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蔵原惟人著『現代民主主義と日本の文化』を読んで
蔵原惟人著『現代民主主義と日本の文化』(大月書店 1970年刊行)は、戦後日本の文芸批評の評価基準について書かれた本として記憶にあったんですが。
蔵原惟人(1902(明治35)年1月26日-1991(平成3)年1月25日)の、主に1965年から1969年に出した12作品をまとめたものです。
これまで、私は終わりまで読んでいなかったようです。
今回、読んでみて、いくつかの新たな発見がありました。
一つは、最後の作品は、「不屈の革命的伝統を受け継いでさらに前進しよう」ですが、
これは、1969年7月15日、九段会館での日本共産党創立47周年記念講演会での講演です。
おそらく私は、この講演をじかに会場で聞いたのではないかと思います。
1969年4月から市ヶ谷の法政大学に通いだしたばかりでした。この時は夏休みに入っていたはずですが、にもかかわらず学園はグラグラと揺れていたんですね。
あらためて読んでいると、40数年もの彼方のことですが、確かに聞いたような気がしてきます。
大きなテーマですが、蔵原さんは、簡潔に不屈の伝統を4点にまとめて、講演しています。
今、共謀罪法案が問題になっていますが、戦前の治安維持法の復活を許さずと、先般4名のかたが記者会見をされました。この40数年前の蔵原講演ですが、今日のこの問題との関連でも、大きな歴史社会の視野から、第一線で大変な活動を続けてきた一人として、具体的な不屈の精神が伝わってきます。
「現在、私たちは一応合法的な活動の自由をたたかいとり、(共産)党も大衆的な前衛党として公然と活動していますが、それまでにはこのように大きな犠牲がつみかさねられてきたのだということを、私たちはかたときも忘れてはならないと思います。」(P233)
この講演は、比較的に短いものですが、全体が今読んでもすばらしいものですよ。
文芸評論としても、それぞれが、全体として注目させられました。
注目した点を、いくつかランダムにあげると、
第一に、近代日本の民主主義的な作品について、そうした作品を発掘と批評を与えてくれています。日本ではそれが大きな課題になっているんですね。
第二に、戦前のプロレタリア文学運動が直面した問題についても、1920年代の唯物弁証法的な創作方法の問題とか、小林多喜二や宮本百合子のはたした業績についても。
第三に、レーニンとプレハーノフの文芸批評について、その評価の仕方の違いについて。
そもそもの文芸評価の仕方について。
日本の近代、そして戦中・戦後に、文学と哲学の分野で、時々に取り組んできた問題。
その成果をまとめる試みとして、残されていること。
その時々に直面した問題が、今日にどのように係わっているか、
今日に様々に形をかえて引き継がれて問題としてあること。
たまたま手にしたこの本でしたが、いろいろ教えてくれています。
蔵原さんが、この1960年代にだされた12篇の作品集なんですが、
ここでの探究は、私などがモヤモヤしていた問題についても、光を与えてくれています。
現代に引き継がれるべき、大事な宝をふくんでいると感じています。
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