ご先祖様探訪、最後は呉郡の陸家です（陸康、陸続）。

郭杜孔張廉王蘇羊賈陸列伝　第二十一

　陸康、字は季寧、呉郡呉の人なり。祖父の続は独行伝に在り。
若くして郡に仕え、義烈（烈々たる正義感）で有名だった。
茂才に挙げられ、高成（河北省塩山）の令→武陵太守→桂陽、楽安太守を歴任した。

　霊帝が銅人を鋳造しようとしたが、国庫では足りなかったので、田一畝ごとに十銭の付加税を課した。この頃は旱や水害が相次ぎ、百姓は疲弊した。
　陸康は上奏して諌めたが、文の中に秦の始皇帝が銅人十二体を鋳造させたせいで滅亡したという記述があったので、亡国の故事を引用して今上帝に例えるのは大不敬だと宦官にそしられ、檻車（囚人護送車）に放り込まれて法廷に引き出されてしまった。
侍御史の劉岱が取調べを行ったが、無実を上奏してくれたので釈放され郷里に帰った。

　盧江郡の賊の黄穣が江夏の蛮族と連携して四県を占領したので、陸康を盧江太守に任じた。
袁術軍が寿春に駐屯しているとき、物資が足りなくなったので、陸康に使者を遣わして兵器と甲冑を輸送するよう要求した。

　陸康は袁術は（朝廷への）反逆者だとして、城門を閉ざし戦備を進めた。
袁術は大いに怒り、部将の孫策に城を何重にも包囲させたが、陸康は堅く守って出なかった。
二年後城は陥落し、その後一月余りで病を発して死んだ。享年７０才。
一族百余人は飢餓に苦しみ、半数以上が死亡した。
末子の績は呉に仕え鬱林太守になった（呉書十二）。

続柄：本家筋の陸康（陸遜の従祖父）系図によると祖父の兄弟

★大不敬は宦官のいちゃもんだと思うけど、辺りはばからず（悪く言えば空気読まず）直言するのって陸家の特徴？
とツッコミを入れたいレベル。

　最後のくだりは当然（？）呉書には記載がありません。ただでさえ稼働期間の短い孫策に二年も包囲戦をやってる暇があったのかな？
　陸績はみかんの話で有名な人ですね（気になる方は二十四孝で検索してください）。孫権はみかんネタでいじったんじゃないかと思いますが、史書には記録されていませんｗ

陸家は後漢書・呉書・晋書にわたって伝があるんですね。
陸機好きなので、晋書の陸機陸雲伝も読んでみたいなー。

〔母さんのスープ〕
独行列伝　第七十一

　陸続、字は智初、会稽呉の人なり。
代々名族だった。幼いころ親を亡くし、郡の戸曹史（民戸、祠祀、農桑の官吏）に仕えた。飢饉が起こり、民は飢えに苦しんだ。

　太守の尹興は陸続に都亭で粥の炊き出しをさせた。陸続は民を点呼し、名前を尋ねた。終わってから尹興はどのくらいの人に配ったのかと聞いた。陸続は６００人余りの名前を挙げ、間違いはなかった。
尹興はこのことを評価した。

　その後楚王英が謀反した時、尹興に連座して投獄され拷問を受けたが、あくまで供述を翻すことは無かった。
獄吏が差し入れの羹（あつもの）を持ってきた。
陸続「母は決まって肉を四角く切ります。葱は一寸幅に切ります」
具の切り方から母の手製だと気付き、涙をこぼした。

★・・味で気づいたわけじゃないんですね。
料理マンガなら、主人公が陸続母の頼みで、故郷でしか手に入らない食材を集めてくるとかになりそう。

具の切り方から気づき・・って、葱なんか誰だってそのくらいの長さに切り分けますよね。
肉が真四角で葱もよっぽどきっちり切る人だったのかな？筒切りにした後縦に割ってあったとか？

一見泣かせる話ですが、突っ込み所がたくさんあって後からじわじわきます。
ご先祖様話の中で一番好きです。

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