Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2017/01/09
XML
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
 30.フレンチ75(French 75)

【現代の標準的なレシピ】 ジン(45)、レモン・ジュース(15)、シュガー・シロップ1tsp、シャンパンまたはスパークリング・ワイン(適量) ※オリジナル・レシピはジン・ベースではなく、コニャック(またはカルバドス)・ベースだったという。  【スタイル】 シャンパン以外をシェイク 

 1910年代後半に誕生したと伝わる古典的カクテルの一つです。その起源は、19世紀によく飲まれていたカクテル「シャンパン・カップ」(シャンパン、レモン・ジュース、砂糖、氷、ジン少々というレシピ)にあるとも言われています(出典:Wikipedia英語版)。

 カクテル名につく「75」とは、第一次世界大戦(1914~18)で威力を発揮し、その後1920年代末までフランス軍の主力兵器だった野砲の口径(75ミリ)を意味しています。誕生の経緯については、以下のような3説がありますが、一般的には(1)がほぼ定説となっています。

 (1)1915年(1922年説、1925年説も)、パリの「ハリーズ・ニューヨーク・バー」で、オーナー・バーテンダー、ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)が考案した(出典:マッケルホーン自身の著書「Harry’s ABC OF Mixing Cocktails」の1922年改訂版ほか、国内外の多数の専門サイト)。
 ※ただし、マッケルホーンが「ニューヨーク・バー」を買収したのは1923年(後に「ハリーズ・ニューヨーク・バー」と改名)なので、オーナーになってから考案したのであれば1923年以降ということになります。買収前は、フランス国内の別の場所で働いていたとか、パリの別のバーで働いていたという話が伝わっています。1915年説ならば、まだロンドンで働いていた頃です。

 (2)1920~22年頃、パリの「アンリ・バー(Henry's Bar)」で働いていたハリー・マッケルホーンが考案したという説。正確な時期は不明(出典:サントリー社HPほか)。※「アンリ・バー」とは「ニューヨーク・バー」買収前に、マッケルホーンが働いていた店といいます(出典:http://blog.vincekeenan.com/2012/10/cocktail-of-week-french-75.html)。

 (3)第一次大戦の頃、パリのチャットナム・ホテル(L'Hotel Chatham)のバーで飲んでいた仏軍と米軍の兵士が勝利を祝って、シャンパンとコニャックにレモンと砂糖を混ぜたカクテルにフランスの75mm砲の名を付けたのが始まり(出典:Wikipedia英語版ほか)

 マッケルホーン自身は、その著書「ABC of Mixing Cocktails」の初版(1919年)に「フレンチ75」を収録しておらず、22年の改訂版でようやく掲載しています。Wikipedia英語版は、基本的に(1)のマッケルホーン考案説を支持しているようですが、一方で、「(マッケルホーンの)当初のレシピは、ジン・ベースではなく、カルバドス・ベースだった。ジン・ベースではもはや『French』とは呼べない」というデヴィッド・エンバリー(David Embury)氏の見解も紹介しています。

 「フレンチ75」が欧米のカクテルブックで初めて紹介されたのは、現時点で確認できる限りでは、上記の「ABC of Mixing Cocktails」の1922年改訂版と、同じ年に出版された「Cocktails: How To Mix Them」(Robert Vermeire著)です(Vermeireは「マッケルホーンの考案である」と付記しています)。ただし、同著でのマッケルホーンのレシピは「カルバドス、ジン、グレナディン・シロップ、アブサン」と、現代のレシピとはかなり違います(出典:Wikipedia英語版)。

 1986年に出た「ABC of …」の復刻改訂版では「マッケルホーンの1925年のレシピ」として紹介されています。当初はカルバドス・ベースだったと伝わるマッケルホーンのレシピですが、86年の復刻改訂版ではジン・ベースに変わっています。

 現代のレシピに近い「フレンチ75」が初めて紹介されたのは、1927年刊の「Here's How」(Judge Jr.著)というカクテルブックです。1930年刊の「The Savoy Cocktail Book(サヴォイ・カクテルブック)」(Harry Craddock著)も、「ジン3分の2、レモン・ジュース3分の1、パウダー・シュガー1tsp、氷、シャンパン(適量)」と、現代に近いレシピとなっています。

 「フレンチ75」はとくに米国内で人気を得ました(とくに、ニューヨークの社交クラブ「The Stork Club」では看板カクテルの一つにもなりました)。そして、映画「カサブランカ」(1942年公開)を始め、数多くのハリウッド映画にも登場したことでも有名です。

 ちなみに、ジンの代わりにバーボンを使うと「フレンチ95」、ブランデーを使うと「フレンチ125」と呼ばれるカクテルになります。

 「フレンチ75」は日本にも戦前に伝わっていたと思われますが、残念ながら文献に登場するのは戦後の1950年代になってからです。

【確認できる日本初出資料】 「世界コクテール飲物辞典」(佐藤紅霞著、1954年刊)。レシピは、「サヴォイ…」とほぼ同じです。



こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】






PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

おことわり。 はなだんなさん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
きんちゃんの部屋へ… きんちゃん1690さん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: