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Ryu-chan6708

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2006.06.19
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カテゴリ: 読書感想
「シートン動物記」集中逆読み3冊目。

   2006.06.17の日記の ハイイロ・リス と同じような、 キツネの家族の物語 である。そして2006.06.15の日記の アメリカ熊・ジャック のような悲劇でなく、ハラハラする死の危険はあるが、これを知恵と運でなんとか切り抜けていく ハッピーエンドの物語 である。

主人公ドミノの登場 :ゴルダー山に、あるキツネの家族が住んでいた。何匹かの子ギツネは、母ギツネから生きるための教育を受けていた。 この子ギツネたちの中で、目立つ子ギツネがいた。これが主人公のドミノである。

巣の危険と移動 :あるとき、その巣の存在を人に知られてしまう。親ギツネは夜のうちに緊急で、今の巣を去り、新しいヤマナラシの林の谷の巣に引っ越すことを余儀なくされた。問題は、子ギツネである。母親が一匹ずつくわえて移動しなくてはならない。優先順序がある。
動物の本能で最初、もっとも元気で目立つドミノをくわえて、新しい安全な巣穴に運んだ。 父親ギツネはその移動の監視をしていた。
   しかし、三匹目の子供をくわえて、巣を出たとき、人間が来た。そして、巣穴を破壊してしまう。 残りの子ギツネは死んでしまう。

新しい巣での悲劇 :こうして、ドミノを含め、三匹の子ギツネの新しいすみかでの生活が始まる。そして、 野外での餌探しの訓練を両親から受ける。独立して食べていくための訓練である。
    しかし、あるとき牧場の 猟犬ヘラク が遊んでいた子ギツネを襲い、 ドミノの弟が殺される。次の日、父親も多くの犬に追われ、帰らぬ人となった。こうして、この林の谷の生活は、母ギツネと二匹の子ギツネの生活となる。
    ドミノは次第に足の速い、たくましい、毛皮の美しいキツネに成長していき、やがて動物の本能として、独立して親を離れていく。

シルバーフォックスとしてのドミノ :ところで、 シルバーフォックス と呼ばれるキツネがいるという。それは立派な毛皮を持ち、走るスピードは速く、肺の力は強く、知恵もあるキツネである。猟師の的になる。
ドミノはそのシルバーフォックスであった。 ドミノを追う猟師は、いろいろなワナをかけるがドミノは知恵を出して、すりぬけるという戦いが始まる。

ドミノの求愛 :キツネの本能で、 メスのキツネ(スノウラフ) と会い、ライバルのキツネに勝ったドミノは、結ばれる。

出産の準備 :春になり、スノウラフは子供を生むための新しい巣場所をさがす。 これは母となるスノウラフの権限である。
   巣場所が決まると、二匹はトンネル堀の作業をする。こうして子育ての部屋とともに新しい巣ができる。

子ギツネ誕生 :あるときから、スノウラフはドミノが巣に入るのを嫌う。 ドミノはメスの要求を尊重するという騎士道精神でそれに従う。 そして、 五匹の子供が生まれる
   2週間くらいで子供たちの目が開き、鳴くことができるようになり、ドミノは巣穴に入り、新しい家族生活を始める。
   1ヶ月くらいになって、子ギツネたちは外に出るようになる。幸福な生活が始まり、同時に、すこしずつ、子ギツネの訓練が始まる。

そして、子ギツネの独立が始まる。すべての成長した子ギツネは巣穴を離れた。残ったドミノとスノウライフの新しい仲の良い共同生活が始まる。

ドミノの危機 :あるとき、巣に帰ろうとしたスノウラフが猟師に追跡され、危ない瀬戸際になった。悲鳴を聞きつけたドミノが助けに入り、追跡をかわすようにした。しかし、例の猟犬へラクがしつこく追跡して、さらに猟師の鉄砲で傷を受け、ドミノは窮地に追い込まれる。
   しかし、今度も幸運が幸いして、ドミノは逃げることができる。

   最後に、牧場の若いカップルがデイト中に、ドミノとスノウラフと、そしてその新しい子ギツネたちを目撃する場面となる。若者は言う 。「シルバーフォックスだ!生きてたんだ!生きていたんだよ!」

   最後の訳者あとがきで今泉氏はシートンの次のような言葉を引用している。

「ほとんど勝ち目のないたたかいの中で、野生動物が見せる不屈の精神と強い意志とを読者のみなさんに知っていただきたい、野生動物こそ、わたしにとっての英雄である。」

   しかし、今日、私たちの周りの野生生物は、鳥ではカラス、ハト、ツバメなどである。ときどきイノシシやタヌキが登場するが、それは人の餌に依存してペット化している。
   シートンが言う「野生動物が見せる不屈の精神と強い意志を学ぶこと」はできないであろう。これは、言い換えれば「 野生動物の品格 」は消滅したことになろう。
   成長すると何もいわなくても、親を離れ、独立していく野生動物には、ニートなどはないであろう。
   子ギツネを産んだ野生の母キツネは、人の母親にときには見られる、子供を放置したり、きちんとしたシツケをしなかったり、虐待したりすることはしないであろう。
   それを怠れば、死が待っているからであろう。それを予防するように努力するのが親の愛情であろう。

   最近、「 男の品格 」という本が出ているが、問題は「 人間の品格 」が問われている。

野生の動物に素直に学ぶことができないのは一種の環境被害であろうか。

シルバーフォックス・ドミノ





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Last updated  2006.06.19 07:12:56
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