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「全てにこだわって究極の911を作る。」というSinger Porscheに興味を持っておられる方も多いと思います。930モデルに対する郷愁と忘れられないFun to drive、それにアンダーからオーバーステアへの急激な荷重変化に関する恐怖感・・・。値段はともかくとして、これらがSinger Porscheではどうなっているのでしょうか?2024年からディーラーになったCORNES主催の試乗会に行ってきましたので、参考にしていただければ有難いです。場所はジムカーナなどでよく使われる泉大津のフェニックス。今回紹介されたモデルは「クラシック・ターボ」と呼ばれ、1970年代の930ターボと934/5レーサーを各々オマージュした注文生産のカスタマイズド・モデルです。両車とも日本初上陸で、前日は千葉のMAGARIKAWAで同様の試乗会を開催。今回紹介されたモデルはあくまでも個別注文生産のベースとなる基本仕様車ですが、ざっと見た感じは、まさに1970年代にタイムスリップした印象です。私にとっては、18年間乗っていた1987年製のRUF BTR3.4と再会したような思いでした。フロントの「シャーク・フィン(1971年の917以来の呼び方です)」スポイラーとボンネット中央の給油口が930ターボとの違いを強調しています。RUF BTR3.4の比較参考写真です。当時は「京」ナンバーを継続するため、名義はイシダエンジニアリングの石田長造社長のまま、使用者だけを車庫証明用に変更して乗っていました。女房にも「買ったのではなく、ぜひ乗ってみてくれと言われて借りてきた。」と説明して・・。RUFフロントスポイラーはかなり効果的でしたが、それでも220-230km/hを超えた当たりからステアリングが軽くなり不気味でした。車体はドアとピラーの一部を除き、全てカーボン製です。リアフェンダーのマットガード部分は単なるデカールではなく、エアインテークに改造されています。車体のターボ・デカールが懐かしいです。サスは聞いたところ、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがセミトレとのことでしたので、964のままです。逆に993をベースにすると、マルチリンクになって、カスタマイズが困難になるので敬遠した可能性もあります。ホイールは一見、16インチの純正フックス・アロイホイールに見えますが、BBSの特注品でリムの拡大でインチアップされています。ブレーキはブレンボのキャリパーとカーボンセラミックのローターだそうですが、冷却が苦しそうです。タイヤはさすがにピレリPZEROとは行かず、ミシュランのパイロットスポーツ4Sでサイズはフロント224/40、リア265/40でした。リアから見ると、ウィング下のエアアウトレットやリアバンパーゴム以外は殆ど930ターボと変わりません。なお、カーボンボディは注文時に自由にタルガトップタイプや大型ウィングの選択ができるとのことです。こちらは1976年、1977年にルマンで総合優勝したシルエットフォーミュラと呼ばれるグループ5の934と935を彷彿させる934/5ターボのレーサータイプモデルです。もちろん、個別注文でフラットノーズ化することも可能でしょう。シルバーのマルティーニカラーにすれば、まさにジャッキー・イクスの気分になれそうです。クレーマーカラーにするのもいいかも。カーボンボディの形状もしっかりチリが合っていて、細部へのこだわりを感じさせます。エンジンはまだプロトタイプの段階とのことで、見せてもらえませんでした。リアカウル、ハイマウントウィングの作りも非常にしっかりしていました。ドアノブ後方の丸いキャップは何か聞くのを忘れました。リアから見ると、レーサータイプとは言え、ベース車のシャーシ構造を踏襲する形で製作されているのが、よく分かります。基本的に今回の「クラシック・ターボ」は、オーナーがベース車の964(修復歴がなければ、距離が出ていてもNA車でもPDKでも可)を日本で調達し、カリフォルニアのシンガーではシャーシ、エンジンブロック(クランクケース)、ドアのみを使ってカーボンボディに換装、パワートレインも注文製作し、完成車を日本に送り返して車検はCORNESが改造申請のうえ、取得する方法で検討中のようです。Singerのモデルがなぜ964をベースにしているかを聞いたところ、1989-1994年に56,00台も販売され、2009年の設立時には安価で容易に調達できたからだそうです。エアコンも964から効くようになっているので、日本人としてはうれしい点です。ただ、964と言えどもその後の「ポルシェ・バブル」で安くありません。写真のカーセンサーの広告はざっと探して最も安かった出品例です。2012年のカレラPDKで754万円という出品例がありましたので、993の方が安いくらいです。934/5ターボのレーサータイプモデルの車内。レーサータイプモデルとは言え、展示車は運転席のロールケージがないので、乗り降りは非常にスムースで座った感じもかなりゆとりがありました。ドアは964のオリジナル外板パネルを使っているので、軽くありません。レーサータイプモデルですが、メーターは見慣れた5連を現代化。配置順も同じですが、クラシックタイプと2種類から選べるそうです。スピードメーターは外周がマイル表示、内周がキロ表示で220マイル、350kmまで刻まれています。ドアも鉄板むき出しではなく、内装パネルが付いていて、ウィンドジェネレータのハンドルがなぜか新鮮に見えます。ドアグリップは赤ではなく黒のストライプでRSをオマージュしていますが、初めはポリカネイトウィンドウを落とすストライプかと勘違いしました。ウィンドウは多少薄いかも知れませんがガラスのままです。Singerの正式社名は「シンガー・ヴィークル・デザイン社」で、ポルシェAGとの資本関係や技術提携はなく、完全な受注生産型によりポルシェ911の「レストアとリイマジン」を行っており、オーナーとの「コラボレーション」を盛んに強調しています。2009年にカリフォルニアで設立されて以来、2024年2月には延べ300台の販売実績を達成したそうです。2022年のGoodwood Speed Festivalに参加して一躍有名になり、この2年間で売上は倍増し、ファクトリーを新設したようです。写真は恐らく新ファクトリーでの集合写真でしょう。開発生産は全てを車内で賄うのではなく、エンジンはMezger社、電子制御はBOSH社というように専門メーカーの協力を得ています。日本にSingerが知られたのは、2023年11月にニュースリリースされたこの911ナロータイプ(クラシック・スタディというモデル名で450台の限定販売車)が最初でした。964カレラベースなので、車幅は若干広いはずですが、ほとんど違和感がありません。現車はコレクターのオーナーが永三(ユンサン) MOTORS社経由で発注したもので、納期2年、価格8,000万円とのことで話題になりました。すでに完売し、現在は同ナロータイプの受注は受けていないそうです。おなじみの5連メーターと言いたいところですが、全てリメイクされたメーターです。電球色の古臭さはありません。車内もシフトやキックボードを除いてそれほど、目立った違いはなく、ナローの雰囲気を強く残しています。ラジオのように見えるのも真ん中がモニタースクリーンで、ナビやエンタテイメント系を充実させたレストモットが施されています。964のエンジンをベースにモディファイされた4L NAエンジン。日本の改造車検に適合するため、エアファンネルではなく、独自形状のインダクションボックスとエアフィルターを装着し、フラットシックスの形状がより洗練された形で楽しめます。いよいよ、クラシック・ターボの試乗です。当日11:30からの予約でしたが、CORNESのご厚意で10時過ぎから一番目に乗せてもらいました。約400mほどのストレートとジムカーナ的なパイロン設置のコースを最初はSingerのテストドライバーの運転で同乗し、次に一人2周運転することになっていましたが、特別に3周走らせてもらいました。車内はナローモデル「クラシックスタディ」以上に見慣れたダッシュボードとステアリング、5連メーターで拍子抜けしました。エンジン音はノーマルより非常に野太い音色で、吹き上がりもターボを感じさせないシャープさがあり、ポルシェ好きにはたまりません。マニュアルシフトは6速で、RUFの5速、930ターボの当初4速より、進化が見られます。と言うか、走らせてみていきなり2回連続でストールさせてしまい、高回転型でパワーバンドが各々3,000rpm幅くらいでとても狭いのにびっくりしました。RUFも930ターボに比べ、高回転型にチューニングされていましたが、低速トルクも太く街中でも乗りやすかったですが、シンガーはさらに尖らせてあり、6速の理由が分かりました。1-2速ではスロットルを踏んでもすぐ頭打ちしてしまい、加速しません。3-4速に入れて初めてそれらしくダッシュします。あのじゃじゃ馬バイク、カワサキのマッハⅢを思い出しました。私は試乗1番目だったのでインストラクション通り、コース上の所定の停車位置2か所で一旦停止していましたが、後続の試乗者の方々は停止せずに3-4速のまま、周回していました。当然ですね。私はおまけの3周目でやっと強いクセに慣れてリズムに乗ってきた次第で、本当はあと2周くらい走りたかったです。ともかく、低速のトルクがないので、市街地走行はシフトチェンジに忙しく、結構大変かと感じました。それに反し、トラクションコントロールはかなり高次元で制御されており、パイロンを廻る時もかなりスロットルを踏み込みましたが、ブレークする気配はなく、電子デフによる左右ドライブへのトルク配分が完璧な感じでした。ロールも殆どなく、ニュートラルステアのまま、ゴーカートのように旋回する安定した挙動には非常に驚きました。時代の違いもありますが、操安性ではRUFを完全に凌駕しています。今回の試乗で確認できた最大の成果と思います。エンジンは964のブロックを使って(エンジン番号を継承して)、ボア、ストロークとも修正した3.8Lツインターボで、934/5ターボのレースモデルタイプでは吸気を左右のリアサイドガラスに設けたエアインテークから行います。934/5ターボのレースモデルタイプのエアインテークです。最後に価格のお話です。余りに高いので、聞き間違いかとSingerのテストドライバー、CORNESの営業責任者の両方に確認しました。「クラシック・ターボ」のうち、930ターボ風のツーリングモデルは注文仕様にもよりますが、ベース車の964を別にして「100万ドルから」で、円でもドルでも支払い可能だそうですが、964の調達コストや税金、運賃、車検などを入れると2億円にはなるそうです。また、934/5風のレーシングモデルは注文仕様にもよりますが、ベース車の964を別にして、「300万ドルから」で、同じく円でもドルでも支払い可能だそうですが、964の調達コストや税金、運賃、車検などを入れると5億円にはなるそうです。外観と性能をにらみながら、この価格を高いとみるか、妥当とみるか、個人の好みと財力で分かれるところですが、今回はいい勉強をさせていただいたというのが率直な印象です。991.2のGT2RSやGT3RS、RUFのCTR3も何だか安く感じてきました(笑)。皆さんはいかがですか。ブログの閲覧数が40,000件を超えており、他のテーマもご笑覧下さい。・なぜ、ポルシェGT3、GT3RSを買わないか https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202406160000/・その他クルマテーマ https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.09.22
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アルピーヌA110は私にとって因縁極まりない名車です。別稿の「買わなかった2台の名車」で記載の通り、初代A110に関しては相当の紆余曲折がありました。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402210002/さらに、「窮屈すぎて攻められない」という結論で未練を断ち切っていたところに、何と二代目A110が登場!早速、A110リネージとA110Sを試乗し、特にA110Sでは3時間ほど六甲山を自由に攻めることができました。わずか300psでデュアルクラッチ以外、電子制御がないにも関わらず、1,100kg前後の軽さを武器にした絶妙なトラクションコントロールに深い感銘を受けたのでした。ポルシェ911 73RS以来の印象で、ここまでは別稿で記述しました。その後、フェラーリ488ピスタと296GTB以外の日常の足として、アウディ「8J(二代目))」TTクーペRSを使い、高いスポーツ性とリアハッチで長尺荷物もたっぷり詰める利便性が両立しているので随分重宝してきましたが、A110の動向は横目でじっと睨み続けておりました。そのうち大幅な価格改訂があって、軒並み1,000万円オーバーになりました。A110Sではマイナーチェンジに伴い、カーボンルーフ以外のノーマルアルミルーフも標準仕様として加わり、大好きなフレンチブルー1色の車体が選定可能になりました。また、サーキット走行専用とも言えるA110R TURINI(チュリーニ)がラインナップに加わって限定販売されるに至り、またまた本格的な購入検討をすることになりました。A110Rの限定販売は目下3回目の受注が2024/9/17締切りで受付中であり、自分なりの結論を出したので皆さんにご報告させていただきます。新車納車待ちでディーラーの整備スペースに並んでいたA110SとA110Rです。ショールームにあったA110Sです。個人的にはこのフレンチブルーが一番好きです。A110Sのサイドビューです。リアエンジンミッドシップを目指したので、ホイールベースは全長4.2mに対し、何と2.42mもあります。六甲山に試乗に行った時にUターンしようとして最小回転半径が5.8mと大きいのにびっくりした記憶があります。現オーナーに聞いても「狭い駐車場に停めるのは苦手」とのことでした。二代目A110はこの角度から見るのが先代のイメージに最も近いでしょう。フランスでは先代のオマージュとして、ボンネットクランプやセンターモールの貼り付け社外パーツがあるそうです。CIBIEのスーパーオスカーを付けているマニアもきっといるでしょうね。A110はリアからの姿も流麗と感じます。ただ、エンジンは見えません。敢えて見ようとすれば、まず、トランクルームを開けて3個のボルトを外したうえ、さらにリアゲートを開けて6個のボルトを外し、トノカバーを取り外す必要があります。エンジン自体は興味をそそる眺めでもないので、やはり観賞用ではなく、点検保守用でしょう。A110の現オーナーによると、コックピットはルノーの他モデルと全く同じだそうです。そうだとしてもレジェンド用を流用したような初代NSXでの違和感に比べると失望感はありません。いずれにせよ、コンソールが奥にあるのと、ドアの開口幅が広いので、バケットシートに関わらず、乗り降りは非常に楽です。先代の難航苦行の着席儀式とはエライ違いです。オーバー1,000万円のモデルと思うと文句を言いたくなるのは次の2点です。1.パドルがステアリングと連動して動かない。デュアルミッションによるキックダウンはそれほどスムースとは思えないので、ハード走行ではパドルの補助がかなり必要にも関わらず、手抜きとしか思えません。ただ、レバーは上端が比較的長いとは言え、レバーの上端、下端がさらに長い交換用の社外パーツもあるそうです。2.ナビの機能が貧弱独自のナビ機能を搭載せず、iPhone/アンドロイドのスマホとリンクさせてディスプレイに表示させる機構のため、反応が遅く、使いモノにならないようです。現オーナーも「曲がってから曲がる表示が出る」と怒っていて、別のナビを付けていました。こういう弱点は買う前にはほとんど分からず、買ってから不満が募ってくるので後味が悪いです。自動車雑誌は礼賛ばかりでなぜ何も書かないのでしょうか?ストレートアームのポジションを取っても余裕があります。ステアリングがFF車のように少々寝ているのが気になりますが、乗り降りは逆に楽です。助手席に荷物を置くことを想定し、最大限後方にすらして傾けた状態です。やはり長尺モノは搭載できないです。乗り降りや仮眠程度など、ゆったりしています。シートの裏側は荷物の収納スペースとしては期待できません。日常の利便性の点では、フロントのラゲッジスペースは間口の大きさはいいとしても浅いので、現オーナーによれば、「ハードケースは厳しく、布製バックなどに限られる」そうです。リアのトランクは開口幅に比べて左右が奥深いので、思ったより広いでしょうが、こちらも浅いのが難点です。また現オーナーによると「リアトランクはかなり熱を帯びるので冷蔵品などは置けない。」とのことでした。あのロータスヨーロッパのリアトランクを思い出しました(笑)。今回のマイナーチェンジでグレード名のエンブレムが追加されました。簡単に整理すると、A110ピュア→A110 252ps リクライニングシート 1120kg A110リネージ→A110GT 300ps リクライニングシート 1130kg 3A110S→A110S 300ps バケットシート 1120kgA110R TURINI→新規限定販売 300ps レーシングバケットシート 1086kg(フルカーボンオプション時)浅いですが、左右幅はあります。A110Rです。この角度から見ると、オーラを感じさせる凄味があります。このA110Rのオーナーはカーボンパーツとの色の調和を考えて、ダークブルーを選んだそうです。A110Rのカーボン製パーツの象徴のように目を引くのがボンネットです。コストも考えて平織のウェットカーボンのようで余り厚みはありません。エアアウトレットのような造形は魅力的ですが、恐らくこのような成型を入れないと現状の厚みでは200km/h以上の高速で歪んでくると思います。A110Rのカーボンパーツで最も問題になるリアフードです。リアガラスがなくなったせいか、着座すると穴ぐらにいるような雰囲気で、室内にバックミラーがないことにも驚きました。フロントスリッターからボンネット、ルーフ、リアフード、ウィング、ディフューザーとカーボンパーツが続くので、ホワイトなどの明るい車体色ではかなり分断された印象を受けるように感じます。個人的な好みもありますが、A110RではA110の優雅なボディラインの魅力がなくなったと言えるかも知れません。ツールドコルス75 世界限定150台でもリアガラス(プロキシ?)は残していたので、かなりの割り切りと言えます。A110Rのぢフューザーは後方に伸びているので、A110Sより全長で2cmほど長くなっています。A110Rのスワンネックマウントのウィングです。991.2の911GT3RSを彷彿させます。A110Rのマイクロファイバー製レーシングバケットシートはA110Sに比べて深く曲がっていて、ショルダーパットの張り出しが大きいので、A110Sのように乗り降りは容易ではありません。また、サベルトのハーネスベルトは股下に1本の5点式よりさらに両ひざを固定する6点式になっており、リリースはセンターホルダーを押すだけのワンタッチですが、装着はかなり面倒です。助手席に荷物を置く時もベルトがかさばって荷物が落ち着かない印象でした。ともかく、サーキット走行前提なので、当たり前ですが日常の利便性は大きく損なわれているようです。A110Rの見積書です。今回の3回目限定販売は2024/9/17で1か月の受注期間が終了しますが、納期は2025年4-5月だそうです。次の4回目の受注期間はまた設定されるそうですが、具体的には未定です。支払い総額では、A110Rの17,269千円に対し、A110Sは13,199千円と4,070千円の差があります。この差額で得られるものは何か?●エンジンはターボチャージャー付4気筒、DOHC16バルブ1800CCで同じ。 両車とも300ps/6300rpm、340Nm/2400rpmです。●車高はA110R専用シャーシのため、A110Sより1cm低いです。さらにアジャスタブルダンバーにより1mm単位で車高をさらに1cm落とせるようです。この差が運動性能にどこまで影響するのか、私には分かりません。●重量はA110Sの1,120kgに対し、A110Rは1100kgの登録ではあるが、厳密には1086kgになるとのこと。ただし、これはカーボンホイールを装着したフルオプション状態値であり、自動車雑誌では軽さの賛美のみで、カーボンホイールは破損時即交換の必要があり、タイヤ交換はディーラーとBOND大阪、東京くらいしか応じてくれないという不便さを認識されているのでしょうか。上辺だけの紹介記事にはいつも腹立たしく感じています。●最高速度はA110Sのノーマルが260km/h、エアロパーツ装着で275km/h、A110Rは284kmだそうですが、この辺りの速度領域になると到達タイムが問題になります。FISCOの周回でも1.5kmのストレートでそこまで出ないと思います。本来、中高速でハンドリングを楽しむクルマです。いくらカーボンで軽くしてもトルクがないので加速力には明確な限界があります。同じような軽量化チューニング志向のポルシェ911GT3RSでも第1コーナー前で280-290km/hくらいです。●0→100km/hタイムはベースのA110の4,5秒に対し、A110Sは4.2秒、A110Rは4.0秒です。因みにフェラーリ488ピスタや296GTBは2.9秒で、458が3.4秒、ポルシェ911GT3RSは3.3秒です。私は以上を総合して、結局A110Rはパスすることにしました。A110Sの見積書です。ルーフは車体色をフレンチブルーメタリック1色仕上げにしたかったので、カーボンではなく、標準のアルミです。ほかのオプションはブレーキキャリパーの黄色のみで、フロントスリッターやリアウィングのようなエアロパーツは外観のエレガンスを保つために追加していません。なお、カタログによると、エアロパーツを装着すると最高速度が260km/hから275km/hに向上するそうですが、300ps、340Nmでは到達するのに20秒近くかかるでしょうから、あまり意味があるとも思えません。納期は受注後7-8か月だそうです。今契約したとすれば、A110Rと大差ありません。ローンプランです。3年後、4年後、5年後の残価設定は保証ではなく、単なる最終返済額の設定目安に過ぎません。それでも残価率は本体価格A110R 15,865千円、A110S 11,965千円に対して、3年後で50%、4年後で40%、5年後で30%と高くありません。因みにフェラーリの場合、保証ではない設定目安の残価率は5年後で55%です。アルピーヌジャパンは日産グループの新車販売会社なので、独自に中古車販売はしておらず、認定中古車もありません。そのため、中古車の買取価格を維持しようという動機もなく、営業責任者からは比較的高く買い取ってくれる板金修理ショップを紹介すると言われました。A110RやA110Sのカーセンサーなどでの相場価格は希少人気車種ということで比較的高くはなるでしょうが、ディーラーの中古車市場での価格支配力が弱いので買取価格は同じペースでは高くならず、A110Rだからと言って、フェラーリのような底固い資産価値や転売プレミアムは期待できないと思います。現在、最終の発注をどうするか、具体的には5年後の買取価格をもう少し調べて、5年間乗るとした時の売買差額がどうなるか、詰めているところです。元々の販売価格が高すぎるという疑念は今も持っています。現オーナーや既に発注された方々からコメントをいただけると助かります。よろしくお願いいたします。ブログは閲覧数が40,000件を超えて、クルマに関して色々投稿しておりますので、ご笑覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.09.17
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皆さん、遅ればせながら、マイケル・マン監督、アダム・ドライバー主演の映画「Ferrari」を観てきました。エンツオ・フェラーリが人生で公私にわたって最も苦境にあった激動の1957年を切り取って、彼の情熱と狂気に満ちた人生を描いています。マセラティとの競争に押されて経営危機に陥り、フォードやフィアットからの圧力に耐えながら、ミッレミリア1000マイルレースでの勝利で起死回生を狙う一方で、愛愛の息子ディーノを1956年に難病で失い、ギクシャクする妻であり共同経営者でもあるラウラとの確執が高まり、婚外子ピエロを設けた愛人リナからは認知を求められたうえ、二人の関係がラウラの知るところとなる・・・。まさに一寸先も見えない八方ふさがりにも近い窮地を切り抜けるエンツオのしたたかさに感心する一方、よく出来たクラシックレーサー533F2や315S、335Sのレプリカによるけたたましい爆音や迫力あるレース/事故シーンにフェラスタとしてはたまらない興奮を感じました。フェラーリ社の全面協力を得て撮影されており、実際に現在のフェラーリ社副会長であるピエロ・フェラーリはカンヌの映画祭やイギリスのプレミアム公開の場にも登場しています。1978年の本妻ラウラの死後、エンツオの認知を受けたピエロ・フェラーリは現在、副会長として君臨しています。この映画は後継者としての自らの正当性を公にアピールする絶好の機会になったことでしょう。1987年の創業40周年ころのピエロとエンツオの親子です。出来上がってきたF40のBBR?製1/12ミニカーを一緒に見入っている様子。エンツオ・フェラーリとライラです。1955-1956年ころ、フェラーリはマセラティと互いの優劣を決するため、モンツアのサーキットベストラップタイムで競い合っていた。販売で劣勢にあったフェラーリは1957年のミッレミリア1000マイルレースでの勝利による挽回を図ります。エンツオはファクトリーに指示。エンツオは315Sとボアアップした355Sを出場させることにして必勝を期します。次々スタートして行きます。実車を3Dスキャンで型取りしたFRP製のレプリカですが、フェラーリ社の全面協力を得て迫真の仕上がり。事故シーンで使われた2台は損壊のリアル感を出すためアルミ叩き出しボディだったそうです。せめぎ合いのレースシーンがかなりの迫力があります。トラクションコントロールの効いていない危なっかしさにNA V12エンジンのエキゾーストノートが加わってアドレナリンがドンドン出る感じです。日本は朝鮮動乱の特需でやっと戦後復興の軌道に乗りつつあった時期に、同じ敗戦国のイタリアはよくこんなレースをやっていたと感心するばかり。フェラーリは結果的に勝利しますが、4位を走っていたボルターゴのドライブする335Sが観客13人を巻き込んで15人が死亡するという悲劇的な事故を起こし、責任を追及されます。しかし、エンツオは路上の落下物を踏んだことによるタイヤバーストが原因と反証し、追及を免れます。ただ、これを機にスピードレースとしてのミッレミリアは永久に廃止され、現在のようなタイムラリー形式に変更されることになりました。全24ページのパンフレットが館内で販売されていました。税込み880円でお手頃でした。なお、メイキング動画もネットにありますので、ご覧ください。https://bunshun.jp/articles/-/71812 クルマ好きなら、見逃せない映画ですので、まだの方はぜひどうぞ。閲覧数が36,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.07.16
