おしゃれ手紙

2018.03.26
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カテゴリ: 父の麦わら帽子
木 記念の木


村の学校のげんくわんの

   向つて右の落葉松(からまつ)は、

   わたしの子どもが植ゑたので、

   其の子はとうに戦死した。

    あの学校がたつた時、

    うちの畠にあつたのを

    死んだあの子が掘取つて、

    かついで行つて植ゑたのだ。

   あの子は十二、落葉松は

   あの子のせいより低かつた。

   それが今では学校の

   二階のまどにとゞいてる。

    あの子がいくさに行く時に、

    学校の前でふりかへり、

   「わたしの植ゑた落葉松が

    あんなに高くなりました。」

   昨日学校で校長に、

   あの木の事を話したら、

   はじめて聞いた記念の木、

  大事にするとおつしやつた。

鉛筆今から60年以上前、子どもだった私たちに、明治生まれの父は、よく「記念の木」という、上の詩を暗唱してくれた。
七五調で気持ちよさそうに暗唱するその詩を私は、覚えていた。

私が特によく覚えているのは
「 はじめて聞いた記念の木、

  大事にするとおつしやつた。」
というフレーズだ。
 なにか、新しい物を買ってもらったりした時、母が
「大事にせにゃぁ・・・」と言いながら、私たちに渡した。
すると父は

「大事にせよとおっしゃった」 と少し変えて暗唱するような言い方で言った。
そして、はははと笑い、私たち家族もつられて笑った。

悲しい思い出など何も思わなかったこの詩。
しかし、今読むと、戦争で子供を亡くした親の思いが伝わる。

父は、この詩をどんな思いで暗唱していたのだろうか・・・。

父が暗唱してくれたので習ったことのない詩を私たちも覚えることになった。

まもなく、四月になり学校が始まる。

学校を卒業後も、子どもに伝えたいような授業は宝物だ。


■おまけ■
「・・・日本中の小学生 四列になって歩かんか・・・」という詩もよく暗唱していたが、分からない。ご存知の方は教えてください。
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Last updated  2018.03.26 07:36:15
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