教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
November 15, 2010
XML
カテゴリ: 教授はつらいよ



 一昨日、このブログに記した同じ池田満寿夫の『親しい友への手紙』と比べると、こちらはぐっとレベルが落ちる。これ、池田さんが全国各地を講演して回った時のテープを起こして、それを原稿にまとめたものらしいのですけど、一般の方を対象にした講演会ということもあって、専門的な話はもちろん避けているようですし、市井のおっちゃん、おばさんが30分間聴いて飽きない程度の俗っぽい内容です。ですから、私のように池田満寿夫のエッセイ集をすべて読破することを決意している人間は別として、この本を敢えて古本で探してまで買ったり読んだりする必要はないと思います。


 しかし、この本を読みながら思ったのですけど、どうしてこういう「講演」というものが成立するのかな、と。それは実に不思議です。

 池田満寿夫と言えば、絵描きの中では断トツにTVへの露出の多い人でしたし、色々な意味で有名人だったと思いますが、例えば地方自治体とか、そういうのがその種の「有名人」を呼んで、何か話をしてもらうというような意味での「講演会」なるものは、今でも盛んに行われているのでしょうか? 行われているのだとすると、一体どこで? 

 ま、多分私が知らないだけで、こういう講演会は、今もなお行われているのでしょう。そういう噂だけは、時々耳にしますからね。「芸能人の誰それの講演会は、講演料一回うん十万円だって・・・」なんて。

 でも、池田満寿夫のこの講演録を読めば分かりますが、池田満寿夫ほどの人ですら、一般人相手の講演なんて、大した内容の話をしていないわけですよ。ましてやちょっと顔が売れた程度の文化人や芸能人なんかの講演ともなれば、ろくなものではないに決まっている。

 しかし、それを聴きに行く人がいる、それも沢山いる、ということですよね。そんな高額な講演料が支払われるのだとすれば。それで採算がとれるだけの聴衆がいる、ということですから。それは一体何故なのか。

 日本人がとにかく「有名人」というのが好きで、テレビに出ている人が来て話をするというのなら是非聴こう! というようなメンタリティーがあると、まあ、そういうことなんですかねえ。有名人の姿を見る、声を聴くということが主眼であって、話の内容なんぞは二の次、三の次。で、呼ばれた有名人の方も、小一時間ほど適当に話をすれば、しっかり講演料をもらえて、しかも足代・宿泊代にごちそう付きとなれば、行かないわけにはいかん、ということになるのでしょうな。


 さて、翻ってわが身を顧みまするに、先月・今月の2ヶ月の間に、3度、講演をさせていただきました。一つは某大学大学院の学会、一つは一般の某学会、一つはつい最近の高校生向け。しかし、この3回とも、自分の専門か、あるいは専門に近い分野で、しかも十分なネタの準備がこちらにあることについて話をした、ということでありまして、自分で言うのもなんですが、どこへ出しても恥ずかしくない内容の話をしたと思います。

 が!

 実は最近、また別の学会からお誘いを受け、シンポジウムに出てくれと頼まれておりまして。しかし、その内容がですね、「アメリカ文化を学生にどう教えるか」ということについて話をしてくれ、ということらしいんだなあ。

 これは昨年出版した、卒論執筆指南書の余波なんですけど、うーん、この話、受けるか、断るか・・・。

 アメリカ文化について、最近の学生がほとんど興味を持っておらず、その結果、彼ら・彼女らにアメリカ文化についての知識がまるでない、ということは一般論として、というか事実としてあるのは分かっています。しかし、その事実を改善すべく、私が何か工夫をしていることがあるかといえば、別にないですもんね。もちろんアメリカ文化史の授業を一生懸命やるとか、卒論指導に力を入れるということはありますが、そんなこたぁ誰でもやるのであって、別に私が何か独創的なノウハウを持っているわけではない。

 つまり、自信を持って聴衆に向かってお話するだけの、大向こうをうならせるだけのネタがない、わけですよ。

 で、これでワタクシが有名人だったりすると、「ネタがあろうが無かろうが引き受ける」ということになるわけですが、そこがね、無名人の悲しいところであり、また無名人の矜持というところでありまして、ネタがないんだから断るべきだろう、という風に思うわけ。

 とはいえ、自分の書いた卒論指南書を全国的に宣伝するチャンスでもあるしなあ・・・。なんかネタをひねり出せないもんかしら、なーんて邪悪なことも考えなくもない。

 ということで、今のところお返事はペンディング。引き受けるべきか、引き受けざるべきか、それが現在のワタクシにとっての大問題なのでございます。あーん、無名人は辛いよ~!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 15, 2010 09:47:46 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授はつらいよ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: