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羽生だけではなく、同世代のトップ棋士と合わせて羽生世代と言われるが、その世代がなぜ生まれたのか、棋士へのインタビューで明らかになっていく。
勝負事が好き、ボードゲームが好きな自分は、幼少期には囲碁よりも将棋が好きだった。
中学に入学した時には本気で将棋部にはいろうと思ったほどだ。
結果的には柔道部に入ったし、大学では囲碁部に入った。
将棋の実力差と囲碁の実力差がゲームの質としてその表出が違っていて、囲碁の方が大人になっていた自分には合っていたのだろう。
それでも新聞を購読しているウチは、将棋蘭と囲碁欄の棋譜は両方欠かさず見ている時期が長かった。
最初は将棋だけだったし、最後は囲碁ばかりだったかもしれないが、間違いなく両方読んでいた。
自分は関西出身ということもあり、谷川浩司の光速流のファンだったのだが、その谷川にとってかわってトップに君臨した相手こそ羽生だった。
そのせいか、羽生に対しては判官贔屓で相手を応援することが多かったと思うけれど、その羽生が勝てなくなってきて、若手に負けだすと羽生を応援してしまっているのはそれだけ自分が年をとって、若い奴に負けないでくれと応援してきているんだろう。
この本でインタビューを受けている棋士はすべて魅力的なのだけれど、共通して感じるのは謙虚さである。
最後に著者もそういっているが、最初からそう考えていた。
人間の頭では正解がないものに挑み続けている挑戦者として、その難しさの前に県境である。
それに、勝負に敗れることは全人格を否定されるほどの衝撃なのだ。
だってすべてを将棋にかけて研究して努力して、それで負けるのだから。
勝負事は白黒がはっきりして、勝者だけがたたえられがちだけれど、その勝利をより美しく気高くするのは素晴らしい敗者がいるからなのだ。
このインタビューは素晴らしい敗者たちの記録でもある。
この本が発行された2020年には思いもよらなった藤井総太一強時代になっているが、藤井時代になっていくのだろうか、それとも藤井時代のまま次の覇者が現れるのだろうか。
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