フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2014年11月09日
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「アスリートとして、止めて欲しい」、昨日松岡修三氏ははっきりこう仰いました。私も全く同じことを思いましたし、羽生選手のファンの殆ども、或いはたまたまテレビを見ていただけの人でも、多くはそう思ったに違いありません。
けれども、羽生選手は演技をする事を選びました。私は身体中の震えが止まりませんでした。「感動」したのではありません。演技する事を選んだ羽生選手を「称賛」していたのでもありません。唯一つの事実、ごく当たり前の「事実」に改めて気づかされ、愕然とさせられたのです。ああこれが、「羽生結弦」なのだ、という事実に・・・

恐らく彼は「アスリートとして」演技されたのではないでしょう。否、「アスリート」であるなどという意識があったとしたなら、演技を止めることを選択されていたと思います。恐らくあの時の彼は「アスリート」などという次元を超越してしまっていたことでしょう。そこにいたのは一人の人間、「羽生結弦」であって、彼の中に渦巻く様々な想いが演技することを選ばせた、そう解釈するしかないように私は感じています。
彼を演技へと突き動かした想い、衝動というものは部外者である常人(一応・・)には理解しがたいものさえあります。誤解を招く表現かも知れませんが、ある種の「狂気」のようなもの、それが羽生選手に演技することを選ばせたとさえ言えるのかも知れません。実際「普通に」考えたら、あの状態で演技するなどということはあり得ないことだと思います。これが例えば4年間待ちに待った五輪の舞台だとか世界選手権の舞台だとかいうならまだ、分かります。けど、たかがグランプリシリーズの中の一試合でしかない訳です。しかも五輪の翌シーズン。五輪王者である彼が、どうして「そこまで」しなければならないのか?どうしてあんな状態でまで演技したいなどと思うのか?思わなければならないのか?
彼の直後に演技したコフトゥン選手のインタビュー記事によると、辺りは血だらけだったそうです。テレビではそこまで詳細には分かりませんでしたが、どうもこちらが想像していた以上の「惨状」だったようです。私が羽生選手だったなら、速攻病院へ連れて行って!演技?んなもん知らねーよ!とこうなる事は必定です。
なのに羽生選手ときたら・・いや案外、事故の当事者というものは冷静で、周囲の方が逆に色々ぶっ飛んでしまう、という所はあるかも知れません。実際演技後半の4回転をルッツに変更して来られたりして、あ~、意外と冷静なんだな、と感心させられたのですが。唯得点が出た後の彼の涙を見ていますと、いかに彼が「張り詰めて」おられたか、ということを痛感させられましたし、そこまでして何故?という思いをどうしても拭い去る事が出来ないのも事実です。
でも彼にとってはそれで当たり前だったのでしょうね。そこに山があるから登るという登山家と同じく、そこにリンクがあるから滑った、演技した、それだけの事だったのかも知れません。

これが「羽生結弦」なんだな・・私は今回嫌と言うほどその事を思い知らされたように感じています。彼は恐らく自身の全てを賭けてリンクに出ておられるのでしょう。全てを賭け、捧げておられるのでしょう。命を削って演技することに喜びを感じる、こういったレベルにまで行ってしまっておられるのかも知れません。これは最早フィギュアスケートを愛しているなどという次元を超えていると思います。狂気にも似た想いで「愛している」ということはあるかも知れませんが。そして私は羽生選手の生き様そのものに触れ、その余りの凄まじさに震えを覚えずにはいられなかった、という訳です。「凄まじい」、この言葉以外に思い付く言葉がありません。

追記・彼は色々なCMにも出ておられるようですし、スポンサーへの配慮とか責任とか、そういう事情も勿論あるでしょう。応援してくれるファンの為に、という思いも勿論おありだったことでしょう。そういった諸々の事情はあるのでしょうが、それでも私は今回の羽生選手にはある種の「狂気」を見たと感じました。唯誤解して頂きたくないのですが、私はこの「狂気」という言葉に「称賛」の意味をも込めて使用しています。狂気=否定されるべきもの、などという単純な見方はしておりませんので、悪しからずご了承ください。






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最終更新日  2014年11月10日 04時12分09秒
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