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フェラーリ296GTBアセットフィオラノを購入して1年経過し、次の別稿でその実力を評価してきました。「Future Best Ferrari 296GT」https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402170001/「フェラーリ296GTB サーキットで実力チェック」https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404190000/今回さらに2024年6-7月に北海道から東北にかけて2600kmのロングドライブに行きましたので、その結果をご報告します。1.コース概要 兵庫県の自宅から出発、舞鶴から小樽まで新日本海フェリーを利用、十勝などの道央を回ってニセコ、大沼、函館など道南を経て、津軽海峡フェリーで青森に移動。東北では十和田湖、奥入瀬渓谷、八幡平、盛岡、秋田を回って、帰路は日本海沿いに北陸道等を自走して戻りました。全長2600km。アセットフィオラノにはフロントリフティング機能がありませんが、車検の最低必要地上高19cmは確保されているので、外洋大型船の新日本海フェリーにもトラブルなく乗船できました。大雪山道路は北海道を初めて走った時に最も感激した登山ロードです。白樺の原生林の中を緩やかなコーナーを挟んで直線的なハイスピードコースが三国峠まで続きます。トルク勝負の道なので296GTのジェット戦闘機加速を2往復して思う存分堪能できました。この道を走るのは7回目、25往復くらいですが、今回初めてエゾ鹿と遭遇しました。道内では牛並みに大きいエゾ鹿と衝突して死亡事故まで起こっていますので、センターライン寄りを走るようにして下さい。鹿が出てきて止まれなかったら、鹿の後尾側に避けて下さい。本能からでしょうか、鹿は後戻りしません。ニセコパノラマラインは北海道ではハイスピードコーナーが続く屈指のワインディングロードです。北海道は夏の夜明けが4時過ぎで、ホテルの朝食前に往復約100kmを余裕で攻めることができました。別稿「296GTBサーキットで実力チェック」でも記載しましたが、8速デュアルミッションのチューニングが秀逸で、特に下りのワインディングコーナーでのキックダウンはブレーキの踏み加減だけで思いのまま!3速で70km/h、4速で85km/hくらいまでホールドしてくれるので、次のコーナー立上がりでの加速に非常にスムースにつながります。ローマではキックダウンの味付けがエンジン回転を上げないよう、5速落ちまでなので随分ストレスが溜まりました。296GTのこの絶妙なデュアルミッションの味付けはFun to driveの中核を成すモノです。「懐かしのダブルクラッチ」を「あなたに代わってあなた以上に」瞬時にやってくれます。ドライバーはハンドリングとブレーキングに集中でき、エキゾーストサウンドに酔い痴れます。進化したトラクションコントロールと相まってコーナリングスピードへの貢献も大きく、下りのワインディングが苦手なリッターバイクやポルシェ911とは異次元の差があります。3年前に同じく早朝に458で走った写真です。走る楽しさは296GTBとは別モノでした。高低差、岩内からの北側で800m、ニセコの南側で600mを強く感じながら、パドル操作で高回転型NAエンジンの回転を維持してコーナーを切り抜けてゆく楽しさです。それに対し、296GTBでは高低差をほとんど感じさせないトルク型ツインターボエンジン+モーターと絶妙な自動変速を可能にするデュアルクラッチの組み合わせで今にも飛んでいきそうなジェット戦闘機加速を堪能できる楽しさです。速度だけでは20%くらい、差がありますが、どちらも官能的です。週末は9時ころからバイクが多くなり(関東、関西に比べると全く少ないですが)、左カーブではリーンインで攻めてくるバイクと接近するので注意してください。道南の活火山恵山(えさん)は絶景ラインのひとつとしてお薦めです。函館からのR278は荒々しい太平洋岸を走るので、遠い納沙布岬や襟裳岬まで行けない方にも北海道らしい雰囲気が味わえます。アセットフィオラノはフロントリフティング機能がありませんが、近海中型船の津軽海峡フェリーにもトラブルなく乗船できました。ただし、乗船前に「低床車」として接触事故があった場合の自己責任「誓約書」を提出する必要があります。新日本海フェリーでも7-8年前まで提出していましたが、現在は不要です。奥入瀬渓谷を通る十和田ゴールドラインは景色も素晴らしいですが、早朝など木漏れ日の続く軽いワインディングをハイスピードで抜けるとかなり痛快です。細かい高低差がありますが、スポーツモードで中速走行してもフロントは全く接触しません。八幡平エスピーテラインは東北で最も楽しめる高速ワインディングロードであり、箱根のターンパイクを彷彿させます。296GTの圧倒的なトルクの太さを実証できる高速コーナーの連続が溜まりません。上りも下りも楽しめます。ロールがなく、常にグリップ走行をキープする操安性の高さも再認識しました。2.全体結果 2,600kmは高速1,600km、一般路1,000kmの割合で、原則全てハイブリッドモードで走行。例外はドライブモードは真剣にチャレンジした八幡平アスピーテラインの往復100kmのみです。充電は走行のみに依存し、フェリー内や宿泊先での駐車時の充電は行っていません。その結果、エンジン走行は68%、モーター走行は32%でした。平均燃費は9.8km/Lで、昨年北海道をローマで2,200km走行した際の平均燃費10.5km/Lと比べても中々健闘していると思います。燃料タンクは65Lと小さめですので、フェラーリとはいえ、うれしいところです。マネッティは私の場合、常時RACEポジションを選択していますが、今回の場合、アスファルト修復痕が多い一般舗装路が東北地方を中心に多く、アセットフィオラノでは路面からの突き上げが不快に感じたので、ドライブの途中から一般路ではSPORTSポジションで走行するようにしました。その結果、全体ではRACEポジション 71%、SPORTS 29%となりました。SPORTSポジションにするとチタンのスプリング弾性は変わりませんが、サスのダンバーが電子制御で若干柔らかくなり、488ピスタのRACEポジションでバンピー路面用のサスペンションモードを選択した場合(296にはこの機能はありません)とほぼ同じ乗り心地になります。それでもほとんどロールしない特性はピスタ同様にしっかり維持されており、全く不満はありませんでした。私にとっては目からうろこの新たな選択肢が増えた印象です。アセットフィオラノオプションを選んでよかったと改めて確信しました。もちろん、リセールバリューも考えてのうえですが、ハードに運転して楽しくなければ元も子もありません。一般に乗り心地をよくしようとすると、ローマや488GTのようにロールが大きくなって、ステアリングのダイレクト感がなくなりがちですが、GTカーならいざ知らず、パーフォーマンスカーとしては絶対好ましくありません。3.ハイブリッドモード今回は10泊11日の間、宿泊地での駐車時の充電は一切しませんでしたが、朝出発時にモーターで始動できなかったのは1回だけでした。前日の宿泊駐車前に意識して、ハイブリッドモードで「Charge」を選択してエンジン走行中に充電を促進しておく必要もなく、モーター⇔エンジンの相互転換は終始スムースでした。一度だけ、モーターで始動できなかった朝の時の状態です。メーターの下側にバッテリー残量は0、eDriveは不可のサインが出ています。もちろん、写真のようにエンジンで始動できました。アイドリングが1,200rpmと高めですが、ツインターボはすでに800rpm前後から効いています。ターボメーターもありませんし、「ターボラグ」はもはや死語になりました。ナビの目的地を郊外に設定すると、上記のようなコーションメッセージが出ますが、無視して構いません。モーターONLYのEVではないので。エンジンで走行中の充電に関しては、写真のように「ハイブリッド」モードでの選択画面で「Charge」のタブを押すとエンジンの出力の一部を使ってちょうど日産のノートやオーラのような感じで充電をすることも可能です。ただ、今回のロングドライブではこの「Charge」は一度も選択しませんでした。元々ホイールベースを長くしたくないフェラーリとしては、バッテリーの物理的大きさを抑えるほかないので、エンジンのパワーを削いでまで無理に充電したり、「後ろ髪を引かれるような感覚」になる回生ブレーキによる充電もあまり求めていないようです。今回ハイブリッドモードでの「Charge」走行を選択していなかったせいか、エンジン走行中に充電がパワーの足手まといになっているような感覚や回生ブレーキが効いているような感覚は受けませんでした。ハイブリッドモードでは、急発進や急坂でない高速道路での滑らかな加速シーンでは、モーターだけでカタログ説明(厳密には135km/hと説明)通り129km/hまで引っ張って行き、エンジンは始動しませんでした。下記の写真の通り、水色LEDがモーターの回転数、赤針がエンジン回転数を示していますが、赤針はまだ0の位置で振れていません。注:公道での撮影ではありません。少しスロットルを踏んで130kmに上げようとした時、メーターは129km/hのままですが、エンジンが始動してモーターから置き替わりました。シフトは8速に自動変速されています。注:公道での撮影ではありません。4.フロントガードご存知のようにアセットフィオラノオプションを選択すると、フロントリフティング機能が装備されていないので、地下駐車場やガソリンスタンドなどの進入路でフロントのカーボンスポイラー/アンダーカバーを損傷しないか心配されている方も多いと思います。今回のロングドライブではフェリーへの積載もあるので、念のため干渉した場合の保護になるガードを取り付けました。オートバックスで4枚セット1200円程度で市販されている合成樹脂製のガードを2セット購入し、写真のように両面テープで貼付しました。また、カーボンスポイラーには新車購入時にディーラーでラッピングを施工してもらっていますが、以前の458の経験ではラッピング素材が薄すぎて地面との干渉保護には全く役に立たないことが分かっています。そのため、厚手0.8mm前後の透明荷造りテープをスポイラーの下面に貼付しました。結果的にはこれらのガードには一切干渉することはなく、無傷で帰還できましたが、そのままにして日常走行の保護にしています。なお、気になるカーボンスポイラーの損傷時の交換費用ですが、パーツリストによると正面のノーズチンスポイラー(下のリスト写真のコスメティックトリム)が片側だけで約1,400ユーロです。横に羽根が回り込んだアセットフィオラノ専用のスポイラー(アンダーウィンドスクリーントレイ)は片側だけで約2,300ユーロです。恐らくどちらも左右ワンセットでないと取り寄せられないと思います。そうすると、@160円換算で付加価値税、保険、運賃別で1,184,000円になるので、両方の総額では160万円は超えると思います。5.飛び石ラッピングをディーラーで施工してもらっていますが、元々飛び石に対して保護になるような期待はしていません。考えてみれば、クルマに対して時速100km以上の相対速度で固い石などが衝突するわけですのから、薄い樹脂膜では簡単に破れてしまいます。今回のロングドライブでも先行車の直後は走らないよう、気を付けていましたが、高速道路で前方のトラックが追い越し車線から走行車線に入ったときにセンターライン付近の小石を飛ばしたようで、カチンと小さな音がして、下の写真のような1mmX2mm程度の傷が付いてしまいました。ハンマーヘッドストライプのシルバー塗装部分がはがれて下地のロッソコルサが現れており、タッチアップで補修するしかないと考えています。余談になりますが、「ストライプ部分に段差がないのは、塗分けしているから」と誤解されている方がいらっしゃいます。実際は塗分けではなく、写真のようにストライプ色の上塗りであり、塗装の段差がないのはクリア塗料をさらにその上から何度も丁寧に上塗りしているためです。6.ホットチューブエンド296GTに特有のエンジン上方からの排気システムは「ホットチューブ」と呼ばれ、リアのエンドピースはまさにそれを強調するシンボルです。オプション設定の時にこの色をどうするか、CORNESとも協議を重ねましたが、リアのデュフューザーと同色のガンメタではなく、ストライプやリアグリルと同色のシルバー(正式名はアルジェント・ニュルブルクリンクだったと思います。)にしました。今回の連続高速走行中心のロングドライブで写真のようにかなり綺麗に焼けが入りました。ハイブリットカーとして静かにモーターで始動するのにここだけがエンジンカーの雰囲気を主張し、しばしば観る方を驚かせることになるのでファンキーなアイキャッチャーとして気に入っています。7.ナビフェラーリの国内向けナビは458以降、まともな装備に恵まれたことがなく、他のオーナーの方々も随分不満に思っていらっしゃるでしょう。296GTBでも、まずステアリング上のタッチパネルの感度が適度でないので、「入力データの確定」と「カーソルの移動」が混同され、ミス入力続きでかなりストレスが溜まりました。また、ナビデータはお約束通り「3年前のデータ」で、工事進行中の日本海・東北自動車道などは実態とのズレが非常に大きかったです。一番困ったのは目的地検索で「電話番号」を入力しても3年前オープンのホテルが出てこないため、「施設名」で近隣のホテル名を入力しようとしたところ、タッチパネルの操作性の悪さで満足に入力できず、結局スマホのナビに頼る有様でした。5,000万円以上するフェラーリのナビより、200万円程度のスズキやダイハツの軽のナビのほうがはるかに操作が容易でデータも最新なのが我慢できません。CORNESにも再三クレームしていますが、一向に埒があきません。ブランドに対してもっとプライドを持っていただきたいものです。施設名の入力画面ですが、タッチパネルの感度が悪く、文字を選択するためにカーソルを移動させようとすると確定と間違えて入力されてしまい、それを訂正するためにカーソルを訂正キーに移動させようとするとまた入力エラーが続発し、いつまでたっても正しい入力が完了しません。対策として、旅行や日常でよく使われる目的地はあらかじめすべて登録しておいて、都度選択するようにするのが最もスムースです。8.車内DC電源純正ナビが貧弱なので、スマホで代替される方も多いかと思いますが、車内のDC電源が分かりにくいので、予めご準備ください。センターコンソール後尾にUSBの挿入口がありますが、左側はミュージック等の入力が主で、右側はアップルプレイの入力用になります。スマホの充電は各々のアプリが稼働していない状態ではOKですが、例えば、純正ナビ稼働中にスマホを差し込んでナビを稼働させると純正ナビが動作しなくなります。無用なトラブルを避けるには、下の写真のようにスマホには助手席側の電源を使うのがお薦めです。なお、センターコンソールの前にスマホ用のワイヤレス充電のフラットフォームがあるので、iPhone8以降でしたら利用できますが、水平に置くのでナビ画面は運転席から見られません。助手席側の電源を使うには、USB端子を直接挿入できないので、シガレットライター用の長いプラグを別途用意する必要があります。私はアマゾンで「エレコム カーチャージャー シガ―ソケット24W USB-AX2」を@969円で買いました。この状態でスマホに接続すれば、純正ナビと併用できます。9.結論以上、ロングドライブに際しても、モアパワーハイブリッドカーとしての実用性に問題はないことが確認できました。アセットフィオラノの懸案であったサスペンションの固さはSPORTSポジションで十分調整でき、フロントリフティング機能のない点も通常の使用では支障ないので安心できました。バッテリー充電も11日間、駐車時は全く行いませんでしたが、トラブルはなく、ハイブリッドモードでの平均燃費は9.8km/LとGTカー並みの実用性を立証しました。あとは乗り味の問題としてモーター走行が嫌であればパーフォーマンスモードでエンジン主体で乗り続けることもできますし、その場合でも65Lの燃料タンクで心配なほどの燃費ではない(推定@7km/L前後)ことは安心できる要素になります。帰路は秋田から兵庫まで873kmの長丁場を1日で乗り切りましたが、いくらエキゾーストサウンドがいいとは言え、やはり連続高速走行でのモーターによる静粛性も大きな助けになると思いました。因みに今までの1日最長走行距離はピスタの680km、DB11AMRの650kmでした。日常の操作等でまた追加の情報があれば更新しますので、引続きよろしくお願いいたします。閲覧数が39,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.07.09
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ポルシェには911SCS、73カレラRS、RUF BTR3.4と3台を27年間に亘って乗り継いできたので、好きなクルマには違いありません。最近でこそフェラーリONLYですが、乗り継いできた延べ10台のうち、4台目の512BBまではRUFを並行して乗っていました。ただ、それも20年前の話です。その後、水冷化しただけでなく、弱点の急激な荷重変化による操安性課題も電子制御によるトラクションコントロールで緩和しているはずと期待し、最近4年間くらいは、996や991.1、991.2、992のGT3、GT3RSに注目してきました。俊敏なエンジンの吹き上がりと高圧縮比によるNA固有のエキゾーストサウンドが否応なしに緊張感を高め、「市販車で最もレーシングカーに近いと感じさせるクルマ」、「その気にさせるクルマ」と思うからです。ただ、その検討の中でGT3かGT3RSかという点では迷いもありました。GT3RSの演出過剰、オーバースペックとも言える派手なGTウィングやカーボン・ロールケージには躊躇させるモノがあります。サーキット走行だけを考えても、もっと速いツインターボのフェラーリ488ピスタや296GT、F8トリビュートには何も付いていないのですから・・・。しかし、992のGT3RSを見ているとその傾向は飽きることなく益々過激になっているようです。転売ヤーの恰好の餌食になって走行距離100km未満の992GT3RSが6,500万円前後で委託売り出しされている姿を見ると、さらにうんざりした印象です。正道を歩んでいるはずのディーラーに992GT3RSの新車を予約して確実に手に入れたいと半ば冗談で照会したら、優先顧客になるために不人気タイカンとの抱き合わせを提案されました(笑)。昔はRUFでさえ、4点式でした。せめてXの支柱を省略できるレスオプションがあれば・・。試乗の時に上着を置いたり、後ろに飛んだ荷物を取るのにひと苦労しました。サスは相当固いですが、296GTBアセットフィオラノよりソフトです。でも、なぜそう速くないGT3やGT3RSが気になるのか?「官能的な乗り味と速い、遅いは関係ない。」、「NAエンジン、マニュアルミッションと変わらないことが魅力。」、「フェラーリは速くなりすぎて素人では限界まで楽しめなくなった。」、「馬は高すぎて手が出ないし、日常的に乗って楽しめるクルマとも思えない。」・・ポルシェパラノイアの声が聞こえて来そうです。ポルシェファンはポルシェ独特のFan to driveにこだわってポルシェひと筋で熱心に愛好されている方々が多いです。「ポルシェ・パラノイア(偏執狂)」と呼ばれる所以です。他のクルマではそのような呼び方はありません。それだけに、ポルシェ以外のスポーツカーに余り乗ったことがない方が多く、特にフェラーリからポルシェに乗換えた方は殆どいないように思います。逆にポルシェからフェラーリに宗旨替えした方は松田芳穂様はじめ、大変多いですが・・。991を中心に最近のポルシェに乗ってみて感じるのは、RUFを売ってからの20年間、ポルシェは911に関して何をしてきたのかという疑問です。エンジンは高回転、高圧縮比の回転型をNAで追求し、水平対向6気筒DOHCのアーキテクチャーは基本変わっていません。排気量は4Lまで拡大しましたが、出力は500-550PS/レブリミット9,000rpm前後、トルクは高回転型を前提にした排気量の限界と言える450-500Nm/6,500rpm前後であり、ポルシェはこれくらいがちょうどいいと思っている節があります。確かにRRのパワートレインでは、いたずらに出力を上げても荷重変化が激しくなるだけで操安性は低下してしまいます。ポルシェの電子制御トラクションコントロールPTMは四駆を前提にしたトルクの自動配分システムであり、私の思い込みかも知れませんが、どうも四駆以外の通常モデルでは、急にパワーオンした時の操安性は劇的に改善されたとは思いません。ステアリングにクセがなく、巡行時に綺麗にラインをクリアしていく特性とは別問題です。現にサーキットではTCオフでドリフト走行しておられるマニアの方々も依然多いのではないでしょうか。また、ミッションはどうでしょうか。7速マニュアルから7速ATのPDKに大きく移行しようとしていて、992では6速マニュアルがオプション設定になっています。でも、マニュアルミッションをNAエンジンとともに好むパラノイアの方が根強くいて、中古車相場もマニュアルのほうが割高になっています。無理にシフトダウンして後ろからの吸気音やエキゾーストサウンドを楽しんでいるパラノイアの方が多いのも理解できます。そこがいいんですよねぇ~。ただ、私がGT3を公道で乗った感じではPDKは昔のスポルトマチック、ティプトロニックから正常進化していて、個人的には今やサーキット走行でもPDKのほうが速いのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。ポルシェパライアの方はMTないしPDKのMTモードで走行している方が多いかも知れませんが。内外装では多少の紆余曲折はありながらも完全なフロッグ・フェイスに戻っていますし、中を見ればやる気をそそる懐かしの5連メーターとスイッチ類、スポーツクロノがずらりと並び、タッチパネル化やエンタテインメント装備の充実というプレミアムスポーツの世界的潮流にも背を向けている感がしないでもありません。「それがいいんだ。」と言われれば、反論はしませんが・・。ポルシェパラノイアの方々はエンジン、ミッションに関して、乗り味との関係で満足されているでしょうが、冷静に見渡すと競合他社のプレミアム・スポーツカーの一般的な状況は異なります。(注)本表は991GT3RSとの比較に絞って、より厳密に修正しました。GT3RSの重量は「空車重量(DIN)」ですので、「乾燥重量」に乗員1名75kgと満タン燃料、冷却水、バッテリーが加算され、工具とスペアタイヤが減算されています。オイルは両者とも含まれていないようです。乾燥重量1450kg前後はアストンを除いて当たり前。GT3やGT3RSが異次元に軽いわけではありません。軽さだけでトルクの不足は補えないです。エンジンは、NAエンジンに見切りを付けてツインターボ化でトルクを重視して加速力の向上を図っており、トルクは700-750Nmが中心です。トルクは加速力であり、トルクがないとスピードが出ません。0→100Kmは2.9秒がベンチマークです。パワートレインはミッドシップないしFRでデフ、ミッション、サス、ブレーキの電子制御がドンドン進化してグリップ走行、ロールほぼなしが基本になっていて、ドリフトはTC-OFFにしない限り、カウンターできっかけを作っても殆どできません。ミッションはZF8速のデュアルクラッチが主流で今やキックダウンもブレーキの踏み加減ひとつで1段、2段と自在に自動変速してくれる時代に来ています。ブレーキはカーボン・セラミックが標準、全長350mmはあろうかという巨大エアロキャリパーに6ポッド、ロータ―400パイ、ピストン40パイ以上というスペックが珍しくありません。先端モデルではドライブモードに応じて、ローターとパッドの間隔を0.1mm単位で調整する構造が主流になりつつあります。「宇宙一」は20年前の話でした。私は好きなGT3、GT3RSを自虐的に腐しているのではありません。スペックの割に価格が高いということを言いたいだけです。新たな挑戦で928はじめ、カレラGTや918スパイダーがいい結果を出せなかったので懲りているのかも知れませんが、手堅いレジェンド回帰モデル(特別色やデカールの厚化粧)に頼らずに、技術革新モデルの市販化を続けてほしいです。フェラーリだって、296GTではハイブリットモデルの開発に長い時間を掛けて悪戦苦闘しましたが、同じ「モア・パワー・ハイブリット」コンセプトカーの市販では918スパイダーのほうが先行していたのではないでしょうか。きっと早すぎたんでしょうが、その後の市販化でなぜ、タイカンのような真逆なEVモデルになったのか、私は理解できません。ポルシェパラノイアは、モデルによって劇的な性能革新がないにも関わらず、高くてもGT3、GT3RSはじめ911シリーズのNAエンジン、マニュアルシフトにこだわって乗り継いでくれるので、ポルシェにとっても中古車ショップにとっても、非常にいいお客さまに違いありません。雑誌の試乗記が「前モデルに比べ、30kg軽量化したとか、20馬力パワーが上がった」とか、カタログ値の違いだけをやたらと強調するので、マニアもそれに煽られている節があります。「だから何なの?乗ってみて、感じた違いを報告してほしい。」と私は言いたいです。いずれにせよ、911の人気がこれほどまでに高いのは日本だけと聞いたことがあります。ポルシェセンターを含め、大手の中古車専門ショップを回ってGT3やGT3RSに関して改めて気づいたことがあります。販売台数が元から少ないせいもあり、7年落ち、8年落ちの991.1でも当初の販売価格を大きく下回らない2,500万前後で売られているのです。996でも2,000万円以下の売り物はありません。しかも、1-2年のうちにオーナーが転々と変わり、4人目、5人目の個体が多いことです。距離が出ていないのに経年硬化したCUP2を履いたまま、GT3が泣きます。限定車ではないのに販売台数が少なく、ディーラーが長い間、単純抽選方式で割り当てていたため、納車後、数か月でプレミアムを乗せて転売されている個体も結構ありました。こうなってくるとハコスカGTRなどの人気旧車モデルと同じで、中古車ショップにとっては同じ個体で何度も商売できる絶好の商材ということになります。売っては買取り、また売るという1サイクルで@350-400万円儲かります。ポルシェセンターの認定中古車が少なく、市中のショップにある流通在庫車がかなり多いのは高く買い取ってもマニアに高く売れる環境面のメリットと、エンジンアーキテクチャーやパワートレインの変化が少なく、電子制御化の進度が高くないので最新専用テスターがなくても整備できるメリットが大きいからでしょう。フェラーリと異なるビジネスモデルです。因みにフェラーリはディーラーで顧客を囲い込んで、階層化し、他方クルマは技術革新で高機能化、高価格化を図り、優良顧客から高額オプション付で割り当て受注を取り、納車待ちの間だけ現在の愛車に乗ってもらって、納車と入れ替えに買い取って次の階層の顧客に売るというカスケード戦略です。458以降は電子制御化とパーツ・専用テスターの供給限定で市中のショップはオミットされつつあります。BOSHのような汎用テスターではトラブルシューティングはできても、基準値のセッティングができないのです。991や992には固定ウィングを止めて、可変スポイラーの「GT3ツーリングパッケージ」もありますが、ここまで大人しいベースの911に近いと逆に値段を考えてカレラTなどとも迷いが出てきます。買う人がいるのでポルシェはポルシェのやり方でいいのです。ただ、私の結論としては、GT3やGT3RSに限らず、911シリーズは大きな開発費を掛けずに劇的に変化していないモデルの割に、現在の市中相場が高すぎると思います。人気があるとは言え、経年モデルはもっと安くあるべきです。例えば、991.1の前期型や後期型のGT3、GT3RSであれば、適価は2,000万円くらいではないでしょうか。競合他車と比べて、機能的、スペック的にはそれほどの価値のように感じます。まさにポルシェ・バブルですが、円安でなければ、もっと海外からの中古輸入車が増えて相場が沈静化するはずです。もし、2600-2700万円でGT3の中古車を買おうとされていたら、200-300万円足してフェラーリ458の認定中古車を買われることをお薦めします。高圧縮、高回転のNAエンジンでかん高いエキゾーストノートを堪能でき、軽量で回頭性に優れたショートホイールベースのボディ。電子制御が入ってトラクションコントロールは完璧ながら、デュアルミッションはキックダウンを中心にまだまだパドル操作で介入できる余地があります。極めて両者の特性は似ていますが、姿勢制御の優秀性は乗ってみないと分かりません。以上、私がGT3,GT3RSを買わない理由です。諦めの悪い性格なので価格が安くなれば、食指を動かすかも知れませんが。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.06.16
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別稿「買わなかった2台の名車」のトヨタ2000GTやアルピーヌA110ほど、長期に亘って悩む続け、Reborn Modelまで追いかけました訳ではありませんが、それでも結構「欲しい、買いたい」と悩んだ名車も数多くあります。今回は「買わなかった名車」の続編を書いてみます。1. フェラーリ ディノ240gtディーノ・・・沢山のフェラーリファンを悩ました名車ではないでしょうか。エンツオ・フェラーリが夭折した息子の名前を冠したとか、ピニンファリーナに在籍していた天才フィオラバンティ―の最初の作品だとか、興味をそそる逸話に事欠きません。日本でもヒゲの作家 故保富康午さんの遺族から寄贈され、長くフェラーリ博物館に展示してあったディーノ240gtを閉館に際して松田芳穂オーナーからレーサーの太田哲也さんが譲ってもらった逸話があります。太田さんはその後、1998年のFISCOでの全日本GT選手権レースで重篤の火傷を負い、レストアが中断していましたが、10年の歳月を経て完成したことが話題になりました。非常にインパクトのある美しいデザインです。ずっと気になっていましたが、昔、湘南海岸の材木座にあったベルリネッタ・モータースで偶然観た個体の仕上がりの綺麗さに感動して、故 宇津喜代表と交渉し、試走させてもらいました。ところが、途中でドアが閉まらなくなったり、ワイパーが動かないなど、トラブルが続発し、思わず「サーキットの狼」の池沢早人師さんのクルマ遍歴書に出ていた「トラブル続きでドライブに行っても無事に帰れないことが何度かあって、泣く泣く手放した。」という一節が浮かんで来て、急遽断念しました。その後もキャッスルインターナショナルの鞍代表に旧車イベントでの展示車を含め何台か見せてもらいました。写真左の完璧にレストアされたシルバーの246GTにもかなり心を動かされ、レストア作業を担当されていた下永谷の永井工業にもお邪魔しました。仕上がりは非常によかったのですが、テスタのような現行車に比べるとやはり作りが華奢で非力に感じたため購入に踏み切れず、代わりに同じフィオラバンティのデザインでより現代的な308GTBを買うことになったのです。初めて買ったフェラーリは308GTBQVでしたが、あのレオナルド・フィオラバンティがピニンファリーナに在籍して最初の作品がディーノで、本人も「自分の作品の中では一番好き」と言っています。ただ、実際にオーナーとして乗ったのは、この写真の308GTBのFRPボディで、しかも彼の持論である「エッジの効いたキャラクターラインが最も美しく映るのはシルバー系」と言う通り、ロッソコルサは選択していません。この308GTBの実車は日本人が本人から直接譲り受けて、日本にあるようです。2016年3月のフィオラバンティ来日に合わせて開催された名古屋市ノリタケの森でのイベントでも展示されていました。2. ランボルギーニ・ミウラ2024/3/13に惜しくも鬼才マルチェロ・ガンディーニは亡くなりましたが、彼のデザインしたクルマの中ではカウンタックやストラトスのような直線でエッジの効いたデザインよりも、ふくよかで女性的な曲線を織り込んだミウラが好きでした。ミウラで最初の衝撃を受けたのは、ナタリードロン(アランドロンの元妻)主演の1968年のフランス映画「個人授業」でした。この映画の中でナタリーのレーシングドライバーであるご主人が乗っていたのがミウラSVであまりのカッコよさにしびれてしまいました。映画のポスターでは黄色く見えますが、オレンジ色でインパクトがありました。今も、そのオレンジ色のミウラSVのミニカーを手許に置いて楽しんでいますが、20年ほど前に購入を真剣に検討する機会がありました。それは512BBのエンジンOHをお願いしていた川崎のきくちエンジニアリングで、菊地代表から作業中の別エンジンに関して「何のエンジンか、分かりますか?」と聞かれて、横置きV12だったので即座にミウラと答えました。それを契機に「現オーナーがクラッチの重さに耐えかねて次のオーナーを探している」という商談を持ちかけられ、OH後に乗せてもらいましたが、急な話で資金面で苦しかったことに加え、ステアリングが膝に当たる窮屈さと耳元のエンジン音、WEBERトリプルの吸気音の凄まじさに躊躇し、結局購入を断念しました。「個人授業」の映画ではナタリードロンと夫が車中で心の行き違いを感じさせる会話をしていましたが、実際は怒鳴り声で言わないと聞こえません(笑)。結果的にそのまま512BBを乗っていて大変な出費を強いられましたが、仮に512BBを引き取ってもらってミウラに乗換えていたら、それも地獄だったと思います。512BBはまだ各種イベントに自走で参加していますが、ミウラはその後も公道を走っているのを見たことがありませんので(笑)。3. ACシェルビーコブラ427 レプリカオリジナルはとても手が出ないので、元々レプリカ前提で憧れていましたが、2000年にとしまえんで開催されたCGデーに展示されていたスーパーフォマンス社のレプリカが気に入って、Back Draft社など他社モデルとも比較しながら、購入を検討しました。実際乗ってみると、1t未満のボディを7LのV8で引っ張るわけですから想像通り、暴力的加速で迫力満点でしたが、アメ車特有の直進ONLYのトラクションで、荒れた路面では飛び跳ねていて、路面の轍にハンドルを取られるのは気になりました。また、ほとんど雨天を想定していない仕様であるため、トノカバーを付けて我慢するのが現実的と思える点が決断のブレーキになりました。4. シェルビーマスタングGT350R レプリカこれもオリジナルはとても手が出ないので、元々レプリカ前提で憧れていましたが、約25年前に神奈川県足柄のマルホランドオートがレプリカをアメリカから4-5台輸入したことを知って、訪問したところ、すでに完売していましたが、鯵坂代表から「いずれ戻ってくる個体もあるからその時は連絡する。」と言われました。それから約3年後、突然連絡があり、販売車を試乗することができました。レプリカとは言え、かなり忠実な作りで想像以上にスパルタンでした。5点シートベルトを付けて10Kmほど走りましたが、回転を上げるとサイドマフラーからドロドロというアメ車特有のエクゾーストサウンドが響き渡り、ものすごい迫力でした。ただ、サスペンションは固いばかりでロードホールディングは最悪、スピードを出すと簡易舗装路を跳ねまわるので怖いほどでした。価格は350万円とかなり譲歩いただきましたが、余りにスパルタンで日常的には走れないことが分かり、結局1週間後にお断りの返事をしました。5. フォードGT40MK2 レプリカオリジナルのガルフカラー、ゼッケン6、シャーシNo P/1075はルマン24のサルテサーキットでジョンワイヤーのドライブにより68年、69年の2年連続でチェッカーフラッグを獲得しており、クルマ好きで知らない方はいらっしゃらないと思います。このレプリカはいち早く日本に代理店を置いたGTD社製のGTD GT40でオリジナルに対する忠実度が高く、部品互換率が確か85%と言われて、南アフリカのスーパーフォーマンス社製のレプリカと当時双璧を誇っていました。エンジンはオリジナルのシェルビー製V8 7Lホーリーキャブ仕様に対し、フォードモータースポーツ社製のV8 5.0Lを搭載していたと思います。クロス配管のエキゾーストパイプも忠実に再現され、そのサウンドたるや、全くレーシングカーの雄たけびでした。乗り込むとスパルタンな印象はさらに強まります。まず燃料タンクを兼ねた幅広いサイドシルを跨ぐ儀式から始まり、ルーフ付のドアに当たらないように身体をくねらせながら、シートに座り込んで脱着式のステアリングを取り付けるという案配です。25年ほど前の旧車イベントに出品されていた写真の実車はバブルルーフではなかったので、ヘルメットをかぶらない状態でも首を曲げる必要があり、ステアリングは膝ギリギリのため、ともかく座ると微動だにできない有様でした。また、右ハンドルでかなり固い右シフトレバーも相当違和感がありました。ウィンドウはもちろん下がる訳はなく、ヒンジを開けてすき間から手を出すのがやっとで外気の流入は期待できません。エアコンも付いていないので、夏だけでなく公道での走行はかなり困難で、レプリカとは言え、サーキット走行専用なのだと思い知りました。日常性や快適性を向上させようとすると、オリジナリティがドンドン崩れるので、痛しかゆしの問題とは言え、一切妥協していない潔よさにただ感銘したものでした。因みにGT40のネーミングの由来となった車高40インチは102cmになりますが、ロータスヨーロッパが112cm、現代車の296GTBは車高118cmで、118cmでもレーシングバケットシートからの乗り降りは結構大変です。6. ロータス ヨーロッパ スペシャル少年サンデー、マガジンの世代なので、ジャンプの「サーキットの狼」はリアルタイムでは知りませんが、イベントなどで実車を見て興味が湧き、柴又のビルを建てる前のテクニカルショップハッピーや岡崎のAC MINDに行って軽く試乗させてもらいながら検討していました。運転してみて、一言で言うと軽量化というかコストダウンを追求したキットカーのような印象でした。遠目に綺麗に見えてもFRPのクラックが多々入っている個体が多く、YバックボーンフレームにFRPボディの組み合わせでは、特にエンジンとサスの負担が大きいリアの剛性が不足していると直感的に感じました。実際、見た限りでは補強している個体が多かったようです。また、当時の私は軽さがクルマの武器という認識がまだ低く、パワー志向だったこともあり、車種は「ツインカム」か「スペシャル」に絞っていました。ロータスヨーロッパの本当の実力と特性を知ったのは、中山サーキットでのショップ走行会です。ポルシェ911SCSで参加し、最初は直線で友人のヨーロッパを抜いてやはりパワー不足かと感じていましたが、コーナーでは断トツに速くて抜き返され、ロードホールディングの卓越した優秀性を実感しました。昼休みにそのことを友人に話したところ、2-3周乗せてくれることになり、スポンジーなブレーキと重いクラッチが気にはなりましたが、ターンインではミッドシップゆえの鋭くクリッピングに入れ込む回頭性の高さに驚き、まさにハンドリングマシンと絶賛しました。サーキットからの帰りにクルマを交換して走ったところ、またまた大きな驚きに遭遇しました。他の乗用車と並んで公道を初めて走ったのですが、横を向いても隣のクルマのドアノブ当たりで搭乗者の顔は見えず、やたらとガードレールが目立って景色が余り見えないことに気づいたのです。これで少し熱が冷めたかも知れません。その後、DOHC1600CCの105ps「ツインカム」やビックバルブ126ps「スペシャル」を探したのですが、必死と言うほどではなかったこともあり中々いい個体に巡り合わず、そのうちロータスエリートに試乗して、アルミバスタブボディの剛性がやはりいいと感じて、探すのを止めてしまいました。はっきり、別れたわけではないのに、いつの間にか会わなくなった彼女っていませんか?昔の数少ない資料や写真を探して、今後も更新しますので、よろしくお願いいたします。な閲覧数がお陰さまで25,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧下さい。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.05.27
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正統派のクラシックポルシェ愛好家の邸宅にお邪魔しました。お住まいには5台の車庫がありますが、全てコレクション用に充てて、日常の足は別の駐車場を使っておられるという生粋のポルシェパラノイアです。何度も雑誌に取り上げられた有名人なので、ご存知の方も多いでしょう。少年時代から御父上の親友だったポルシェクラブ会長から大きな影響を受け、元々は997カレラに乗っておられましたが、疾走する73カレラRSの後ろ姿に娘さんから檄を飛ばされ、何と今はミツワから国内販売された73カレラRS 13台のうちの第1号車と第2号車をお持ちです。さらにクラシックポルシェを保有することは歴史を引き継ぐことだという確固たる信念の下、67年911S、58年の365スピードスター、52年の365プリAと歴史的価値の高いコレクションを揃えておられます。厳しいお仕事に長年従事されてきたにも関わらず、気さくでとても親しみやすい方ですが、ポルシェのスポーツカーとしてのエレガンスと日常の使用に耐える上質感を大切にされ、その点に関しての妥協はありません。ミントコンディションの73カレラRSの国内販売第1号車(右)と第2号車(左)です。当時、ミツワによって正規輸入された73カレラRSは13台で、全てツーリングモデル(M472)でした。73カレラRSはこの角度も美しく、うっとりします。見つめているうちに私も昔乗っていた73カレラRSライトウェイトバージョンを思い出して、おセンチになってしまいました。お譲りした車は現在も四国で大切にされており、現オーナーに電話でいくらなら手離すか冗談まじりに打診したところ、9500万円という返答がありました。このすっきりした外観だけでオーラを発散しています。パテにまみれた安物レプリカが氾濫していますが、一目見ただけで分かります。ドア前部のチリがこんなに狭い個体を見たのも久しぶりです。あの小林彰太郎編集長の試乗レポートが懐かしいカーグラに掲載された実車そのものです。ヘッドライトレンズは上縁が透明なオリジナルレアパーツで、レンズ持病の黄ばみも全くありません。「タイヤ圧」と日本語表示の純正オリジナルラベル。初めて見ました。懐かしの8トラックプレーヤー付ラジオ。純正本体の稼働状況もさることながら、テープが伸びていない8トラックのカセットを探すだけでも大変そう。73カレラRSの国内販売第2号車は珍しい純正色アーバジン(紫)ですが、オファーを受けた時はオリジナルの2.7Lエンジンからスイスの有名なチューナーによる3.4Lのコンプリートエンジンに換装され、2.7Lエンジンは同色のアーバジンにリペイントされた同じオーナーのナロー911Eに搭載されていました。しかし、紆余曲折の末、現在は元の鞘に収まっています。この復元は相手があることなので、オーナーの情熱と努力、執念の賜物であり、ほんとに敬服します。ただ、ロールケージなど、それ以外の改造箇所はこの個体の歴史を引き継ぐ意味でそのまま保有されている点にオーナーのこだわりを感じます。居心地がよさそうなオリジナルの2.7エンジン。よくぞ、帰って来たね!こちらも日本語の「タイヤ圧」表示ラベルが残っています。67年の911Sバハマイエローと58年の356スピードスターです。73カレラRSを探しても簡単に手に入るはずもなく、オーナーは当初69年の911タルガに乗っていたそうですが、それが結果的にクラシックポルシェの事始めになりました。余談になりますが、「69年の911タルガ」と言えば、あの生沢徹がヨーロッパ転戦中に現地で購入して乗っていて、帰国後、売却したのを10年ほど前に買い戻してドイツのポルシェAGでレストアした伝説のモデルですね。私が乗り継いだポルシェは3台とも白でしたが、こうしてみると、純正色のバハマイエローやスピードスターブルーも飽きの来ない味わいがあります。67年の911Sバハマイエローも雑誌の表紙を飾ったミントコンディションのコレクションです。58年のスピードスターブルーに彩られた356スピードスター。有名な前オーナーが火災で焼失させてしまい、自分の気に入った仕様で復元した個体をそのままの姿で乗っておられます。まさに歴史を引き継いでいるクラシックポルシェです。別稿で紹介した「六甲展望台サンデーミート」にも気楽に参加されるオーナーです。カルフォルニアを思わせる素晴らしいスピードスターと気さくなオーナーの人柄がよくお似合いです。オーナーと愛車が紹介された雑誌ENGINEです。あの鈴木編集長だったころでしょうか。ENGINEに掲載された当時の52年356プリAとまだお若い頃のオーナー。中央が折れたV字型のフロントウィンドウが特徴的ですが、現在、修理入院中でお邪魔した時はお目に掛かれませんでした。オーナーが国際相場を知るために常にウォッチされている、European CollectiblesやClassic Driverなどのサイトも教えていただきました。大変、丁寧に歓待いただき、どうも有難うございました。厚かましくも、またお伺いいたします。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.05.07
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イタリア語堪能、生粋のイタリア通でいらっしゃる、これぞマニアの隠れ家にお邪魔しました。普段は専門性の高い仕事でご多忙にも関わらず、クルマ、バイク、自転車、ボート、ミニカー、鉄道模型、専門書籍など、幅広い趣味を存分に楽しんでおられるアクティブな方で、ここまで徹底すれば清々しい印象。「趣味はリタイアしてから」という方が一般に多いでしょうが、お話ししていて、気力、体力、集中力、行動力がみなぎっている現役時代こそ、無理に詰め込んでも楽しむべきかと考えてしまいました。特にモノを集めるだけでなく、国際的にイベント等で交流を深め、コトを深く味わっておられる姿を拝見するとそう痛感しました。皆さんはどう思われますか。これからもお付き合いできることが楽しみです。「男のオモチャ箱」と言いたくなるガレージの素晴らしい景色。Vespa以外の車名が分かる方は相当のマニアです。ここに居たら、中々出れそうにないです。356の左にあるのは、「ジャブル」という1949年頃のクラシックレーシングカーのようです。ナンバープレートが付いていることに違和感を感じるクルマはそうないですね。アメリカではありません。日本の光景とはとても思えない夢心地のガレージ。左の2台はアルファロメオ ジュリエッタSVとサーブ92のようです。ベンツやベントレーでないのが渋い。旧車で知らないことが多くて、間違っていたら、ゴメンなさい。愛車のフェラーリF166MMスパイダー。エンツオ・フェラーリの伝記やフェラーリ社の歴史本に必ず登場する1948年製の名車で、1949年にスパ24時間レースで優勝、1950年のミッレミリアでも優勝しているようです。フェラーリ博物館以外では世界に2台しかなく、もう1台はあのラルフローレンがオーナーだそうです。レベル感が違いすぎて、私にはどうも実感が湧きません。それに、この写真はANAの羽田格納庫を使ったイベントでのスナップだそうですが、よくANAが部外者の入場、使用を許諾したとはとても信じられません。服装もクラシコ・イタリアで統一されて、何事もすごい!イタリアのクラシックカーのドロミテラリーでの走行シーン。総合2位に入賞されたと聞いて驚きましたが、表彰式の動画を拝見していて、壇上に呼ばれるとイタリア語で流暢に会話されているので、二度ビックリ。お客様参加が多い中、本気で参加されているのですから、ただ感心、感動。ミッレミリアの正会員でもあり、日本人は2名だけだそうです。クラシックカーには全く無知な私ですが、お聞きしたところによると、「OM665」というミッレミリア入賞車で、サンタクララの有名ショップでのフルレストアが終わり、この2024年6月上旬には日本に納車予定とのことです。見せていただいた走行動画からの画像です。1929年のミッレミリア出場時の写真です。なお、ミッレミリアは1927年から始まりました。オークションの写真ですが、ゼッケン「2」なのでこの個体のようです。ポルシェ356。私は詳しくないので、A1300、A1300スーパー、A1600、A1600スーパーの区別も付きませんが、三角窓が付いていて、完璧な外観のすっかり感とドアの開閉音からしてただモノでないオーラがありました。壁に貼られたプレート類も見慣れないこだわりモノばかりです。あのハイドロニューマチックで賛否両論のシトロエンDSです。私などは見ているだけで酔いそうです。あのコーチビルダー、ザガードが製作したドライブシミュレーターです。日本に2台しかないそうで、様々の車種を選択してドライブ体験ができます。見事なアルミフレームと想像力を掻き立てる省略ボディ、深みのあるペイント仕上がりにうっとりしました。ホンダが優勝するまではマン島の常勝マシンだったモンディアル。バイクマニアとしては、これだけでも1日語り合いたい気分です。鈍く光るアルミの地肌が何とも美しい1台。モンディアルはご存じない方が多いかも知れませんが、マン島レーサーがホンダのコレクションホールにも敬意をこめて展示されている伝統あるメーカーです。映画「男と女」でジャンルイ・トワイティニアンがアネーク・エメからの電報を見て、深夜にモナコからドーヴィルに帰る途中、マスタングに給油したガソリンスタンドのオマージュをイタリアの職人のオジサンに作ってもらったそうです。何気なく置かれた看板、ネオン、錆びたガソリン携行缶、オイル缶なども全て現地の当時モノだそうで、手間と時間とお金を掛けた熱意にただ感心。天井からぶら下がっているビンテージ自転車も現役で、この5月のEROICA(イタリア語で英雄)JAPAN伊豆半島ツアーに参加されるそうです。映画「男と女」の中で、このシーンの前の真夜中にSHELLのSSで給油しています。そのあと、ヘッドライトに浮かぶパリへの案内板が映し出されて、この走行シーンになります。アパートに居なくてドーヴイルの海岸で見つけた時のあのパッシング!これだけでフランシス・レイのボサノバが浮かんできませんか。それにしても、過去と現在を巧みに織り交ぜながら、計算され尽くしたアングルで子気味よくストーリー展開させるクロードルルーシュって天才ですね。この時、彼はわずか29歳。哀悼:アネーク・エメ2024/6/18に主演女優だったアネーク・エメが92歳で亡くなりました。ご冥福を心よりお祈りいたします。彼女は4回結婚していますが、2回目の夫を皆さん、ご存知ですか?この映画でスタントマンの元夫ピエール役だったピエール・バルーです。さらに驚くべきは彼が劇中、何度も流される主題歌の中の「サンバ・サラヴァ(男と女のサンバ)」を歌っていることです。そのうえ、最後の驚きは彼がその後、1983年に慶応文学部卒の潮田敦子(バトと同名)さんという日本人女性と再婚し、子供も3人設けて、2007年頃まで日本に住んでサラヴァ・レコードを主宰していたことです。坂本龍一。高橋幸宏等とも親交があります。2016年に惜しくも82歳でパリで亡くなりました。初めて知りました。彼によると、クロードルルーシュにジャンルイ・トワイティニアンを紹介したのが彼で、アネーク・エメを連れてきたのが、ジャンルイだったそうです。人生とはまことに奇縁です。ビンテージバイクによるEROICA 伊豆半島ツアーの2023年写真。毎年恒例の国際的なイベントです。皆さん、ご存知でしたか?人生にはこんな楽しみ方もあるのかと感じた次第です。鉄道模型仲間と「専用の作業机が欲しいね。」と喋っていましたが、ここにありました!何と、ROLEX社の時計職人用作業机と同じ仕様の机を特注したそうです。中央で突起した机に、楽そうなひじ掛けと便利な引き出し、照明付きの拡大鏡・・思わず生唾を飲み込みました。書斎もこの通り。フローリングの奥には年代モノのスロットレーシングのコースが敷かれています。また、写真を撮るのを忘れましたが、他の部屋にはOゲージやGゲージ(1/22.5の最大ゲージ)の線路が敷かれて機関車がソファーの周りを走り回っていました。ただ圧倒されるコレクションの数々。ひとつずつ、内容と入手の経緯を説明してくださるので、記憶力の良さにも驚きました。ガレージに何の気なしに置かれた模型はイタリア製のFIAT工場モデルで内部も作り込まれています。世界有数のスクラッチモデルビルダーの作品です。0.2mmくらいの真鍮線で作られたと思われる完璧なワイヤーホイールを見ているだけでも美の世界に惹き込まれそうです。一番右側のモデルはこれでもスロットレーシンガーだそうです。壊れそうでまだ走らせたことはないとか。ガレージに保管された愛艇に合わせて特注された模型です。ワイヤーワークの250GTOはフェラーリ美術館の松田芳穂オーナーからだそうです。素敵な回廊型の本棚には洋書の蔵書がぎっしり。同じ鉄道模型マニアとして、初めて見たときは眼が点になりました。実際に現地で乗った思い出を胸にイタリア製の車両、ストラクチャーの模型で揃えられました。ドイツ製のメルクリンでもかなりリッチな印象ですが、さらにそれを越えるとは。実車の写真や行先案内板など、何気ない演出グッズも半端ではありません。テラコッタのレンガ、タイル色や糸巻き杉が雰囲気を醸し出しています。道路を走るパトカーは路面に埋めた電線で制御されて走ります。動的なアクセントが入るとジオラマはさらにリアル感が増します。さらに紹介されるまま、ビデオで世界最大の鉄道模型レイアウトであるミニチュア・ワンダーランド・ハンブルグを鑑賞し、そのすごさに感動しました。大宮の鉄道博物館などのジオラマの比ではありません。ぜひ、ユーチューブで下の写真のようなMiniatur Wunderland Hamburgを覗いてみては!以上、色々なコレクションを拝見して、頭の中がパニックになりました。中々お目に掛かれない貴重なお宝の数々を拝見できて、どうも有難うございました。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.05.06
