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2018.12.22
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桜田義孝国務大臣はサイバーセキュリティー基本法改正案の担当閣僚だそうで、PCを使わなくてUSBを知らないことで担当にふさわしくないと話題になっている。パソコンを使えないとだめだよ派とパソコンを使わなくてもいいよ派で意見が分かれているようなので、私も考えてみることにした。
ちなみに私はパソコンの知識は中くらいのレベルで、デスクトップパソコンの自作ができて、htmlコードのコピペで簡単なホームページが作れるけれどcssは使えなくて、Linuxのインストールはできてもコマンドは使えなくて、iOSは使ったことがなくて、エクセルの関数は使えるけれどマクロは使えなくて、パワポで紙芝居が作れて、フリーソフトを使って画像加工や動画編集ができて、ある程度SEOの知識がある。ネットショッピングやSNSしかしない一般人よりはましなレベルじゃないかと思う。

●そもそもパソコンを使えるというのはどういうことか

よく求人に「パソコンを使える人」という曖昧な条件があって、パソコンが使えるというのは何を指すのかしばしば議論されている。定義がはっきりしないと議論にならないので、まずここから考えることにする。

・ハードウェアについての知識

パソコンは電子機器なので、部品がひとつでも壊れれば動かなくなる。そこでメンテナンスのために電源、マザーボード、メモリ、CPU、ハードディスク、キーボード、マウス、モニタといった各部品がどういう役割を果たしているのかという知識が必要になる。パソコンのスペックを見てどの程度の性能なのかがわかる程度の知識がないのではパソコンを使えるとは言えない。
大企業だとBiosやドライバの更新やメモリやHDDの増設やインターネット接続設定やデータのバックアップとかのメンテナンスは保守担当者がやるので、個人がパーツについての知識を持つ必要がない場合もある。金がある人ならパソコンが壊れたら買い替えれば済むだけの話である。

・操作についての知識

パソコンを使うにはマウスとキーボードの操作についての知識も当然必要になる。パソコンを操作するにあたって一番の障害になるのが文字入力の複雑さだろう。高齢者にQWERTYキーボードのへんてこな配列を覚えさせてタッチタイピングをさせるのはほとんど無理かもしれない。デジタルネイティブ世代の若者でもスマホしか持ってなくてキーボードが使えない人もいるそうな。しかしFlickTyperというスマホのフリック入力でPCに文字入力できるデバイスもあるし、Windows10のタッチキーボードにはフリック入力モードがある。
マウスは初心者にとっては右クリック、左クリック、ダブルクリックの使い分けが難しいけれど、タブレットPCが出てきてからは指で直接画面が触れるようになって操作は簡単になった。というわけで操作についてのハードルはだいぶ緩和されているので、誰でもある程度操作できるんじゃないかと思う。

・ソフトウェアについての知識

実務でパソコンを使うには、OSと、そのOS上で動くソフトウェアについての知識が必要になる。たいていの会社のOSはWindowsで、Officeで書類作成をしたりメールを送受信したり情報を検索したり印刷したりするので、この作業が一通りできることを一般的に仕事でパソコンが使えるというようである。
しかし基本ソフトが一通り使えるだけでは知識として不十分な場合が多くて、2011年に衆議院で偽装メールの添付ファイルからウイルスが感染したように、ファイルの拡張子についての知識がないとうかつにメールの添付ファイルをクリックしてマルウェアをインストールしたりするし、メールのCCとBCCの知識がないと個人情報や社外秘の情報をばらまいたりする。ソフトウェアの知識がないことが直接セキュリティーホールになる。

・プログラミングについての知識

プログラミングはソフトウェアを開発するプログラマーには必要だけれど、一般人はプログラミング言語を覚える必要ない。個人でもホームページを運用する場合はHTMLについての知識が必要になるけれど、たいていのブログやSNSはHTMLの知識がなくてもテンプレートが使えるようになっているので、どうしても自前のホームページがほしいとかブログパーツをカスタマイズしたいとかいう人以外はHTMLの知識は必要ない。コマンドプロンプトを使うようなメンテナンスは企業の保守担当の人がやったり、必要な時にインターネットで調べながらやればいいので、別に知らなくてもよい。

・インターネットについての知識

パソコンで情報を調べる時にはブラウザを使って、インターネットでサーバーにアクセスするわけだけれど、その仕組みや欲しい情報を探す方法を知らないと情報をうまく調べられない。ブックマーク、検索オプション、RSSフィード、SEOの知識があると情報を検索しやすくなる。さらにはインターネットにうかつに個人情報を出さないようにするネットリテラシーも必要になる。
一般人のトラブルはたいていインターネットについての知識がないことが原因で、IPアドレスやcookieについての知識がない人はワンクリック詐欺でIPアドレスを表示されただけで住所が特定されたと思い込んで払う必要がない金を払ったり、匿名掲示板なら何を書いてもいいと思って誹謗中傷や殺害予告をして住所を開示されたりするし、ネットリテラシーがない人は恥ずかしい写真を彼氏に送ったらネットに流出して半永久的に晒されたり、実店舗がない詐欺ショッピングサイトに金を振り込んだりする。

・デジタルコンテンツについての知識

コンシューマーとしてパソコンを使う場合、インターネットを通じて動画や電子書籍を見たり、オンラインゲームをしたり、自分で作った動画や写真などのコンテンツをアップロードしたりすることを一般的にパソコンを使うという。この用途だけなら基本操作さえできればパソコンが使えるということになって、スマホがあればパソコンがいらないと言われる根拠になる。高齢者はパソコンやスマホを使う=遊んでいると誤解している人がいるけれど、そもそも自宅でパソコンで仕事をするのは自営業やフリーランスとかの少数派で、たいていの家庭では娯楽のためにパソコンが使われているからだろう。
しかし娯楽としてパソコンを使うにしても、ファイル形式や著作権とかのデジタルコンテンツの知識がないのではちゃんと使えているとはいえない。ネット上に公開されているものはなんでも無料で使い放題だと誤解している人が著作権侵害でしばしば問題を起こしていて、例えばデザイナーがネットで拾った画像をポンポンと配置して商品化して炎上したり、キュレーションサイトのコピペや写真の無断転載がばれてサイトを閉鎖したりしている。いらすとやのイラストが企業でよく使われているのは無償で利用できてトラブルが起きにくいからだろう。フリー素材や著作権が切れたパブリックドメインのデジタルコンテンツをうまく使えるならちゃんとパソコンを使えるといえる。

以上の事から、パソコンを使えるというのは基本的なハードウェアの知識があって、マウスとキーボードを使った基本的な操作ができて、メールの送受信やドキュメントの作成や印刷などの業務上必要な作業ができたり、インターネットを通じて検索や買い物などの自分がやりたいことができて、ネットリテラシーがあることがパソコンを使えると言えると思う。特定のソフトウェアやプログラミング言語が使える場合は、パソコンを使えるというよりパソコンで〇〇が使えるという言い方のほうがよい。

●桜田大臣についてのネットユーザーの意見

パソコンを使えないとだめだよ派の意見:
・パソコンの知識がないと国会で深い議論ができないよ
・パソコンで何ができるかを知らないのは駄目だよ
・トップが理解していないと技術革新が遅れるよ
・専門家と意思疎通できないレベルはだめだよ
・いまどきパソコンを使ったことがないのは社会人失格だよ

パソコンを使わなくてもいいよ派の意見:
・実務は優秀な部下がやるから問題ないよ
・スマホを使えればパソコンを使わなくていいよ
・専門家でないと大臣になれないというのはおかしいよ(じゃあ防衛大臣は銃を撃てるのか)

●やっぱり桜田大臣はサイバーセキュリティー担当としては適任ではない

さて上記のことから桜田大臣がどの程度だめなのかを考えてみる。サイバーセキュリティー担当としてUSB経由での情報漏洩やウイルス感染とかのハードウェアについての知識だけでなく、OSやソフトに固有の脆弱性とか、インターネットを介したサイバー攻撃とかについての知識も必要になる。
桜田大臣がスマホは使えるとは言っても、パソコンのUSBを知らないならスマホにもMicroUSBやType Cという穴があるのも知らないだろうし、USBメモリを知らないならSDカードも知らないんじゃないかと思う。ただスマホの操作ができるだけで充電する穴の名前を知らないレベルではスマホを使えるともいえないし、そもそもパソコンとスマホはOSが違うのでスマホを使えたとしてもパソコン固有のセキュリティについての知識は必要なので、スマホが使えればパソコンを使わなくてよいという擁護は無理筋だろう。
人間は一般的に自分が理解できないことは警戒するし、歳をとるほど変化を嫌うようになるので、知識がない高齢者が担当者になったときになんでもわからないからとりあえず反対したり、逆に特定の専門家の言いなりになってなんでも賛成ということになりかねないのが問題である。間違った知識を入れ知恵されて騙されたりする危険もある。原口一博議員が「グーグルアースか何かで見れば、どこに日本の艦船がいたか分かりますよ」と言ったのがつっこまれたり、永田寿康議員が堀江メール問題で議員辞職したけれど、こういうのがパソコンの知識がないと国会の議論が深まらなかったり騙されて利用されたりする例で、原口議員や永田議員を批判したことがある人は桜田大臣の知識不足を擁護できないんじゃなかろうか。
ちなみに平井卓也IT担当大臣というのもいるそうで、電通出身でITの専門家でもない平井大臣に批判がないところを見ると、桜田大臣を批判する人は専門家でないことを理由に桜田大臣を批判しているわけではないといえる。ただでさえサイバーセキュリティーへの対応が遅れている現状なのに、そこでパソコンを使わずに一般常識ともいえるUSBについての知識さえない人を担当にするのはだめだという話で、専門家でなくても最低限パソコンを日常的に仕事で使っていて包括的な基礎知識がある議員が担当したほうが適任なのは当然だろう。高齢者にパソコンの使い方を教えたことがある人ならわかると思うだろうけれど、アナログ世代の高齢者にパソコンを教えるときはカタカナ用語の意味をいちいち説明しなければならなくて英語を教えるくらい大変なことだけれど、桜田大臣はパソコンが使えないだけでなく英語もしゃべれないので実質的に英語も教える必要があるようなもので、いくら優秀なスタッフがいたとしてもパソコンについてほとんど知らない人に説明するために長い時間を割くのは税金の使い方としては非効率である。
中小企業の経営者がパソコンに疎くて時代に対応できなくなるのは自己責任だけれど、国でそれをやられると国民全員が迷惑をこうむる。パソコン遠隔操作事件で警察がサイバー犯罪の捜査に弱くて誤認逮捕したのが問題になったように、公務員は副業を禁止されていたりあまり転職しなかったりするせいで世間に疎くて民間企業以下の知識しかないわけで、そのうえ大臣まで知識がないのではサイバーセキュリティーは当分は期待できなくて、大臣にパソコンのいろはを指導しているうちに任期が終わってしまいかねない。というわけで、やっぱり桜田大臣はサイバーセキュリティー担当者として適任ではないと私は思う。今からパソコンの勉強する努力を否定するわけではないけれど、今まで政治家として積み上げてきたキャリアを活かして他の得意分野に労力を費やしたほうが本人も活躍できるんじゃないかと思う。

●PCを使わない人はこれからの社会で有害になりうる

PCを使わない人が老害化するのは、履歴書手書き教徒が典型的である。手書きの文字で性格がわかるだのという根拠のない非効率なやり方を有難がる採用担当者がいるけれど、こういう人が技術革新の抵抗勢力になる。会社のサーバーに履歴書のテンプレートを置いておいて応募者に記入させて送らせて、ビデオチャットで面接すればペーパーレスで選考できるのに、わざわざ証明写真を張らせたりして応募者に時間と金をかけさせることを強いているのは時代遅れである。小説家でさえ一世紀前にはタイプライターを使い始めて手書きしなくなったというのに、文章を書くのが本業でさえない人が妄信的に手書きにこだわるのはわけがわからない。たかが履歴書を印刷するだけのことにさえ抵抗する人が大勢いるというのは、GAFAが世界を席巻しているアメリカと比べて日本の未来が暗いことを示している。パソコンは使えるけれどIT化には反対するような頭が固い経営者や管理職が大勢いるような有様でIoTの製品やサービスが作れるとは思えない。
出版業界も電子書籍の売り上げは伸びているのに紙の書籍を切り捨てる判断ができないでいて、IT化への対応ができないでいる。例えばレビューサイトなんかは時間がたってレビューが増えるほどサイトの価値が高まる仕組みになっているけれど、いまだに日本の本屋は単に本を並べて売ることしかやっていなくてろくにレビューがなくて、再販制度があるだけにどこで本を買っても値段が同じならレビューやプレビューがあるAmazonで買うほうが便利ということになって、Amazonとの差が広がる一方である。
もはや情報を得るために本に頼る必要さえなくなっていて、最新のファッションやメイクはインスタグラムに載っているし、DIYやハウツー系はユーチューブに投稿されていて、出版業界がIT化の対応が遅れてぐずぐずしていると紙で売るか電子で売るかという流通の問題でなくなって、動画に客を取られて読書するという習慣自体がなくなりかねない。カーナビ業界はGoogle Mapに客を取られてパイオニアが香港のファンドの傘下になったけれど、出版業界もIT化に対応できないならいずれ外資の傘下になるかもしれない。そうなる前に読書に関するサービスを充実させるべきだろうし、その発想をするためには経営者がパソコンで何ができるかを理解していないと無理である。





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最終更新日  2018.12.26 14:48:36
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