Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2009/01/24
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カテゴリ: 今宵も、BARへ…
その8:席でのマナー(1)

◆ショート・カクテルはだらだら飲まない
 ショート・カクテルを、カウンターで1時間近くもかけてだらだら飲んでいる人を、時々見かける。ショート・カクテルは冷やしたカクテル・グラスに入れて供される。BARで供される飲み物でも、最も華やかで美しい。しかし、ひとたびグラスに入った後は、どんどんぬるくなっていく。

 ぬるくなったショート・カクテルほど美味しくないものはない。せっかくバーテンダーが心を込めてつくってくれたのだから、感謝と敬意の気持ちを込めて、冷たく、美味しいうちに3口か4口(時間にして15~20分以内に)で飲みきるのが美しいマナーであり、エチケットだ。

 ショートを3~4口でなんてとても飲めないという、お酒にそう強くない方は「ロング(スタイル)でお願いします」と告げよう。すると、バーテンダーさんはコブレットなどのロング・グラスに氷を入れて、時にはソーダなどで割って出してくれる(なお、カクテル・グラスを持つ際は、足の部分を親指と人差し指の先でつかみ、中指で台座の部分を抑えて安定を保つ。カクテルが入っているボウルを持つと体温で温まってしまうので、触らないこと)。

◆むやみに他の客には話しかけない
 BARにやって来てカウンターで飲む理由は、人によって様々だ。一人で来る人もいれば、カップルもいる。グループもいる。知らない客に話かけられても構わないという人もいるだろうが、話しかけられたくない客やカップルもいる。BARでは基本的に、隣席の客にむやみに話しかけるのはよくないマナーだ。

 他人の話の中に、もし自分の興味をひく話題が出てきたとしても、隣のグループ客の中に顔見知りがいたとしても、そこは我慢しよう。いきなりその会話に入っていくのはマナー違反。BARでは誰にでも、プライバシーを邪魔されない権利と、仲間うちだけで静かに酒を楽しむ権利がある。Bar, My Dear

 ただし、マスターやバーテンダーから、「この方は、****の*****さんなんですよ」と紹介されたら、礼儀正しく挨拶して、話し相手になろう。その人物との会話から、思わぬ発見や知識を得て、得をすることだって珍しくない(ビジネスパートナーを得ることだってある)。BARとはそんな場所である。また、どうしても話したければ、直接ではなく、マスター経由で取り次いでもらって相手の意向を聞いてみよう。

◆BARでのナンパは論外
 BARのカウンターに1人で飲みに来ている女性客に、酔った勢いで声をかけている輩(やから)を時々見かける。言わずもがなだが、見知らぬ女性がすぐ隣で独りで飲んでいたとしても、決していきなり声をかけてはいけない。ましてや馴れ馴れしくしたり、口説いたりしてはならない。

 BARは女性をナンパするところではない。女性客も“出会い”を求めて1人で来ている訳ではない(時にはそういう人がいないではないが…)。BARがそういう場所と思っているなら、貴方は変な映画の見過ぎだ。「1人で静かに飲みたいと思っているのに、変な男がしつこく声をかけてきて…いやだわ」と思われ、最悪の場合、その女性客はこのBARに「二度と来たくない」と思うだろう。客を失いかねない店からは貴方は嫌われて、「要注意人物」の烙印を押されるのがオチだ。

◆奢ったり、奢られたりは?
 もし、同じ常連客と同じBARで2度、3度出会って、向こうも貴方の顔を知っていて、挨拶でもしてきたら、言葉を交わすのもいいだろう。相性が合ったら、「1杯、僕から」と奢ってあげるのもいい。しかし、その相手が女性であったとしても、それでお近づきになろうなんてすぐには考えない方がいい。後で「オレの女にちょっかいを出したな」なんて、ヘンな男が出てこないとも限らない。くれぐれも慎重に、慎重に。あとは自己責任である。

 付け加えて言えば、「1杯いかが?」と逆に他の客から勧められたら、どうするか。「いい客」からの申し出かどうか分からなければ、マスターの目を見ればいい。目がイエスかノーかをきっと教えてくれるだろう。でもマスターが頼りにならないと思ったら、最終的には貴方自身が決めるしかない(その「1杯」にいかなる思惑があるかは分からない。後で高い代償を払うかもしれないが、それも含めて自己責任)。

◆大声でしゃべらない、騒がない
 BARは静かにお酒を楽しむ場所だ。貴方だけの空間ではなく、他のお客さんと共有するパブリックな空間だ。この「入門講座」ではさまざまな細かいマナー(=BARの掟)に触れてはいるが、要は、「他の客にも店にも迷惑をかけない」「不快な思いをさせない」ことさえ守ればいいのである。

 しかし常連の一部には何を勘違いしているのか、自分の家のように振る舞い、大声を出してしゃべり、大声で笑ったり、机を叩いたりし、あげくの果てはマスターに友達同士のようなぞんざいな口をきく客もいる。マナー違反であることは言うまでもない。貴方は決してそんな客にならないでほしい。