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ご存知の方も多いと思いますが、六甲山の芦有ドライブウェイの展望台駐車場で毎日曜の朝8時ころからクルママニアが集まって交流しています。六甲展望台は2013年に放映されたあのTVドラマ「半沢直樹」で一躍有名になったロケ地でもあります。今までもこのサンデーミート5回ほど行ったことがあるのですが、知り合いも徐々に増えてきたので、ピスタに乗って参加しました。GW中で快晴だったせいもあり、7:45ころに到着しましたが、2台しか駐車スペースは空いていませんでした。いつも通り、ポルシェ、特に空冷の930系が多いですが、フェラーリ、ロータス、マセラーリ、ランボルギーニに加え、渋い外車、旧車など、マニアックなクルマが集まっていました。8時過ぎでこの盛況ぶり。Early bird catches worm!フェラーリは488スパイダーや612スカリエッティ、ポルトフィーノ、カリフォルニアも含め、7台でした。こういうクルマ談義がたまりません。横で聞いていても随分楽しそう。ポルシェの大王 夙川のセレブ先生と愛車1958年製 356スピードスター。有名人で雑誌ENGINEでも紹介されているので、ご存知の方も多いはず。73カレラRSなど、色々コレクションをお持ちで、後日お伺いした内容は別稿の「本当のセレブに招待される3」をご覧下さい。73カレラRSまでは私も乗っていたのでお話に付いていけますが、356や今ご執心の550Aスパイダー(ジェームスディーンが事故死した)など、ビンテージポルシェ個体の話になるとほぅと頷くのが精いっぱいです。よくお似合いです。人生100年時代、大いに楽しみましょう。アストンとは違った意味でエレガントなスタイルです。それにしても、550Aスパイダーとジェームスディーンの何とカッコいいこと!しびれます。こちらも当日断然目立っていた、ミントコンディションのアストンマーチンDB5で、しかもハイパーフォーマンスモデルの生産台数65台のVantage です。DB5は初代ボンドカーで1964年のシリーズ第3作「ゴールドフィンガー」や第4作「サンダーボール作戦」の映画でご覧になった方も多いでしょう。最近では1995年の17作目の「ゴールデン・アイ」にも再登場しています。007のジェームスボンドになり切りたい方にはまさに打ってつけの1台ですが、1億円近くするのでは・・・。因みに2020年に25台限定で復刻生産されたDB5ゴールドフィンガーコンティニュエーションモデルは1台275万ポンド(5.4億円)でした。さすがアストンマーチン、写り込んだ水平の景色に全く破綻がありません。DOHCストレート6エンジン。キャブがSUではなく、WEBER TWIN(恐らく40パイ)の3連装になっているのがハイパーフォーマンスモデルDB5 Vantageの証です。垂涎のワイヤホイール。掃除が大変そうですが、自分でするような方は買わない・・。センターにあるボンドカー仕様のスピナーは当然、このままでは車検が通らないので、別保管のノーマルキャップに都度交換するそうです。この運転席に座らせていただき、しばしうっとりしました。スミスのメーターにタンのコノリーレザー。シフトノブが小さいのでビックリ。ボンドカーではノブの蓋を開けて、前方機関銃、リア防弾板、煙幕、助手席放出、回転式ナンバープレートの操作をしていたのでかなり大きい印象でした。2匹の愛犬トイプードルの名前はジェームスとボンドとのことです。セレブオーナーからは遊びに来て下さいと嬉しいご招待をいただき、取り敢えず、ガレージのお写真を先に送っていただきました。ブリティッシュ・エレガンスの神髄! パルテノン神殿のグリルのせいか、神々しい雰囲気が漂います。→後日お邪魔しましたので、訪問記は追ってアップします。手前がコーニッシュⅡ(生産1986-1989年)のドロップヘッドクーペ(オープンモデルです)、中央がDB5 Vantage(1964年)、向こうがシルバークラウドⅡ(生産1959-1962年)でエンジンスワップ、エアーサスで現代的にレストモットされているそうです。ため息しか出ません。究極の2台のあとの登場で少々気の毒ですが、私の好きな84(?)年式カレラ3.2。フロントフードのUS仕様ストライプにかなり憧れました。78年のSCSのあとで元々買うつもりでいたモデルです。本来、73のRSと同じダックテールが付いている筈ですが、オーナーのお話によると購入時にFRPの社外品が付いていたので、ウィングなしのスチールフードに交換したとのことでした。これまた、当日光っていたシルビア。このシャープなキャラクターラインを残しながら、よくレストアされたと感心します。ボンネットのチリを合わせるだけでも相当大変だったはず。エンジンルームも真鍮メッキのステーや締め付けトルク表示のボルトなど、当時モノの細かい点まで行き届いた配慮がなされ、オーナーの愛情が伝わってきました。以上、色々収穫があり、また行きたいです。お二人のセレブオーナー訪問記はご了承を得て後日アップさせていただきます。閲覧数が25,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.04.29
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296GTを購入するに際して、通常のCORNESショールーム周辺の一般路、高速での試乗以外に岡山国際サーキットや湾岸イベント用地のクローズドコースでかなり思い切った走行をしてきたので経過をご報告しておきます。まず、岡山国際サーキットですが、2本のストレートと中低速コーナーで構成された全長3700mほどのコースです。オーダー済か商談中の顧客を対象にした完全予約制の試乗会ではGTB3台とGTBアセットフィオラノ1台が走行用に準備され、プロのレーシングドライバーが同乗してGTBで4周ドライブし、その後、アセットフィオラノでサーキットタクシーに乗せてもらいました。ピスタに乗って行ったので、試乗は特別にクオリファイモードのRACEポジションでさせていただき、バックストレッチの700mでは凄まじいフル加速で240km/hまで出ました。突き当りの25Rではブレーキングしてもノーズダイブのような姿勢変化は殆どなく、終始、鬼のグリップ走行でロールすることもなくスムースに回れました。ユーチューブで180km/hで25Rに突っ込んでいくツーリングカーレースの走行を事前に観ていましたが、スピードと安定感の違いに296GTBの実力を確認できました。中低速コーナーでもトラクションコントロールがピスタよりさらにリファインされて全く動じない滑らかさを感じました。レーシングドライバーがアセットフィオラノで走行した際はCT-OFF(ABS以外のTraction電子制御OFF)でのパドルとステアリング操作を横向いて観察していましたが、25R、30Rの連続での強烈な横Gに段々気分が悪くなってきて、最後は前を見て凡その周回タイムを計っていたところ、1分40秒前後でした。帰宅して調べるとスーパー耐久クラスのベストラップに近かったです。ヤレヤレ。ピットに戻ってタイヤのトレッドを確認しましたが、当日のアセットフィオラノにはオプションのミシュランパイロットスポーツCUP 2RK2が装着されており、驚くほど、摩耗していませんでした。ピスタに標準装備されたパイロットスポーツCUP 2K2も2RK2と同じくFISCO 12周でもあまり摩耗しない(後出写真参照)ので、やはりトラクションコントロールが深化して益々タイヤの負担が軽減しているように感じています。そのため、今回購入した296GTBアセットフィオラノには標準のミシュランパイロットスポーツCUP 4SK1を装着していますが、サーキット走行で比べながら様子をみようと思います。ミシュランのパイロットスポーツCUP2シリーズは458から愛用していますが、しっとり感があってコーナリングのグリップ力はもちろん、街乗りでも乗り心地がよく、大雨でもない限り、RACEモードで120km/h走行しても不安はありません。新品でも溝の深さが5.5mm前後の浅溝パターン(通常7-8mm)ですが、耐摩耗性の高さを反映しているようです。ともかく、296GTBもピスタ同様に自分でもっと走り込んで、コーナリング能力の高さに信頼感を持つことが必要と感じました。購入した296GTBに装着している標準のCUP4SK1タイヤです。まだ、1100kmです。ピスタに装着している標準のCUP2K2タイヤです。FISCO12周を含む、5,400km走行ですが、ショルダーの崩れもなく、摩耗は少ないと思います。岡山国際サーキットの試乗会から半年後くらいに、今度は湾岸イベント用地のクローズドコースでの試乗会に招待いただきました。200mほどの短いストレートとシケインのS字コーナーからなるコースでしたが、その時は初めてアセットフィオラノをレーシングドライバー同乗でまず2回走行し、その後、運転を代わって同乗させていただく形でした。ここでも初めからクオリファイモードのRACEポジションでドライブさせてもらいましたが、アセットフィオラノのポテンシャルの高さには全く仰天しました。天井知らずの直線的トルクによる暴力的な加速とS字コーナーでの踏み込んでも全くロールもスキッドもしない操安性はノーマルの296GTBより数段上でピスタを超えそうな未体験ゾーンでした。重心の低さも強く印象に残りました。レーシングドライバーはクオリファイモードのCT-OFFでのドライブでしたが、私から「容赦せずに走ってほしい」とねだられて、かなり頑張ってくれました。少しドリフト状態にはなったものの、基本はグリップ走行の感じで3点式シートベルトでは上体がはみ出そうになり、今後は凄まじい横Gに慣れる必要を感じました。私の場合は27年間乗ったポルシェのトラウマが強く、コーナリング速度を上げていくとアンダーステアからオーバーステアに急激に変化してスピンしそうになるという恐怖感がなかなか抜けません。乗っている私は怯えているのに、クルマはケロッとしてるんです(笑)。タイヤもスキール音の悲鳴が出ませんし、安心すればいいのですが、鳴きが無ければ無いで、昔のポテンザみたいに限界を超えると突然グリップを失うのではと的外れの心配をしてしまいます。走行後にレーシングドライバーと話したところ、「トラクションコントロールが全体的により滑らかになったので、サスをこれだけ固められたのだろうが、特にeデフの電子制御による左右ドライブシャフトへの瞬時のトルク配分がより完璧になっている」とのことでした。これを<翻訳>しますと、例えば左コーナーでアンダーステアが強くなってリアが流れそうになれば、右の後輪に荷重を掛けて踏ん張らせるということで、もし、ポルシェならこういう場合、素人ではとても怖くて踏めないアクセルを踏んだのと同じ効果を電子制御デフが与えてくれてリアのグリップが回復するということになります。(BLOGでこんなに投稿するとは思ってもみなかったので、当日の写真が無くて申し訳ありません。)この強烈な走行体験が最後の引き金になって、翌週くらいにアセットフィオラノを正式オーダーするに至りました。何と僅か7カ月で納車いただくとは知らずに。今後も更新を続けますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.04.19
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458を2台乗継いで8万km走りましたのが、なぜ458スペチアーレを買わなかったのでしょうか。458スペチアーレと488ピスタはどこが違うのでしょうか。両車の相場がドンドン高騰する中でよく聞かれることなので、今までの経験に基づいて私なりに説明したいと思います。また、最近の出来事として、458スペチアーレの自走不能の事故車をCORNESが横浜ボディショップで本気で復元レストアし、ハイエンドモデルの個体を重視する新しい価値観を提案して来ました。修復歴無しの認定中古車が7000万円強で売られている中で、顧客のフェラリストによる入札方式で6500万円前後で落札されたようです。決して安くありませんし、その個体は2013年製で生産後20年以上経過したクラシックフェラーリでもないのに、クラシケの本社認定証明が付与されているとのことで、その点も極めて異例なので背景を探ってみたいと思います。まず、458スペチアーレを買わなかった理由です。1台目の458を乗っていた時にスペチアーレの新車を買った知り合いの方に30分ほど、六甲山を走らせてもらったことがあります。第一印象は軽くて回頭性がさらに良くなったことです。サスが固められ、エキゾーストノートもより大きくなって、車内はタイヤのロードノイズも加わってレーシーなサウンドで充満し、会話がしにくいほどでした。458の特性をより伸長させた感じで開発コンセプトの方向性を修正したり、パーフォーマンスの弱点を改善したということではありませんでした。458に乗って一番感じていた課題はトルク不足です。よくご存じの方は理解していただけると思いますが、トルクがないとスピードが出ません。カタログデータを見れば、その傾向がよく出ています。スペチアーレは458に比べて90kg軽量化され、最高出力は458の578psから605psに向上していますが、それはレブリミットの9,000rpmの値ですから、トルクの向上は断念し、圧縮比の12.5→14.1、コンロッドのチタン化、フライホイールの軽量化など元々の高回転型エンジンの特性をさらに極めたのでしょう。しかし、肝心のトルクが540Nmで458と変わりないのです。トルクを上げるためには、回転数を上げるか、排気量を増やすか、ターボを付けるかの3択しかありません。そのため、0→100kmは458の3.4秒に対し、3.0秒。0→200kmは458の10.8秒に対し、9.1秒と軽量化の成果が如実に出ていますが、ピスタの7.6秒、296GTBの7.3秒には遠く及びません。大人しい味付けのGTカーであるローマでさえ、何と458と同じ10.8秒。458や458スペチアーレは「最後のNA」と賛美され、F355から高圧縮比、高回転のエンジンを正常進化させてきました。しかしながら、最近の800回転!(アイドリングです)くらいからターボが効いて軽やかに吹き上がるツインターボの実力を忘れてはなりません。全域で効いているのでターボメーターなんて付いてません。もちろん、エキゾーストノートはツインターボ車と連続して乗り比べると458はしびれるなあと感じますが、ピスタやF8もよくチューニングされていて、サウンドが貧相とか細いという感じはしません。やはり野太く、ドスの効いた音色であり、まぎれもなくフェラーリ・パーフォーマンスモデルの一族なのです。NAへのこだわりというより、14.1という高圧縮比(ピスタ9.6、296GTB9.45)によるF1のクォン、クォーンというようなカン高いエキゾーストサウンドがどうしても好きという方は別ですが・・。458スペチアーレで高速を飛ばしたことはありませんし、自動車評論家の大半のちょい乗り試乗でも高速は殆どないと思いますが、恐らく180kmくらいから240kmくらいの中間加速ではツインターボ車のように中々速度が上がらず、オヤッ?と意外に驚くはずです。カタログの最高速度だけ比べても殆ど意味がありません。実際FISCOで1500mのメインストレッチを走らせると、第1(TGR)コーナーまでにNAの458やポルシェGT3RSは270-280km/hしか出ませんが、ツインターボのピスタ、ポルシェGT2RS、アストンDB11AMR、マクラーレン720Sは310-320Km/hまで出ます。やはり、最終コーナーの80km/h前後からADVANブリッジの230km/h前後までの中間加速はトルク差が如実に出ます。TGRコーナーから100Rや100Rからダンロップコーナーなどで追い抜く場面でもトルクによる加速が上回っていないとインからは中々抜けません。以上が458スペチアーレを買わなかった理由です。CORNESに希望オプション仕様のピスタを探してもらうようお願いした時は、すでに458が488より人気がありリセールバリューが高かったので、車検が来た458の1台目を乗り続けずに、走行距離の少ない2台目に乗換えて待てば、一番売買代金、維持費の資金負担が少ないと判断し、実際その通りになりました。458スペチアーレはカーセンサーなどを見ると、特にスパイダーが1億円のプライスになっています。街のショップが投資買いされたオーナーからの委託希望で頼まれて出品していると思われますが、スペチアーレの後継車と言われるピスタの相場を踏まえると、CORNESの7,000-8,000万円の出品価格が妥当なレベルと思います。レース・サーキット志向の458スペチアーレでスパイダーがベルリネッタより1,000万円以上も高額になるのはアメリカ市場でもなければ、可笑しいと思われませんか。同乗の彼女が一般路での乗り心地の悪さに悲鳴を上げるでしょう。その後の相場鎮静化 5/17お蔭さまで現在、ブログの閲覧数は全体で10,000件を突破し、本稿はその中でもかなり沢山の方々にご覧いただいています。458スペチアーレは458とともに新しい電子制御の時代を切り開いた歴史に残る名車ですが、トルク不足と電子制御の未成熟性は紛れもない事実なので、その後、市場に売り物が増えて、相場が相応の7000-7500万円に落ち着いてきたのは嬉しいことです。投資目的で買う方がいらっしゃるのは仕方ないですが、やはりクルマなので乗ってどれだけの価値があるかという一般の評価で相場が決まらないと異常だと思います。次に何かと話題の458スペチアーレ復元車の話に入ります。2月に実車が東京、名古屋、大阪のショールームで展示されていたのでご覧になった方もおられると思います。横浜ボディショップは元々サービスセンターでしたが、加修やレストアの経験を蓄積して、今回ボディセンターとして特化しました。このような動きはすでにアストンマーチンのディーラーである八光が先行し、ボディテクニカルセンターをメーカー本社と緊密に連携して充実させています。元の事故車は外目には大破というようなひどい状態でもなく、自走できなかったのが不思議なくらいです。しかし、外観がこの程度で済んでいるということはクロスメンバーやサイドメンバーがショックを吸収して歪んでいるということです。さらに内部でセンサーやECU、ラジエター、オイルクーラー、サス、ブレーキ、エアフロ―など電子制御機器がぎっしり詰まった現代車はそれらの損傷も含めると途方もない修理費用が掛かり、保険上の扱いは修理費用が3,290万円の当初車両価格から減価償却された価格の半額以上になる「全損」扱いになるんでしょう。右側のヒットで前後ともフレームが複雑に歪んでいるので、エンジンが搭載されたボルトオンのリアフレームは即交換、溶接されたフロントフレームは一旦切断して交換部分の溶接、前後のカーボンバンパーは即交換などなど、純正カーベンチに車体を搭載して三次元でミリ単位の復元が施されたようです。ファクトリーマニュアルの先頭パートはベンチデータがぎっしり記載されていて、ミリ単位で指定された3次元の位置にフレームを調整するのは至難の業でしょう。全体に歪んだフレームを引っ張りながら溶接できる状態にまで持っていくのが大変そう。CORNESも2か月掛かったと説明していました。こちらを引っ張れば、既に合わせていたあちらが歪み・・・とか、3次元の位置合わせは究極のイタチゴッコだったでしょう。ユーチューブでよく観る、アメリカのショップが手慣れた調子で作業している光景ですが、問題は精度をどこまで出しているかですね。正直なところ、「これでまっすぐ走るの?」です。「サーキット走行を楽しんで下さい」とCORNESは公言しているので、相当の自信があるようです。アルミの溶接は一発勝負。融点が低いので歪み、ワレ、酸化が進みやすく熟練度が勝負。過去からの溶接データが蓄積されていて、溶接部位の仕上がり状態はフェラーリ本社からもチェックが入るとのこと。CORNESの説明では溶接は30か所に及んだそうです。超高速での直進安定性がアライメント調整で試されます。リアフレームはボルトオンで新品交換。向こうが運転席側、手前が最後尾側です。前後バンパーはカーボンで即交換になります。20インチ鍛造ホイールF9J、R11JやミシュランパイロットスポーツF245/35、R305/30も4輪全て新品交換のようです。右側のドアトリムやフルハーネスも新品交換されたそうです。スイッチ類はワイヤレスにもなっているし、作業の大変さは想像に難くないです。CORNESとしても経験豊かなメカニック、エンジニア、マネジメントの総力を挙げての態勢で臨んだようです。復元プレートを付けるくらいですから、CORNESとしてもリセールバリューの維持向上にかなり注力されると思いますので、オーナーとしても将来処分しなければならない場合にも「修復歴ありの中古車」扱いとは次元の異なる安心感が持てそうです。フェラーリのクラシックレーシングカーを収集されているセレブの方とお話ししましたが、そもそも修復歴があるのは当たり前でかろうじてオリジナルフレームの一部を残している点が、「オリジナル」とされる所以だそうです。ペブルビーチコンクールなどではビス、ナットなども含めオリジナルパーツが多くないと入賞できないものの、売買交渉の上では、エンジンはリプロパーツ使用もやむを得ず、リペイント、再メッキは100%OKとのこと。ヨーロッパの金持ちはミッレミリアなどのイベントにはレプリカをもう1台作ってそちらで参加することが多いが、レプリカとは言え、仕上がりがオリジナルと変わりないので、オーナーが変わっていくうちに「オリジナル」扱いになることも多いとか。残存台数も諸説に分かれる場合が結構あるそうです。ともかく、修復歴の有無をやたら問題にする日本の既存中古車市場とは別のマーケットを育てていく必要がありそうです。なお、クラシケの認定に関しては、私の理解では20年以上前のビンテージフェラーり、クラシックフェラーリに限られていたと記憶していますので、なぜ2013年製の個体に対して付与されたのか、CORNESに今回の例外措置の経過をお聞きして、また更新します。横浜ボディショップと中古車事業部に照会しましたが、担当が違うのでよく分からないとのことでした。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.04.18
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この度、コーンズ大阪ショールームで初の試みとして、モーニングカフェを開催されるということでご招待いただき、4/14(日)に行ってきました。開催時間は9:00-11:00でいつもの営業時間より早くオープン。最寄の南御堂の駐車場を特別に確保され、マーケティングの皆さんが出迎えていただきました。会場のショールームに入ると、大阪では最高級ホテルの誉れ高いセントレジスホテルのケータリングサービスでコーヒーにサンドイッチとサラダBOX、デザートの行き届いた御もてなし。ちょうど、ピスタやSF90などの認定中古車も並んでいて、さすがCORNES!という雰囲気でした。いつも大変お世話になっている営業責任者の前川様に加え、セールスマネジャーの布施様にも同席いただき、普段の商談や新車発表会、試乗会のようなイベントとは違い、落ち着いて色々とクルマ談義ができて非常に楽しかったです。ちょうど、このブログもお二人に初めてご紹介し、早速ご覧いただいて、凝り性の私に半ば呆れながらもじっくりお付き合い下さいました。感謝。歓談の中で、F355の弱点であるタペット音を無くすためのメカチューニング手順や430から始まった電子制御デフの左右ドライブシャフトへのトルク配分機能など、ディーラーメカニックのご経験に基づく貴重な解説もいただき、私としては何より勉強になりました。早速458やピスタのブログにも追記しましたので、皆様もご覧下さい。また、最近の高級外車ディーラーの動向としてベンツやBMWでは自社の専用テスターでなく、汎用テスターを車体に接続すると車載ECUがトラブルを起こすようになっているとお聞きして、時流に即した当然の流れと受け留めました。このブログでも7年間のメンテナンスプログラムのテーマでご紹介していますが、ディーラーと顧客の関係は今後、益々緊密になると思います。このような流れと同様に、CORNESオーナー限定アプリであるCONECOで認定中古車情報がカーセンサーやグーネットでの公開前に2週間先行して共有されるそうで、今後はピスタなど人気モデルや人気オプション車はその段階で売れてしまいそうですね。私の2台目458も公開前にCORNES顧客に売れましたが、そういうことがシステム化で加速されるわけです。南御堂の駐車場を特別に確保され、CORNESの方が常駐されているので、安心して駐車できました。モーニングカフェと言うより、ランチボックスに近い豪華な食事で満腹になりました。いつも大変お世話になっているCORNES大阪の最強コンビ、セールスマネジャーの布施様(左)と、営業責任者の前川様(右)には、マニアックなクルマ談義に終始お付き合いいただきました。キャバリーノ・ランパンテのみごとなカフェロゴに感激!9時からの開場前に入ってしまい、まだ準備中でお邪魔しました。専用アプリに愛車やこのブログの紹介もできればと考えています。ピスタは走行距離が伸びてはいけないし、女房からは「お爺さんがサーキットを走ってはダメ」と言われ、悩んでいます。CORNESの皆様、どうも有難うございました。閲覧数が25,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.04.16
