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2008.05.02
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カテゴリ: 小説
精神病院の患者が交流する物語。
まず冒頭で3人の患者が入院するきっかけになったエピソードが描かれるが、時系列が混乱する上にその後なかなか登場し無いのでエピソードの印象が薄れる。ここはせめて主人公となるチュウさんのエピソードだけにするべきで、他のエピソードはストーリーの流れに沿って地の文に溶け込ませるべきだった。
また、最後にチュウさんが法廷でなぜゆかりのあるだけで殺人をするのかと問われるが、その肝心な点が描かれていないのが物語の構造上の問題である。
殺意が友情の現れならチュウさんは他のゆかりのある患者に対して友情表現として何をしているのか、チュウさんはなぜ他の女性患者に友人がいなくて島崎とだけ仲がよいのか、一般にレイプされると男性不審になるのになぜ島崎は入院患者の男性を警戒せずに打ち解けられるのか、数十年も病院に入っていて女性関係が無いのにチュウさんや昭八に性欲はないのか、こういった物語の核となるべき部分が描かれないので、いくら作者が患者同士の友情を強調してもレイプや殺人にリアリティが無く興ざめする。
主要な登場人物は比較的まともな精神状態の人ばかりで、友情のための報復殺人を主題にするなら精神病院を舞台にする必然性はなく、チュウさんは外出もするので閉鎖病棟というタイトルと内容がずれている。
この小説が山本周五郎賞を受賞して、オビに「選考員各氏、絶賛に次ぐ絶賛」と書いてあるけれど選考員がどんなふうに言葉を濁しているのか見てみたいものだ。

★★★☆☆







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最終更新日  2008.05.02 21:37:39
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