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千菊丸2151 @ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
mifess @ お元気ですか 2012/03/01 仙人草21さん >その後、記事の掲載が進…
仙人草21 @ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
mifess @ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
仙人草21 @ kyonkyonさん、こんにちは! いつも温かいコメント、ありがとうござい…

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18話 君は宇宙(… ちはるのきさん

Apr 30, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 翌朝、ぼくは早めに家を出た。

イケの家に行くつもりだった。

 おじいちゃんは、

「学校休んでもいいんだぞ。ルイ、無理するな」と、言った。

びっくりした。以前は、そんなことを言うおじいちゃんではなかったから。

ぼくはとても、嬉しかった。でも、何だか寂しくもなった。

いつまでも、強気なおじいちゃんでいてほしいからなんだ。いつまでも、元気

でいて欲しいと思っているからだ。

「大丈夫だよ。おじいちゃん、行ってくるね」 

 ぼくは、元気に家を出た。

 イケは、まだ家にいた。

開けたドアの陰で、イケの左手は見えなかった。

「お早う」

 ぼくは、覗き込むようにして言った。

「よおー。何だよ、こんなに朝早く。何しに来たんだよ。どういう風の吹き回

しだ、オイ」

 イケは、笑いながら言った。

「イケと一緒に学校行こうと思ってさ。しょっちゅうサボってるからさ、イケ

ったら」

「まあな。親父、まだ寝ていやがるんだ。

どっちが親だかわからねー、あはは。親父を起こして、会社に行かせるからよ。

待っててくれよ、すぐだからよ」

 ぼくは、イケの手を確かめようとしたけど、見えなかった。

イケは、引っ込んだまま、なかなか出てこなかった。

家の中の声が聞こえてくる。

「父ちゃん、起きろよ。オレ、もう学校行くからよ。父ちゃん、父ちゃんッ」

 イケの父さんが、何か喚いているようだ。酔っ払っているのだろうか。

「父ちゃん、父ちゃん!オレ、もう学校行くよ。会社遅れるぜ。オレ、ちゃん

と起こしたんだから、なー。飯、できてるからよ。オレ、もう行くよ」

 イケは、毎日こんな生活をしてるのだろうか。

朝食だって、イケが用意して。

「おう、待たせたな」

 イケには、何にも負けない強さがある。

「何で、オレを迎えに来る気になったんだよ、ルイ。お前、その手どうした?」

「イケこそ、手どうなった?あの後、病院行ったの?」

「病院?行く訳ねーよ。もう、治ったし、よ」

「見せてよ。ほんとに治ったかどうか」

「お前、疑い深いんだよッ」

「そうだよ。だから見せろよッ」

 ぼくは、一刻も早く確かめたかった。何でもないことを祈るような気持ちで。

 イケは、左手をグウーにして、ぼくの前に、にょきっと突き出した。

「何でもねーよ、ほら」

 少し変だった。

「パアにして」

「お前、いちいちうるせーんだよ。ほれ、見てみろよ」 

 ぼくは、息を呑んだ。

イケの左手の薬指は、内側にぐにゃっと曲がりその上に中指が重なっていた!

一瞬、イケがふざけてぼくを驚かそうとしてるのかもしれないと、思ったほど

だ。でも、これは紛れもない事実なのだ。

イケは、薬指に力を入れて伸ばそうとしている。何故、こんなになるまで、ぼ

くは気がつかなかったのだろう。

イケの父さんだって、何故気がつかなかったのだろう、親なのに。親のくせし

て。

どんなに痛かっただろう!

「イケ、真っ直ぐ指を伸ばしてみてよ!イケ、イケッ。真っ直ぐだよ、真っ直

ぐにだよ!」

「これしか、できねーって。お前、うるさいこと言うなよ。

しょうがねーだろ。こうなってしまったんだから、よ。

バレリーナは、こんな手つきして踊ってるよな?だから、いいんだよ。気にす

るな。

お前こそ、どうしたんだよ、その手ぇ」

 ぼくは、胸が詰まって何も言えなかった。

こんなになるまで放っておいたことが、悔しくて、悔しくてしょうがなかった。

イケもイケだ。何故、父さんに話して病院に連れてってもらわなかったのだろ

う。

怒りがこみ上げてきた。

「オレ、もう痛くねーしよ」

 と、イケがケロリと言った。

「そんな問題じゃ、ないだろッ」

「何、イカってんだよ、ルイ」

「イカってるよ。当たり前だろッ。そんなになるまで、なんで病院に行かなか

ったんだよ。ちゃんと治せたはずなのに!」

「仕方なかったんだよ。しょうがねーだろ」

「仕方もしょうがも、あったんだよッ。イケは何を考えてたんだよ!」

 ぼくは思わず、訳の分からないことを言ってしまった。

イカリが収まらなかった。

「イケったら、馬ッ鹿じゃないの。何でだよォ、こんなになるまでー。全く」

 イケの手は、もう治せないのだろうか。もう、手遅れなのだろうか。

                         つづく





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Last updated  Mar 26, 2012 04:04:53 PM
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