Shionの部屋

2007/02/02
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カテゴリ: ▼ 私立中学受験
娘の私立中学の同じクラスの子のなかに、塾で「理科・社会」を勉強しないで4科受験にトライし、無事合格して入学してきた子がいます。

その子の場合はご両親が教育熱心であったことに加え、その子自身、本が大好きだったと聞きました。
その子の家は床が抜けるほど本だらけで、その子は小さい頃から何にでも興味を持ち、時間を忘れていろいろな本を読みふけっていたそうです。
また、ニュース番組や科学番組が大好きで、いつも自分からそのような番組にチャンネルを合わせ、釘付けで見ていた・・と聞きました。

受験の際には2科受験の学校を、と想定して勉強してきたそうなのですが、どうしてもトライしたい学校が6年生のときに見つかり、そこは4科受験しか選択肢がなかったため、一か八かで受験してみたところ、無事合格をいただいた、と言っていました。

受験の日、試験を終了させて戻ってきたお子さんに、親御さんが「理科社会はどうだった?」と心配して聞いたところ、「それほど難しくなかった。答えられないのもあったけど、まあまあ書いた。」と言っていたそうです。
親御さんに言わせると、「とにかくあの子は本を読むし、科学番組とかNHKの番組をよくみていて、色々なことを知っている。その蓄積で答えられることがけっこうあったようだ。」とのことでした。
今、その子はクラスでトップの成績を維持しています。

これは多少特殊な例だとは思いますが、その子が小さい頃からの、学ぶことへのご両親の考え、自然なサポートが蓄積して、受験の大きな手助けになったことは間違いないと言えるでしょう。

     *     *     *     *     *


子供の家庭学習に親が深く関わるとなると、親は自分自身の自由時間がかなり少なくなります。
また、子供の個性によっては勉強を教え込もうとする親を、次第にうっとうしく思い、親が期待するほど熱心に勉強してくれなくなるかも知れません。
だから私は、親の家庭学習への関わり方は、お互いマイナスにならないよう慎重にしなければいけないと思うし、塾も上手に利用すべきだと思っては、います。

しかし単なる机上の「家庭学習」と違って、こと家庭での「事前学習」ということとなると、その効果はすごく大きいと思うんです。

これは子供と一緒に机に座って勉強をみてあげる、という意味の家庭学習を意味するのではなく、「家庭教育」という言葉でくくられるべき、生活の自然な流れの中で教育のことです。
このことがどれだけ大切だったか、ということを、私は二人の子供たちの受験を終えて痛感しました。

中学受験というと、すぐに、「塾に、より小さい頃から預ければ大丈夫」と安心しがちです。
しかし低学年のときに、親によって豊富な体験やキメの細かい家庭教育を受けてきた子には、スタートの遅い早いということとは関係なく、底力という点で、とてもかなわないものがあるのです。

たとえば、理科の受験問題で出題される、

「冬の間、ケヤキの木の芽はどんなふうになっているのか」
「タンポポはどんな姿で冬を越しているのか」
「森の出口に生えている植物の特徴は?」

などの問題は、季節を問わずいかに外遊びをしたか、という経験の豊富さに加え、親がどれだけ子供の目線で一緒にものを見、その興味や疑問にきめ細かく対応したか・・ということを試されることでもあると思います。

夏は川で遊び、夜は星空を見上げ、季節ごとの主な星座の名前を、空を指差して教えてあげる・・

なにげないけど、季節が巡るあいだに子供と同じ目線で世界を見つめタイミングよく説明してあげることが、中学受験の大きな手助けになることを、私は身をもって実感しました。

じっさい、受験では、
「曲がって流れている川の、内側と外側ではどちらの流れが速いですか」
とか、
「冬の主な星座の名前を答え、正しい形のものを図から選びなさい」
なんて問題も、あります。

これらを全部、一からカタカナ言葉を覚えるように丸暗記していくのは大変骨が折れることですが、生活の中で「すでに知っている」ことであれば、あらためて労力をかけて覚え込む必要はありません。
たくさんのことを知っている子供にとって、このことはとても有利なショートカット(=近道)となるわけです。

私が娘の受験の際に反省したことの中に、「生物」の分野に関しての生活体験が乏しすぎた、ということがあります。
娘は息子に比べると物覚えが良く器用で聡明だったため、習いものが無駄に多く、そのスケジュールに追い立てられ、遊ぶ時間はいつもこま切れでした。
そのため上の子のように「時間を忘れて遊ぶ」という経験が少ないまま、低学年から6年生までを過ごしてしまいました。
下の子にとって、公園のすみに生えている雑草が冬、どんなふうに寒さに耐えて過ごしているかなんて、気が付くチャンスもじっくり観察するひまもなかったのです。

6年の後半、娘は塾の教科書に白黒で印刷された雑草の名前を必死に覚えようとしながら、

「この絵を見て名前を覚えても、実際の試験では違うイラストレーターが描いた、違う絵が出題されるんでしょう?こんなの覚えるなんて、無駄だよ。いつも違う人が問題の絵を描いているのに、誰かが描いた絵から植物の種類を判別するなんて、不可能だよ。」
と言いました。

私はこれを聞いて、たいへん驚きました。

というのも、田舎育ちの私からみれば、どんなイラストレーターが描いた、どんな角度のイラストであろうと、「ハコベ」は「ハコベ」であって、「ハハコグサ」や「ナズナ」と間違えるはずは無い、としか思えなかったからです。
私はこのとき、街の中に住み、庭も無い我が家に住む娘には、空き地の端っこで草摘みをする経験がもっと必要だったのだ、と思い知りました。

