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怪奇蒐集者 贄ノ杜 若本衣織のご紹介です。怪談コンテスト入選や多くの出版社から著作を出すなどの活躍を見せる若本さんの登場です。怪奇蒐集者 贄ノ杜 若本衣織 [DVD]【収録エピソード】鳥じじどこの地域にも変わった人はいるかと思います。若本さんが子どもの時、鳥を見かけると叫びだす「鳥じじ」と呼ばれるお爺さんがいました。ある日若本さんの祖母が鳥じじと同級生だと知りました。そして祖母は、なぜ鳥じじがそうなってしまったのかを語りだし……山には我々のあずかり知らぬ存在がいるのでしょうね。訪問販売訪問販売で訪れた家。そこはいわゆるゴミ屋敷でした。失敗したかと思っていましたが、ふと見ると座布団やトイレにありえない物が入っていました。慌ててその家を後にしたのですが……見ず知らずの家に行く仕事って怖い部分がありますよね。あかべ君体験者が幼い頃、あかべ君という友だちがいました。ある日かくれんぼをしているとあかべ君が古井戸に落ちてしまい、体験者は怖くなって逃げ出してしまいました。月日は流れ、同窓会に行方不明になったはずのあかべ君が現れました。話が弾み2人は恋人になったのですが……因縁というものはあるのですね。禁忌の日猟師の間では、山に入ってはいけない日があるそうです。趣味で狩猟をしていた体験者は、忠告を破り禁忌の日に山へ入りました。普段と様子が違い帰ろうとした時、鹿を見つけて猟銃で撃ちました。とどめをさそうと近づくと、その鹿が急に振り返りました。その鹿は口だけが人間でした。慌てて体験者が里の老人から聴いた話とは……風習というものは過去の痛い体験の積み重ね。若本さんのコメントに重みがありますね。【おまけ】若本さんの話を初めて聴いたのは、YouTubeチャンネル「Channel恐怖」のコーナー「DJ響の怪談に酔いしれる夜」でした。その時は親しみやすい方だと思ったのですが、本作では結構クールな感じでした。本作は怪談に酔いしれる夜よりも前の作品なのですが、宣伝文句に「覆面の怪談師が封印された戦慄の扉を開く!」とありました。当時はそういうキャラだったのでしょうか。そのギャップもまた味わい深いものでした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2024.05.19
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怪奇蒐集者 Z-ファイル 國澤一誠のご紹介です。多くの怪異体験を持つ國澤さんの登場です。怪奇蒐集者 Z-ファイル 國澤一誠 [DVD]【収録エピソード】プロジェクターあこがれのプロジェクターを買った國澤さんの元に届いた体験談です。体験者の結婚式の時プロジェクターで会場の様子を流していたところ、見慣れない少年が映っていました。後日映像を確認してみると……それにしても、プロジェクター買ってわくわくしている時には聴きたくない話ですね。揺れ一人暮らしをしていた男性の体験談です。ある日激しい揺れに見舞われ地震かと思ったら、トラックが突っ込んで来ました。その後家をリフォームしたのですが、どうしても事故を思い出してしまうことが……その場に焼き付く記憶のようなものがあるのでしょうね。ベランダから聞こえる声マンションの上の部屋から大声で言い争っている声が聞こえました。ベランダに出てみるとちょうど上の部屋の住人が顔を出し「家じゃない」と言います。それ以降声は聞こえなかったのですが、気になって調べてみると……最後に不気味なオチがついたお話です。深入りしない方がよさそうですね。かくれんぼ公園でかくれんぼをしていると、見知らぬ女性が「ここなら見つかないよ」と教えてくれました。翌日もう一度公園に行くとたくさんのパトカーが停まっていて……直球の怪談であり、切なさもあるお話ですね。夢の男体験者が中学生の時、彼氏ができました。楽しくて彼とデートする夢もよく見ていました。ですが、夢の中で奇妙な男と頻繁に会うようになりました。男はこちらを見ているだけだったのですが、ある日話かけて来ました。それから数か月後……続きがまた気味の悪いお話です。人身事故國澤さんが東京へ上京して間もない頃のお話です。電車の中が混んでいたのに、一つだけ空いていた席に座れました。やがて電車が人身事故で止まってしまいました。様子を見ていると、外で作業をしていた駅員が國澤さんの座っている席の外側にやって来て……人間の直感を感じるお話でした。シホちゃん幼馴染に告白しようとしたところ、不思議なことが起こり……お話自体よりも、体験者の考察が薄気味悪いお話でした。りょうちゃん病気で生死の境をさまよっていた時、一緒に遊んでいたりょうちゃんのことを思い出していました。ですがそのうちに身に覚えのない出来事も浮かんできて……これもまた不吉なお話ですね。心霊スポット心霊スポットを訪れると見知らぬ女の子が居て「心霊スポットに来たものの怖くて入れないので一緒に行って欲しい」とのこと。一緒に心霊スポットを探索しましたが、特に変わったことは起こりませんでした。ですが後日テレビを見ていると……幽霊もメールとかできるのかなとか考えてしまうお話ですね。初めて見た幽霊体験者はオカルト好きで、子どもの頃から幽霊が見たいと思っていました。社会人になり電車に座っていると、隣の人に膝がぶつかってしまいました。謝りながら隣を見ると、足は見えるものの隣に誰も座っていませんでした。