ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 1, 2024
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カテゴリ: 映画、テレビ
「くもり硝子の向こうは風の街」(評価 ★★★☆☆ 三つ星)

 Wim Wenders監督、役所広司主演の映画を鑑賞。脇役は石川さゆり(歌唱場面あり)、三浦友和ほか。
 役所さんがカンヌで主演男優賞を獲った作品。

 舞台は東京。主人公は浅草近辺の古いアパートに住み、仕事は渋谷近辺の公衆便所の清掃。なお、公衆便所といっても近代的なそればかりで見応えがある。ガラス張りで丸見えなのに、中から中から鍵をかけるとガラスが曇って外から見えなくなるやつとか。

 かなり静かな作品(特に前半)で、良く言えば静謐、悪く言えば退屈。てか、申し訳ないことにぼくは睡魔と闘いながら観た。

 このちょっと変わった主人公のことをどこまで理解できるか。単調な日常の繰り返しに満足し、古くても良いもの(例えばカセットテープに収録された前世紀の洋楽)を愛でるという彼の人物設定はすぐに把握できるけれども、社会に背を向けた一匹オオカミというわけでもなく、いつも会う呑み屋や銭湯の人たちとも最低限の交流はあるみたいだし、姪がいきなり訪ねてきて日常が取り乱されても素直に受け入れる。コミュ力は悪くない。

 映像はなかなか凝ってるので、芸術路線を好む人、意識高い系の人とかには向いてる映画だと思う。

 日本で撮られた映画とは言え、勘の鋭い人ならもしかして外国人が作った映画かと気づくと思う。目線がなんだか違う。古い日本を美化し(すぎ)ているというか。
 例えば、観始めてすぐに思ったけど、この映画の隠れた主役は「木漏れ日」。Komorebi(とかIkigai 生き甲斐)とかって、zen的なものに傾倒する外国人のなかでは浸透してきている日本語だし、そういう概念に萌えて本作を絶賛する映画人は多いと思われ。





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最終更新日  Jan 7, 2024 09:00:42 AM
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