羊の墓場

羊の墓場

2008.07.04
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妖精でいつづけることに
いったい何の意味があろうか.
疑わないこと,絶対の信頼の上での悪戯
それは物心のつく頃には既に私の内には無かった.
たとえば私も妖精の一人だったことがあるとして
ではなぜ私もまた人間の一人になったのか.

信じられなかったからだ.
親も社会も私自身も.
彼らは(私は)正しいのか.あの状況で,この状況で.
全ての価値が揺れ動いて,正しさの規範,最も確かなものを捜した.
私は疑った.疑っていた.物心というのは疑念のことだった.
恐怖であり,嫌悪であり,悲哀であり,愛着だった.
それらは憎悪の土壌になった.
そして憎悪を見つめ続けて,その渦の中心に私は愛情を見つけた.
愛情と名付けようと私に望ませたものがそこに在った.

私は妖精を嫌っている.ほぼ憎んでいるし哀れんでいる.
なぜなら彼らは何も持っていない.
思考の無い満ち足りた楽園に私の愛は存在しなかった.
この世には全ての苦しみが在るからこそ全ての歓びがある.
妖精は何も持っていない.
だから我々の優越感を刺激する.厚意の鎧を纏い,しかし
同時に願わせる.見るに堪えない,損失だ,直ぐさま人間になれ.
私は妖精を憐れんでいる.見たくないし居た堪れない.
彼らは何も持っていない.
ただ痛々しさだけがそこに在る.





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Last updated  2008.08.29 02:02:48
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