
西ロンドンのシェパーズブッシュにある大型ショッピングセンター「ウェストフィールド」に来ています。
2008年に建てられたウェストフィールドには面積150m2を超す大型のグリーンウォールがあります。
このグリーンウォールが作られた背景には、ショッピングセンター利用客への環境向上と温暖化対策、近隣への騒音緩和などがあります。
50cm四方のモジュールシステムを使って組み立てられていて、鉄骨フレームに植栽モジュールをはめ込んで作られるため工期は約四週間の短期間です。
灌漑システムで土の湿度を一定に保つようにしており定期的な査定と切り戻しの他にメンテナンスをしなくて済むため維持管理が簡単です。
日本でも東急プラザや京都ヨドバシカメラなどで大型の壁面緑化がされていてトレンドの一つなのかと思います。
実際ボリュームのある緑の空間は歩いていても植物独特の温かみがあり気分が良いですし、壁の正面にいあるレストランやカフェからの眺めも良く、夏になると壁の前のウォーターフィーチャーの周りは人々の憩いの場になっています。
このプロジェクトの良いところはグリーンウォールが人々が座って話をしたり、外に並べられたテーブルで食事をしたりできる空間に面しているのところで、これが都心の交通量の多い道路に面していたとすればそこまで歩行者に与える心理的な影響は出ていないと思います。
グリーンウォールの設計はランドスケープ・アーキテクトやプランティング・デザイナーにとっても難しいものです。
そもそも灌漑設備をや水質管理システムにはエンジニアの専門知識が費用ですし、構造的にも軽くて十分強固でなくてはなりません。
しかし、デザイナーにとって最も難しい点はグリーンウォールの上部と下部で土に含まれる水分量がかなり違うとういことにあります。
当たり前ですが水は重力にしたがって上から下へと落ちて言いますから、壁の上部には常に水分を供給していなくてはなりませんし、壁の下部は上から落ちてきた水分で常に湿潤になています。
つまり、縦の長さが長ければ長いほど環境の変化が激しいということになります。
そのため通常壁の上部は乾燥に強いグラスが多く下部に行くほど湿潤な環境に適したシダ植物やヒューケラなどの割合が増えていくことになります。
上の写真の中央付近にあるヒダのついた葉をもつ植物はアスプレニウム・スコロペンドリウムというシダ植物の一種で、丸くて大きな葉をつけているのはバージェニア・コーディフォリア、画面左端にはヒューケラが見えます。
いずれも湿潤な土を好む植物です。
こうしてパッチを真正面から写真に撮って分解してみていくと全体の仕組みが見えてくるので、街中で目にしたものでもなるべく写真に収めてデータを集めておくようにしています。
デザインの手札を増やしておくといつか役立つ時があるかもしれません。
私の友人は修士課程の卒業論文でアルプスの植物の研究をしていました。
その理由はアルプスの植物が乾燥に強く、岩肌などの水分が少ない環境でよく生育するため、水分量に制限があるグリーンウォールに活用できる可能性があるからです。
彼の研究は時間の制限もあり、水分量を変化させた場合の発芽率の違いの分析にとどまっていましたが、こうした研究の積み重ねの上に今あるグリーンウォールの基本スタイルが作り上げられているのです。
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