ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 28, 2024
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カテゴリ: 映画、テレビ
「夢見る少女/少男じゃいられない」(評価 ★★★★☆ 四つ星)

 ジョージア(グルジア)の村の初老女性が、ずいぶん前に家出して連絡のつかないままでいる姪を探しに隣国トルコに向かい、イスタンブールの下町を歩き回る話。一人旅ではなく、トルコ語と英語が少しできる同郷の若者(ややチャラ男)が同伴する。

 日本(語)ではおそらく未公開の映画。英語版ウィキは ​ https://en.wikipedia.org/wiki/Crossing_(2024_film)
 ちなみに監督のレヴァン・アキンさんは、ジョージア人でもトルコ人でもなく、スウェーデン人とのこと。

 映画冒頭、字幕で「ジョージア語もトルコ語も文法による性別の区別はありません」だかいう断り書きが表示されていて、ふーんそうなんだー、と思ったのだけれど、なかなか意味深。というのも主人公が探している人物はトランスジェンダーであり、男として生まれている。作中では甥(he/him)ではなく姪(she/her)と表記されている。

 そして題名の Crossing というのも、国境を超えることのみならず、性別越えのことも表しているんだと思う。

 ジョージアの小さな村でトランスとして生きていくのは大変であることは容易に想像がつくけれども、かといって大都市イスタンブールの事情はどうなのか、そのあたりの描写も興味深かった。
 同じ境遇の人たちで助け合って生きているという意味で、都会の喧騒に疲れ途方に暮れた主人公が同じジョージア出身の紳士と知り合い意気投合、ご馳走になるくだりも良かった。

 イスタンブールの混沌とした街並みや複雑な文化背景や人間模様のせいで、当然ながら人探しは難航。劇中の台詞にもあるように、人がこの街にやってくるのは「隠れて生きるのに適している」から。

 声高に問題提起をしてるわけでもないし、起承転結じゃないし、てか救いようのない話だし、静かで暗くてつまんない映画とも呼べるけど、こうゆう映画はもっと国際的に評価されてほしいと思う。気に入ったので四つ星を差し上げたい。





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最終更新日  Nov 30, 2024 08:00:29 PM
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