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先日、アストンマーチンのご縁で本当のセレブと言えるご夫婦に招待いただき、素晴らしい豪邸で豪華な会食、歓談を楽しんできました。物腰の穏やかな品格あるご夫婦で本業の傍らで殺処分ゼロを目指す動物愛護団体を主宰され、獣医師、行政、ボランティアなどが協働して猫の無料不妊手術や多頭飼育救済、犬猫の団体譲渡事業支援などの活動を行っておられます。幸せとお金の関係は単純じゃない。幸せは心の中にある、人はパンのみにて生きるにあらず、窮すれば鈍する、衣食足って礼節を知る・・この歳になって、どれも正しいと思います。色々な方々との交流を通じて幅広く勉強させていただき、自分の人生の幅を広げられればと思います。なお、今回お邪魔したオーナー様ご夫婦は別に自慢されるようなこともなく、水平目線でお付き合いいただける知的で爽やかな方であることを付け加えておきます。成熟社会では、そうでなければ、こうはならないということかも知れません。1100坪の広大な敷地は谷を降りた小川に及び、本宅とゲストハウスが並んで配置されています。こちらは造りもさることながら、手入れの素晴らしさに感動したプールです。皆さん、ご想像の通り、少しでも放置すると落ち葉と苔まみれになります。素晴らしい眺望を楽しみながら、プールや入浴を楽しめるようになっています。何となく、マリーナベイサンズ に来ているような。このお風呂、最高でしょうね。誰かから見られるような環境ではありませんが、一応左右と後方側にカーテンが降ろせるようになっています。柵は敷地の境界ではなく、あくまで愛犬用の柵で、敷地は柵を越えて谷を流れる川までとのこと。谷のほうにはミニハイキングコースが色々設定されていました。トホホ・・・ゲストハウスは1階にホールやサロン、オープンキッチンがあり、2階に書斎、寝室、浴室、サウナを完備しています。今回、招待客で会食をしたホールです。ホストのオーナーはご夫婦で色々気遣いされていました。感謝。皆さんの淡々としたお話の内容は色々なクラシックカーの愛車談義のほか、19億円のプライベートジェットを羽田に駐機やヘリコプターで移動、大型クルーザーを日本とモナコに係留とか、スケールが大きすぎて夢を見ているような気分でした。ゆったりした歓談を楽しめたサロンスペース。ゆったり感が最高です。ゲストハウス前はさくらの広場になっています。空間って大切ですね。さくらの広場で談笑。ポルシェ、フェラーリ、マセラティ、フィアットなど、1940-1960年代の超高級クラシックカーのオナー談義に花が咲き、スマホ写真や動画を拝見しながらお聞きしているだけで圧倒されました。また、海外クルマイベントへの参加に関連して、「マイレージで最近、ファーストクラスが取りにくくなった」とか、「ビジネスクラスを正規料金でまず買って、アップグレードでマイレージを使うといい」とか、「ニューヨークから東京に正規料金で帰ったら、一人300万円強掛かった」とか、普通では聞けない新鮮な話題でした。淡路牛のA5シャトーブリアンをご馳走になりました。ミディアムレアのステーキは厚味もあり、ヤマワサビなどとも合って非常に美味しかったです。フィンガーフードも色々な味覚が楽しめてかなり凝っていました。有名な芦屋のレストランから料理教室も主宰するフランス仕込みの女性マスター、スタッフによる本格的なケータリングサービスがありました。今回ご招待を受けたのはクルマ仲間に、このマセラティ―の1953年製のクラシックレーシングカー「OSACA MT4 1450 FRUA スパイダー」のレストア、車検完了と有名なカリフォルニアのペブルビーチ・コンクールデレガンスで入賞したお披露目が目的でした。当時ビル・デイビットのドライブで活躍したままの姿に見事に復元され、神々しい雰囲気を漂わせていました。ビル・デイビットが乗っていた当時の写真です。レストアはイタリアのコーチビルダーとして有名なビエトロ・フルアが行いました。エンジンフード先端のイタリア、アメリカ国旗はハンドペイントで、ネジ1本も含め、全て当時のパーツが使われています。レストアの過程はこのように製本化して残されています。この個体はマセラティ好きでクラシックカーイベントにも盛んに参加している、あの堺正章さんが赤色で所有していましたが、レストアに当たりオリジナルのブルーに戻されました。1400CCとは思えない凝ったエンジン。これを1953年に作ったマセラティ兄弟の情熱が伝わってきます。キャブはWEBERで現在、国内で見る最小口径は40パイですが、それ以下かも知れません。横からの流麗なスタイルも素晴らしい。ゼッケンも当時の「9」で復元。詳しい社歴やレストアの状況はこのQRコードのサイトでご覧いただけます。ともかく、滝に打たれて修行してきたような一日でした。どうもありがとうございました。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.04.07
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念願のフェラーリを手にされたラッキーなオーナーの皆さん、任意保険は大丈夫でしょうか?308GTBQVから488ピスタと296GTBアセットフィオラノまでフェラーリを10台乗ってきた中で、色々勉強してきましたので、私の経験が少しでも皆さまのお役に立てばうれしいです。任意保険料が高いからと、保険金額をむやみに抑えると万一の場合に役に立ちません。なお、私の個人情報だけでなく、保険会社、代理店の秘密情報もありますので、具体的な保険証書や見積書を公開することはできませんが、個別案件として実証済のファクトとして受け留めていただいて結構です。1.「対人」の任意保険金額これは絶対「無制限にすべき」ですよね。強制賠償保険は対人賠償に限られますが、支払い最高額は被害者1名につき、死亡で3,000万円までです。フェラーリを見たら、被害者、遺族、弁護士などからの請求額は天井知らずになります。加害者の私たちも厳しい社会の批判に応えて「誠意」を示すために値切るような交渉は道義的に許されないでしょう。人身事故を起こせば、忙しい日常の中で厳しい世間の眼にさらされ、時間的、精神的に多大な負担を強いられるので、ここは保険料の問題ではないことをご承知おきください。例えば、3,000万円とか、4,000万円のような金額制限を付けても無制限と比べて思ったほど、保険料は年数万円も違いません。ご存知の方も多いかと思いますが、人身事故を起こした場合、警察は被害者からの聴取に専念し、加害者であるあなたの言い分は一切聞いてもらえません。その意味では保険だけではなく、ドラレコの装着も必須ではないかと思います。新聞には「福山市の医師、高倉裕征(37)被告」と実名が出ていました。厳しい社会的制裁を受けるので、せめて金銭面の打撃だけでも保険で緩和してもらいたいものです。執行猶予が付いても有罪判決が出れば、公的専門資格のはく奪や免許取消を始め、失職、公職の辞任、家族の離反、離婚など、次々と予想もしなかった試練があなたに降りかかるかも知れません。四面楚歌、人の不幸は蜜の味・・・手のひらを反すような人々の反応に出くわして人生の悲哀を実感することでしょう。このようなピンチの状況を考えて、対人保険は絶対無制限にしましょう。2. 「車両」の任意保険金額愛車や事故の相手のクルマの修理に関しては、修理業者や相手の保険会社から必ずカモにされます。「対物」の任意保険金額は過失相殺もあるので、3,000万円も掛けておけば無難でしょう。あくまで、問題は愛車の車両保険金額です。普通に行けば、購入時の車両価格に対して付保することになりますが、注意すべきはオプションの価格は車両保険金額に含まれないことです。つまり、本体価格4,000万円にオプション1,000万円を付けても、付保の基準になるのは通常4,000万円です。だからと言うことではないでしょうが、購入時にオプションを削る方も多いです。しかし、フェラーリの場合、オプションが多いほど納車時期が早くなる傾向があるのはご存知でしょうか。また、万人受けする魅力的なオプション仕様であれば、購入時に無理をしても付けておけば、後付けするよりはるかに安いですし、リセールバリューに大きく影響します。ピスタの例で行きますと、例えば、写真のリアモールをカーボンにするオプションは当時260万円ほどでしたが、後付けすると塗装、取付工賃込みで480万円掛かった実績を知っています。目立つリアモールがFRPのままですと、フルカーボンでないということでリセールでの人気が大きく落ちて、引合い件数や売れ足に影響し、最終的な価格にも響きます。260万円の差どころではありません。というわけで、人気オプションは車両保険金額に含まれなくても付けたほうがいいのですが、幸いなことに事故でスポイラーなどのオプションパーツを損傷して交換することになっても、ボディなどの本体部分の修理費用と併せて保険で求償できます。ただ、問題は「全損事故」になった場合です。「全損なんてないよ。」という声が聞こえてきそうですが、「全損」とは「原型を留めないほど修復不能な物理的状態」だけをいうのではなく、「修理費用が車両保険金額を上回る経済的状態」を言います。フェラーリの修理費が一体どれくらいかかるか、ご存知ですか。ちょっとした擦り傷程度は別にして、前や後ろをへこましたとなれば、カーボンやアルミの外板ボディなので、鈑金は効かず即交換になりますので、200-500万円コースでしょう。センサーやコントロールユニット、盗難防止装置がぎっしり入った前後バンパーやホイールハウスがへこんだ上に自走できない状態になれば、1000万円は軽く超えます。従って車両保険金額を当初の購入価格から減価償却に応じてドンドン下げている場合には修理費用が高いので車両保険金額を上回る「全損状態」に容易になります。オプションパーツも修理しなくてはならない場合はなおさら不足します。「全損状態」と認定されると、修理を止めて車両保険金額を貰えますが、廃車にした車両の所有権は保険会社に移るので、あなたの手許に残るのはもらった保険金額だけになります。何とか、同等車に買い換えたいところですが、フェラーリの場合は年式やオーナー数ではなく、車種の人気と走行距離、オプション仕様で相場が決まるので、もらった保険金だけでは買い換えはできないと考えて間違いありません。全損にはせず、中古部品を使ったり、工賃の安い業者に頼んで、修理費用を安く抑えて車両保険金額以下にすることも可能でしょうが、修理して売ろうとしても「修復歴あり」でリセールバリューは極端に下がるので、我慢して乗り続けるしかなくなります。つまり、車両保険金額を下げて保険料が安くなったと喜んでいる場合ではないのです。保険会社にとっては、車両保険金額は「私たち契約者に対する支払い補償限度額」なので、全て保険で修理ができるわけでもなく、同等車を買い換えられるわけでもありません。私たちオーナーは万一の時の資金不足を緩和するために、むしろ保険会社と交渉して車両保険金額が下がらないようにする努力が必要なのです。フェラーリの場合は元々の購入時の車両価格より高いプレミアムが付いている車種も少なくないので、そのような車種では当初の購入価格より車両保険金額を上げたいくらいです。488ピスタ ベルリネッタの場合ですと、元々の車両販売価格は4,300万円前後(+オプション1,000万円前後)だったと記憶しますが、今やカーセンサーなどを見ると2024/6/20現在で8,000万円近い相場になっています。このようなギャップは昔はなかったのですが、さすがに保険会社のほうも最近では購入時の車両価格から相場を少しでも意識した付保をできるように新価特約を付けるようになりました。ただ、新価特約により車両保険金額にどこまで保険対象価格を追加できるかは保険会社によって異なり、代理店を通じての個別交渉になります。国内保険会社で新価特約により相場の85%前後まで付保を認めた事例や購入後3-4年経過していても新車時の車両価格まで認めた事例があります。新価特約を付ければ保険料は当然上がりますが、全損時の買替資金不足はそれだけ小さくなるわけです。なお、この新価特約は盗難の場合には適用されません。新価特約なしの車両価格が基準になるので、ご留意ください。以上のことを考えたうえで、ご自分の利用状況に応じて車両保険価格をいくらにするかをご検討下さい。殆ど乗らない方や街中で流すだけで事故をしても接触事故程度と言い切れる方は修理費用も高額にはならないでしょうし、相手の保険を使える場合も想定されます。ご存知の通り、車両保険はサーキットをレースであってもなくても走行中の事故には適用されません。フェラーリジャパンやCORNESなどのディーラー主催のサーキットイベントでも、フリー走行はもちろん先導車付アクティブ走行やファミリー走行でも全て保険適用対象外で、さらに事故相手車両や主催者には一切請求できない旨の参加誓約書をあなたは提出しています。サーキット保険もありますが、レース、イベント当日だけ加入というようなスポット保険はなく、1年契約で公道走行時の事故にも適用されるので、一般任意保険との兼ね合いなど慎重にコスパを検討してください。私の場合はプレミアムの大きい愛車を一般公道ワインディングを飛ばして自損事故(鹿やイノシシ等との衝突を含む)で大破するようなことも想定できるので、車両保険金額を高く設定できるよう、代理店とも相談のうえ、保険会社とかなり真剣に交渉を重ねました。最後に車両保険の「免責金額」です。国内大手保険会社は軒並み20万円で統一しており、中々交渉で引き上げることは難しいです。しかし、保険料が高額なだけに事故を起こしても修理費用が軽微であれば、保険を使わずに修理するオーナーが殆どと思います。事故によって保険を使って求償すると、翌年から等級が3段階下がって事故有係数が3年間適用され保険料が増額してしまうからで、フェラーリでは元々保険料が高いので、非常に大きな問題です。元の等級と保険料レベルに戻るには3年間保険求償歴なしで過ごして4年目まで待つ必要があります。ですから、そのような契約者側の対応実態から考えれば、全損も意識して車両保険金額を高くして付保しようとすれば、免責金額を上げて保険料を下げられないかという考えが出てくるわけです。外資系保険会社では免責金額を20万円から100万円まで引き上げることができた事例があり、免責金額の引き上げで年間保険料が10万円以上安くなることもあります。以上のように、任意保険は過去の踏襲による更新継続では十分な補償が得られない可能性がフェラーリには高いことを忘れないでご検討いただければと思います。もちろん、35歳未満不担保条件にする、運転者を本人配偶者限定にするという工夫や、安全運転でゴールド免許を目指したり、抜かれたら抜き返すというような血気にはやった運転はしないというフェラリスタのプライドを持つことが前提として私たちに期待されていることを忘れないようにしましょう。GOOD LUCK!今後も新情報により、更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.03.30
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フェラーリ・・・唯一無二の魅力にカーマニアの方なら誰もが憧れるクルマです。いつかは手に入れたいと車種を決めて考えておられる方もいらっしゃるでしょう。私は今まで308GTBQVに始まって現在の488ピスタ、296GTBアセットフィオラノに至るまで計10台のフェラーリを乗ってきましたが、308、512BB、F355の3台はいわゆる並行輸入車でした。308と512BBは正確にはCORNESが正規輸入を始めていなかったのでディーラー車でなかったというほうが正確かも知れません。マフラー、ホイール、サスペンションなどの社外品を付けた改造車は一度も乗ったことがありません。今に至るまで随分色々なことを勉強してきたので、その経験が皆さまのお役に立てばうれしいです。CORNESが正規輸入を始めたのは512BBの後半からで、私の買った512BBは1977年式米国仕様の輸入車でした。F355は1997年式の並行輸入車でしたが、バブル景気で法外なプライスが付いたまま2年間未登録になっていてバブル崩壊で投げ売りされた出モノを買ったものです。このころは程度優先でお買い得であればディーラー車にこだわる必要はないと思っていました。512BBのOH、メンテなどはCORNESの元メカニックが経営するショップでやってくれましたし、細かいレストアパーツはCORNESで直接分けていただくこともできたからです。また、F355を買った頃から、CORNESも並行輸入車のメンテを受け付けてくれるようになり、新車だったこともあって、全てお願いすることができました。この話を聞けば、フェラーリは高いので、並行輸入車を買ってディーラーのOBメカニックがいるショップでメンテしてもらえば維持費も安く付いていいと考える方もおられると思います。古いビンテージフェラーリを買うならそれもいいかも知れません。もちろん、当時の本来の性能を再現するほどのレストア、メンテをするにはどこに頼むであれ、相当の出費を覚悟する必要はあります。512BBは40数台乗ってきた中で、レストア、メンテ費用が購入価格を上回った唯一のクルマです。別稿でも詳しく書いていますが、金遣いの荒い美魔女をパパ活したと思って下さい。個人的見解ですが、購入後も1000万円ほどの余裕資金をお持ちでない方が手を出していいビンテージフェラーリの限界はF355までと思っています。そういうF355でも、先日、熱心なオーナーに「ぜひ乗って下さい」と言われて乗りましたが、弱点のタペット音が耳元でかなり鳴っていて、吸気のタイミングが完全に合っていないのかトルクが出ていませんでした。まあ、フルパワーでも370NmでRomaの760Nmの半分以下ですから無理もないと言えばないですが・・・。また、左リアのダンバーが抜けているようで、右コーナーでアンダーが強く出ていました。エアコンも効いていないので弱点のECU基板劣化でパーツが出ればいいですが、モジュール交換が必要と思います。オーナーはあまり詳しくないようで、「いいでしょ?」と私に聞かれて正直返答に窮しました。いくら名車だったとは言え、狼の皮を被った羊に乗っているのが実態であり、動けばいいというのではなく、フェラーリと言える狼に戻すには大変だと内心同情してしまいました。また、不人気車を掘り出しモノだと思い込んだり、フェラーリという名前が付いていれば我慢しきれずに買ってしまう方がおられますが、リセールバリューが高くなければ、いくら1000万円を出しても普通の低年式中古車と考えたほうがいいです。人気車であろうと不人気車であろうと掛かる維持費やパーツ代、レストア費用は同じです。ここも見落としがちな重要なポイントです。すでにお持ちの方を思うと心苦しく具体的車名を書くのがつらいですが、F355以降に限っても456、488、612、360モデナ、FF、カリフォルニアなどには眼もくれず、もう一声じっと我慢して貯金するのが正解です。リセール価格の高い車種を買えば、次のグレードの人気車種への買替えに進める「フェラーリ独自の上昇気流」に乗ることができます。逆に安い不人気車に手を出すと、売ろうとしても安くしか売れず、結局長く乗ってしまって維持費等の出費が増えて、次の人気車への乗り換えができずに失速してしまいます。本題に戻りますが、2011年に劇的な変化が起こります。それはフェラーリが458を手始めに電子制御を本格導入したこと、それとディーラーが新車購入から7年間のメンテナンスプログラムを始めたことです。それまでも430でデフの電子制御が始まっていましたが、458になってエンジン、デュアルクラッチ、デフ、サスペンションに至るまで電子制御されるようになり、専用テスターがなければ十分なメンテが困難になったのです。その一方でフェラーリ本社も品質管理レベルが段違いに向上し、品質保証に自信を持ったのだと思います。各個体はシャーシ番号とディーラーでオーナーが登録管理され、本社もディーラーでの修理履歴データをオンラインで把握できるようになり、各パーツはシャーシ番号なしには調達できなくなりました。さらに偶然気づいたのですが、最近になってeurosparesやMaranello Classic Partsなどの部品サプライヤーの検索画面からパーツのイラストが全く見れなくなりました(後出画面写真参照)。アセンブリーで発注する場合を除き、個々の必要パーツを部品名だけで識別することは非常に困難です。メーカーの意地悪とは思いたくないですが、部品名が分かりにくくなっており、例えば「フロントスポイラー」は458やピスタまでは「スポイラー」と名前が付いていましたが、296では「コスメティック・トリム(化粧板)」という名前が付いています。CORNESのサービスメカニックに確認しましたが、グローバルネットワークの社内端末ではメカニック名が登録されており、パーツのイラストもばっちり見れるそうです。また、CORNESの責任者からお聞きしたところによると、最近ベンツやBMWはメーカーの専用テスター以外の汎用テスターを車体に接続すると車載のECUが故障するような排他的機能が追加されたそうで他の高級車メーカーにも波及しそうなの情勢です。フェラーリはメカニカルチューニングができる最後の車種であるF355くらいまでは純正の専用テスター「SD-2」や「SD-3」を外販していましたが、その後の新機種の外部提供は止めているようです。BOSHのような市販汎用テスターではトラブル箇所は特定できても、基準値へのセッティングができません。専門ショップで愛車のメンテを受けている方はぜひ、専用テスターの保有機種を聞いてみてください。以上のように、部品供給と専用の故障診断テスターの提供の両面からフェラーリの締め付けは強くなっているので、ディーラー以外の街のスペシャルショップや外車修理工場でのメンテは益々困難になっていると思います。確かに入庫車種を見ると、テスタ、512TR、F348、F355、F450などが多く、最近の電子制御車種は見かけなくなっています。ご自身でぜひ確かめて下さい。7年メンテナンスプログラムは従来の3年間の新車保証に加え、定期的な点検・整備費用をパッケージで提供するシステムで毎年の定期点検と、所定の時期に達したときのエアコンフィルター、エンジンオイル&フィルター、ブレーキオイル、ドライブベルト、エアエレメントの交換を無償とするものです。走行距離に関係なく、例えサーキット走行していても、ディーラーのイベントがあるくらいですから、問題ありません。但し、マフラー、ホイール、サスペンション、フロントリフターなどの社外品を付けた改造車は適用を受けられません。そう言えば、社外マフラーが全盛だったのはF355まででした。メンテナンスプログラムの7年間が終了しても、支払い額の追加によって8年目から12年目まで、このサービスを延長することができる「メインパワー」というシステムがあり、さらに13年目から15年目まで延長できる「メインパワー15」というプログラムもあります。これは新車保証の実質的延長にもなります。このプログラムの効果は絶大で、私のピスタの場合ですと先日2回目の車検を受けましたが、添付のように法定点検と諸費用のみの125,000円で済みました。アウディTTクーペの車検費用より安かったです。ゼロが続いている請求書を見るのは楽しいモノです! 合計125,000円、ほっとします。部品サプライヤーの検索画面ですが、昨年ころまでは左側にパーツのイラストイメージが掲載され、パーツ番号と容易に紐づけできるようになっていました。画面には「COMING SOON」とありますが、更新はありません。要はディーラー車であれば、所定のメンテナンスをきっちり受けている(受けられる)ので、最初は高いと思っても結局は売却まで考えると安く上がるということなんです。購入価格で考えるのではなく、買ってから将来売却するまでの売買差額で考えるのが正解です。リセールバリューの高いフェラーリだからこそ、言えることかも知れませんが、ともかく目先の安さに踊らされては後で大きな後悔をします。どうか、ご注意下さい。1. あなたはマゾヒストですか?、2. 面倒なことでも自分でやってみたいと思う方ですか?3. 諦めの悪い性格ですか?この質問に3つとも「はい」と言える方でないと、ビンテージフェラーリに手を出してはいけません。「WEBERキャブの吸気音がたまらない」なんて、評論家みたいに言っているだけの方は資格なしです。512BBのケースですと、リンケージのガタが出て来て12枚のフラップが同時に開閉しなくなってくるので、本来の胸のすくような加速感を維持するには調整が必要になります。全て業者任せでお願いするとなると費用がかさむだけでなく、預けて乗れない期間がドンドン長くなります。天井のトップライナーが垂れてきたので修理しようとしたら、自分ではできず、フェラーリに強い専門業者にお願いして結局ここまで分解する羽目になりました。こういうトラブルがこれでもかというくらい、繰り返し起こってきます。動けばいいと放置していると段々嫌になってきます。ビンテージフェラーリを持つ喜びは、このようなことに手間と時間とお金を惜しまずに「楽しむ」ことなのです。GOOD LUCK!閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.03.30
