トーマス氏は中国の軍事力増強に関し「世界の国々ほど透明性を保とうとしていないことを懸念している」と指摘した。同時に、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席ら首脳や閣僚などの協議が行われているとして、「米中間には緊張感があるが、コミュニケーションを取って合意できる共通点を見つけることが重要だという考えもある」と述べた。
第7艦隊は西太平洋・インド洋を担当している。トーマス氏はロシアのウクライナ侵攻にも「注意を払っている」と強調。「ロシアは大国で、太平洋側にも艦隊がある。警戒態勢を取っており、太平洋でロシアの艦隊を監視する能力には自信がある」と語った。
そのうえで、中露や北への対応に関し、「肝心なのは抑止力だ」と指摘。第7艦隊や海兵隊、沖縄を拠点とする第3海兵遠征軍(ⅢMEF)が同盟国やパートナー国と協力関係を強化することが「われわれの戦略の一つだ」と語った。
日本については「中国に近接し、非常に有能な軍隊(自衛隊)を持ち、この地域全体に必要な指導的役割を果たすことができる」と期待を示した。日米同盟が「今日ほど緊密であるのを見たことがない」と強調。4月に海上自衛隊と日本海で行った日米共同訓練に触れ、「日常的に緊密に連携を取っていることを非常にうれしく思う」と語った。
また、自衛艦隊司令官の湯浅秀樹海将の名を挙げ、「定期的に話している。一緒に仕事をするときはすがすがしい気分だ」と語った。
トーマス氏は、日本近海で訓練を行ったエーブラハム・リンカーンに乗艦中の4月23日にインタビューに応じた。(岡田美月)
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カール・トーマス米海軍中将 米東部バージニア州出身。1986年、米レンセラー工科大の予備役将校訓練課程(ROTC)修了。E2C早期警戒機のパイロットに従事。イラク戦争などを指揮した。原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする第5空母打撃群を指揮下に置く第70任務部隊司令官などを歴任。2021年7月から現職。
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