娘にとって雑草とは、「自分とは関わりの無い他人」でした。
娘には、イマジネーションによっておままごとができるような幼い頃に、それらの植物を摘み、名前を知り、「友達になっておく」という経験が必要だったのです。
私は、親である私がお膳立てした、習いものや塾のための多くの時間が、娘にとってとても大切な「ほんものの世界と出会うチャンス」を奪ってしまったのだ、と痛感しました。

また、同じ理由から、娘は兄と違い、水や砂とも仲良くなりきれなかったと思います。
そのことが算数の「立体」や「特殊算」の理解への苦労と直接繋がっている、と知ったのは、今更泥んこ遊びやブロック遊びには戻れない、高学年になってからのことでした。


     *     *    *    *    *

中学受験では、6年の最後の最後(6年生の10~11月頃)に、「時事問題」という分厚い本が塾から配られます。
それには、日本をはじめ世界各国のその年の動きが、各国のそれまでの歴史もまじえて、詳しく書かれています。

事件・事故。どんな国際会議がいつどこであったか。それは世界地図上ではどこなのか。
科学的には、どんな新発見があったか。それは何を解明して、将来何の役に立つのか。
ノーベル平和賞は誰がもらったか。それは、その人のどんな功績が評価されたからなのか。
国際紛争。新しい空港のオープン。新しく世界遺産に指定された場所・・

・・これらのすべての情報や相関関係を、6年の最後には正確な漢字表記とともに暗記しなければなりません。
その量は恐ろしいほどですが、これは今の中学受験問題を攻略するためには絶対避けて通れない必修分野なのです。
ですから、このころになっても「ハコベの絵なら、どこからどう描かれても判別できるよ!」と言い切れない状態であった場合、どれだけ受験が不利になるか、想像していただけると思います。

受験問題のなかには、ひとめ見て難しいと思われるものもあります。
しかし受験問題の多くが、「生活のなかにそのネタが転がっているもの」でもあるのです。
そしてそれら未知の世界と「友達になっておくチャンス」を見つけ、子供にその世界を見せておいてあげられるのは、その子の親をおいて、他には誰もいないのです。

前回に引き続き長くなりましたが、もし私に、

「低学年からの中学受験勉強で大切なことは?」

と聞かれたら、

「頭でっかちにならないよう、盲目にならないよう、世界に対して感動できるように、子供にチャンスを与えること。そして親が子供に対し、世界と学問との橋渡しになるよう、手助けすること。」

と答えると思います。


今でも私の心をちくっと刺す、痛い反省を含んだこの経験を、誰かが参考にして生かしてくれたらうれしく思います。







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Last updated  2007/02/04 07:23:16 PM
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すごいことを考えているんですね!  
左一  さん
>実際の試験では違うイラストレーターが描いた、違う絵が出題される・・・

テストや教科書のイラストは、あまり個性を出ないし、本質的な特徴を簡単にとらえているはずなので、判別不可能なことはないと思うんですけどねぇ。
まるっきり否定とは・・・大人なのか、子どもなのか・・・
実物を知らないと、知識の応用が出来ないってことなのかなぁ。
しかしすべてを経験できるわけでもないし、テスト用の知識が必ずしも生活とリンクしている訳も無く、でも将来役立つのは経験で得た知識だったりするし・・・むずかしいですねぇ。
それが些細なことだとしても、知識を得る可能性を自ら閉ざしてしまうことが一番恐いことなのかもしれません。
しおんさんの気づきが、今、がんばっている人に届きますように。 (2007/02/04 02:50:03 AM)

左一さん>  
しおんw  さん
>本質的な特徴を簡単にとらえているはず

確かにそうなんですが・・中学受験で範囲になる植物の種類が多すぎる&馴染みの無いものも多々ある、ってことが問題を難しくしているようです。
たとえば森の出口に生えている「クズ」というつる草は、イラストにすると「さつまいも」の葉と酷似しています。私は田舎育ちなので森の出口に生えている、という時点で「クズだろう」とピンとくるのですが、植物の植生に勘の無い娘の場合、酷似した平面状のイラストの特徴のみでなんとかしようと思ってしまうので、「覚えきれない」となるわけです。(娘はクズなんて一度も見たことないので、親しみという点では外国の植物と同じです)
覚えるにはその植物のプロフィールとペアで理解するのが一番なのですが、やはり立体として実物を知らないと、暗記しようにも頭に入らないようでした。(都道府県のマークなんかは、同じ白黒でも頭に入りましたが・・)

公立小学校の3割削減の教科書では、小学校1年のときに子供に教えてよい植物の名前の数は、3つだったかな?5つは無かったような・・。
つまり、「タンポポ」「チューリップ」「あさがお」と教えたら、もうそれ以上、教えなくていいんですよね。
発展的内容に取り組むクラスもあるでしょうが、サエのようにその3割削減の教科書が終らないようなクラスの子どもは、学校に預けているだけでは、子供は恐ろしいほど知識の無い子になってしまう可能性を、今の教科書は秘めているんです。
せめて日本のポピュラーな雑草&木々の名前を、ある程度教養として知っていないと、その他の植物の名前&プロフィールを追加で覚えるのはむずかしいみたいです。
(2007/02/04 01:42:14 PM)

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