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40数台のクルマ遍歴の中で、寸前まで迷いながら結局買わなかった名車が2台あります。それはトヨタ2000GTとアルピーヌA110です。それぞれ、現代版の後継車にも迷いが続いたいきさつがありますので、ご笑覧ください。1.TOYOTA2000GTこの車に小学生の頃から憧れた方も多いのではないでしょうか。ともかく、当時の国産車からは抜きん出たデザインと斬新性には一発撃沈される思いでした。小学生の卒業文集にもこの車のイラストを描いて、将来こんなクルマに乗ってみたいと夢を書いたくらいです。中学生の修学旅行でも東京タワーのお土産ショップで、東京タワーのミニチュアや「努力」「根性」などの額フレームには目もくれず、2000GTの写真入りハンカチを買ったのが昨日のことのようです。三つ子の魂、百までも。上場会社の役員になって資金的にも余裕が出てくると、満を期して横浜の神奈川区にあるビンテージカー・ヨシノを訪れ、前期型、後期型とマニュアル、オートマの組合わせで4台を試乗しました。実際に運転したのは初めてだったのですが、正直な感想を言うと、優美な外観や内装に惚れながらも「なんだこりゃ?トラック並み・・・」でした。想像以上に車内はタイトで、それはいいにしてもエンジンや運動性能は旧車のセダンと変わらず、単に動いているだけにしか感じませんでした。また、オートマはさらに幻滅で、変速時のショックが大きいうえに変速はエンジン回転数だけで感知しているような印象であり、「これじゃ、HONDAのDOHC軽トラと変わらない・・」とすっかり買う気をなくしてしまいました。以前、オーナーズクラブのメンバーで、「TOYOTA2000GTはどんな車ですか」と聞かれて、「買っても、買わなくても後悔する車です。」と自嘲混じりに答えた方がいらっしゃいましたが、「ああ、こういうことだったんだ。」と急に思い出して納得したものです。やはり、「いくら何でも現代的でないと・・」と思い直して、デザインの源流とも言えるジャガーのディーラーに直行し、XKの試乗を申し込むと即OK。1時間ほど乗って、その場で決めてしまいました。しかし、迷いの物語はそれで終わったわけではありません。そのうち、岡崎のロッキーオートが現代版トヨタ2000GTのレプリカ3000GTを開発したことを知り、しばらく様子を見ていましたが、販売実績も増えてきたようなので、意を決して訪問し、詳細を確認のうえ、試乗もさせていただきました。458で行ったこともあり、渡辺社長はすっかり私が買うのを即断したと思われて納車の話を始めましたが、その場は保留にして、数週間後に再度訪問。試乗を繰り返した結果、結局見送ることにしました。精緻なレプリカを開発された熱意とご苦労は並々ならむものがあり、許認可だけでも大変であったと容易に想像できます。オリジナル2000GTが今や8,000万円-1億円はすることに比べれば、販売価格が3,000万円と聞いて割安と感じる方もいらっしゃるでしょう。ただ、他方で458の認定中古車にも手が届きそう金額でもあることを考えると、単にスタイルが似ている(厳密には幅員が160cmから165cmに拡幅)だけでなく、現代のスポーツカーらしいワクワクする運転感覚、Fun to driveも欲しいです。その点ではクラウンの直6エンジンと4速ATでは明らかに物足りず、キビキビ走らせるには最低でも5速マニュアルを選定したほうがよいと感じました。また、本物の2000GTでも嫌がるトヨタディーラーが型式不明のレプリカ車の車検保守を引き受けてくれるとは思えません。将来売却する場合の引取条件なども含めて渡辺社長とよく確認したほうがよさそうです。2. アルピーヌA110大学生の時に近所に停められた実車をじっと見つめていると、オーナーが戻って来て運転席に座らせていただき、地面に寝ているような何という低さと膝が当たってステアリングとペダル操作がしにくい窮屈さに驚きました。その後、10年以上あとであのスタイルとモンテでの活躍にほだされて、神奈川中井のツールドフランスを訪れ、加藤代表のドライブで横に乗せてもらった時は高い運動性能を実現している軽さの重要性を再認識し、窮屈さを忘れさせる感動を受けました。ただ、身長183cm、体重90kg強と私は体格が大きいので窮屈さは致命的であり、ミウラやフォードGT40に試乗した時もそのことを思い知らされました。しかし、さらに10数年後、たまたま見た1600VBのグループ4仕様の広告写真を基に、札幌のKIモービルの渋谷代表に相談したところ、「シートのアンコを抜いて、ステアリングにコーンタイプのボスとスペーサーを挟めば、体重100kgの若い頃の自分でも問題なかったですよ。」と言われて、大きく心が揺さぶられました。北海道旅行の途中で札幌南にあるショップに立ち寄ったところ、その車はすでに売れていて、他の在庫車を見せられても上の空の状態でした。そうして1年ほど経った時に、広告を見ていると何とその車が大阪箕面の外車中古車専門店にあるではありませんか。早速訪れて試乗もしました。しかし実際運転してみると、シートやステアリングを改造しても肩がドアのライナーに当たったり、ともかく動かすのがやっとで攻めるような運転は到底できないことが分かり、さすがの私も観念しました。あきらめが悪い性格です(笑)。ただ、執念の物語にはまだ続きがありました。今度は2018年にアルピーヌがA110の現代版を開発販売することになったのです。自宅近くにアルピーヌ西宮店があったことも幸いし、A110ピュアとA110Sに続けて試乗できました。特にA110Sは「営業担当が同乗しますが、3-4時間六甲山をドライブしてください。」と言われ、さらにいいことには、同乗のご担当が途中で気分が悪くなられたので山頂で降ろしてからは私一人で思う存分走れたのです。電子制御なしの僅か300馬力ですが、総重量1100kgの軽さでロードホールディングも抜群、ドリフトがしやすく、余りトルクが太くない回転型の1.8Lエンジンなのでスロットルを踏み込んでもブレークすることもない。トラクションに不安は感じませんでした。体感的には73のポルシェRSに似た回頭性のいい、近年稀に素晴らしいクルマでした。ただ、問題はアルミボディとは言え、1000万円近いお値段と日常の足にするには荷物が殆ど積めないことでした。日常の足としては乗り継いできたアウディTTクーペがあり、たまに本気で攻めて走っても少し重いだけで2.0Lのパワーがカバーするので、コスパを考えて結局見送ることになりました。以上、長々と経過を書きましたが、名車は「山高ければ谷深し」。欠点もあります。自分の許容レベルがどこなのか、色々悩むことで、より明確に自覚できるようになると思います。2000GT(写真は後期型)のオリジナルデザインはさすがにシャープな印象。当時の概念を超越した野崎喩デザイナーのご苦労が偲ばれます。現代車と比べるとバンパーも繊細なので非常に小さいのに驚きますが、見ていると惚れ惚れします。見た感じの大きさの印象ではカローラGTやシビックEK4くらいでしょうか。横に写っている5-6歳の子供と比べて下さい。このアングルですと、実際より長く感じます。2000GT(写真は前期型) このアングルではキャラクターラインのエッジが見えないので、丸くて可愛らしく感じます。高速で走行中の2000GTを2-3回見たことがありますが、ユーノスくらいの印象でした。旧車はハコスカGTRやS30Zなども含めて、いずれも高速道路では走行車線を100Km/h前後で巡行しているケースが多く、当時の豪快な雰囲気に比べて、小ささとスピード感であれっと感じることがあります。ロッキー3000GT。2000GTに比べ 走行直進性を向上させるため、車幅が5cm広がられていますが、前期型モデルのほうがグリルが狭いので車幅の違いは目立ちにくいように思います。ロッキー3000GT。ヘッドライトのアクリルカバーやホップアップライトの再現も並大抵の努力ではなかったと感心させられます。ロッキー3000GT。前期型モデルでもオリジナルの2000GTに比べると、ややぽっちゃりした印象はします。ロッキー3000GTの各部のチリは前後、左右ドア、バッテリー・点検口とも合格点と思います。2000GTの計器パネル マホガニー材の違いで茶系と赤系に大別されます。ロッキー3000GTの計器パネル。直接写真を並べて比較するのは酷かも知れませんが、55年余りの時間の差を越えて2000GTの豪華さに改めて驚かされます。2000GTのシート内装ロッキー3000GTのシート内装。よく努力はしていると評価できますが、3000万円と言われるとひと言、言いたくなる仕上げです。シート形状はもう少しバケット風にくぼみを付けて両脇を絞ってもよさそうですが、年配のオーナーでもベンチシートのように抵抗感なく楽チンに乗降できることを意図しているのかも知れません。😢2000GTのDOHC直6エンジンルーム。 余談ですが、ヨシノでレストアした個体はプラグコードが全部ブルーになっていて、無神経です!ロッキー3000GTの3L直6 2JZ-GEエンジン。信頼性はあります・・・。ジャガーXK。1280万円で、このデザインと本文のような性能なら、「2000GTの現代版」と言っても過言ではないと個人的には感じます。「それならなぜトヨタが作れないのか、クルマを家電のように作っているからか?」疑問に思うのは私だけでしょうか。このスタイルとフレンチブルー。色々言っても唯一無二の魅力が落ちることはありません。開発者のコンセプトがそのまま忠実に形にされたクルマは個性が強くなる反面、不滅のファンを得ることになります。ハコスカGTRのように・・。軽さが全てにいい影響を与えることを教えてくれました。CIBIEスーパーオスカーは迫力満点増量タンクもばっちりレストアされています。1600VBのグループ4仕様クロスフローエンジン。WEBER DCOE45に仰角の付いた比較的長いサイズの希少エアファンネルが付いていて、大口径キャブにも関わらず、流速が上がって鋭い吹き上がりでした。ほんとにしびれます。エンジンフードのヒンジ周辺も割れはなく、フードがあまりに軽いんで仰天。「見ると感動、座ると地獄」の室内。ドアステーが肩に当たって、膝が擦れるステアリングを回すのも四苦八苦でした。イグニッションキーすら、股の間からハンドルの下側をくぐって見えない穴に入れる儀式が必要です。オリジナルのA110とこうして比べるとかなり違います。アルミボディ、カーボンルーフながら電子制御は一切ないので、個人的には800万円前後が適価ではないかと思いますが、皆さん、いかがでしょう。今もオリジナルA110のミニカーを見ては、ナローポルシェをレストモッドしたシンガーポルシェのように、どこかのメーカーがA110Sにカーボンボディをかぶせたモデルを出さないか、夢想しています。可愛らしいと馬鹿にしてはいけません。これで実は小悪魔なんです。2代目も大きくなったとは言え、エンジンは2Lでトルクフルに味付けされているので乗りやすいです。スロットルの立ち上がりがベンツのEクラスなどのように少しおっとりしていて、これが女性にも受けるのでしょう。攻める時はバイクと同じようにハーフスロットル気味にしながら、思い切って踏み込むと軽快に動いてくれます。閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.21
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今も多くのカーマニアの記憶に刻まれている名機S20エンジン。まさに桜井眞一郎氏のR380などのレース経験に裏打ちされた技術者魂とプリンスのプライドが生んだ傑作エンジンと言えますが、これを同じく搭載していたハコスカGTRとフェアレディZ432、どちらに軍配が上がるでしょうか。両車を並行して同時に所有し、ともに元プリンスメカニックの牙城であった日産ピーズモータースポーツ東京の高井戸ファクトリーでレストア、メンテをしていただいていた者として、私なりの感想をまとめてみたいと思います。432の前にフェアレディZにはZL、240ZGと乗り継ぎ、ハコスカGTRには同型KPGC10のシルバーを2台乗った経験があります。プリンスのエンジンと日産のボディの相性の悪さとして、432とシルビアS12型がよく引き合いに出されますが、432のS20振動問題はフェアレディZのフロントシャーシの弱さに起因しているように感じます。確かに160km/hを超えたあたりからブーンというバイブレーションが起こり、低周波音が車内に充満していました。DOHCのS20はSOHCのL20、L24に比べ補機類を含めると20-30kgは重いうえ、ZとGTRは同じくフロントストラットとは言え、Zはフロントシャーシにホイールハウスとアッパーマウントが載っているだけに対し、GTRはスカイラインの伝統を踏まえてダッジのようなアメ車に近い大きなエンジンベイでシャーシが補強されていました。432もフロントにストラットタワーバーを入れると少し緩和されましたが、特にネジレに弱いようで下りのコーナーに突っ込んでいくとアンダーが強くなる傾向がはっきり出ていました。また、432とGTRを比べると、GTRのショートホイールベースによる回頭性の良さが際立っていたように思います。ワタナベの8J,10Jというようなワイドタイヤを履かせてもステアリングはニュートラルでとても操縦しやすかったのが印象的でした。432はフェアレディZに共通するロングノーズ、ショートデッキのデザインにパワーを掛けるとリアが沈み込む官能的なドライブフィールがありましたが、終始アンダーステアの強いクルマでした。432とハコスカGTRのワークスカーをともに乗っておられた北野元様とは親しくさせていただいて、両車の比較を話し合ったことがありますが、「ノーマルの160馬力から250-260馬力にチューンされた状態ではボディ鋼性やステアリング特性、エグゾーストパイプの形状の違いなどで乗りやすさ、バランスの良さの違いが大きくなり、サーキットでの戦闘力の差につながった。」と仰っていました。以上の点で、私も北野様と同じくハコスカGTRに軍配を上げたいと思いますが、432にはどこか240ZRに駆逐された悲劇の短命ヒーローのような感傷もあって、ハコスカGTR2台を売った後も最後まで乗り続けたのはフェアレディZ432であったことを付け加えておきます。耐久レース用の長いエアファンネルを装着すると、WEBER44でも立ち上がりのもたつきはかなり緩和されました。VANの創業者石津謙介様のサインです。仕事の関係で親密にさせていただきましたが、石津様も当時ハコスカGTRに乗っておられたとのことで意気投合しました。全く持って今では信じられない、夢のように完璧なメーカーサポートでした。フェアレディZの生みの親、元アメリカ日産社長の片山豊様と北野元様とタイヤショップウルフで。GTRオーナーズクラブの走行会でのランチタイム。1コーナーが30Rと60Rの複合コーナーで、100R入口にサントリーコーナーのシケインがあった頃で、ラップタイムは曖昧な記憶ですが、2分5秒くらいだったと思います。今とは比較になりませんが、遅いなりにともかく楽しかったです。閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.21
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フェラーリ 296GTにどんな印象をお持ちですか。「フェラーリもついに環境対策車を出したか、V6なんてフェラーリじゃない・・・」とか、あるいは逆に、「今やF1もハイブリットの時代。ガソリンエンジンのパワー限界を電気モーターで巧みに補強する先端ノウハウを形にしたフェラーリの回答だ・・・」とか。実際に生活道路や高速道路、山岳地帯のワインディングを走りこんで思うのは、「ピスタが富士山で、296GTはエベレスト。どちらも最高峰を極めたクルマであり、目指した山が違うだけ」という感想です。確かにピスタはFun to driveでは勝ると思います。走ると動悸や呼吸が激しくなる人間の感性とエキゾーストサウンド、タイヤの走行音、バイブレーションなどが盛り上がっていく車の特性が合致して、人馬一体感がより強く感じられるからです。それでも296GTがなぜエベレストなのか?不思議に思う方も多いでしょうから詳しく述べたいと思います。296GTのドライブモードは4種類。「e-ドライブ」、「ハイブリッド」、「パーフォーマンス」、「クオリファイ」です。このモード別にパワートレインの特性を見るのが一番分かりやすいと思います。「e-ドライブモード」動力を全て電気モーターに依存した走りで、バッテリー残量が無くなった時だけエンジンが掛かります。急加速や急坂の場面でも電気モーターは何のストレスもなく直線的に加速し、気が付いたらビックリする速度になっています。当然モーターですから、変速のショックもありません。40kmくらいしか、このモードで走れませんから、ガレージの出し入れ、市街地、渋滞での使用を想定しているようで、早朝深夜でのご近所迷惑防止や渋滞での疲労緩和などメリットは大きいです。「ハイブリッドモード」原則電気モーターで急加速や急坂でアクセルを相当深く踏み込んだ時だけ、エンジンが掛かってアシストしますが、普通に走ってバッテリー残量が無くならない限り、エンジンは掛かりません。「パーフォーマンスモード」常にエンジンと電気モーターの両方が回っていて、エンジンがトルクカーブのピークアウトに近づいたところで電気モーターが補助して傾きかけたトルクカーブを持ち上げて直線にします。エンジン車であれば、シフトダウンするところですが、電子制御のデュアルミッションはAUTOでキックダウンしません。パワーが維持されているので、パドルでシフトダウンする必要もない訳です。ワインディングなどではまさに痛快としか言えない加速感が楽しめます。ジェット戦闘機で谷間を飛んでいるようです。トップガンの世界で、陶酔してしまいます。逆に減速シーンではデュアルミッションがブレーキの踏み加減に応じて自動で一段、二段のキックダウンをしてくれるのでパドル操作を行う必要がまずありません。速度や回転の合わないミス・パドルダウンも防止してくれるので全く呆れます。まさに「あなたに代わってあなた以上に」です。この当たりはピスタの7速から8速に多変速化しただけでなく、円滑な変速制御がより完璧になったところです。458では高速から降りる時などブレーキを踏んでも速度がかなり落ちるまでキックダウンしないのでヒヤッとすることがありましたが、すでに昔話になりました。このモードでは常時エンジンとモーターの両方が回っているので、アイドリングは1200回転もあり、クリーピングが強いのでしっかりブレーキを踏んでおかないと思わず前に出ることがあります。渋滞ではエンジン音がかなり大きくストレスが貯まる感じがして、私はハイブリッドモードに切り替えています。「クオリファイモード」電気モーターの出力をさらに上げて、トルクカーブを直線どころか上向きにあげるので爆発的というか、暴力的な加速になります。岡山国際での試乗会でヘアピンを抜けたバックストレッチの直線500mで何と230kmまで出ましたのでビックリしました。この加速感はRUFのBTR3.4以来ですが、トラクションコントロールが絶妙に効くので、次のコーナーで飛び出す心配もなく、平然とグリップ走行で減速して曲がります。ポルシェでしたら、急激にオーバーステアになって、口から心臓が飛び出そうになり、眼をつむってアクセルを踏み込むところです。イン側のガードレールが目にチラついても踏み込まないとスピンが止まらないからです。中々書いて説明するのが難しいのですが、ともかくハイスピードで走る、止まる、曲がるを平然とやってのけるので、これを可愛げがないと感じる方もおられるでしょう。SF90になると電気モーターが4輪駆動で、引っ張られ感が加わり、まるでFFに乗っているようなオーバーステア気味の世界になります。いずれにせよ、次元の違う速さと安定感、横Gがいくら強くてもスピンしない不思議な感覚に捉われます。サーキットでもAUTOのほうが確実に速いです。ZF9速のデュアルミッションはオーバースピードでコーナーに突っ込んで行ってもブレーキの踏み具合に応じて1段、2段とキックダウンしてくれるので、ステアリング操作に集中できます。集中しないといつのまにか危ない速度まで出るクルマです。ここでF1から得た前方寄りのドライビングポジションも大きく貢献して、ステアリング操作の遅れを防止してくれます。296GTにはサーキット走行を重視したアセットフィオラノのオプションがあり(約450万円)、あのハンマーヘッドストライプもアセットフィオラノにしないとオプション(約230万円)で付けられません。アセットフィオラノはF355のようなステアリングパッケージではなく、チタンスプリングを核とするサスペンションパッケージです。乗り心地はかなり固めでロータス7といい勝負、例の「岩のような」という表現が適切なレベルです。しかし、飛び跳ねてグリップを失うということはありません。電子制御サスがダンパーの動きを路面に追随させます。ここがフェラーリのすごいところです。乗り心地と言う点ではパーフォーマンス志向の私はレーシングシートとの組み合わせでも気になりませんが、普通の方はアセットフィオラノを選択するとフロントリフターもなくなるので、かなり悩むところではないでしょうか。フロントリフターがなくても、サスが固いせいか、今までフロントを擦ったことはありませんので、悩むポイントはサスの固さとストライプになりそうです。 →フェラーリ側も同じことを考えていたのか、「リバリー」という縦ストライプのオプションが最近追加されました。後出写真参照 5/9更新296GTのポテンシャルを示す逸話をCORNESの責任者の方から伺いました。それは市販車をベースにしたGTカテゴリーレース用(電気モーター撤去状態)の296GT3が昨年のフェラーリレーシングデイズで日本初公開され、FISCOでいきなり何と1分42秒を出したという話です。確かにGT3は2023年のニュルブルクリンク24時間レースでポルシェなどドイツ勢を破り総合優勝していますが、身近なFISCOのベストラップで比べるとWECハイパーカークラスの優勝タイムが1分43-45秒、R35GTRニスモが1分45秒、ポルシェ992GT3RSのカレラカップが1分42秒台、フェラーリチャレンジ2024が1分41秒台ですから、もし詰めていたら1分40秒は切っていたかも知れません。公道での走行経験から見ても頷けて無理がないと感じるレベルです。以上の通り、乗り味は独特ですが、開発期間がかなり長く、F1のハイブリッドノウハウを思い切り詰め込んだだけにパーフォーマンスカーとしての完成度は非常に高いです。4輪駆動、1000馬力のSF90より癖がなくバランスがいいです。今後の環境規制も考えると、296GTを凌駕するニューモデルは中々出にくいのではないかと思います。なお、296GTのオーダーは基本終了していますが、あと数台は6月末まで追加可能だそうですので、欲しい方はまだ間に合います。全体的に生産が遅れており、ベルリネッタと並行して一時スパイダーの生産も始まっていたのですが、4/18現在では受注台数の10-15%程しか納車されていないそうです。必須オプションの透明な「レクサン樹脂・リアボンネットカバー」を開くと、エンジンブロックの上に鎮座するのは、V8エンジンで見慣れたエアインダクションボックスではなく、代わってエキゾーストパイプになります。左右2機のターボチャージャーも完全に180度V6エンジンのバンク内に収まっているのが確認できます。吸気はリアのスポイラー横の左右インテークからラジエターとインダクションボックスを通ってエンジンに送られます。エアインダクションボックスは296GTではリアフェンダー内にあって全く見えず、裏方になっています。吸気がブルー、排気がレッドの流れです。エンジンの下から入って上に出ていく構造です。リアスポイラーの手前にあるエアインテーク。中にラジエターが水平に取付けられているのが見えます。エンジンルームの右横から見た吸気の流れがブルーで、排気の流れがレッドです。フェラーリは上からの排気システムを「ホットチューブ」と呼んでいます。吸気は温められないよう、ヒートプロテクションシートの裏側を通って赤いエンジンのヘッドカバーの下側からエアインテークマニホールド(写真のシルバー部分)経由で片バンクの3気筒に送り込まれます。比較のためにピスタのV8エンジンルームを見て下さい。ちょっと見える赤いヘッドカバーの左右に伸びるのはエアインテークパイプでエンジンブロックの上にはエアインダクションボックスが鎮座しています。つまり吸気は296GTと同じくリアの後端のインテークから吸取りますが、296GTとは違い、エンジンの上からストレートに供給されています。ボディサイドのインテークはターボのインタークーラー冷却用でピスタも296GTも共通です。吸気の流れがブルーです。排気は赤いヘッドカバーの下のエキゾーストマニホールドからエンジン本体の両脇を通ってリアのエキゾーストパイプから排出されます。エンジンの上から入って下に出ていく流れで、296GTとは真逆です。このようにエンジンルームを見比べるだけで、ピスタや488、F8では吸気の効率アップを追求しているのに対し、296GTでは排気の効率化を優先しており、エンジンのアーキテクチャーが大きく変更されているのが分かります。単にPHEV化しただけではないのです。コスト低減はあまり気にせずに既存の踏襲はけっしてしないフェラーリの研究開発探究心にはホトホト感心させられます。新モデルの価格が上昇するのも仕方ないかも知れません。この当たりがポルシェとの決定的違いです。最近のポルシェはデコレーションを変えているだけのように感じませんか?エキゾーストパイプは新素材「インコネル」(スチールとニッケル等の合金)で作られ、厳重なヒートプロテクションが上下に施されています。キャパリーノ・ランバンテが付いているのはヒートプロテクションカバーになります。IHI製のターボチャージャーにも厳重なヒートプロテクションが施されていて渦巻の本体は直接見えませんが、F40のKKK製に比べ、36年間で約2/3の大きさにコンパクト化され、最大回転数も180,000rpmと倍近くになっています。電気モーターのMGU-Kはクラッチを介してエンジンのすぐ後ろ(写真の左側)に付いていて、最大トルク315Nmを発揮し、eモードではモーターだけで135km/hまで出せます。オレンジ色のコードは後尾(写真の右側)にあるインバーターからモーターに繋がる電源配線です。パーフォーマンスモードやクオリファイモードにすると疲れを知らない直線的なトルクカーブになるのも頷けます。レース仕様の296GT3ではレギュレーションの関係でこのモーターが取り外されていますが、それでもニュルブルクリンク24時間レースで同条件のNA ポルシェGT3RS CUP仕様に勝つ訳ですから、F163エンジン自体もかなりポテンシャルが優れています。 ボディサイドにあるエアインテークは最近のモデルに共通するターボのインタークーラー冷却専用です。エアインテークから外気が流れ込むインタークーラーは吸気を温めないよう厳重にヒートプロテクションされていて、エンジンルームから全く見えません。センター1本出しのエキゾーストエンドピースの中をのぞくと、左右からエキゾーストパイプが中央に集合して来ています。