草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2019年01月10日
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第 三百九十三 回 目

     ばば物の 試作  「 夢の 中で 」

 時代:現代

 場所:夢の中

 人物:ババ  男  その他

 ババが一人で誰かを探すようにきょろきょろと周囲を見回している。何処からともなく姿を現し

た男がババに親し気に話し掛けて来た。

 男「大変遅くなりました。大分お待ちになられましたか?」

 ババ「(きょとんとしている)吾のことですか、吾はあなたの事を知りませんが…」

 男「どう致しまして、私は貴女の事をよく存じ上げて居りますよ」

 ババ「吾をですか? やっぱり何かの御間違いでは、つまり人違いしているのではありません

か」

 男「いいえ、人違いなどはしていませんよ、柴田さん」

 ババ「おや、貴方さんは吾の名前を御存知だったのですか。これは失礼を申上げまして、相済み

ません。で、貴方さまはどなたでしたかしら、近頃ではとんと物忘れが激しくて、自分が誰を探し

ていたのかさえ、直ぐには思い出せないでいるのでから…」

 男「その探し人の件で、私は貴女から呼び出されたわけです」

 ババ「私が、あなたを呼び出した?」

 男「はい、その通りです」

 ババ「(まるで狐にでもつままれたようである)はあ…」

 男「ずばりお訊ねします、貴女はかぐや姫に会いたかったのですよね」

 ババ「はい、仰る通りですが、どうしてその事をあなた様が知ってらっしゃるのですか?」

 男「こちらから逆に質問させてください、何故今、かぐや姫に会いたいなどと希望されるので

しょう、男性ならまだ分からない事もないのですが」

 ババ「吾がかぐや姫に一目逢いたいと心を焦がしては何故いけないのですか?」

 男「いけないなどとは私は一言も申し上げておりませんで、不思議だと思うだけなのです」

 ババ「逢いたいから逢いたいので、何か特別な理由でも必要だという心算なのですか」

 男「いえ、いえ、決してそんな心算はありませんで、私はただ嬉しかった。それで貴女様にそ

の、かぐや姫に会いたいと思う気持ちをお尋ねしたわけで、深い意味はありませんので、どうか

気を悪くなさらないで下さい」

 ババ「いえいえ、吾の方こそ感情的に聞こえる言い方をしたようで、お詫びしなければいけない

ようです。ところで貴方様は今、嬉しかった、と仰ったのですが、何故嬉しかったのでしょうか

しら?」

 男「ああ、その事ですか、申し遅れましたが私はあの物語の出来(いでき)始めの祖(おや)と

讃えられる 竹取の翁の物語 の作者だからなのです」

 ババ「えっ、それではあなた様があの、かぐや姫の産みの親でいらっしゃいますか」

 男「はあ、そうなのです」

 ババ「まあ、ブラヴォー。感謝感激、雨あられです。これは夢ではないかしら」

 男「(嬉しそうに笑っている)」

 ババ「それで、かぐや姫は現在何処で、どうしているのでしょうか。逢う前にその事が気懸りで

吾は仕方ないのです」

 男「勿論、月の世界で幸せに暮らしていますよ。年と共に益々美貌に磨きさえかかって…」

 ババ「あんたさん、嘘も休み休み言いなさい。月には人間は愚か草木の一本すら生えて居ない

死の世界だって事くらい、今では小学校の低学年生でも知っている事実ですからね」

 男「ああ、やっぱり。貴女までがそんな夢の無い事を信じて居るのですか、やはり世も末の末と

言われるわけですね」

 ババ「あんたさん、吾が年寄りだと思って馬鹿にして、心の中では笑っているのですね」

 男「いえ、いえ、けしてそんなことはありません。私は大昔の人間ですから、ロマンや夢をとて

も大切に考えています。現代人とはまるで違った別世界を信じている」

 ババ「あんたさん、本当にそんな子供だましを主張するのですか。竹の中から子供が生まれて、

瞬く間に成人して、この世の男という男を全部袖にして、満月の晩に天人達に迎えられて月の世界

に帰って行った、などと」

 男「はい、深く信じて居ります。柴田さん、貴女も本当は夢とロマンをこよなく愛し、心の底

から信じているのでは、ありませんか、いや、きっとそうに違いない。だから、かぐや姫に会いた

いなどと、突拍子もない事を願ったりした」

 ババ「(顔を赧くして、もじもじしながら)だって本当の事を喋ったらみんなからバカにされ

て、軽蔑されてしまうもの」

 男「軽蔑されても、バカにされてもいいじゃありませんか」

 ババ「そう言われてみれば、あんたさんの言うのが正しいような気もしますよ。でも、作者だと

ご自分で名乗っているので質問しますが…」

 男「はい、何なりとお尋ねください。正直にお答え致しましょう」

 ババ「お言葉に甘えて言いますが、かぐや姫は結婚を申し込んできた貴公子達に無理難題を持ち

かけて、結局は拒絶することに成功するのですが、もしも、の話ですよ、万が一彼等の内の誰かが

難問をクリアした場合には、結婚したのでしょうかね、かぐや姫は」

 男「中々鋭い御質問ですね。そこまでは考えにありませんでした。これは一本取られましたね」

 ババ「この疑問は女性なら誰だって考えますよ、だって、初めから彼女には地上の男とは結婚す

る意志が毛頭なかったわけですから」

 男「あの、お言葉ですが、それは違いますね。貴公子の誰かが誠実に難問を自力で解決した暁に

は、勿論作者の想定外の事柄ですが、恐らくかぐや姫はその相手と約束通りに結婚したと、私は

確信します」

 ババ「(信じられないという面もちで)そうでしょうか?」

 男「はい、敢えて断言致しましょうか、彼女は約束した事は絶対に反故にはしません」

 ババ「それを聞いてやっと安心しました、吾は。益々、かぐや姫本人に会いたいと思う気持ちが

強くなりました」

 男「御安い御用です、即刻お呼びしましょう。ただし、何故彼女に会いたいのか、その本当の

理由をお教えくださいませんか」

 ババ「会いたいから、合いたいのだ、と吾はさっき申し上げましたよ」

 男「そうでした、確かにそう承りました。それでは…」と、男は何か呪文のような物を口の中で

唱え始めた。それを見たババが、

 ババ「ちょっと待ってください、一寸」

 男「どうかされましたか?」

 ババ「あのォ―、何とも申し難い事ことなのですが、やっぱり吾、止めておきます」

 男「と言うことは、かぐや姫を此処に呼ばなくてもよいと」

 ババ「はい、左様です。勝手を申して大変申し訳も御座いません」

 男「いえいえ、どう致しまして。私は貴女様の手助けが少しでも出来れば嬉しいと、こうして

やって参りましたが、もうこれで役目も済んだようですから、退散致すことにしましょう」と何処

へともなく姿を消した。

  ――― 夢から現実に戻ったババは、深々とお辞儀をして最敬礼状態の儘でいる。その後ろか

らジジが立ち止まって暫く様子を窺っていたが、頭を元に戻したババの目元を両手で優しく隠し

て、

 ジジ「だーれだ」

 ババ「(さも嬉しそうに)おめェーの来るのがあんまり遅いので、吾、退屈してしまったじゃ」

 ジジ「ごめん、ごめん。少し用足しをして来たものだから…」

 ババ「吾を、おめえのかぐや姫を、ほっといてか」

 ジジ「ほっといた訳じゃないが、遅れて御免」

 ババ「(なぜか上機嫌である)まあ、今回は許して上げましょう。それでどんな用事で遅れて来

たの」

 ジジ「本当の事を言うと、遅れて来たわけではないのだよ。あんたが誰かと話をしていたから俺

は遠慮して、声を掛けるのを暫らく遠慮していただけなんだ」

 ババ「そうだったの、それは悪い事をしたね、御免よ。あの人はおめえが遠慮する事などない相

手だったのに」

