Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/12/13
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19.ブロンクス(Bronx)

【現代の標準的なレシピ】 ジン(40)、ドライ・ベルモット(10)、スイート・ベルモット(10)、オレンジ・ジュース(10)  【スタイル】 シェイク

 19世紀末から20世紀初めには誕生していたと思われる古典的カクテルの一つです。カクテルブック等ではしばしば「米禁酒法時代(1920~1933)に、当局の摘発を逃れるためのカモフラージュ(オレンジ・ジュースに見せかける)として考案された」と紹介されていますが、これは大きな間違いです。

 カクテルブックの古典的名著である「173 Pre-Prohibition Cocktails」(トム・ブロック著、1917年刊)や「Harry’s ABC Of Mixing Cocktails」(ハリー・マッケルホーン著、1919年刊)にも登場していることからも、少なくとも禁酒法施行以前の1910年代に誕生していたことは確実です。

 現時点で確認した限りでは、上記の「173…」が欧米で初出文献です。そのレシピは、「ドライ・ジン3分の1、ドライ・ベルモット3分の1、スイート・ベルモット3分の1、(スライス・オレンジを入れてシェイク)」となっています。レシピからも分かるように、マティーニのバリエーションの一つとして考案されたと考えられています。

 カクテル名は、米国ニューヨーク市のブロンクス地区(またはブロンクス動物園)にちなむと伝わっています。ただし、考案者や時期等については、他の古典的カクテル同様、さまざまな説が現在まで伝わっています。Wikipedia英語版だけでも以下の3つの説を紹介しています。

(1)1905年、ブロンクスのレストラン・オーナー、ジョセフ・ソルマーニ(Joseph Sormani)が考案(ただし彼がヒントを得た「ブロンクス」の原型はフィラデルフィアで日常的に飲まれていたドリンクだった)

(2)1899年~1906年の間のある時、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルのバーテンダー、ジョニー・ソローン(Johnnie Solon)が常連客の求めに応じて考案。ソローンは、ブロンクス動物園の奇妙な動物たちの話をよくしていたその常連客のイメージから「ブロンクス」と名付けた(原資料=The Old Waldorf-Astoria Bar Book、1935年刊=でも確認)。

(3)1908年に出版されたウイリアム・ブースビー(William T. Boothby)のカクテルブックによれば、「ブロンクス」はピッツバーグのバーテンダー、ビリー・マロイ(Billy Malloy)が考案したと記すが、なぜ「ブロンクス」という名前にしたのかについては触れていない(※マロイ氏は禁酒法時代にカクテル「オレンジ・ブロッサム」を考案したとも伝わる人)。

 参考までに、「173…」以外の1910~40年代の主なカクテルブックに収録されている「ブロンクス」を見ておきましょう。
・「ABC of Mixing Cocktails」(Harry MacElhone著、1919年刊)
  ジン3分の1、ドライ・ベルモット3分の1、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ジュース4分の1個分
・「Cocktails, How To Mix Them」(Robert著、1922年刊)
  ジン3分の1、ドライ・ベルモット3分の1、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ジュース4分の1個分、オレンジ・ビターズ少々(好みで)
・「The Savoy Cocktail Book」(Harry Craddock著、1930年刊)
  ジン4分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ジュース4分の1
・「World Drinks and How To Mix Them」(William Boothby著、1934年刊)
  ジン2分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ジュース1tsp
・「The Artistry of Mixing Drinks」(Frank Meier著、1934年刊)
  ジン2分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ジュース8分の1個分
・「Waldorf-Astoria Bar Book」(A.S. Crockett著、1935年刊)
  ジン2分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ピール
・「The Stork Club Bar Book」(Lucius Beebe著、1946年刊)
  ジン1オンス、ドライ・ベルモット4分の3オンス、スイート・ベルモット4分の3オンス、オレンジ・ジュース4分の1オンス
・「The Official Mixer's Manual」(Patrick G. Duffy著、1948年刊)
  ジン2分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ジュース4分の1個分

 「ブロンクス」のレシピ材料に卵黄を加えると「ゴールデン・ブロンクス(またはブロンクス・ゴールデン)」、卵白を加えると「シルバー・ブロンクス(またはブロンクス・シルバー)」と呼ばれることは、バーテンダーなら知っておいて損はないかもしれません。

 「ブロンクス」は欧米からそう遅れることなく日本に伝わっており、1920年代の国内のカクテルブックにも登場しています。

【確認できる日本初出資料】 「コクテール」(前田米吉著、1924年刊)。レシピは「ジン3分の1オンス、ドライ・ベルモット3分の1オンス、スイート・ベルモット3分の1オンス、オレンジ・ジュース6分の1個分、オレンジ・ビターズ少々」となっています。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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