ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 5, 2022
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カテゴリ: 映画、テレビ
「プリント倶楽部」(評価 ★★★★★ 満点五つ星)

 JRさんというフランス出身の写真家/芸術家のドキュメンタリー映画「紙と糊」を鑑賞。日本未公開。IMDbのサイトは ここ

 彼の作風というのは、事情がありながらも健気に生きる人々の顔写真を撮影し、引き伸ばして印刷、その白黒写真を壁(とか地面)に糊付けするというもの。
 この映画で取り上げられてるのは主に以下の四か所のワケあり現場でのワケあり人間さんたち。

 - カリフォルニアの刑務所に収容されている囚人たち
 - メキシコとアメリカの国境の壁沿いに暮らす家族たち
 - パリ郊外の廃墟と化した団地にたむろする人たち
 - リオデジャネイロのファベーラ(貧民街)の人たち

 とっても良かったので五つ星。彼の作品自体も見ごたえがあるし、ドキュメンタリー映画としてのつくりも上等で見やすかった。よくもまぁ、こんなキワドイ場所ばかり選ぶもんだと感心してしまう。

 とにかくこのJRさん、タダモノではない。頭が切れるんだろうし、何か国語も操るうえ話術にも長けてるから、その意思疎通力ゆえ赤の他人にも気軽に撮影に応じてもらえる。
 テリー伊藤さんみたいな風貌。常に日除け眼鏡をかけてるし決して素顔や本名を晒すことはないけれど、威圧的な雰囲気はなく、バンクシーさんのような謎めいた近寄りがたさはない。

 作品の制作にあたっても、事前に周到に根回ししてから実行、撮影してるのは明らか。
 てか、芸術家って、芸事以外の能力、つまり雑用を迅速にこなす行動力、周りの人や当局との交渉力、人や組織を動かす引率力とかも必要なんだと改めて感じる次第。

 なお、ぼくは数年前の映画 「顔たち、ところどころ Visages, Villages」(2017年フランス) を鑑賞して以来彼の芸術をなんとなく気になっており、氏のウェブサイトを時々見たりもしてるとこだったので、今回のこの映画も興味深く観られた。今後の彼の作品にも期待したい。





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最終更新日  Nov 11, 2022 07:33:05 AM
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