広がる航空燃料不足の背景にある構造的問題
ニッポン放送 NEWS ONLINE  2024年7月14日 9時0分
 政策アナリストの石川和男が7月14日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。成田空港をはじめ国内空港で相次ぐ航空燃料不足の原因と今後の見通しについて、専門家と議論した。
 成田国際空港会社は6月27日に開いた会見で、国内で航空燃料を調達できないとして、海外の航空会社が成田空港への新規就航や増便を断念していると明らかにした。6月19日から26日までの1週間では、中国などアジアの航空会社が計画していた就航便あわせて57便に影響が出たとしている。燃料不足で就航できないケースは、すでに地方空港で相次いでおり、成田空港にも影響が広がった格好だ。
 この問題について、ゲスト出演した一般社団法人エネルギー情報センター理事の江田健二氏は「ついに来たかという印象。去年ぐらいから言われており、どんどん伸びるインバウンド需要に、ついに追いつかなくなってきたかというイメージ」と述べた。
 その上で、今後の対応について「国は石油元売り会社や航空会社とともにタスクフォースの委員会を立ち上げ、何とか切り抜けようと話し合っている。短期的な需要には、例えば輸入などで対応できるが、この問題が根深いのは国が掲げる 2030年のインバウンド目標6,000万人という話。この需要に応えるには、国内製油所の精製能力や輸送能力を見直す必要が出てくる」 と指摘した。
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 航空機に必要なジェット燃料は、原油を精製する過程でガソリンや軽油、灯油やLPガスなどとともに約1割が生み出される。ただ、脱炭素の流れを受けて自動車のEV(電気自動車)化が進むなか、ガソリンや軽油などの消費やガソリンスタンドの需要が減り、国内の石油精製所は経営合理化の一環で統廃合が進む。
 江田氏は「ガソリンの需要が減っているので、石油元売りは製油所や人材を減らしている。ここに来て、いきなりジェット燃料だけ足りないから作ってくれと言われても大変だ」と言及。代替燃料として期待されているSAF(廃棄物や再生可能な原料から作られる航空燃料)も、価格がまだ既存燃料の3~5倍で、生産体制が整い価格が落ち着くと予想される2030年頃まで「どうしのぐかが課題だ」と指摘。当分は、不足分を輸入に頼ったり、国内空港の中で優先順位を決めて融通しあうなどの対策例を挙げた。
 石川は「脱炭素、カーボンニュートラルという国際的な大きな流れは理解できるが、そればかりをあまり早く進めてしまうと、結局困るのは日本人。日本人が困らないようなスピード感で進めていかないと、日本社会がつぶれてしまう」と持論を述べた。
  ―  引用終わり  ―
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 世にあまねく最適生産、最適供給、最適在庫、「リーン化」が広まった日本では、多少の需要増でも供給不足が生じるボトルネックが様々存在する。
 ジェット燃料の供給もその一つらしく、供給体制の増強についてはLCCのドタキャンがネックになっているという。
 低成長経済に最適した日本は、生産から供給までコストの最適化=最小限化を徹底したため、変化に脆弱なサプライチェーンを構築している。
 LCCのドタキャンに対しては、相応のキャンセル料を支払わせ、安定供給を約束するしかない。円安の日本であれば業界標準を設定して、実行可能なはずだ。
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燃料供給不足
 空港会社や国も動いているが、解消できるのか
東洋経済オンライン  2024年8月10日 
 インバウンドが急回復する中、ジェット燃料の供給不足で海外エアラインが日本で給油できず、新規就航や増便を見合わせる事態が多発している。国土交通省などによれば、成田空港を中心に全国で週あたり140便程度の新規就航や増便を断念する例が確認されているという。
 航空会社が10月からの冬ダイヤを組む中で、「石油元売り各社から航空燃料の供給を受けることができず、やむを得ず運航を見合わせる事態が多数生じている」(北海道庁)といった悲鳴が上がっていた。
 なぜ今年になって燃料供給不足が表面化しているのか。
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国も対策に乗り出した
 燃料不足の問題を受け、国交省と資源エネルギー庁は共催で「航空燃料供給不足への対応に向けた官民タスクフォース」を6月に立ち上げた。7月には各空港での需要量の把握、供給力の確保、輸送体制の強化などを含めた「行動計画」を公表している。
 7月上旬には成田空港向けに韓国からジェット燃料が緊急輸入された。また北海道では、定期修繕に入っている出光興産北海道製油所の代わりに、本州の別の製油所での増産を特例的に国が認めている。
