仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.10.22
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カテゴリ: 教育
昨日(10月21日)の各紙に報道されていますが、昨日の財政審の分科会で、優遇されている教員給与がバッシングに遭っています。

 ついに出たな、という感じです。

 私は、教育行政こそ、霞ヶ関と現場の感覚が見事にずれた第一級の行政分野だと思っており、文部科学省に肩入れするつもりはありませんが、財務省のこの議論は一面的な議論です。三位一体論議で財務省が主唱している「地方のムダ使い」キャンペーンの一環としか思えません。財界も何時もながら上手に乗せられるでしょう。「高い給料を求めてモラルハザードになる」との発言も出た(毎日新聞)のだそうです。あらまあ。

 学校現場は、ハッキリ言って大変です。給与が高いゾ、という人は一日8時間の勤務時間を前提にモノを考えるのですが、実態は勤務時間なんて概念はありませんよ。生徒や保護者と向き合っていて、時計見てハイ帰ります、なんて先生は、文部科学省的には正しいのでしょうが、そんな先生はハッキリ言って不要、いや有害です。朝の登校指導、部活、土日の行事、修学旅行に行けば24時間、卒業生の相談にも乗る、エゴの保護者にも対応し... それでも当然のように頑張っています。児童生徒に「勤務時間」はありませんから。
(ちなみに警察官もそうで、ケンカがあれば家で風呂に入っているときでも、酒飲んでいても現場に飛んでいきます。そうあらねばならないのです。この個人としての使命感には素直に尊敬します。組織としては問題がありそうですけど。)
 だからこそ、先生が生徒や親から人間として感謝されるのではないですか。IT社会が進んでも学校と教師だけは人格力の発揮の場だと思っています。(あ、「親」業もです。人格力なくてスミマセン。)

 教員の感情や組合活動に迎合するつもりで言うのではなくて、 教育は質が重要だからです。教育は人材ですから

 おそらく、ある程度は給与水準下げられても(現に宮城県の公立学校教職員は浅野知事の政策でカットされていますが)、先生たちは相も変わらず児童生徒に向き合っていくはずです。最近の教員採用も相当吟味されているようです。
 しかし、慎重に議論しなければなりません。確かに、給与特例法(給与特例条例)や人材確保法が時代に合わないという問題はあります。また、夏休みは遊んで居るんじゃないか、とか。それも個別には問題だけれど、その一面だけつかまえて議論してはダメなのです。
 教育問題を考える場合は、第一に教育の質の維持を考えなければなりません。教育は人格力、人材ですから。質の維持を大前提に置きながら、いかに人材を確保できるかの観点で、考えるべきです。結果として是正すべきは当然すべきですが。
 という訳で、私は、 現在の「事実上勤務時間なし」状態をどう扱うかも含めて総合的に考えるべき、その中で給与水準も検討すべきと考えています 。これがポイント。
 例えば、勤務時間という概念はやめて、報酬制にする方法があります。さらに、教員評価と連動させた期限付き任用制度を導入する。校長の権限や教員のキャリア形成の問題などもありますが、従来的な閉鎖的な学校経営そのものも見直さねばならないので、デザインの余地は広いと思います。
 これら全体の制度設計をしながら、財政面では、総給与額は現行の歳出の中で教員数増加を実現しつつ、軟着陸させる。その際に、重要なのは、教育の質の維持という点から、どの程度の給与レベルが適当か。人材需給面と保護者=納税者の納得の両面から。
 そのような検討を勇気をもって踏み出さないままに、ただ単に、給与水準高いから、なんて議論は危険だ、と言いたいのです。「高給与でモラルハザード」(低給与ほど良い人材ということか?)なんて訳の分からないこと言わせて。また「少人数学級にしても(先生増やしても)学力上がらないじゃないか!」...もう単なる「教員バッシング」です。

 もっとも、財務省だからカネの話は仕方ないのであって、ある程度確信犯的なフッカケの面もあろう。やっぱり文部科学省がダメなのでしょう。
 教育内容面でもズレていますが、学校管理、教育行政、教育財政、になるともっとズレています。かつては日教組対応という図式もありましたが、今はもっと教育の質を考えていくべき時です。でも、何にも考えていない。給与負担の一般財源化の議論が出て、やっと総額裁量制とか言い出して。

 こんなことを財務省に言わせるより、地方に完全に税源移譲し、大学と科学技術以外の行政監督権限は全て手放して、文部科学省はスリムにするべきです。角度を変えて言えば、教育に寄せる住民の信頼に応える責任主体を、目に見えない文部科学省ではなく、自治体に担わせるということです(教育委員会制度、県と市町村の関係も課題があるが)。実際には、自治体もいい加減なことはできませんから、心配には及びません。他方で、教育指導要領など教育水準の維持に文部科学省が真剣に関わればいいのです。
 何十年も時代に遅れている。何とも情けない限りです。





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最終更新日  2005.10.22 06:41:08
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