 自分の声の大きさには、意外と気が付かない人が多いものだ。とくにグループで飲みに来た場合は要注意だ。集団で語り合うとつい声は大きくなる。グループの中には、声の大きい人が一人や二人はいるかもしれない。一人で静かに飲んでいる他のお客さんに迷惑をかけるような行為は、慎みたい。そんな友人がいたら、貴方は逆に注意してあげるべきだろう。以前にも書いたが、大勢でワイワイ騒ぎたければ、居酒屋やスナックへ行けばいい。

◆カウンターに肘(ひじ)を突いてはいけないか
 これには両論がある。「肘は突いてはいけない」というマスターもいれば、「カウンターが混んでいない時は、肘くらい突いてもらって、リラックスしてもらってもいいですよ」というマスターもいる。だから一概には言えない。

 昔は、京都サンボアの先代マスター(故人)や神戸の老舗BAR「ギルビー」(今は閉店)のマスターのように、「カウンターに肘はつかない!」と注意する怖いマスターもいた。しかし今では、肘をついたくらいで怒るマスターもそういない。しかしだからと言って、貴方はそんな風潮に甘えないでほしい。肘をついたり、ほおづえをついたりしながら飲む姿は決して美しいものではない。酔いすぎてカウンターに寄りかかって、挙げ句の果ては寝てしまうなどは論外だ。At the Bar9

 カウンターでは、できれば背筋を伸ばし、綺麗に格好よく飲みたい。そして、店が混んで来たら、椅子を寄せる(詰める)などの心遣いもほしい。余談だが、京都サンボアの先代マスターは「店に入ってきたら帽子やマフラーはとる!」「(付き出しの)南京豆の殻は(灰皿ではなく)下へ落とす!」(=店ではそういうルールだった)などと口うるさい方だった(こういう頑固マスターも少なくなった)。

◆マスター(バーテンダー)を独占しない
 マスターとしゃべりたくてそのBARへやって来る常連客は多い。だから、マスターはつら~い人気者だ。カクテルをつくりながらも、たくさんの客の話し相手をつとめなければならい。

 しかし、マスター(バーテンダー)も聖徳太子じゃない。1人で同時に多数の客の話し相手はできない。カクテルの注文を受けて、シェイカーを振っている時はおしゃべりをする余裕はない。客と話だけしていても儲からない。酒を売らなければバーテンダー(従業員)に給料も払えない。だから店が忙しい時は、貴方の前にやってきたマスターに、待ってましたとばかりに話しかけ、ずっと独占するのはよくない。

 他の客の様子も見よう。店の空気も読もう。貴方以外にもしゃべりたい客がいるかもしれない。忙しい時は、1対1の会話はせいぜい10分以内にとどめよう。それが優しさというものだ(ただし、開店直後など客があまりいない、余裕のある時間なら、精一杯独占して話をしても構わない)。

◆お酒を真剣につくっている時は話しかけない
 バーテンダーはグラスを洗うなど何かの作業をしている時でも、話しかけたら大抵の場合、応えてくれる。しかし、シェイカーを振ってカクテルをつくっている時や、ミキシング・グラスでバー・スプーンを回している最中(マティーニなどをつくる際)などは、全神経を集中しているので、話しかけるのはやめたい。

 「作業中でも話しかけてもらって構わない」というバーテンダーもたまにいるが、バーテンダーだって人間だ。神経の集中を乱されるのはイヤに決まっている。だから、真剣にカクテルをつくったりしている時はやはり、シェイキングが終わるまで待つような優しさを持ち合わせたい。

 なお、カウンターに座る客の話の内容は、たとえ小声であってもバーテンダーには意外と聞こえているものだ。職業柄の習性で、彼らは無意識に耳の神経を集中させている。だから客の話し声はイヤでも聞こえてくる。貴方がこそこそしゃべった他人の噂話や悪口だって、意外と聞こえている。カウンターではそういうことも承知で声の大きさや話す内容には注意しなければならない。

◆満席の時は席を空ける
 オーセンティックBARでは、常連客はもちろん、BAR好きの人はカウンター席で飲みたいものだ。しかし、人気があるBARのカウンターは週末などすぐに満席になる。もし自分がそのBARのカウンターで最初の方に座った先客であった場合、満席になってきたら席を空けて、待っている客に譲ってあげよう。

 BARの経営者はある意味、客の回転率を上げることで生計を立てている。ノーチャージのBARであっても、客の回転率が上がった方がいいに決まっている。だから1人の客が長々といることより、次々と客が代わる方が有り難い。貴方がもし本当にそのBARを愛する客ならば、そういう心遣いも必要だ。

 貴方が1時間以上そのカウンターに座っていて、すでに2~3杯飲んでいるのであれば、満席になったら、次の客に率先して席を譲ってあげよう。貴方は店からも感謝され、席を譲られた客からも喜ばれる。そして貴方は「良い客」としてマスターに一目おかれる。カウンターはそのBARを愛するみんなのもの。貴方がBARを愛するなら、そういう大人になりたい。

【その9へ続く】

【おことわり】 写真は本文内容とは直接関係ありません。

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Last updated  2010/08/21 09:52:07 PM
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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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