2005.12.09
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「新着メッセージはありません」

何度見たか分からない携帯の画面。

ぱたり、と携帯を閉じてポケットに仕舞い、少し考えてからまた取り出す。

発信履歴の一番上の番号を表示して、コールボタンを押そうとして、またやめる。

そんなことをここ何日も繰り返してると、

ロクでもない考えばかりが浮かんできて。

俺って自分勝手なもんだったな、って思ってみる。

ミカから最後にメールが来て、たぶん3日になって、それも、あんなメール。

「ちょっと、しばらくひとりで考えたいから」

たぶん。て言うかほぼ間違いなく俺が原因。

慣れ過ぎた。3度目のクリスマスを控えると、何か特別なことをしようって

そんな気持ちも薄れてしまって。

「なぁ、今年は家でゆっくりとしようや。どこ行っても混んでるしな」

今から考えれば、不用意なヒトコトだったって、そう気付けるんだけどな。

仕事、仕事って最近はデートらしいデートしてない。

「温泉行く」って約束は去年のからのまま。

今年のクリスマスは3連休で、今月の始めには俺のプロジェクトも終わるって、

そんな話してたから、絶対にミカは楽しみにしてたはず。





なーんで、気付けないかな。




もう一回、メールセンターに問い合わせしてみる。

ここは、電波がいいからそんなことしなくてもメールが来たらちゃんと受信する。

それでも、一応の期待を持ってするものだから、

「新着メッセージはありません」

ほら。余計にがっかり来る。

表参道のイルミネーションの下をいくつものカップルが歩くから、

ガラスの向こう側がなんだか別の世界に見えてきた。

当たり前だけど、みんな幸せそうな顔してる。

冷たいコーヒーをひとりですすってるのは、店内にも俺だけだって、

そんなタイミングで気付くから、さっさと店から出ちゃってしまおうか。

そんな気さえ起こってきた。

「話したいことがあるから、○○に6時に来て」

メールを打ってから「来る」って返信も「来ない」って返信も無いのに、

7時半まで待ってる。

こうやって、男は。

せっぱつまらないと、考えやしないんだ。

行動も起せないんだ。

勝手について来てくれると、そう思い込んで。

いざそれが無くなりそうになって、初めてジタバタして。

そんで。結局…





「ダメだ!」





俺は立って携帯を取り出して、発信履歴の一番上、ミカの番号を押す。

こうなったら、やれるだけやってしまえ。

終わるならやれるだけのことやんないと、カッコつけたって何も残らねーんだ。

精一杯、悪あがきをしてやる。

「お掛けになった電話は、電波のとどかな…」

電話を切って、また座る。

なるほどね。じゃあ、もうこれは家まで乗り込んで、そして…





「なにひとりでバタバタしてんの」





ミカの声。

ばっ、と振り向くとミカが立ってる。

外はかなり冷え込んできたのか、マフラーを口元まであげたミカが。

「って、いま、電話しようとしてたんだけど」

「ごめん、電池切れてる」

ぶっきらぼうに言って、俺の向側に座る。

それから、ちょっと二人黙って。





「…髪切った?」

「いいとものタモさんかよ」





俺の何とか場を持たせようと言った言葉を、バッサリ切って。

それからミカが吹き出した。

俺は訳が分からずミカを見て、それからミカがじっ、っと真面目な顔をして。





「すっごい、考えてた」





来た。俺は構えた。

何を言っても俺は最後まで悪あがきする。そうさっき決めたから。

来るなら何でも来い。





「ずっと、最近、ダラダラと付き合ってるだけで、これでいいのかなって。

 それで、この先、どうなるんだろうって」





席についても、ミカはマフラーと、それからコートを取らなかった。

手短に終わらせる気か?そうはいくかよ。





「で。メールとか電話も。取らなかった。

 だって、取ったらまたもとのままだって。そう思ったから」





違うね。これからは違う。

絶対同じ過ちは繰り返さないから。





「きっと、そう言ったら、『同じ過ちは繰り返さないから、頼む』って。

 そう言われるんだろうなって」





・・・。





「そう言われたら、信じるしかないじゃん。

 で、考えて考えて、結局、いっこの結論にたどり着いた」





「何だよ」

俺はやっと言葉が出た。

言おうとしたこと言われて、俺の頭の中はとっくに空っぽ。

どうやって悪あがきしようか、もう何も残ってなかった。





「結論!」





ミカが前のめりになって、俺の顔を覗き込むようにする。





「ひとりでウダウダ考えても分かんないから、会っちゃえ!って」





なんだか、全身の力が抜けた。

すごくマヌケな顔になっていたと思う。

ミカは座りなおして続けた。





「聞いて。私ひとりで考えるより、二人で考えようって思った」





「だから。話そう?いっぱい。ちゃんと。これからのこと」





うんうん、と頷く。

ああ、やっぱいかんな、俺。

『二人で話す』って何で気付かなかったんだ。

ミカがすごく大人に思えた。

同時に、自分がガキに思えてなんか悔しかったけど。





「じゃ、さ。話し合いのために、なんか、おいしいとこ食べに行こうよ」





ミカが立ち上がる。

俺も立って、それから。

カップルばかりが歩く、表参道のイルミネーションの下を歩いた。





「おいしいとこって。もうすぐ、クリスマスだからそんとき行こうよ」

「クリスマスは家でいいよー。だって、どっこも混むでしょ」





何か、勝てないな。

苦笑いをしながら、歩く。

たぶん、こういうときって男はみんなジタバタするだけで、

女はずいぶん先にいってしまう。

だけど「これから」のこと。

それは、俺だけじゃなくて。

それに、彼女だけじゃなくて。

二人のものなんだなって思うと、もう少しちゃんとしなくちゃなって思うよ。





ジタバタするのは、もう少し、先でいい。

願わくば。

ジタバタしなくてもいいように。







*****

ここを見ているかどうか分からないけれど、

僕の友達のことを考えて書きました。

僕は彼女のことを全て分かってる訳じゃないから、

「何言ってんの」って言われるだけかも知れないけれど。

こんな寒い季節だから、「誰かと居られること」って

すごく大切じゃないかと余計に思うんです。





冷えてしまうには、寒すぎる季節だから。

(僕は主にフトコロが寒いです)





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Last updated  2005.12.10 01:33:45


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