 ジジ「じゃあ訊くけど、あの人はどういう人で、あんたとはどういう関係なの?」

 ババ「わぁー、おめえ、嫉妬してるわけ」と何故か嬉し気である。

 ジジ「(むきになって)俺は嫉妬なんかしていないよ」

 ババ「そうむきになるのが怪しい、でも、吾は嫉妬されて嬉しいよ。実はね、昔話のかぐや姫に

無性に会いたくなったわけよ」

 ジジ「そう言えば、さっきもかぐや姫の名前を口にしたね。そのかぐや姫がどうかしたの」

 ババ「どうもしない、どうもしないよ。これは内緒の話だけど、おめえだから特別に打明けるけ

ど、吾はもっと綺麗になりたかった。それで、世界中の男からプロポーズされた美人の代表とし

て、かぐや姫から美しさの秘訣を伝授して貰おうと、思ったの」

 ジジ「ふうーん、成程ね。でもあんたはもう十分に別嬪さんだと、俺は思うけど」

 ババ「それは十分に解っているの。じれったいねぇ、おめえは女心と言う物を何も分かろうとは

しないのだから」

 ジジ「それは悪かった。それで、かぐや姫には何時会う事になったの」

 ババ「バカだね、会わない事にしたの」

 ジジ「それはまた、何故?」

 ババ「おめえの為だよ。吾がこれ以上美人になって大勢の若いイケメンからプロポーズされたり

したら、悲しむのは一体誰なんだい」

 ジジ「吾だよ、無論」

 ババ「だから、だから止めにしたのよ。分かった」

 ジジ「有難う、優しいね、あんたっていう人は」

 二人はどちらからともなく手を取りあって、その場を去って行く。

                              《  おわり  》

 この様な駄作、凡作で本当に 町興しの起爆剤 になるのかと御懸念には及びません。私・草加

の爺の提唱する「セリフ劇々団の設立」には一歩、また一歩と堅実な歩みが必要だと想定されま

す。そして、全く新しいコンセプトに依る劇・ドラマ・芝居の実現ですから、それに応じた新しい

「観客」、「新しい役者」の育成が必要不可欠な条件となります。と申しても格別に難しい事が要

求されるわけではなく、先入観無しの、全く白紙状態からのスタートを切って下さるだけでよいの

あります。

そもそも劇(ドラマ・芝居)の本来の役割はカタルシス・心の浄化作用にあります。これは万人

の認める所でありますが、現状ではそうはなっていない。もしくは非常に不十分な状態になってし

まっている。原因としては様々な事が考えられますが、それに関してはまた別の機会に譲ることと

して、ここでは話を先進めます。

 視覚優位の近・現代にあっては劇は、映画でもテレビドラマでも舞台の芝居でも同様に、観て楽

しむだけの単なる娯楽やショーと化して、だれもそれを怪しむ風もありません。

 いや、むしろ人気のスポーツやアイドルやスターによるライブステージでファンたちは熱狂して

満足を得て居る。それで何が悪い、と開き直る人がいても結構ですが、俯瞰して現代を概観する

時には決して健全で、理想的な在り方とは言えないでありましょう。

 ストレス社会にあって、そのストレスの清掃・浄化を専ら目指す「セリフ劇」が必須である社会

状況が既に現出している。設立や維持に莫大な費用を必要としない。劇場などという巨大な施設も

要らない。誰でもが、何時でも、気軽に必要に応じて「劇」という場に参加が可能で、心の底から

癒やされ心が和む。

 言葉という私達の生活にとって大切な手段を用いて、人と人の心を繋ぎ、温かさや優しさを実感

する事が出来る。そうした待望のチャンスが私の提唱するセリフ劇で実現する、確実に。

 その亊について次回から書いてみる予定です。どうぞ、御期待下さい。





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最終更新日  2019年01月18日 05時47分06秒
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