初めて幽霊を見たと喜んで友だちに自慢したところ、その友だちがひどく怖がりだして……やはり幽霊は見えない方がいいなあと思いました。おやじ「かくれんぼ」の体験者のお話です。ある日警察官だったお父さんが交通事故で亡くなってしまいました。さらにお父さんの後輩だった警官が寮で自殺してしまいます。体験者には自殺者のそばに父親の幽霊が見えて……亡くなってからも職務に忠実な方だったのですね。パラレルワールド國澤さんが子どもの頃見知らぬ小径を入っていくと、古い長屋に出くわしました。もう一度友だちと行こうとしたのですが、そのような小径は無く……パラレルワールドというものが存在するそうですが、これもそうなのでしょうか。語りの後ろでかすかに流れるBGMが良い味を出していました。この話に限らず、怪奇蒐集者シリーズはBGMの使い方がうまいと思います。短めながら不気味な後味を残す話が多い作品でした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2024.05.12
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まいまいつぶろのご紹介です。過酷な運命を背負った次期将軍と、彼に仕える青年の物語です。まいまいつぶろ [ 村木 嵐 ]※本記事はネタバレを含みます。【あらすじ】第九代将軍徳川家重(幼名・長福丸)。彼は生まれながらに口がまわらず、右半身が不自由でした。さらに尿漏れのため歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(かたつむり)と陰口を言われていました。ある日、下級旗本の子息である大岡忠光(幼名・兵庫)は家重の言葉が理解できることが判明しました。そこで忠光は家重に仕え、彼の口の代わりになりました。ですが誰が将軍になるかで幕府内の力関係も変わってきます。家重は将軍になれないだろうと思っていた者たちからすれば、忠光は目障りな存在です。様々な思惑と陰謀が渦巻く中、主従の運命やいかに?【歴史の人物も登場】本作は史実をもとにした作品だけに、教科書に載っている人物も登場します。そうした人物が動いてしゃべっているのを見るのも面白いですね。徳川吉宗家重の父にして第八代将軍。いわゆる暴れん坊将軍ですね。将軍としての立場と息子への情の間で揺れる姿が描かれています。引退する際、家重の障害になりそうな人物を軒並み始末する辣腕ぶりはさすが将軍ですね。大岡忠相名奉行大岡越前ですね。忠光の遠縁にあたります。吉宗とともに改革の真っ最中であったため、最初は忠光が不手際を起こさないかとヒヤヒヤしていました。それが二人の絆を見るにつれて、次第に応援するようになります。こうした人間臭い面が描かれているのが面白いですね。比宮家重の妻です。結婚当初は家重の障がいにとまどい、結婚を後悔しました。やがて家重の思いやりや知性の高さに気づき、愛情を深めていきます。家重の子を死産してしまったうえに産後の肥立ちが悪く、世を去ってしまうのが寂しいですね。彼女の死後家重の落胆ぶりがその愛の深さを感じさせました。幸比宮の従者であり、友人のような関係でもあります。自らの死を悟った比宮より、自分に代わって家重の子を産んで欲しいと頼まれます。それは次々期将軍候補を産むことで、家重の次期将軍の立場を確固としたものにしたいという想いでした。最初は比宮に対する友情の念から家重の子を産みましたが、やがて我が子を将軍にしたいと思うようになっていきます。こうした心の動きがやや寂しいようであり、人間らしいとも言えるのでしょうね。田沼意次歴史の教科書でも有名ですね。吉宗の頃に取り立てられ、家重に仕えます。若き切れ者として描かれていて、実在した人間としての息遣いを感じますね。【壮大な溜め】本作は跡継ぎ問題や政策など日々の様々な事柄に取り組む家重と、それを支える忠光の姿が描かれています。やがて忠光も歳をとり、病に倒れたのをきっかけにお役目を退くことになりました。家重の忠光の別れのシーンは特に印象に残りました。それまでは家重の言葉を忠光が伝えていましたが、二人きりのこのシーンでは、普通に会話するのと同じ書き方で表現していました。そこまで読み進めていると、二人が積もる思い出を話しているだけなのに感慨深いものがありました。個人的には、本作はこのシーンに至るまでの壮大な振りなのではないかと思っています。【大きな殻を背負い、まいまいのごとく】本作のような物語は「運命に立ち向かった」とか「苦難を乗り越えて」などと言われることが多いかと思います。ですが家重と忠光は特に立ち向かってもいないし乗り越えてもいません。ひたすら日々を生き、職務を全うしていました。思うにならない体で生きて行くその姿は、大きな殻を背負いゆっくり進むまいまいのようでありました。障がいを治そうとするでもなく、克服しようとするでもなく、背負ったまま進む。だからこそ家重は「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」とまで言えたのではないでしょうか。過酷な運命に踏みつぶされることもなく、まいまいのごとく人生を生き抜いた主従と、その二人を取り巻く人間模様が味わい深い小説でした。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2024.05.05
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