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 国は運送会社に呼びかけ、予備のタンクローリーや乗務員を捻出、月1万5000キロリットル分のタンクローリーを確保。海運業者とも連携して運送計画を変更、外航船の内航船転用で新たに3隻の燃料運搬船を確保した。こうした対策で当面、アジア便週150便超相当の燃料を確保する。
 石油元売りは石油製品の長期的な需要減を見越して製油所の閉鎖を進めているが、ジェット燃料の供給量は2023年度ですでにコロナ禍以前の水準に回復している。また、不足分はこれまでもその都度、韓国などから輸入してきた。つまり、今回表面化した燃料不足は供給量の問題ではない。
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 「元売りは年間計画で輸送体制を組んでいる。そこにインバウンドが急増し、人員や機材が手当できない。空港までの輸送体制が足りておらず、急なニーズになかなか対応できていない」。経済産業省資源エネルギー庁 燃料供給基盤整備課の永井岳彦課長はそう話す。
 タスクフォースでは、タンクローリーや燃料を運ぶ内航船の乗員不足、荷主となる石油元売りの系列化が進んだことで、いわゆる「フリー船」が減少し、輸送体制が硬直化していることも話題に上った。
 確かに人手不足は輸送力のボトルネックになっている。ただ、輸送体制の系列化については「内航船大手は系列をまたいで石油製品を運搬しており、年間契約で船を動かしているにしても、需給にばらつきが出れば社内で調整するはず。そもそも燃料需給にばらつきが出れば系列間で調整している」(経産省幹部)。
 船の数に余裕がないという根本的な問題はあるが、「系列化で硬直した輸送体制」が問題の本質ではないようだ。
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最大の問題は「ドタキャン」
 国内のエアラインは通常、半年から1年前には石油元売り各社あるいは給油会社と調整を始める。「JALやANAから燃料が欲しいと言われれば、なんとしてでも調達する」(元売り関係者)。ただ、元売りは基本的に年間で需要予測を立て、燃料供給体制を組んでいる。
 一方、海外のエアラインは運航希望日の2〜3カ月前に就航をリクエストするケースもざらだ。が、ある石油元売り幹部は「2カ月前までならなんとかできるケースもあるが、それを過ぎると追加のタンクローリーや船を手配するのは難しくなる」と実情を語る。
 海外LCCよっては、就航リクエストが運航予定日の2か月前で、燃料調達などの調整を50日前までに行ったものの、40日前になって就航を突然キャンセルする事例も見受けられる。これが繰り返されると元売りも半信半疑になり、船やタンクローリーの手配に慎重にならざるを得ない。
  …  (略)  …
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空港や国が間に入り、解決につながるのか
 この点、燃料供給不足解消に向けた「行動計画」でも、各空港の需要量を把握する仕組みの構築が示されている。空港会社がエアラインからヒアリングし、確度の高い情報を収集・整理して元売りに伝えるというものだ。
 通常は航空会社が元売りと直接交渉するケースが多いが、空港会社が情報を取りまとめて元売りに提供し、供給体制の精度を高める。調整の中で問題が発生した際の相談窓口も国が設ける。
 国交省の廣田健久・航空ネットワーク企画課長は「各空港でどれくらい需要が増えるのか、企業の競争に影響を与えない形で国も情報を集約し、空港・エアラインと元売りをつないでいきたい」と話す。
  ―  引用終わり  ―

 石油元売り各社はSAF(持続可能な航空燃料)への対応もあり、現行のジェット燃料の増産、増配に熱心になれない。
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 毎年需要期=クリスマスケーキ製造期になると不足するバターの供給不足でも分かるように、八方に目を配り、過去のデータをもとに慎重な判断をし、コスト意識の低い「官」が先読みの供給体制を速やかに構築できるとは思えない。
 消費の拡大を前提としない環境で最適化された供給体制はいつもギリギリ。急激な変化に対して脆弱。
 日本の経済社会でサプライチェーンが最適化されているということは、人口集中地域で大規模地震が発生した場合、様々の供給が寸断されるということを示している。大規模自然災害への備え、在庫の蓄えが重要である所以だ。
 「助け」はすぐには来ない。





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最終更新日  2024年08月30日 06時00分20秒
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