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2015.08.20
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カテゴリ: 小説
11篇のポルノやSFやパロディの短篇集。
「誘拐横丁」は建材店の最上に息子を誘拐されて身代金18万円を要求された電器屋のおれが横丁の医者の娘を誘拐して身代金を要求したりして、なんだかんだでXXする話。顔見知りの横丁の人たちが互いに誘拐しあうという状況だけで既にコメディとして面白い。これ見よがしなSF的小道具や奇病を用意しなくても、舞台設定だけで物語が面白くなるという点で他の短編よりもよくできている。

「融合家族」は土地問題がおきて二軒の家が融合した奇怪な家に二家族がお互いを無視しながら生活していたものの、なんだかんだでXXする話。これは家の奇怪さがあまりプロットに活かせていないままXXでオチをつけてしまった感じでそれほど面白くはない。

「陰悩録」は風呂のお湯を抜いて肛門が吸い込まれるのを楽しんでいたらきんたまが吸い込まれてしまう話。筒井らしいくだらないスラップスティックポルノである。

「奇ッ怪陋劣潜望鏡」は童貞と処女で結婚した夫婦が抑圧された性願望のせいであちこちに潜望鏡が見えるようになってしまう話。医者が出てきて病気として診断して一般化するより、この主人公たちの特殊なケースとして扱ったほうがよかったかもしれない。

「郵性省」は美女の大便はでかいという週刊誌の記事に刺激された高校生の千益夫がしのぶちゃんを妄想してOナニーしていたらしのぶちゃん一家が団欒しているところに瞬間移動してしまう。益夫が記事を書いた学者に抗議すると、これはOナニー・テレポート、すなわちオナポートだということで研究が始まって成功して、オナポートを管理するために郵性省がつくられる。オナポートの移動先に物体があるとその物体とクイミング融合してしまう事件が多発したりするものの、オナポートのおかげで日本は発展して、益夫は自慰隊隊長として国交正常化した中国にオナポートを教えに行く話。主人公がおきざりになってしまっていてプロットとしてはたいして面白くなく物足りない。プロットよりも突飛な状況を楽しむタイプの小説なので、オナポートによる社会の混乱具合をもっと書いてほしいところ。

「日本列島七曲り」は社長が個人タクシーに乗って運転手と一緒に飛行機で大阪に行く途中に飛行機が左翼学生にハイジャックされるものの、乗客たちは皆ハイジャックを楽しんでいて、どんちゃん騒ぎをしたり、吸血鬼が出たり、コレラに伝染したりして左翼学生が困る話。時事問題を不謹慎に茶化していてよい。

「桃太郎輪廻」は川からセクシーな尻が流れてきて桃太郎が産まれて、爺さんが婆さんを食ってタヌキに脅迫されて、桃太郎が家出してここほれわんわんの犬や柿の木の下でぺしゃんこになっている猿を家来にして、眠り姫や白雪姫や赤頭巾を物色しながら旅をして竜宮城でタイムマシンをもらって、年老いた桃太郎は子供がほしくなって未来から人工子宮をもってくる話。いくつかの昔話をごちゃまぜにしたポルノパロディだけれど、SF的なオチがついてプロットがまとまっていてよい。

「わが名はイサミ」は近藤勇が名前をイサムと間違えられてイサミだと怒ったり、土方に尻を貸したり、あちこちで歓待されてどんちゃんさわぎするうちに官軍に惨敗する話。冒頭でSF作家が時代小説を書くことについて時代考証が間違ってるかもしれないとメタ的な言い訳をしておいてから土方と近藤の同性愛具合を描くふてぶてしいやり方はさすが筒井である。

「公害浦島覗機関(たいむすりっぷのぞきからくり)」は古いホテルに秘密の通路を見つけて208号室の閣僚が公害で都会から人を追い出そうとする会議の様子や207号室のカップルのセックスの様子を覗き見していると、タイムスリップしてその後の様子も覗き見できる話。オチが雑でタイムスリップSFとしてはたいして面白くない。

「ふたりの秘書」は労働組合ができるのを嫌ってコンピューターを使い、秘書をふたりしか雇わない若社長がふたりの秘書に惚れられて困る話。従業員の代わりにコンピューターを使うという程度だとSFとしてはたいして面白くない。ロボット秘書チョロ子がいながらもろくに出番がないまま終わるので、プロットにもうひとひねりほしいところ。

「テレビ譫妄症」はテレビ評論家の達三が長時間テレビを見ているうちに下半身が麻痺してしまうテレビ癲癇になり、達三は現実がテレビ番組だと思い込む話。テレビを小道具としていじりまわすネタはもはや筒井の名人芸ともいえるかもしれない。現実と仮想現実と狂気が入り混じる筒井的小説として安心して読める。

全体としては筒井風の陽気なエロスとくだらないスラップスティックが満載で、エンタメ短篇集として面白く読める。

★★★☆☆

*記事を投稿しようとすると「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」というメッセージがでてなかなか書けないし、どの単語がひっかかってるのか不明なせいで言葉の書き換えに余計な時間がとられて迷惑している。楽天の言葉狩りにこの場で抗議しておく。






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最終更新日  2015.08.20 17:39:58
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