教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
August 28, 2005
XML
カテゴリ: わけ分からん
以前、この「お気楽日記」にも記した通り、この夏の目標の一つとして、私は『モンテ・クリスト伯』(岩波文庫・全7巻)を読破するということを挙げておきました。そして現在5巻目を読み終わり、6巻目に突入というところまで来ています。

それにしても、面白いですわ、この大河ロマン!! 「この先、一体どうなるんだ!?」というワクワク感でページを繰るのももどかしく、先へ先へと読み進めています。こんなエキサイティングな読書体験は、ホント久しぶりのことです。何で今までこんな面白いものを敬遠していたのだろう。

『モンテ・クリスト伯』というのは有名な話ですから、ご存じの方は多いと思いますが、これは若い船乗りエドモン・ダンテスの数奇なる運命を描いた一大伝奇小説なんですね。ダンテスは有能な船乗りとして将来を嘱望され、また恋人との結婚も控えてまさに順風満帆の人生を歩んでいた。ところが彼が乗り組んでいた船の船長が航海中に亡くなり、その死に際の頼みとして、エルバ島に流されていたナポレオンからある手紙をフランス本国へ運ぶ仕事を、一等航海士だったダンテスは依頼されてしまう。しかし、実はこの手紙には、既に王政復古がなされていたフランスに再度帝政を復活させるための陰謀計画が示されていたんですな。もちろん若いダンテスにはその手紙が何を意味するのか分かりませんから、ただ船長の遺言であるという理由だけで、その使命を果たす決意をします。

ところが、あまりにも順風満帆な人生を謳歌していたダンテスを恨む人たちが、一つ彼をちょいと苦しめてやろうと、手紙の一件を当局に密告するんですな。悪い奴らが居たもんです。で、この密告により、ダンテスは官憲の手に捉えられ、手紙も押収され、ナポレオン帝政復活の陰謀に係わったとして逮捕されてしまう。しかも運の悪いことに、彼を取り調べた検事の父親が熱烈なナポレオン支持派で、実際、帝政復活の陰謀に絡んでいたんですね。で、ダンテスがフランスに持ち込んだエルバ島からの手紙が裁判で明らかになると、検事の父親の陰謀も曝露されることになってしまう。そこでこのことを悟った検事は、この事件そのものをもみ消すため、秘密裏にダンテスを海上の孤島に置かれた監獄に投獄してしまうんです。かくして、ダンテスはまったくわけも分からぬまま、自分の結婚式当日に捉えられ、公の裁判すら受けられず、十数年にわたって監獄島の独房に幽閉されるという悲惨な運命を迎えることになる。

で、この先、物語は、これまた数奇な運命の巡り合わせでこの監獄島を脱出し、しかも巨万の財産を得ることになったダンテスが、かつて自分を陥れた人たちにいかに復讐していくか、という話になっていきます。しかも復讐と言ったって、単に殺す、なんてもんじゃないですよ。自分が味わった十数年の恐るべき苦悩と絶望の代償として、単に命を奪うくらいでは到底もの足りないと思っているエドモン・ダンテスの復讐ですから、これがまた凄いんだ・・・。もっとも私はまだ最後までこの小説を読み切っていないので、それがどのくらい凄いか分からないんですけど、途中まで読んだだけでも凄い復讐になりそうだ、ということは分かります。まあ、とにかく面白いですよ。残るは6巻と7巻ですけど、早くこれを読み上げてしまいたい・・・。

ところがです! ここで思っても見なかった問題が一つ生じてきたのです! まさにエドモン・ダンテスを襲った悲劇にも似た悲劇が、私にも襲いかかったというべきか!

実は私はこの本を読むにあたり、最初から7巻全部買わないで、1巻読み終わる度に書店に次の巻を買いに行くというようなやり方で読んでいたんです。なんかその方が充実感があるかな、と・・。で、実家に居た間はそれで何の不都合もなかった。ところが名古屋に戻って5巻目を読み終わり、さあ次の6巻目を買いに行こうと思ったら、近所の書店に売っていないんですよ、『モンテ・クリスト伯』が! というか、そもそも岩波文庫を売っている書店が近所にない! 嘘だろ!!

