つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

PR

Calendar

2006.01.20
XML
カテゴリ: 近代日本文学
白樺派の中では、有島さんは繰り返し読みたい作家のひとりだ。自然主義派がどんなに彼を攻撃しようとも、自分は武郎の荒削りだけれども詩的な、魂のこもった文体を賛美する。

武者小路さんのシンパには申し訳ないが、実篤の小説はどれも一度読めばたくさんだ。そういう意味では、赤川次郎に似ていると思う。

これは、趣味の問題である。

「小さき者へ」は、妻を失った作者が、残された愛児に向かってその胸のうちを切々と語りかける、涙なくしては読めない佳品である。 読みながら気がついてみれば『夕鶴』を連想せずにはいられなかった。 このような古いタイプの日本女性はもうこの国にはいないだろう。けれどもこの短い小品が、時代を越え国境を越えて人々の琴線に触れる哀しさとうつくしさに満ちていることは、誰しも認めるに違いない。

「生まれいずる悩み」これもモデル小説である。小説中つねに二人称で語られる、北海道で漁師にならざるを得なかった青年。その彼の、生活上の必要と絵に対する情熱との相克が、作者を思わせる第三者「私」の眼を通してよく描かれている。文学嗜好のKとの交友も心に残る。 哀しいかな、たとえ死後の話であっても、だれもが田舎に居て宮沢賢治になれるわけではないのだ。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.01.20 12:09:24
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: