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2022.06.14
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最近は岸田総理がロンドンで「インベストイン岸田」と講演したそうで、何もしない人に投資するわけないだろうと批判されている。金融ビッグバンみたいな目玉政策があるわけでもないのに投資しろと口だけで言っても意味がないし、総理になる人でさえこのレベルなのかと幻滅する。信用創造を理解していない財政均衡派の人が投資を理解しているとも思えないし、日本が25年間ほとんど経済成長していないのも政治家が投資を理解していないからだろう。というわけで投資について考えることにした。

●投資とは何か

投資とは物やサービスなどの価値を生み出す事業に資本を投じることである。銀行は起業したい人に金を融資する。しかし一社だけが出資していると企業が倒産した時にリスクが大きいので、複数の株主が投資してリスクを抑えつつ利益を分配する株式会社ができた。こうして民間の株式会社を中心にして経済活動をしているのが現代の資本主義である。
IPOとかの新規上場企業の株を買うのは企業の資金調達となって事業に使われるので投資といえるだろうけれど、既に上場した企業の株を買っても企業の資金になるわけではないので投資というよりは資産運用に近い。株主総会で意見を言って企業を成長させて株価を上げることができるなら投資と言えるけれど、大株主でない個人投資家が浮動株を買ってちょっとの議決権を持ったところで経営への影響力はほとんどないので、たいていは株主として株主総会で意見を言って経営に参加するよりも配当金や株主優待目当てで株が買われている。

・投資と投機の違い

資産を投じたところで事業に参加できるわけではなくて価値を生まないものは投資とは言えない。値段が上がるか下がるかの二択で、売買のタイミング次第で損益が出るものは投機という。例えば商品先物やFXや暗号資産などは投機で、市場の参加者同士で金のやり取りをしていて事業としての価値を生まないゼロサムゲームである。商品先物で誰がゴールドを買おうがその物としての価値自体は変わらず、好景気とか不景気とかの状況に応じて市場での値段が変わるだけである。不動産は長期保有して賃料で利益を出すつもりなら投資といえるけれど、バブルの頃の財テクのように値上がりを期待して短期で転売するつもりで不動産を買うのは投資ではなく投機である。
投機は株と違ってインサイダー取引に該当しないので、イーロン・マスクが暗号資産についてツイートして価格を操縦してもお咎めがないし、国会議員は日銀の金融緩和のタイミングを知っていたらFXで大儲けできるし、市長は鉄道や高速道路とかの開発の計画を知っていたら開発が始まる前に安く土地を買い占めて高値で売りつけることができる。「政策に売りなし」という相場の格言があるように、偉い人ほど内部情報を利用して投機をしてますます資産を増やして影響力を強めるサイクルになる。

・投資の始め方

普通に雇用されている人は普段の生活費の支出は大体一定額だろうし、入院したり失業したりするにしても貯金が100万円くらいあれば当面は対処できるので、使い道が決まっていない金は何かしらの投資に回すほうが経済的には豊かになれる。株式投資なら証券会社で口座を作って入金すればすぐ取引を始められるし、10-20万円程度で小型株を買えるし、現金が必要になったときに株を売って現金化しやすいし、確定申告とかの税金に関する法律も整備されているので、投資の初心者向けである。そして自分なりに利確や損切りのルールを決めて、投資がうまくいっても失敗しても生活費として残しておくと決めた命金には手を出さないことが大事である。

●投資をするメリット

・会計の知識が身につく

日本の大半の中小零細企業は非上場なので、損益計算書や貸借対照表を公開していなくて社長が何を経費に計上していくら役員報酬をもらっているか従業員は知らない。それに社長や経理担当者くらいしか会計の知識を持っていないので、サラリーマンでも会計の知識がなくてなんでも経費に計上したら得できると誤解してコスト管理の意識が低い人がいる。株式投資をすれば上場企業の決算を見て、事業をするのにどれだけコストをかけてどれだけ利益をだしているのかを理解できるようになる。

・いろいろな業界に詳しくなる

投資をしない人は身の回りの小売店や家電や車のメーカーやインフラ企業などの大企業の名前くらいしか知らない。しかし株式投資をすると原料生産と製造と輸送と保管と販売に関わるすべての企業がわかるので、ビジネスの上流から下流までの全体の流れや受給や景気がわかるようになる。

・情報への感度が高くなる

投資していると損をする可能性があるので、不確定な未来に対して敏感に反応してわずかな変化でも気が付くようになる。投資をしていない人は新製品のCMやプレスリリースを見てもフーンとしか思わないようなことでも、投資をしている人なら売れ行きや株価への影響や同業他社の反応に気づくようになる。食品会社や化粧品会社とかの株を買うと株主優待で商品や割引券をもらえるので、普段は買わない商品を試す機会も増える。

・負け方がうまくなる

どんな凄腕トレーダーでも全戦全勝ということはありえないので、何かしら判断ミスをしたり、地震や戦争とかの想定外の事態が起きて損をしている。柔道で受け身の練習をしてから試合に臨めば投げられても怪我をしないように、少額の投資から始めて損をすることに慣れておけば、損をしたときの損切りの判断力がつくし、ストレスコントロールも身について多少の損では落ち込まないくらい打たれ強くなる。損をしたらしたで知識不足や判断ミスを反省するきっかけになるし、失敗から学べることもある。

・想像力がつく

株の個人投資家というのは巨大なタンカーやコンテナ船が行き来する港でゴムボートで釣りをするようなもので、大口の売買と衝突したら大怪我する。自分の進路のほうが正しいと確信していても圧倒的な資本の差には勝てないので、自分がどうしたいかよりも日銀や外資系ファンドとかの大口がどう動くかを予想して流れに乗るほうが重要になる。下落がこの水準を超えたら追証が発生してさらに狼狽売りが出るだろうとか、この水準まで来たら割安感で買いが入って下げ止まるだろうとか、こうした想像力によって相場観が培われる。

・自分についての理解が深まる

個人の性格によって投資のスタイルは大きく違う。一人でじっくり分析するタイプなのか、他人のアドバイスを求めて右往左往するタイプなのか、利確や損切りのルールを守れるのか、投資がうまくいって金回りがよくなると調子に乗って大金をブンブン振り回すタイプなのか、含み損の株を手放さない握力やストレス耐性がどれだけあるのかとかで、リスクに直面した時の自分の判断力を把握して自分との付き合い方がわかってくる。

・詐欺を見分けやすくなる

最近はインド人社長が「私は、大手証券会社の社長と友達。特別案件をもらっていて、5000万円を投資してくれれば、株取引で30%の利益を出して返しますよ」と持ち掛けてくる詐欺で全国で100人の被害者がいて総額100億円の被害が出たそうだけれど、株取引でそんな利益率はインサイダーでもしない限りありえないしそもそも出資法違反なので、超絶貧乏な私だって詐欺だとすぐにわかるけれど、なぜか小金を持っている人のほうが金融リテラシーが低くてこんな雑な詐欺にひっかかる。たぶん投資をしたことがないまま相続や自営業とかでまとまった金を持っている人は常識的に考えておかしい儲け話のどこがおかしいのか判断できないのだろう。金を集めて運用益を分配するという勧誘文句はたいてい投資実態がないポンジスキームである。
あと国際ロマンス詐欺も流行していて、マッチングアプリで知り合った外国人に暗号資産を買うように持ちかけられて、アプリ上では儲かっているように見えても実際は売買は行われていなくて、出金しようとしてもできなくて詐欺に気づくパターンがある。投資の基礎知識を持っていれば有象無象の無名の暗号資産は裏付けのないポンジスキームへの投機だとわかるし、暗号資産を売買するにしてもある程度知名度がある取引所を通さないと危ないとわかるので、すぐに詐欺を見抜ける。
自分だけが特別に有利な条件で投資ができることはまずないし、そういう状況が他人によっておぜん立てされたならそれは罠である。本当に確実に儲かるなら他人に教えずに借金してでも全財産突っ込んで利益を独り占めするので他人に勧めること自体がありえないし、他人に儲かる投資を勧める時点でポンジスキームとかの詐欺の可能性がある。

・老後の生活設計がしやすくなる

しばしば大企業のサラリーマンがまとまった退職金が入って投資を始めて、分散投資をせずにいきなり全ツッパして老後資金をなくして大失敗したりしている。普段から資産運用のポートフォリオを考えてリスクを分散しておくと投資の失敗で全財産を失うような事態になりにくくなる。

・失業した時の収入源になりうる

株式投資のよいところはやろうと思ったらすぐに始めることができることで、アルバイトみたいに面接をしたあげくに不採用になって仕事が見つからないということはないので、失業した時の一時的な収入源になりうる。デイトレやスイングトレードには向き不向きがあるので万人向けではないし安定した収入にはならないけれど、時間の融通がきくので転職活動をしやすい。

・暇つぶしの娯楽になる

私はザラバを見て小型株の需給を読み切って、指値で底で買って指値で天井で売って頭からしっぽまで丸々手に入れた完璧なデイトレをしたことが一回だけある。利益としては1万円程度でたいしたものではなかったけれど、自分の読みが正しくて、その正しさゆえに利益がでる感覚はゲームみたいで面白いものである。読みが外れて大損をしたとしても、高いジェットコースターに乗ったと思えば楽しいかもしれない。

●投資をしないメリット

行動経済学にプロスペクト理論というのがあって、人間は利益を得られる場面では確実に手に入れることを優先して、損をする場面では損を最大限に回避したがる傾向がある。
公務員などで雇用が安定していて給料だけで十分生活できる人は、一切投資をしないで損失を最大限に回避して生きるのも選択肢としてありである。投資をしないと決めてしまえば投資に失敗して損をしたり投資のチャンスを逃して儲け損ねて後悔したりするストレスを感じずに済むし、儲け話とかの投資詐欺にも引っかかりようがない。不要なリスクを避けて自分の能力で稼げるぶんだけで堅実に生きるのもそれはそれで美徳になりうる。実際は公務員のほうが信用度が高くて借金しやすくて、副業が禁止されていても投資はできるのでザル勘定でずさんな投資をして自己破産しやすい。投資をせずに損をしないというだけでも個人の人生設計としては十分である。

●複利が将来を左右する

単利とは投資で得た利益のことである。一方で複利とは利益を投資の元本に加えてさらに投資することで、元本と利益がどんどん増えていく。畑をイメージすると複利がわかりやすくて、作物の売り上げをそのまま生活費に使ったら毎年の畑の収穫量は同じだけれど、作物の売り上げで少しずつ畑を広げていくと、年々畑が広がっていって収穫量も売り上げも増えていく。短期で見ればたいした違いはないけれど、長期で見ると大きな違いが出てくる。複利という考え方を理解できるだけでも投資をする価値があるといえるくらい、複利は投資において重要な考え方である。
自分の能力を開発して生産性を上げたり幅広い教養を身につけたりするのも一種の投資である。利益が出た時に頑張った自分へのご褒美に回すか、頑張った自分への再投資に回すかで、長期的な成長度合いが変わってくる。例えば英語を勉強してTOEICやTOEFLでいい点を取って満足してそれで終わって遊びに行くのでなくて、YouTubeでアメリカの大学の講義の動画を見たりして知識の元本を増やしていくと、その知識を基にさらなる知識やアイデアを得られるようになる。知識も複利で増えていくわけである。バフェットとかの金持ちは読書好きと言われるけれど、これは単に儲けのネタを探して読書しているのでなくて、金持ちだからこそ金以外の教養で人生を豊かにするという選択肢をとれるのだろう。読書は直接は金儲けにはつながらないけれど、本の値段はそんなに高くなくて金持ちが読む本も貧乏人が読む本も同じ値段だし図書館でも読めるので、貧乏な人でも長期的に文化資本を増やして人生を豊かにすることができるという点では読書はよいものである。
人脈も複利で増えていくもので、一人友人が増えれば友人の友人を紹介されて、友人の友人と親しくなれば友人の友人の友人を紹介されて、どんどん人脈が増えていく。カラテカ入江やガーシーみたいに本人は何か特別な能力があるわけでもないのに人脈だけで生計を立てる人もいる。
経済資本、文化資本、社会関係資本のどれを増やすかの違いはあっても、複利で何かの資本を増やして人生を豊かにするという視点は持っておくほうがよい。
逆に複利という視点をなくすとどうなるのかを体現したのが今の日本である。四半期決算の利益を最大化するために人件費をコストとみなして人への投資をやめて正社員を雇わなくなって就職氷河期世代を生み出して、アルバイトや派遣や移民や中国の下請けを使うようになって技術の継承ができなくなって技術力が落ちている。そうして人件費を削って計上した上場企業の利益は単利として外国人株主やカルロス・ゴーンみたいな外国人役員に吸い取られて外国への投資に使われて、日本への再投資に使われないのでそれ以上企業の利益が増えず、外国が経済成長する中で日本だけ経済成長せずに一人負けして衰退している。1兆円かけた三菱重工の国産ジェット旅客機開発が失敗したのが典型的で、昔と同じ体力があるつもりで運動会で派手にこけるおっさんみたいなもので衰えている自覚がないのである。人を育てることをやめたのであらゆる業種で人材不足になって、ただでさえITリテラシーが低い中でプログラミングができる人をIT土方として使い潰したのでIT人材不足になっているし、中小企業は後継者がいなくて事業承継ができなくなっているし、一次産業は技能実習生や外国人留学生で一時的に労働力を補ってもいずれ母国に帰るので現場のノウハウが継承されなくて生産性が上がらずに慢性的な人手不足になっている。そのうえ低賃金で子供を持てない人が増えたことで少子化も進行している。
子供を産んで教育することも投資である。その投資を回収するには何十年もかかるけれど、育てた人が外国に移民しない限りは国内の労働力や消費者として社会に還元されるし、人への投資をやめたら国は滅びる。明石市の泉房穂市長は子どもを応援しない社会に未来はないとして無駄な公共事業を減らしてそのぶん子育て支援を重視して9年連続人口増だそうで、これが本来あるべき為政者の姿で、岸田総理よりもよっぽど立派である。岸田総理はインベストイン岸田と外国人に言う前にまず自らが日本に投資するべきだし、国家を豊かにして国民を幸福にするという意思がない者が国家の代弁者たりえない。岸田政権は山際経済再生担当相が「所得倍増は所得が2倍になるという意味ではない」とか言って小学生レベルの掛け算さえできなくて公約さえ平気で反故にして信念も決断力もない空っぽ嘘つき政権だし、消費税増税やインボイス制度をやりだして日本の経済にとどめを刺す前になるべく短命の政権で終わってほしいものである。





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最終更新日  2022.06.16 13:54:49
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