そんなはずは・・と思いながら、私も書店を回りましたよ、2件、3件と。でもどこにも売っていない。で、あちこち回ってついに一軒だけ岩波文庫を置いてある店を捜し当て、やれ嬉しやと思ったら・・・何と、何とですよ、『モンテ・クリスト伯』の1巻から7巻のうち、ちょうど6巻だけ売れてしまっていて在庫がなかったんです。そんな、馬鹿な! これは何かの陰謀か!? 私の読書のヨロコビを妬む輩が居て、そいつが私を陥れようとしているのか!?

それにしても岩波文庫って、なんで置いてない書店が多いんでしょうか。書店から毛嫌いされるほど、それほど売れないものなのかなぁ・・・。

かつて「岩波文化人」という言葉があったように、岩波書店から本を出す人たち、あるいは岩波書店の本を愛読する人たちというのは、自ら「文化人」としての自負を持っていた。恥ずかしながら私なんかもその端くれで、中高生の頃は岩波文庫や岩波新書を読んで、自分に足りない教養を身につけようと思ったもんですけど、今、そういう崇高な志を持つ人なんかいないのかな? それにしても、露骨に岩波文庫だけ置いていない書店がこう多いと、名古屋の文化人人口の先行きが危ぶまれます。

ま、それはともかく、どうしたもんですかね、第6巻問題。もちろん今、どんな本だってインターネットで買おうと思えば買えますけど、それだと本が届くのに数日はかかるしなあ。

ということで、『モンテ・クリスト伯』の6巻目が買えず、エドモン・ダンテスの復讐劇も頓挫しかけて、なんとも歯痒い私なのでした。今日も、わけ分からん!


閑話休題。


今日はまだまだ続きますよ、この日記。でも、ここから先は昨日の続きなので、興味のない方は飛ばして下さい。

さて、昨日の話で、ハーレクイン・ロマンスというのが、イギリスを舞台にしたブリティッシュ・ロマンスである、ということを言いました。つまりカナダはもとより、アメリカ、フランス、ドイツ、日本、中国など、世界中のハーレクイン・ロマンスファンの女性たちは、イギリス人のヒロイン・ヒーローが恋に落ちるロマンスを読んでいるわけ。ちょっと変でしょ?

でも、それはある意味当然なのです。なぜなら、ハーレクイン社自体はカナダの出版社ですが、同社の出版物の編集をしているのはイギリスにある「ミルズ&ブーン」という出版社だからです。つまり、ハーレクイン・ロマンスというのは、実はカナダのハーレクイン社とイギリスのミルズ&ブーン社という二つの出版社の共同作品なんですな。しかし、一体なぜそんな面倒くさい手続きが、大西洋を間に挟んで行なわれているのか。

ことの起こりは、カナダ側から始まっています。1949年のこと、カナダはマニトバ州にあるウィニペグという町で「ハーレクイン」という名の出版社が興されました。会社を作ったのはリチャード・ボニーキャッスルという地元の名士。ま、この人、実は出版のことなんかあまりよく分かっていなかったんですが、当時カナダではアメリカで出版された安価なペーパーバック(日本の文庫本にあたる、安価な紙表紙の再刊本)が一種のブームになっていて、そういう本が盛んに輸入され、売られていた。で、たまたまボニーキャッスル氏の知り合いにその手のアメリカ製ペーパーバックを配送する仕事をしていた人が居て、その人から儲かるからペーパーバックの出版をやってごらん、と勧められたわけ。

で、人のいいボニーキャッスル氏は勧められるままに出版社を興し、「ハーレクイン」(=道化師)なんて洒落た名前を付け、既存の探偵小説やミステリーなんかをペーパーバックの再刊本として出版してみたのですけど、これが実際やってみると言われたほど儲かるもんでもない。そこでボニーキャッスル氏は早くもこの新事業に身が入らなくなってしまいます。この人、実は「極地探検家」を自ら名乗るほどの冒険好きで、事務所にこもって自社の本の売れ行きを気にしたり、金勘定したりするのにはもともと向いてなかったんですな。

