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October 20, 2010
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 しかし、ま、それは置いておいて。

 せっかく豊橋まで出たのだから、帰りは少しドライブしようと思いまして、国道1号線には乗らず、23号線に乗ってのんびり蒲郡経由で一般道を走って帰ってきたという。

 で、その途中、蒲郡を少し通り越し、山の中の一本道に差し掛かるところで、道の両脇に柿木が沢山植えてあるところがある。どうやらこの辺りは「筆柿」の産地らしいんですな。ということで、道端のところどころに置いてある無人販売店に立ち寄り、筆柿が8個くらい入った包みを100円でゲットしてきました。100円ですよ、100円。安いもんだ。

 で、さらに23号に乗ってどんどんと名古屋に近づいて行きながら、ふと思いついて、刈谷という町の近くで23号を降り、この地にある「刈谷市美術館」に寄って行くことにしました。今、この美術館で「宇野亜喜良展」をやっているのを思い出したからです。


 宇野亜喜良。ご存じの方は多いと思いますが、日本を代表すると言っても過言でないほどのイラストレーターでございます。世代的には和田誠とか、横尾忠則なんかと同じくらいかな? イラストレーターとしてのキャリアは、優に50年を超えるのではないかと。

 で、その耽美的というか、細密にして独特のシュールさと抒情性をもった画風は実に私の好みでありまして、金子國義と共に、私が最も愛する日本の画家の一人と言ってよいでありましょう。澁澤龍彦を語るのに金子國義の絵が不可欠なように、寺山修司を語るのに不可欠なのが宇野亜喜良、みたいな感じと言いましょうか。その宇野亜喜良のイラストレーションの原画を数百点も集めた展示とあっては、行かないわけには参りますまい、ってなもんで。

 で、実際に見てみると、うーん、やっぱり素晴らしい! これだけの規模で宇野さんの作品を見られるとは実に幸運。まあ、外国にも魅力的なイラストレーターは沢山いますが、その独創性において、またその量において、宇野亜喜良に匹敵する人がどれほどいるか。そう考えると、我が国に宇野亜喜良あり! と声を大にして言いたくなりますし、逆に、これほどの才能が日本にいるのに、果たしてその実力が海外にちゃんと紹介されているのかと思うと、いささかお寒い感じがします。いや、ある意味、ジャン・コクトーどころの騒ぎじゃない実力だと思いますよ、宇野さんは。

 でまた、50年を超える長いキャリアを持ちながら、今なお現役バリバリというところがまたすごい。

 というわけで、今日は宇野亜喜良展、堪能しました。それにしても刈谷市美術館というのは、地方の小規模な美術館に過ぎませんが、よほど腕のある学芸員がいるらしく、時折、ものすごくセンスのいい展覧会を独自に企画したり、気の利いた展覧会の巡回に参加したりして、私を喜ばせてくれます。より規模の大きい名古屋市美術館とか、愛知県美術館なんかより、よほど勉強していますよ。

 ということで、刈谷市美術館で11月3日まで行われている「宇野亜喜良展」、教授の熱烈おすすめ!です。展覧会場では、宇野亜喜良さんが作ったショート・フィルムみたいなのを上映していますが、宇野さん独自の美意識が作り上げた、耽美的で幻想的な、ものすごい映像美を見せてくれますので、こちらも必見です。


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宇野亜喜良60年代ポスター集

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追伸:そう、美術館で宇野さんの絵を見ていたら、見事なアフロヘアをした若者が私の隣で宇野さんの絵に見入っていました。さすが、宇野さんの絵が好きな奴ってこういう髪型しちゃうんだ、と、何だか妙に納得しましたけどね。





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Last updated  October 21, 2010 10:40:02 AM
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