原作小説の題名は『アディ・プレイ』だったが、監督は「ヘビのようだ」と気に入らなかった。 会社に変更を求めたが、10万冊以上売れている原作だったため容易に聞き入れてはくれなかった。 監督は困り果て、友人であるオーソン・ウェルズに『ペーパー・ムーン』という題名ではどうかと相談すると、 「良いタイトルだ、表題だけで売れる」と絶賛され、劇中のカーニバルの写真屋で「紙製の月」の上にアディが乗りたがるシーンを追加したことで、現在の題名が許可された。 やがて、映画が公開されると、原作の題名も『ペーパー・ムーン』と変更になった。 タイトルの『ペーパー・ムーン』は、劇中挿入歌として使われている 1935年の流行歌『It's Only a Paper Moon』(『イッツ・オンリー・ペーパー・ムーン』、歌:ビリー・ローズ、イップ・ハーバーグ、ハロルド・アーレン)から拝借したものである。 ■ペーパームーン■ 「ペーパームーン」は、直訳すれば「紙のお月様」のことですが、実際には、もう少し丈夫な、板などで作られていたようです。 1900年代初頭のアメリカで家族や恋人などとの、記念写真の背景として、人気がありました。 「ペーパームーン」を背景に記念写真を撮るという行為は、人生の幸福な時を記録する意味がありました。