ところが、この人の奥さんのメアリーという人がしっかり者だった、というところから、話は俄然変わってきます。メアリーさん、自分の亭主のやっている出版社の帳簿をちょいと覗いてみて、まあ全体的にあんまり売れていないけれど、ロマンス小説だけは比較的売れ行きが良くて、あまり返本がないことに気づくわけ。で、夫に「いっそロマンス小説ばっかり売ってみたら」と進言する。言われたボニーキャッスル氏の方は、そんならお前頼むよ、善きに計らってくれ、ってなことを言うばかり。そこでメアリーは、夫の秘書だったルース・パーマー女史と協力して自社出版物選定の主導権を握るようになる。

ところでハーレクイン社というのは、既存の本(ハードカバー)をペーパーバックとして再刊する再刊本専門の出版社ですから、何を出版するかを決めると言ったって、別に作家に執筆を依頼したりするわけではありません。図書館に行って面白そうな本を探し出し、その本の出版元と交渉して、再刊本を出す契約を結ぶだけ。そこでまずルースが地元の図書館に行って面白そうなロマンスを次から次へと借り出して読み、その中で気に入ったものがあればメアリーに推薦する。そしてそれを今度はメアリーが読んでみて、やっぱり面白いということになったら出版元と交渉して再版権を獲得する・・・と、まあそんなような一種の流れ作業が始まります。

ま、かくして、ハーレクイン社の命運はメアリーとルースという二人の中年女性の選択眼に掛かることになった次第なんですけど、これがまたうまいことに、この二人のロマンス小説の好みというのは大体共通していたんですね。つまり、露骨なシーンが一切なく、濡れ場といえばわずかに最後の方にキスシーンが1回、二人が結婚を決意する時に限る、といったようなものが二人の好みだったわけ。もちろん不倫とか婚前交渉とか、そういうのは一切なーし! しかも小説の最後の最後でヒロインとヒーローが互いの愛を確かめ合い、婚約をして、ハッピーエンドで終わる、というのが必須条件。つまり「上品で、ハッピーエンド」なロマンスが二人の好みだったんですな。

で、そんな感じのロマンスを見つけて、再刊本を作るための交渉をしようと思うと、それがたいていイギリスの「ミルズ&ブーン社」が出しているロマンスであることが分かる。つまりミルズ&ブーン社の出すロマンスは、メアリーとルースの好みのど真ん中を突いていたわけ。

そこで、それだったらいっそミルズ&ブーン社と専属契約を結んでしまって、同社がイギリスで刊行したロマンス本をカナダに持ってきてペーパーバック化し、それをハーレクインの本として売り出してしまえば話は簡単ではないか、ということになるのは、当然予想される成り行きです。

というわけで1957年、イギリスのミルズ&ブーン社とカナダのハーレクイン社は互いに「紳士協定」を結び、イギリス生まれのロマンスをカナダでペーパーバック化するという、先に述べたような業務提携を始めることになります。ちなみにこの「紳士協定」というのは、毎年1回両社の首脳陣が昼食会をもって、次の年もまたお互いに協力していきましょう、という口約束をするというものです。ま、お互いにあまり縛られたくなかったのでしょうな。

で、ここからロマンス専門のペーパーバック・リプリントたる「ハーレクイン・ロマンス」の快進撃が始まるわけですが、その辺りのことについては私は既にあちこちで書いていますので、ここではおきます。今、私が書きつつあるのは、むしろイギリス側、つまり「ミルズ&ブーン」側の歴史の方なんですね。で、その辺のことについて、この先もう少しお話ししたいのですが、さすがに長くなりましたので、ここで一旦筆をおきましょう。続きは、また後日。お楽しみにー!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  August 28, 2005 04:24:02 PM
コメント(1) | コメントを書く
[わけ分からん] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: