I love Salzburg

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2009.12.15
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カテゴリ: 展覧会
風邪をひいて10日以上になります。

今年の風邪は例年になくしぶといようで、今も鼻がずるずる、、、
  もしかすると新型インフルエンザの方が治りが早いのかもしれません?!


随分と冬らしく、寒さが厳しくなってきました。
皆さまもくれぐれも気を付けて、体調管理はしっかりなさってくださいね。^^


* * * * * * *

もしかすると、これが風邪を拗らす原因だったのかもしれません。

12日の土曜日、片道2時間のドライブで広島県尾道市瀬戸田町へ行ってきました。

そこは、瀬戸内海に浮かぶ生口島(いくちじま)。
12月2日に79歳でお亡くなりになった平山郁夫画伯の生まれ故郷です。

尾道市に編入されたのは2006年のこと。
市とは名ばかりの、島の斜面にはミカンやレモンの木が生い茂り、海岸線にはヤシの木が立ち並ぶ、いつ訪れても穏やかな周囲20kmばかりの小さな島です。

平山芸術の原点が、その自然豊かな生口島。

平山郁夫美術館で戴いたリーフレットにも書かれてありますが、
「神秘的な潮の流れや群青色の海は、平山少年の心に大きな影響を及ぼしました。
画家・平山郁夫の感性は、瀬戸内の風土に育まれたといえましょう。」

また、戦時中の中学3年生の時に広島市で被爆した体験が、後の作品に大きな影響を与え、『仏教伝来』などの平和を願う作品へと繋がっていきました。
その『仏教伝来』で、平山画伯は注目を集めることになるのです。

そこからシルクロードへ、世界の文化遺産保護へと活動が広がっていったそうです。

その全ての原動力は、平和への祈りでした。

*

画伯がお亡くなりになって10日後、
少し天気は下り坂でしたけど、心持ち体調も回復したかに思えた私は、まるで平山画伯に呼ばれるように生口島へ、平山郁夫美術館へ行くことを決心しました。


現在 秋の時別展として、「平山郁夫 幻想美の世界」が開催中です。
第三展示室には、画伯の文学的素養の研究に裏付けられた幻想画が独特の景色を生み出し、円熟期らしい筆の乗った作品が並んでいました。
これまでよく見てきた シルクロードや世界遺産を描いた作品と通じるところはあるものの、より画伯の内面に入り込んだかのようでした。

*

画家はその1本の線を見つけるために、何千、いえ何万本もの線を描き続けます。

集大成の域に入った作品たちは、確かに画伯らしい穏やかで壮大な世界観で観るものを圧倒させます。
けれど そこに至るまでの何万本もの迷った線こそが、画伯の歴史そのものであり、祈りなのです。

だからこそ、迷いの解けた晩年の作品からは天国にも似た安らぎさえも感じられるのでしょう。


私はそんな迷い悩んだ線こそが美しいと感じました。
そして、迷う前のスランプすら知らない子供時代ののびのびとした作品が愛おしいと思いました。

常設の第一展示室では、画伯の幼少時代から東京美術学校(現・東京藝術大学)入学試験の作品までを見ることができます。

幼いころから天才の素質はあったものの、まだまだ無駄な線がいっぱいの年頃。
上手だけれど、完成はされていない作品たち。
これが非常に面白いのです。
そして、それこそが大いに私を刺激してくるのです。

天才の作品とは、上手下手ではなく、「生きてる」んだなぁ~と感じました。

ただ絵を描くのが好きだった時代から、方向性を模索していた時代にかけて、
その作品たちの中に、今も生きる平山画伯自身にお会いすることができました。


79歳、まだこれからも素晴らしい作品を生み出して戴きたかった、、、
けれど これからは天国で絵筆を握って下さいね。

あらためて、ここにご冥福をお祈り申し上げます。

2009-12-17 21:17:24
~武者(源義朝)~   1943年、平山画伯13歳の作品です。





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Last updated  2009.12.19 19:12:44
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