ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Aug 22, 2021
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「ヨルナンデス!」

 おうち時間を活用していろいろ練習し、動画に合わせて強引にオケ曲を弾いてみるというおひとりさま企画、今回はマーラー7番の第1バイオリンに挑戦。おそらくオケで弾く機会は一生ないかもと思われる曲。

 実際に取り組んでみての率直な感想は、聴くぶんにはかっこよい曲だし、意外な楽器(牛鈴、ギター、マンドリンなど)も多く、弦楽首席の独奏もあちこちに出てきたりもして、視覚的にも楽しめる。演奏会でナマで聴く機会があったら絶対に逃したくない。
 でも弾くのは大変。特に1楽章や5楽章(終楽章)はリズムや音の跳躍が予想できず、一音一音じっくり譜読みする必要がある。

 2楽章と4楽章に「Nachtmusik」との表示があり、よってこの曲の通称は「Lied der Nacht」らしい。
 でも、夜の歌と言われ、どう解釈していいものか。例えば朝の歌だったら爽やかな音楽、昼の歌だったら活動的な音楽(あるいは暑くて疲れてる音楽)とか可能だけど、夜と言われても。
 日中あれこれ動き回って、やっと座って落ち着ける音楽、月夜の静かな音楽、美酒に酔いしれるオトナのお色気系音楽、暗闇に潜む何かに怯える音楽、などなどいろいろ考えられるうえ、眠っているときの「夢の世界」なんですっ!とか言っちゃえば、もうぶっちゃけ何でもありなわけで。

 どうやらこの曲、名曲の多いマーラーの交響曲のなかではあんまり好かれていないもよう。演奏回数も少ない。でも、ぼくはこの曲は(奏者的に)気に入った。長い曲なのに趣向を凝らした演出のおかげで弾いてても飽きないし疲れない。もちろん疲れるのだけれど、心地よい疲れ。
 2楽章に「左手1本指下降、右手スタッカート奏法」が出てきて楽しめる。
 5楽章にバイオリンでは演奏不可能な低音の♯ファが出てくるけどご愛敬。

 ぼくがこの曲で好きな部分は、例えば2楽章最後のピツィカート。
 あと、5楽章最後の最後、壮大に曲が終わる直前、このままハ長の和音でゴン攻めするかと思いきや一瞬音が濁る(♯ソ)のもいい。てか、この交響曲は表向きにはホ短調ということになっているけど、冒頭は思いっきりロ短調だし、終楽章はハ長調。マーラーらしく調がぐるぐる変わるのはいいとして、でも彼がこてこてのハ長調で曲を終えるのって意外。





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最終更新日  Aug 23, 2021 07:13:42 AM
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