おしゃれ手紙

2017.09.14
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カテゴリ: 映画
泥の河

あの時、少年時代は終わった。
いま、痛みの源流へ遡りたい。


朝鮮動乱の新特需を足場に高度経済成長へと向かおうとしていた昭和三十一年。
河っぷちの食堂に毎日立ち寄っていた荷車のオッチャンが事故で死んだ。
ある朝、食堂の息子、信雄は置き去りにされた荷車から鉄屑を盗もうとしていた少年、喜一に出会った。
喜一は、対岸に繋がれているみすぼらしい舟に住んでおり、信雄は銀子という優しい姉にも会った。
信雄の父、晋平は、夜、あの舟に行ってはいけないという。
しかし、父母は姉弟を夕食に呼んで、暖かくもてなした。
楽しみにしていた天神祭りがきた。
初めてお金を持って祭りに出た信雄は人込みでそれを落としてしまう。
しょげた信雄を楽しませようと喜一は強引に船の家に誘った。

大阪安治川河口を舞台に、河っぷちの食堂に住む少年と、対岸に繋がれた廓舟の姉弟との出会いと別れを描く。
第十三回太宰治賞を受賞した宮本輝の同名の小説を映画化したもので、脚本は人気TVシリーズ「金八先生」の重森孝子、
監督は浦山桐郎監督に師事し、これが第一回作品となる小栗康平、
撮影は「泣く女」の安藤庄平がそれぞれ担当。


午前十時の映画祭8
「リム廻し」など昭和31年、主人公・信夫と同じくらいの年だった私には、ドンピシャな映画。

馬車で荷物を運ぶのを生業にしている人がいた。
水上生活の子どもが通う学校があった。
(この前後だろうか、水上生活者の子どもの学校がなくなった。
舟の子喜一と姉は学校に行っていない。)
まだ、東京オリンピックもないし、戦争が終わって11年というけれど、戦争の痛みは、地続きにあった時代。

●天神祭り
映画の中に天神祭りに行くシーンがある。
「天満の天神さんやないで。
福島の天神さんに行くんやで」と信雄の母親は言う。
天満の天神さんは、もちろん、福島でも結構遠いのに、二人は歩いて行った!!
地図・安治川の河口と福島の位置関係地図
50円ずつ持って行くが私も当時、そうだった。■ 祭の小づかい
 舞台は大阪、安治川の河口という設定であるが映画のロケは名古屋の中川運河で行われた。■ 泥の河ロケ地

少年はいつか大人にならなければならない。
あの美しかった加賀まりこも歳をとった・・・。

河は、いつも流れて同じ水ではないように、みんな変わる。
人も風景も・・・。

モノクロのこの映画を見ているだけで、悲しく、哀しくなるのは、だからなのか・・・。

映画を見ていると「悲しい色やね」が頭に浮かんだ。
「海」を「河」に変えるなどすると、ピッタリ♪

大阪の「河」は 悲しい色やね
さよならをみんな ここに捨てに来るから

河はいくつも この街流れ
夢のかけら みんな海に流してく
今日でふたりは 「お別れ」やけれど
「きっちゃん」はボクの
たったひとりの「友だち」やった・・・。

悲しい色やね:動画 ■♪音が出ます!

作詞:康 珍化、作曲:林 哲司、唄:上田正樹

1 にじむ街の灯を ふたり見ていた
  桟橋に停めた 車にもたれて
  泣いたらあかん 泣いたら
  せつなくなるだけ
  Hold me tight 大阪ベイブルース
  「俺のこと好きか」 あんた聞くけど
  Hold me tight そんなことさえ
  わからんように なったんか
  大阪の海は 悲しい色やね
  さよならをみんな ここに捨てに来るから

2 夢しかないよな 男やけれど
  一度だってあんた 憎めなかった
  逃げたらあかん 逃げたら
  くちびる噛んだけど
  Hold me tight 大阪ベイブルース
  河はいくつも この街流れ
  恋や夢のかけら みんな海に流してく
  Hold me tight 大阪ベイブルース
  今日でふたりは 終わりやけれど
  Hold me tight あんたあたしの
  たったひとつの 青春やった

  Hold me tight 大阪ベイブルース
  今日でふたりは 終わりやけれど
  Hold me tight あんたあたしの
  たったひとつの 青春やった
  Hold me tight...
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Last updated  2017.09.14 20:49:42
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Re:泥の河★廓(くるわ)船(09/14)  
maki5417  さん
小栗監督は、6本しか映画を撮っていないのですね。
少し意外でした。
加賀まりこは美しかったですが、子役には勝てませんでしたね。
最近は、いつもお昼のシルバードラマ「やすらぎの里」で拝見しています。

私としては、「悲しい色やね」は、「泥の河」とは別物です。
前者はやっぱりR&Bで、「泥の河」にはそんな音楽は流れていません。


少年が大人になる映画で浮かぶのは、ジョセフ・ロージー監督の『恋』 The Go-Between 1970年 です。

 “過去は異邦に等しい”という独白と共に、美しいイングランドの田園風景が広がり、M・ルグランの不安な、しかし甘い旋律が流れる、ロージーらしく感傷の中にもホロ苦さがほとばしる思春期映画の傑作。L・P・ハートレイの小説『恋を覗く少年』を、ロージーとは名コンビの劇作家ピンターが脚本化。

彼特有の凝った回想スタイルが混乱を来す面もあるが、ロージー演出は、階級を越えて愛し合う男女の連絡係となる少年の性の目覚めを、流麗に見えて、その実しっかりした筆づかいで、情緒豊かに運んでいく。

友人マーカスの一家が夏を過ごす荘園の別宅に招かれた少年レオは彼らの豪壮な暮らしぶりに驚く。12歳でそろそろ異性を意識し始めている彼は、一家の長姉マリアン(クリスティ)に淡い恋心を抱く。
その夏は暑く、彼女に夏服を買ってもらったレオはすっかり舞い上がって、買い物を抜け出して彼女が消えた時間に何の疑いも抱かなかったが、彼女は小作人のテッド(ベイツ)に秘かに逢っていたのである。
レオはマリアンにテッドの手紙の渡し役を頼まれ、テッドとも友情を育んでいく。マリアンには、ボーア戦争で頬に刀傷を負った子爵の婚約者ヒューがいた。彼もまたレオには優しく、教養豊かなよき友人だった。しかし、彼らの間を行き来するうち、レオは些細な罪悪感を覚え始めた。
テッドが馬のお産の後、口にした“いい事”とはいったい何だろう。キスでないのは確かなのだが……。少年はまだあまりにも無垢だった。13歳の誕生日をこの家で祝ってもらうまでは……。クリスティが輝くばかりに艶やかで、レオ役のD・ガード少年も繊細で新鮮な演技を見せ、すばらしい。
<allcinema>
(2017.09.14 22:33:31)

Re[1]:泥の河★廓(くるわ)船(09/14)  
maki5417さんへ

川・河が好きなくせに、川を見ると悲しくなります。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
「方丈記」の冒頭を思いだします。

永遠なんてない。
物事は、全てあっという間の積み重ね・・・。
「なにわのことも夢のまた夢」という秀吉の最後の歌もいい。
というわけで、「悲しい色やね」となります。

加賀まりこさん、奇麗でした、ビックリするくらい・・・。
あの映画が出来た頃、テレビで監督のことを褒めていました。

「恋」いつか見たいです(^-^*)
(2017.09.14 22:55:42)

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