エキゾーストパイプがエンジンブロックの上に付いているので、そのまま高い位置から排気されているのがよく分かります。296GTに搭載されたV6 ツインターボのF163エンジンの全景です。左側のフライホイールが付いているのがリア方向です。F163の原型となった、下の写真にあるF1用Tipo021に比べ、ターボチャージャーが2/3くらいの大きさになっています。エアインテークパイプもヘッドカバーの位置ですでに1本に集合されていてTipo021より進化しています。それにしても、スタッドボルトの多いこと!片バンクで少なくとも30本はあります。930ポルシェならたった12本でした。OHが大変。F163の原型となったF1初のターボエンジン120度V6のTipo021です。1981年に126CKに搭載されてデビューしましたが、ターボチャージャーはIHI製ではなくKKK製でF40用と同じくかなり大きいため、F163のように120度バンク内に収まらず、同じ「ヒートV」と言われる構造ながら、上に飛び出して付いています。1981年当時ではキャブレターに代わって直噴インジェクションになっていますが、点火はまだ電子化されずに、ディストリビュータに頼っています。タイミングベルトもチェーン化されていないようです。126CKに搭載された状態のTipo021エンジン全景です。向こう側がフロント、手前がリアです。エキゾーストパイプがターボチャージ―に繋がっているのがよく見えます。巨大なリアスポイラーがあるせいか、ターボチャージャーを抜けた排気がそのまま上から排出されずに下に回されているのが構造的に苦しいところです。本来は1枚前のエンジンスタンドの写真のようにしたかったんでしょうね。両サイドに出ているのはエアインダクションパイプです。126CKはあのジル・ビルヌーブのドライブでモナコGP、スペインGPで優勝を果たしました。バケットシートのリフターは23万円ほどのオプションですが、リセールに影響するので必ずつけましょう。バックカメラは296の場合、488系のようにバンパー真下まで投影しないので、駐車時は車止めの高さを確認してカーボン製ディフューザーを傷つけないよう十分注意しましょう。査定の対象はあくまでオプションプレートで、後付けパーツは評価されないので、発注時に漏れがないようにしたいものです。納期を早めるにはオプションを人気アイテム(外装カーボン、LEDステアリング、バックカメラ、フロントリフティング、跳ね馬カバリーノランバンテ刺繍など)網羅型で概ね1200-1300万円まで増やし、契約したら660万円のデポジットをできるだけ早く払い、オプション内容を早く確定(通常契約後3か月は変更可能)させることです。私の場合、デポジットは2回に分けずに一括払いし、オプションも事前の詰めをして、デポジット支払い時に確定させました。そのため、契約時と殆ど同じタイミングでオプションを確定し、フェラーリ本社に正式オーダーを出せました。生産着手の順番は契約順ではなく、オプションと今までの購入歴を考慮して決定されるようです。オプションを散々迷って個性の強いアイテムを沢山付ける方がいらっしゃいますが、基本的にやめたほうがいいです。10台買って今まで見てきた教訓です。万人受けしない独りよがりのオプションはリセール価格に上乗せ反映できないだけでなく、逆に不人気要因になって、いざ売る時に引合い件数の減少や販売期間の長期化に繋がる可能性があります。車体価格、オプション価格はオーダー後もメーカー都合で突然一方的に変更になることがありますので、200-300万円は余裕を見ておきましょう。現在、オーダー時のデポジット(手付金)は契約時330万円、3か月後の契約内容確定時(オプション変更が不可能になります)330万円の合計660万円必要です。不幸にも契約をキャンセルしなければならない事態になった時は、契約者が急死でもしない限り、デポジットは返却してくれないので、多少無理しても納車まで待って全額決済し、そのままCORNESに売ってもらったほうが損失は最小になります。納車待ちの間に契約車両が生産に入るとステイタスがスマホで見れるようになりますが、リアルタイムでなく1カ月遅れくらいの更新と考えて下さい。私の場合、画面右下のほぼ完成状態が表示されて2か月ほどで納車いただきました。日本に入港してからの点検、登録もCORNESさんにはかなり頑張っていただいたので、契約後7カ月の納車は最短だと思います。充電は専用の「バッテリーコンディショナー」経由で家庭電源から行いますが、家庭電圧の変化を嫌うため、200Vの高圧電源でなく、家庭用の100V電源を使う場合には電圧降下トラブルに対処するため、納車後に写真のような電圧向上器(ポータブル・トランス)がCORNESから無償配布されました。「バッテリー・コンディショナー」(写真右のガソリン車用の「バッテリー・アダプター」に似ていますが、全く別モノです。)の二つ並んだパイロットランプが青く点滅していないと正常充電していません。写真のように赤くひとつだけ点滅している時は一旦車体側の充電口からプラグを抜いて、電圧向上器の電源スイッチを入れ直してください。電圧向上器を付けていても、激しい雷のあとで青ランプ二つから赤ランプ一つの点滅に変わっていたことがあるので、たまにランプが赤くなっていないか、ご覧になったほうが無難です。バッテリーが過放電で交換ということになると70万円コースになります。なお、私の場合、バッテリーコンディショナーが2024年8月に不調になり、赤の点滅状態のままで変わらなくなったので、メーカークレームにより新品交換していただきました。まだ、ハイブリッド車は試行錯誤もある段階のようで充電状態に注意しましょう。自動車税の納付書が来ましたが、興味深い点があるのでご覧下さい。ピスタが66,500円に対し、296GTBはHV減税措置で何と12,500円! アウディTTの39,500円より安いではありませんか。5300万円の車にとっては微々たる差ではありますが、維持費は別次元で印象に残るものです。今でもファイアーバードトランザムで年13万円近い自動車税を払っていたことは忘れもしません(笑)。以下、CORNES内覧会の写真です。細部の検討にご覧下さい。ほんとの「内覧会」で殆ど独り占めでゆっくり見れました。296は幅が195.8cmと別に他のモデルより広いわけではありませんが、ヘッドライトが両端に配置されている関係でやや間延びした印象を受けるので、この「ハンマーヘッドストライプ」が非常に良く似合っています。このストライプはアセットフィオラノオプションを選択した時しか、付けられません。なお、間延び感についてはフェラーリも同じ印象を持っていたのか、最近「リバリー」と呼ばれる縦のストライプがオプションに追加されました。1本、2本、ピンスト付など、様々なストライプパターンとカラーから、アセットフィオラノオプションを選択しなくても選べます。但し、最低216万円からです。今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が30,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.17
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「一番好きなフェラーリは?」、「296GTとどちらがいいですか?」よく聞かれる質問ですが、「40数台乗り継いだクルマの中でもピスタが最高のクルマであり、一番好きなフェラーリです」と答えます。ただ、296GTBとの比較では「ピスタが富士山、296GTBがエベレスト」と例えて、「どちらもすごいでしょ?」と申し上げています。別稿で458は初めて本格的に電子制御され、次元の違うフェラーリのパーフォーマンスカー新時代を切り開いたモデルだと説明していますが、エンジン、デュアルミッション、デフ、サスペンション、ステアリングなどの電子制御レベルはその後、味付けの違いはあるにせよ、488→F8→Pista→Roma→SF90→296GTと進化を続けました。そのうえにツインターボの低速化やモアパワーのハイブリット化が加わわったわけです。フェラーリを乗り継いでいると常に新たな挑戦的な変革が盛り込まれ、新車価格が高騰するのも開発費の大きさから納得がいきます。この点、911の呪縛から逃れられず、パワートレインやミッション、トラクションコントロールに抜本的な改善が加えられないポルシェとは対照的です。進化とFun to Driveこうした進化の潮流を振り返ると、最高のフェラーリは最後にリリースされた1000馬力を超える四駆のSF90やガソリン車とのギャップを緩和した296GTになりそうです。そうならないのはなぜでしょう。中古車価格でもSF90はピスタより安く、オプションを入れると購入価格を下回っていますし、296GTはまだ市場に十分出回っておらず、評価が浸透していないせいか購入価格並みです。その理由は端的に言うと、Fun to driveではないでしょうか。ピスタは人間の感性とクルマの特性が非常に高い次元でマッチしているように感じます。人間は走ると動悸や呼吸が激しくなってアドレナリンが分泌され高揚感が高まります。クルマもそのような人間の感性と呼応する形でエキゾーストノートやタイヤの走行音、ステアリングのダイレクト感などが高まれば、独特の人馬一体感を感じることができます。それに対して、SF90や296GTはエンジンが持つ曲線的なパワーの盛り上がりとピークアウトが電気モーターで巧みにパワーの谷間がカバーされ、どこまでも直線的に加速します。0→100kmはピスタ2.85秒に対し、296GTB2.9秒。0→200kmではピスタ7.6秒に対し、296GTB7.3秒です。恐らく、0→300kmなら296GTBが2秒くらい優位に立つでしょう。動悸や呼吸の乱れもなく・・・・。うまく言えませんが、感覚的にはゼロ戦とジェット戦闘機の違いでしょうか。SF90はもはや飛行機ではなく、ロケットの印象です。ピスタはより人間的であり、同じく人馬一体感を味わえる458が「最後のNAマシン」と謳われるのなら、「最後の官能マシン」というべきかも知れません。電子制御による妥協なきトラクションコントロールまた、ピスタは488チャレンジや488GT3でのレース経験を直接取り入れて、エンジンの高回転化と中低速域のトルク増大に加え、操安性に関しても軽量化と併せて、電子制御によるトラクションコントロールを完璧に施しています。ロールは殆どありません。添付写真でFISCOの第2コーナーの走行スナップがありますが、この写真を見た方は姿勢が全く傾いていないので「パレードランの写真ですか」と言われます。しかし、実はActive 走行セッションの中で140-150km/hくらいで走行しています。運転する私は横Gに耐えるべく、頭をイン側に傾けていますし、後続のF8トリビュートのリア内輪サスは若干ですが伸びています。ピスタは458に比べると制御がはるかにきめ細かくスムースですが、SF90や296GTのように全く感じないまでにはまだ進化していません。それでも、マネッティモードを常にRACEポジションにして走っている私の場合でも、操安性に不満はありません。公道でもサーキットでも完全なグリップ走行で、ドリフトは一切させてくれません。カウンターステアリングでドリフトに入るきっかけを作ろうとしても制御されてしまいます。操安性の中身を具体的に言うと、左カーブならアンダーが出そうになると電子制御デフが右ドライブシャフトへのトルク配分を高め、電子制御サスが右リアのダンパーのバネレートを高めるとともに左後輪のブレーキが効いてドライバーがカウンターを当てる前(スキッドし始める前)に姿勢を立て直します。このような制御はセンサーとECUの交信を1秒間に何と数百回レベルで行うことにより実現されているそうです。昔、F1でアイルトンセナが1秒間に6回アクセルのON/OFFを繰り返す「セナ足」と呼ばれるドラテクで称賛されていましたが、現代のフェラーリは次元が違うわけです。常にニュートラルポジションなんです。電子制御の味付けは非常に微妙なようで、不人気の488や後続のF8ではある意味、失敗したと考えています。488を袖ヶ浦フォレストレースウェイの試乗会で走らせた時はスポーツモードにしているのに、まるでウェットモードで走っているようでした。乗りやすさ、乗り心地を優先させたのか、全体的にマイルドな味付けでロールは抑えられておらず、パドルでシフトダウンさせてもエンジンの回転が抑えられ、シフトアップしてしまう場面が多々ありました。この傾向は488の不人気を挽回すべく、登場したF8でもデザインは斬新になり、ステアリングも小さくしたのに、通勤でも使えそうな日常走行のソフト感に固執してしまい、トラクションコントロールの不完全さやステアリングのダイレクト感のなさを残してしまいました。GTカーのRomaなら、この味付けでいいと思います。ピスタのクラッシュシーントラクションコントロールが完璧と言いましたが、ユーチューブで唯一のクラッシュシーンが公開されています。オランダで撮影車を後続に従えたピスタが張り切り過ぎたのか、激しくスキッドして草むらに突っ込むシーンです。あれはCT OFF(トラクションコントロールなしでABSのみの状態)状態だったそうで、少なくともRACEモードにしていれば、あのようなアクシデントには絶対なりません。クラッシュ画像は458や458スペチアーレに多いですが、スロットルを急激に踏み込むと電子制御の反応がまだ速くないモデルなので、パワーが一瞬制御を超えてしまい、スキッドに慌てたドライバーがカウンターを当てすぎてスピンする典型的パターンです。ステアリング操作が余計なんです。サーキット走行での安心感とダイレクト感操安性の高いピスタは、4輪の荷重変化が激しく、アンダーからオーバーステアに急激に変化して緊張を強いられるポルシェ、特にGT2RSやGT3RSとは真逆です。FISCOのスタンド前で同じく300km/hオーバーで走っていても、第1(TGR)コーナーに突っ込むブレーキングポイントや緊張感が全く違うのです。GT2 RSやGT3 RSですとスタンドが切れた250m標識くらいでブレーキを踏み始めますが、ピスタですと170m標識くらいまで引っ張れます。ポルシェに27年間乗りましたが、フェラーリからポルシェに戻ろうとしないのは、この安心感の違いからです。今までにポルシェやマクラーレン、アストンマーチン、ランボルギーニなどのオーナーに同乗してもらって六甲山を攻めたことがありますが、皆さん例外なく姿勢の変化がない卓越した操安性に非常に驚いていました。なお、同乗者の中で「カーボンセラミック製CCM3のブレーキ、ロータは効き始めが遅い」という意見を聞きましたが、私は458以降のフェラーリでそう感じたことは一度もありません。マクラーレンは左足ブレーキを推奨しているので、720Sなど確かに効き始めがソフトですが、素材ではなく味付けの問題です。また、安定していてロードホールディングがいいとは言え、ステアリングはダイレクトでロードインフォメーションをしっかりフィードバックしてくれるので、サーキットだけでなく公道でも安心感があります。車内は野太いエキゾーストサウンドとタイヤの走行音に満たされますが緊張感はありません。GT2RSやGT3RSは最もレーシングカーに近いフィールの市販車だと思いますが、公道でもワクワク感とともに挙動変化に対する緊張感があり、フェラーリとは根本的に違います。絶え間なく進化しているデュアルミッションピスタはすでにサーキットでもAUTOのほうが速いくらいですが、キックダウンはパドルでマニュアル介入する余地が残されています。具体的に言うと、速度や回転が若干低すぎる時にパドルでシフトダウンさせても、きっちりギヤが入って、自動的にシフトアップして戻すようなことはありません。SF90や296GTでは、そのような場合、パドル操作が効かないか、効かせてもすぐにシフトアップ修正します。サーキットやワインディングでもパドル操作はまず不要です。また、キックダウンに関しても、ピスタは458と同じ7速ですが、デュアルクラッチはさらに進化しており、ブレーキの踏み加減次第で完璧に1段、ないし2段のシフトダウンを自動で行ってくれます。458の弱点は完全に改善されています。昔、ジャガーXKでAUTOによるキックダウンのスムースさに驚き、世界最高ではと感じたことがありますが、現代のフェラーリはその水準をよりハイスピード域で凌駕しています。まさにフェラーリ、恐るべしです。リセールバリューと避けたい個体ピスタは以上のような優れた特性に加え、多くのフェラリスタの人気に支えられてリセールバリューがとても高い(7500万円では買えなくなりつつあります)ので、クルマというより「投資タワマン」、「走る不動産」であり、財政面でも安心感があります。なお、リセールバリューを重視するなら、並行輸入車のほか、認定中古車でも次のような個体には手を出さないほうがいいと思います。人情として実車を見てしまうと興奮して買い急ぎがちになりますが、高価な買い物です。冷静に選びましょう。ピスタは売り出し2週間くらいで売れるのが通常なので、売れずに残っているピスタには必ず理由があると考えることです。フロントラゲージルームに取り付けられたオプションプレートの記載が査定対象です。あとでパーツを装着しても価値は上がりません。念入りに確認してください。1.カーボンホイール装着車:オプションでは約270万円しますが、敷石や歩道に当たると亀裂が入って修復不能、即交換になるので入荷待ちと費用(@100万前後)が馬鹿になりません。また、普通のタイヤ交換でもディーラー以外ではBond東京・大阪くらいしかやってくれないので大きな敬遠要素になります。新車オーダー時に鍛造ホイールを付けて予備に納車させているケースが多いので、確認してみましょう。2.非フルカーボン仕様車:バンパー一体のリアモールが453,000円のオプションGRDCなので、カーボンを選択せずにFRP製のままになっている個体がありますが、カーボンはクリア塗装になっているのでFRP製のマットブラック塗装との違いが非常に目立ちます。あとでカーボンに交換すると部品代が約260万円で板金塗装込では480万円掛かった2年前の事例を知っています。3.ストライプ後付け/なしの個体:純正オプションPNT3は標準で140万円前後しますが、ストライプの両側にクリア塗装を重ねて段差を全くなくしていますので、後付けのラッピングストライプは触ると段差がありすぐ判別できます。後付けで同じ仕上げのストライプを付けようとすると、300万円近く掛かるようです。余談ですが、オプションストライプの価格は高騰しており、246GTの「ハンマーヘッドストライプPNT7」は234万円、アセットフィオラノオプションを付けなくても最近選択できるようになった直線の「リバリー」ストライプは最低216万円になっています。4. 7年メンテナンスプログラム対象外車:正規ディーラー車の場合、マフラー、ホイール、サスペンション等の改造をしていなければ、新車購入から7年間は毎年の定期点検と、所定の時期に達した時のエアコンフィルター、エンジンオイル&フィルター、ブレーキオイル、ドライブベルト、エアーエレメントの交換が無償になります。この効果は絶大で私の場合、先日の車検では諸費用込みで僅か158,000円で済み、アウディTTクーペより安かったです。ピスタは2018年発売なので2018年モデルを買う場合、2025年の車検は7年メンテナンスが切れる最後になるので、この点も考慮して下さい。メンテナンスプログラムは「ニューパワー」という名称で年50万円ほどで延長可能です。やっぱり、名前通り、サーキットが似合うクルマです。結構、思い切り踏み込んでいますが、さすが姿勢変化は最小限です。第2コーナーをクリア。後続のF8トリブートは僅かにロールしていますが、ピスタは姿勢変化が全くありません。458の雑誌箱根試乗レポートの写真ですが、電子制御がまだ発展途上であり、大きくロールしています。300Rの下り複合コーナーに入り、DUNLOPコーナーを目指す。FISCOでのActive 走行セッションはレーシングドライバー先導で、メインストレッチは最高210km、パナソニックゲートからブレーキングとの事前説明があり、ピスタ3台とF8トリブート1台の4台で走り始めました。しかし、どんどんハイペースになり、最後は最高280km、第1(TGR)コーナー手前170mポスト当たりからのブレーキングになっていて、ロールの大きいF8は次第に離れました。殆ど、フリー走行と変わりなく、前を走るポルトフィーノやF430のグループに追い付いてしまう有様でした。フロントのSダクトはF8の倍近い幅があり、フードもカーボン製でF8のアルミ製とは異なります。箱根ターンパイクで愛車歴代最速タイムをたたき出しました。私は小田原料金所から入って4kmの御所の入パーキングを起点として、終点の大観までで愛車の走行タイムを定点計測していますが、フェアレディZ432やハコスカGTR、73RS、512BB、512TR、F355、Z1、マッハⅢ、CB750K0などの旧車、バイクを含め、延べ200回以上は走りました。歴代記録としてはRUF BTR3.4が最速タイムを長らく誇ってきましたが、コーナリング速度の優位性でピスタが初めて5分を切りました。「ターンパイクって、こんなに短かったっけ?」というのが素朴な印象です。アルカンターラとカーボンで包まれた内装。この当たりも皮革主体のF8とかなりコンセプトが違います。レーシングシートのサイズはMが適当で、183cm、92kgの私でも十分です。Lはアメリカ人巨漢向けと思われ、横Gが非常に大きいピスタにはベストではありません。シートリフターRSESは210,000円のオプションですが、170cm以下の方は必要なので、リセールバリュー上はあったほうが有利です。リアスポイラーの脇にあるエア・インテークです。吸気はリアスポイラーの横の写真のインテークから入り、中央のインダクションボックスから各気筒に送られるV8エンジンの定番パターンですが、ピスタの場合は488チャレンジや488GTEのレースノウハウが直接導入されており、F8と同じエンジンという誤解がありますが、事実と違いますのでご注意下さい。ボア・ストロークが94.0X78.0と同じで鍛造ピストン、チタンコンロッド、クランクシャフトは共用していますが、そもそもクランクケースが異なり(ピスタ#807811、F8#820170)、F8にはドライサンプのヒートエクスチェンジャー(#299065)がありません。また、F8は2020年の排ガス規制と騒音規制に対処するため、補機類やインタークーラー、エキゾーストパイプが異なります。最高出力720ps、最大トルク770Nmは同じになっていますが、エンジンだけのベンチテスト値と思われ、出力回転数も異なります。(ピスタ8,000rpm、3,000rpmに対し、F8 7,000rpm、3,250rpm)ご存知の方も多いと思いますが、エキゾーストノートもピスタは全域に亘って野太い大きなサウンドですが、F8はアイドリング時のみ大きく、暖気が終わるとバルブが閉じて走行中も静かで、488より大人しいくらいです。488の不人気を挽回するため、F8のマーケティングは少々誇大気味です(笑)。F348の不人気をF355で一気に挽回しようとした時のように・・・。2019年にピスタ搭載のF154CDエンジンはInternational Engine & Power train of the yearを受賞しました。インテークマニホールドとIHI製ツインターボはF8と共用していますが、インコネル(ニッケルとクロム等の超合金)製のエキゾーストマニホールドとエキゾーストパイプや大型化されたインタークーラーは異なります。コスト無視の追求姿勢にはただ敬服します。シリンダーブロックの上に装着されているヒートエクスチェンジャーです。端的に言うと、ドライサンプオイルの水冷クーラーです。写真がなく、実車でも補機類に隠れて撮影できないので、パーツリストでご覧ください。レースノウハウからの直結パーツで、これにより、油音はサーキット走行でも水温とほぼ同じ80度前後に保たれ、エンジンを停止すると驚いたことに水温より先に下がります。2024/9/19: この夏は全くの異常気象による猛暑に悩まされましたが、ピスタの水温、油音は外気が35度でも90度は超えませんでした。カーボン製フロントスポイラーはクラックが入っていないか、入念にチェックしたいです。なお、ポルシェGT2 RSやGT3 RSの純正フロントスポイラーは敢えてカーボンにはせず、ウレタン製にして交換コストを抑えるようにしてあります。それが普通の考え方でしょう(笑)。フロントの標準装備されているカーボンスポイラーを折損すれば、交換にいくらかかるか?まず3分割になっていますが、単品ではオーダー取寄せできないので、上の2年前のパーツリストであるが 2と4と5の3点合計で5934ユーロになります。@160円として運賃、保険料別で95万円前後です。CORNESに照会しても、「少なくとも120万円はする」とのことでしたので間違いないところでしょう。カーボン生地がクリア塗装されていない部分も含め、リアバンパー、スポイラーは全て一体のオプション(GRDC 453,000円)なので、カーボン製かをしっかり確認して下さい。マットブラックにペイントされているのはFRP製でリセールバリューがかなり落ちてしまうので敬遠しましょう。査定対象はあくまでオプションプレートで追加パーツは評価されません。認定中古車を選ぶ場合でも口頭説明や見た目に頼らずに、このプレートでカーボンパーツやストライプがフル装備されているかを確認する必要があります。カーボンのアンダーカバー(CEXS 892,000円)がオプションから漏れている個体も多いです。シートはレーシングバケットでMサイズ、上下アジャスター機能(RSES 210,000円)が付いている方がリセールバリューは高くなります。BBRの1/12ミニーカーは愛車とオプションを一致させるのに苦労しましたが、15万円の価値はあり、オーナーが仔細にチェックしても破綻がありません。今後も更新を続けていきますのでよろしくお願いいたします。閲覧数が25,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.16
