Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/02/14
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カテゴリ: 言葉
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 先日、新聞を読んでいて、「方言の良さを見直そう」という特集に目が止まった。「お国言葉を守ろう」という運動も、各地で芽生え始めているらしい。そんな記事を読んでいたら、ふと脳裏に、かつて住んだ金沢で聞いた、
 懐かしい言葉がよみがえってきた。「食べまっし(食べなさいね)」「あんやとね(ありがとうね)」「ゆーたがいや(言ったじゃないか)」……。

 最近は、メジャーな映画でもセリフを方言にこだわった映画が増えてきているが、私は大賛成だ。コミュニケーションには共通語は大事だが、ふだん話言葉まで、標準語である必要はない。言葉はその地方の文化だ。その地域で、長年育ってきた人々の歴史であり、命のようなものだ。どこへ行っても標準語だったら、まったく味気ないではないか。金沢・兼六園

 私は社会人になって初めて地元(実家)を離れ、北陸の金沢( 写真左 は、金沢のシンボル、兼六園)で一人暮らしを始めた。金沢は、ご存じのように加賀藩前田家・百万石の素敵な城下町だ。戦災(空襲)に遭わなかったおかげで、藩政時代の面影をよくとどめている。

 前田の殿様は文化・工芸の振興に熱心で、このため、加賀宝生流の能楽が生まれ、友禅、金箔、蒔絵、九谷焼、輪島塗などという全国に名だたる工芸品も発展した。

 金沢弁(加賀弁とも言うが、厳密には違う)が、どういう発展の経過をたどったのかは、言語学者でないので詳しくは知らない。お隣の富山や福井ともちょっと違う。同じ石川県でも、金沢地方と、加賀地方、それに能登地方ではまたかなり違う。能登は海を通じた交流のせいだろうが、山陰地方の方言とかなり似ている部分もある。

 イントネーションは関西弁に近い部分もあるが、表現や単語(語彙)に共通するものは、数えるほど。思いつく言葉では「なんなん?」(何なの?)、「~ねんて」(~ですよ)、「いきしな」(行く途中)くらいか(これらは、なぜか関西弁でもまったく同じだ)。

 イントネーションが近いのは、おそらくは航空機による行き来がまだ盛んでなかった頃、JR特急「雷鳥」(今は特急「サンダーバード」)による関西圏との経済的な結びつきが強くて、人の行き来が関東圏より関西圏が多かった影響もあるのかもしれない。

 金沢弁と言えば、まず「~まっし」(~なさい)という接尾語が有名。「来まっし」「見まっし」「食べまっし」と、日常的に頻繁に耳にする。「~がや(なのです)」「~やぞ、~ぞいや(なのだよ)」「~うまいじ(うまいね)」「~ねーじ?(ないね?)」など語尾に濁音も多いのも特徴。

 少し間延びした喋り方も独特だ。例えば、「あのぉ~ん、野村せ~んせ~い、きのお~う、会えんかった~からぁ~」なんて、いらちの大阪人が聞いたら「はよ言わんか」と怒りそう。僕は、若い女性に優しい声で耳元で、こんなしゃべり方されたらもうメロメロだったが…。

 日常の単語でも、標準語とは少し違うものがあった。例えば、「きのどくな」=ありがとう、「あたる(あたった」=もらう(もらった)、「がんこな!」=すごいことだね!、「曲がらん」=曲がるよ、「こけ」=きのこ……。

 またまったく独特な言い方をするものも。例えば、「な~ん」=いいえ、「あおくさ屋」=八百屋さん、「おかべ」=豆腐、「かいぶし」=煮干し、「おあんさん」=ご主人、「かーか」=お母さん、「にゃーにゃ」=娘さん、「おゆるっしゅ」=じゃぁね、よろしくね、「いじるかしい、いじくるしい」=面倒な、「かたがる」=傾いている、「1題目」=1番目……(もっとも、テレビや学校で標準語に慣れ親しんだ今の若い世代ではあまり使わないかもしれないが…)。

 とくに同じ単語でも、使い分けが難しいものがあった。「おいでる」という動詞。とくに電話でのやりとりだと要注意だ。「**さん、おいでるか?」という電話があると、それは、「いらっしゃるか?(在席ですか?)」という意味。しかし、「これからおいでるか?」となると、「(こちらに)お越しになるか?」と聞かれている意味。稀に、「**さん、そちらへおいでるよー」と使う人もいる。こうなると、「(そちらへ)行くよー」という意味。

 英語でいう「Be動詞」と「COME」の両方の意味で使い、前後関係で意味が変わる「おいでる」。今となっては懐かしい思い出だが、最初はよく間違って、行き違いの原因にもなった。

 笑い話では、僕の経験談ではないが、酒席で相手から「はよ、しねま!」と言われて、険悪な雰囲気になったなんて話も聞いた。これは、金沢弁ではなく、石川県でも加賀地方の言葉らしいが、「早く、しなさいよ」という意味。突然言われた方は、そりゃ怒っただろうなぁ…。

 金沢には5年暮らした。僕には第二の故郷…。あの冬の陰鬱な空もよく知っている。「雪国暮らしで、あれだけが、どうしても嫌」と言う人もいたけれど、僕はそれでも、金沢と同じくらい、金沢弁を愛している。






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うらんかんろ

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Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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