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皆さん、初めてその車を見た時のことを覚えている車はありますか?私にとって、その車は日産フェアレディZであり、クルマ趣味の原点となった忘れがたいクルマです。大学に入学した昭和46年の暮れに今は亡き兄と大阪道頓堀から御堂筋に出たところで、サファリブラウンのフェアレディZが目の前を疾走していく姿を初めて見た時のことは一生忘れないでしょう。その後、直ちに家庭教師を3軒掛け持ちし、親に入学祝で買ってもらったマツダのロータリークーペを勝手に下取りに出して、さらには簿記1級の合格祝として40万円を親からむしり取り、翌々年の1月に110万円でZLを手に入れました。結局、その車はソレタコデュアルにGノーズとオーバーフェンダーを付け乗っていましたが、それでも満足できず、240ZGに乗換えて結婚したあとも29歳まで乗っていました。ただ、「二人乗りは絶対ダメ」、「歳を考えなさい」と周囲から散々言われて不承不承手放したものの、内心は収まらず、とうとう36歳になって探し続けた432の中古を見つけて、レストアに没頭しました。その間、神奈川日産やヤフオク、部品交換会などによる部品捜しや日産ピーズ、その他全国のレストアショップとの付き合いを通じて旧車マニアとの交流が深まり、「クラブS30」というワンメイククラブを創設しました。そうしているうちに、クラブが有名になって日産との関係も深まり、アメリカ日産の元社長でZの生みの親である片山豊様やワークスドライバーであった北野元様、柳田春人様、デザイナーの松尾良彦様など、Zを愛する数多くの方々とお付き合いをさせていただきました。日産の銀座本社、支社にもう1台の忘れえぬ愛車ハコスカGTRとともに展示してもらったり、NISMOデーであのゴーン社長と直接お話ししてFISCOを1周できたのも忘れ難い思い出です。Zには延べ32年間乗りましたが、自分の人生を振り返る時には回想シーンによく登場し、かけがいのない存在になっています。日産ピーズモータースポーツ東京 高井戸ファクトリーで今では考えられないような完璧なメーカーサポートでフルO/Hとメンテをしていただきました。ハコスカGTRとの比較に関しては別稿をご覧下さい。フェアレディZの生みの親 アメリカ日産元社長 片山豊様と北野元様と タイヤショップウルフにてエンジンフードの裏には北野様、片山様のサインをいただきました。津々見友彦様 ノスヒロの取材で伊豆スカイラインで乗車され、完調の432を気に入られて、取材終了後も「もうちょっと走ってもいてもいい?」と言われて30分ほど帰ってこなかったです。TV東京の番組取材中の高田純次、小倉智昭、水野裕子様。皆さん、楽しそうで撮影後の雑談も長かったです。昔の資料や写真を整理中なので、今後も適宜更新していきます。よろしくお願いいたします。なお、このBLOGも閲覧数がお陰さまで22,000件を超え、クルマに関しては別稿22テーマもよろしければご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.12
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半導体不足で2年7カ月も待った念願のフェラーリローマ。CORNESのプレミアムカスタマーになって、発注していた次の296GTBが僅か7か月で納車されたこともありますが、そのローマを何と4か月で手放す結果になりました。自分の所有歴でそれまでの売却最短記録はNSX初期型の11か月で、それも神奈川県納車第一号車だったので、随分ホンダの方々には怒られました。Romaの場合でもCORNESさんは488ピスタ、296GTBアセットフィオラノとの3台体制が続くと期待されていたのでいい顔はされなかったですが、北海道ツーリングを含め、5000Kmも乗って購入代金3350万円におつりが来たので、やっぱりフェラーリはすごいの一言です。購入に当たって3回も試乗会で乗り、素晴らしいスタイルで一般的に人気モデルなのに、なぜ4か月で手放したか。それはやはりGTカーとして開発されたコンセプトの違いが非常に明確で、パーフォーマンスカー志向の自分にはそぐわなかったからです。ツインターボエンジンやデュアルクラッチ、電子制御がさらにリファインされ、GTカーとしては静粛で燃費も向上、美しいスタイルにアストンを彷彿させる女性好みの内装も加わり、まさにゴルフや夫婦でのロングツーリング旅行に打ってつけと言えるクルマです。ところが、その美点が私を含めたパーフォーマンス志向マニアには物足りなさ、中途半端な印象に映るかも知れません。トルクがかなり太いので、8速に増えたZFミッションは8速と5速をしっかり掴んで、オートモードではエンジンを常に1000-2000rpmの回転域に収めようとします。パドル操作で介入して強制的にシフトダウンしてもすぐにシフトアップして戻そうとします。そのおかげで、2200kmの北海道ツーリングでは高速、一般道半々でしたが、平均燃費は10.5km/Lの高水準を達成しました。フェラリストとは言え、日常的に乗られる方にはこれは無視できない利点です。アストンのDB11も生活道路では折角のV12を1000-2000rpmに抑え、美味しい3,000-5,000rpm域は気合を入れた非日常でのワインディングコースでないと発揮できない有様でした。ローマも同じ呪縛からは逃れられなかったと言えます。私にはDB11AMRを手放したのにまたDB11に乗っているような感覚になることが多かったです。また、DB11と同様のロングノーズ、ショートデッキのデザインは優雅で素晴らしく、S30フェアレディZ以来、大好きなクルマの要素です。しかし、今やF1の先端ノウハウを吸収した458やピスタ、296GTと比べるとドライビングポジションが約90cm後方に位置してしまうため、ワインディングやサーキットではステアリング操作の遅れに繋がる欠点になりました。フロントミッドシップで回頭性がよい弱オーバーステアの特性とよく効くトラクションコントロールの組合わせメリットを大きく損なっており、痛しかゆしの問題でした。なお、デザイン面で少し触れたいのはパクったDB11に比べて、ホイールベースの延長を嫌うフェラーリはリアを詰めた結果、リアのスタイルは丸っこいサツマイモのような感じになっている点です。個人的な好みですが、皆さまも下の添付写真で両車を比べて下さい。まあ、私が売ってしまった理由中心に書いたので、ローマに対してネガティブな表現が過ぎたかも知れません。強調しておきたいことは、「イブニングドレスを纏ったF1マシン」と言いますが、イブニングドレスでは裾が足にまとわりついて全力で走れないという点です。ドレスの裾を切って、ハイヒールを脱げば、元々運動神経は非常にいいので、もっと速く走れますし、ロールも抑えられ、直進安定性もよくなります。でもそうすると、貴婦人じゃなく危険なギャルですよね?(笑)パラノイアではなく、普通にイブニングドレスで身を包んだように優雅なドライブを楽しみたい方にはポルトフィーノ(M)の段違いな進化版であり、フェラーリの名が付いたベストGTカーであると評価できるクルマです。5年で30,000-40,000km乗っても下取り価格は購入価格の55%くらいは行くと思います。3年で半値になってしまうアストンDB11やAMG SL、BMW Mスポーツのようには下がらないでしょう。パーフォーマンスカーとGTカーの組み合わせで、ちょうどいいと思ったのですが、私にはお行儀が良すぎる貴婦人でした。さすがイブニングドレスがふさわしい美人です。エッジの効いたシャープさが魅力。アストンを強く意識したインテリア。フロントと違ってふくよかな感じのリア。ライバル DB11AMRのリア。別に嫌いになったわけではありません。ベンツのSLやBMW Mを超える最高のGTカーだと思います。先日、知人のプロサングエに1時間ほど乗らせてもらいました。ローマより一回り大きく、重量も2tを超えているにも関わらず、非常に乗りやすく、V12のフロントミッドシップと新たなアクティブサスペンションでSUVとは思えない「4ドアパーフォーマンスカー」と言うべきクルマに仕上がっていました。乗るまでは何でV12か?ローマと同じV8ツインターボでもいいのではないか?と感じて期待していませんでしたが、素晴らしいエキゾーストサウンドにふさわしいトルクフルなV12エンジンはZF8速デュアルミッションに邪魔されずに踏めば存分に吹き上がるチューニングが施されていました。操安性もロールが少なく、直進安定性も高いので、ローマよりいいかも知れません。やはりフェラーリはGTカーとか、4ドアSUVのカテゴリーにラインナップを拡充する時も、パーフォーマンスカーの方向に振った味付けにしたほうがいいように思います。今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.12
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伝統とエレガンス、色濃く出た開発者のコンセプト、滲み出るフェラーリへの対抗心・・・最近のアストンマーチンを語るうえで必須の言葉のように思います。スポーツカーマニアなら一度は乗っておきたいのがDB9とDB11、とりわけV12モデルでしょう。私も例に漏れずアストンはDB9Vantageから気になっていましたが、値段の高さに加え、どことなく敷居の高さを感じて横目でにらみながら躊躇していました。しかし、比較的手ごろな外装ジェットブラック、内装ホワイトのDB9 V12を見つけたので見に行って試乗した結果、ついに買ってしまいました。重厚で気品のある雰囲気はまさにアストンならではのモノ。V12も512BBに比べると軽快でトルクの太さや直進の走行安定性は期待通りでした。まあ、維持修理代の高いのは確かです。ダンバー、ブッシュ、ホイール、タイヤなど、新品に交換したせいもあります。部品代と工賃は最新のフェラーリやポルシェの倍、ビンテージフェラーリとほぼ同じくらいでした。ただ乗っていて昔のDB7以前のモデルで言われるほど壊れることはありませんでした。ロングホイールベースとトルクフルなエンジンの組合わせは街中や高速を走る場合の神々しい優雅さに繋がり、ゴルフや夫婦のドライブ旅行には最適です。小生のようにパーフォーマンス志向で箱根のターンパイクや和歌山の龍神スカイラインのようなワインディングを飛ばす時にはさすが限界を感じました。仕立てた高級スーツを着て全力疾走するようなもので、デイビット・ブラウンさんに怒られそうですが。DB11AMR V12はDB9に比べて、フレームとパネルの高機能樹脂コンポジット化やエンジン、サス、ミッションの電子化が進んで、ワインディングでの操安性やロードホールディングが画期的に改善されています。しかし、V12エンジンに内装も16頭の牛革を使うなど根本的に重い車体を電子制御しようとするのですから、頑丈な制御機器が増えて樹脂化も焼け石に水、総重量はなんと1900kgもあります。73ポルシェカレラRSやアルピーヌA110の1000kg弱の倍!、フェラーリ458や488ピスタの1500kg台と比べても用途が全く違うとは言え、かなり無理している印象でした。サスのダンバーの太さを比較しても、458はリッターバイクの倒立フォークと同じくらいの10cm径くらいしかありませんが、DB11はその1.7-1.8倍はありました。腕と太ももの違いです。色々腐してしまいましたが、いいのは分かっているからこそ。あの独自の雰囲気と乗り味は忘れられません。ぜひ、一度は乗ってみたい、乗らないと後悔するスポーツカーです。買う場合の狙い目は3年間の新車保証が残っていて値落ちが最も激しい登録後2-3年のV8モデルと思います。V12はよりアストンらしさがあるのですが、アストンも止めたくらいですから、長く所有する場合を除き避けたほうが無難でしょう。登録後4年以降の個体は安くなるとは言え、値落ち幅は年式の割に小さくなり、逆にメンテ費用がかさんで行きます。重いので、タイヤ、ダンバー、ブッシュなどの摩耗が大きく、ボディがアルミなどの外板パネルではなく、高機能樹脂(一部カーボン)の一体成型構造なので、事故を起こすと交換修復費用は間違いなく1000万円オーバーになります。塗装も原則片側全面単位になり、ドア1枚、フェンダー1枚のような部分塗装は引受けてくれません。それくらい携わっている方々のプライドに満ちたブランドなんです。あくまでエレガントに任意保険を付けてお乗りください。DB12に試乗しましたが、生産が熟成されていないショーモデルを流した程度で本格的に走っていません。ただ、端的にはDB11のV8と余り変わらない印象でした。むしろ、ショートホイールベースのVantageが期待できそうです。まだ、総重量が1800kgでDB11より100kg軽いですが、フェラーリを徹底マークするならあと150kgは軽くしてほしいですね。また、準備が整ったら1日貸してくれるとのことですので、龍神スカイラインでの試乗記をアップできると思います。DB9。じっと見つめていたくなるフェイスです。This is elegance!乗っていると何とも言えない上質感を感じて、うっとりします。一度も使ったことはありませんでした。DB9とDB11 両車並んでディーラーの八光大阪で。 昔と比べてアストンのディーラーも落ち着いてサポート体制は格段に良くなっています。修理や点検で預けてもリフトアップした状態の車体を撮影し、どこが悪いか、修理交換が必要かを画像を付けてスマホで解説してくれるのはアストンだけです。コーンズもそこまでしません。個々の料金を言わないので聞いていると不安になってきますが(笑)。DB9とは打って変わった猛々しさを感じます。フェラーリローマに比べるとリアもシャープな印象です。やはり、真似された本家の方は元々ホイールベースが長いのでロングノーズショートデッキとしては完結しています。八光主催の丹波篠山ツーリングイベントで。オーナー同士の会話交流に重点を置いていて、走りに重点を置くコーンズとは方針が違い、各々の哲学を感じます。何と470km走行して、平均燃費が10.0km/L! V12と重いロングホイールベースの組合わせは高速走行で抜群の直進安定性を誇り、トルクもあるので片バンク6気筒の燃焼でも1000-2000回転で不足を感じません。この時は岡崎まで新名神、新東名を往復し、どれくらい燃費が伸びるか、多少スロットルの動きを抑えながら走りましたが、この燃費にディーラーも驚いて広報誌に掲載されました。東大阪のボディセンターを見学した時に見かけた修理中のDB11。コンポジット構造が非常によく分かります。モノコックからシャーシが伸びて外板を固定しているのではなく、一体成型された「LEGO」のようなモジュールが接着剤で繋がってボディを構成しています。衝撃を受けると割れるしかないので、交換になるのでしょうね。特殊なエポキシ樹脂系接着剤を1台で30kg以上も使うと聞いてびっくりしました。全くF1と同じ構造で、アストンの徹底したこだわりには敬服します。DB11はワークショップマニュアルが一般に市販されておらず、結局付き合いのある並行輸入車ショップにお願いして英国から取り寄せてもらいました。ただ、写真の納品書のように70,200円も掛かったので、ヤフオクにコピーのCDRを格安で出品して、現在までに約6-7名の同好の方々にお譲りできました。車体の構造やアストンマーチンの細部に至るまでのこだわりが非常によく理解できます。何でもかっちり作りこんでいる感じで、車重が1.9tになる理由が分かりました。今もガレージにはポスターを掲げています。Official Magazineも充実し、欧米のセレブの生活ぶりなども伝わってきて、興味深いものがありました。今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が25,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.12
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今まで40数台を乗り継いできた中で同じ車を2台買ったのはハコスカGTRと458だけです。458は「最後のNA」とよく言われますが、フェラーリの開発力のすごさでその後の488ピスタや296GTは殆どアイドリング段階からターボが効いて下からのトルクが出るようになり、ターボメーターさえなくなりましたので、NAだからと取り立てて良さがある訳ではありません。むしろ、エンジンの吸排気、サス、デフ、ミッションに亘って電子制御が本格的に採用された点が特筆されるべきと思います。その後の488やピスタ、F8などのモデルではセンサーの増加と交信速度の向上でさらに電子制御がよりきめ細かくなってリファインされていますが、トラクションコントロールが飛躍的に向上し、ロードホールディングがダントツに優れて、まさにタイヤが路面に吸い付く感じになったのは458からです。その意味では革新性が非常に高く、例えば、左カーブでアンダーが出始めた時に電子制御デフが右のドライブシャフトへのトルク配分を高め、電子制御サスが右リアのダンバーのバネレートを高め、同時に左のリア内輪にブレーキを掛けてアンダーを消すような芸当はそれ以前のモデルではできませんでした。458を買う時に名車F355を手放すか相当迷いましたが、振り返れば5バルブでエンジンが非常に回るようになり、回頭性がよくなったとは言え、メカニカル制御でまだまだタイヤにトラクションを頼っていたので、458に初めて乗った時は次元の違いを感じて迷いはすぐなくなりました。NSXに一時遅れを取ったフェラーリのリベンジ回答として出されたF355でしたが、フェラーリはそれに満足せず、一気に引き離しに掛かりました。今振り返ると粗削りでトルクが不足すると思える458ですが、軽さと操安性に優れ、やはり名車であることは揺らぎません。1台目は58,000km乗り、2台目も25,000km乗ったところでコーンズに探してもらっていたオプション仕様のピスタが見つかったのでやむなく手放しましたが、資金に余裕があれば残していたところです。2台での修理交換歴は1台目のリアのブレーキパッド交換、フロントのダンバーオイル漏れ交換やデュアルミッションのマウント交換、メーターノブのベタベタ再塗装、天井ライナー下がり張替えくらいで信頼性も高く、2台目は特に修理する間もなく、コーンズで沢山ほしい顧客が待っていたので、カーセンサーなど広告に出す前にあっという間に売れたほどです。1台目の修理歴を分析すると興味深いことが分かります。まず、ブレーキパッドの消耗です。58,000㎞走ってもフロントは交換しませんでしたが、CORNESによると、リアとフロントの消耗度は4:1ないし5:1だそうで、やはりアンダーステアの修正に忙しいのが分かります。ただ、デフの電子制御で左右ドライブシャフトのトルク配分が調整されていなかったら、リアのブレーキパッドやタイヤの摩耗はもっと激しいと考えられます。また、ダンバーはフロントしか交換していません。これもノーズダイブを抑える修正に忙しいのが分かります。タイヤの空気圧はフロント2.1でリア2.0とまるでリッターバイク並みの低さで、しかもフロントが高いと来ています。アストンDB11AMRの2.8と3.0に比べて荷重変化の大きさと方向の違いがよく分かります。因みにタイヤにトラクションを頼っていた時代のフェラーリの代表格であるF40は2.8と2.5なので、タイヤはサスやデフ、ミッションの電子制御のお蔭で随分楽になったと言えます。その代わり、ミッションとデフが載っているマウントは負担増になって交換を強いられています。交換箇所を分析するとクルマの特性が如実に反映されていて興味深いです。こういうことを知ると458や後続のフェラーリモデルをドライブする楽しさが倍増し、愛着も強くなると思います。以上、458の革新性をまとめましたが、結論として今、3000万円で買えるフェラーリとしては文句なく一番にお勧めの名車です。1台目の458です。今も九州の熱心なオーナーに可愛がられています。10万km行くかも。1台目の458は一時ビンテージF1を模してスペチアーレ用の0.5インチ太いF9.0J、R11.0Jの純正ゴールドホイールを履いていました。10年ほど前の当時でも80万円近く掛かりましたが、4年後にヤフオクで55万円で売れたので、さすが、フェラーリと感じました。写真はヤフオク出品のために洗浄しましたが全くガリのないコンディションでしたので、今ならレアホイールとして100万円はするかも知れません。1台目の晩年です。トップのラッピングは剥がして、0.5インチ太いF9J、R11Jの488用純正ホイールに履き替えました。2代目458です。CORNESに探してもらって走行2500kmのロッソスクーデリアに乗換えました。この色も中々よかったと思います。日本風に言うと、ロッソコルサは茜、スクーデリアは朱です。お好みオプションのレーシングバケットMサイズと赤のシートベルトです。183cm、90kgの私でもMサイズで十分。Lサイズは巨漢のアメリカ人向けでしょう。ポルシェと同じです。また、シートベルトの色を変えようとすると、アッセンブリー交換になり、片側で10万円オーバーになります。CORNESに引き取ってもらった時の二代目458の状態です。走行2,500kmで買って、1年2か月で25,000㎞まで乗りました。総額2,950万円で買って、手取り2,780万円で売れましたから、さすがフェラーリです。こんな芸当は他のスポーツカーや並行輸入車ではできません。ベンツやBMWは乗った瞬間に半額になります。オーディオ操作が非常に分かりにくいので、自分でマニュアルを作り、CORNES経由で沢山のユーザーにもお配りし、喜んでいただきました。ブルートゥースの対応もなく、CDのHDDへの収録には時間と手間が掛かりました。中古車選びでは書類や付属品の揃い具合も丹念にチェックしましょう。探していた458をやっと見つけた!と興奮してしまい、つい焦ってあとで後悔しがちです。正規ディーラーでメンテを受けていない個体、整備記録簿のない個体や並行輸入車、改造車は買う時安く感じても、あとで泣くことになります。高額だからこそ、安く買うのではなく、売る時のことまで常に考えて買うのが最も重要なポイントです。購入価格ではなく、売買差額に注目しましょう。Good luck!今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.11
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16歳で免許を取得、初めて親に買ってもらったのが、マツダのプレストローターリークーペでした。以来、フェアレディZL、Z432、240ZG、280Z Tバールーフ、ハコスカGTR 2台、NSX、ポルシェ911SCS、 73カレラRS、RUF BTR3.4、マスタングマッハ1 2台、マスタングGT500、ポンティアックファイアーバードトランザム, ジャガーXK、アウディTTクーペ全3代、 アストンマーチンDB9/DB11AMR、それにフェラーリは308GTBQV /テスタロッサ /512TR /512BB /F355 のビンテージに加え、最近のパーフォーマンスモデル、スペチアーレモデルの458イタリア2台 /Roma /488Pista /296GTBアセットフィオラノなど、全部で40数台のスポーツカーを乗り継いできました。今はフェラーリ488Pistaと296GTBアセットフィオラノの2台に日常のお買い物カーとしてアウディTTクーペRSの計3台に乗っています。詳しくは今後少しずつご紹介してきますので、お楽しみにしてください。現在の2台です。日常の足はAudi TTクーペRSです。ただ、しびれます。文句なく最高のフェラーリです。CORNESさんからは余り乗らないように言われていますが、5400kmになってしまいました。詳しくは別稿の「Very Best Ferrari 488 Pista」をご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402160000/ジェット戦闘機、トップガンの世界です。詳しくは別稿の「Future Best Ferrai 296GT」をご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402170001/4か月で売ってしまったローマ。別れても好きな人・・嫌いになったわけじゃなく、GTカーとしてはお薦めします。リセールバリューも高く、AMGやBMW Mのように乗った瞬間に半額になるようなクルマではありません。詳しくは別稿の「4か月で売ったフェラーリ ローマ」をご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402120001/1台目 458 58,000km乗って、さすがにCORNESでも評判になりました。2台目458でこれも25,000km乗りました。同じクルマを2台買ったのは458とハコスカGTRだけです。詳しくは別稿の「458は新時代を切り開いた名車」をご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202402110000/この開き方がたまりませんでした。これぞスーパーカー!修理メンテ費用が購入価格を上回った唯一のクルマです。満タンで横浜を出ても箱根ターンパイク、芦ノ湖スカイライン、箱根スカイラインで数回往復すると御殿場で給油しないと帰れなかった伝説の燃費ワースト記録0.6km/L保持者。それでも、WEBER44キャブ6連の12気筒ボクサーエンジンの雄たけびには勝てませんでした。次々に男を食いモノにする金遣いの荒い美魔女には13年間貢がされましたが、年増とは言え、矢のような直進安定性で250km/hがカンタンに出てしまうビンテージフェラーリの魅力は代えがたいものでした。今となっては懐かしく、パパ活時代のレストアの大変さも薄らいで綺麗な思い出しかありません。458購入のため手放しましたが、4-5年ごとに売買欄に登場して今も容色衰えず、男を翻弄しているご様子です。1990年慶応病院に胆石で入院中にも関わらず、NSXの広告を見てすぐに電話して予約注文し、神奈川県納車1号車となったNSXです。バイクでの長年の信頼感があっただけでなく、328GTBや348など、アルトターボにも抜かれる「カッコだけで走らないフェラーリ」に失望していただけに期待も大きかったです。現にオールアルミのモノコックボディやアルミ合金を多用したサスなどで軽量化を追求した乾燥わずか1350Kgの車体に可変バルブVTECのV6DOHC 3Lエンジンを搭載していて、当時の国内規制限度一杯の280PS/7300rpmのスペックは十分魅力的でした。トルクは300Nm/5400rpmでしたが、当時の私はまだ無知だったのでトルクの小ささをあまり気にしませんでした。買ってからも鈴鹿のドライビングレッスンに参加して、開発者の上原繁さんが「人間中心のスポーツカーを作った。スポーツカーは緊張感を強いるだけでよいのか」と説明されるのに対し、当時RUF BTR3.4を乗っていたので反論気味に熱い議論を交わしたのを覚えています。普段乗りでは女性も気楽に乗れるレジェンドのような雰囲気に不満でしたが、鈴鹿では回頭性のよいミッドシップ特有のトラクション性能に助けられ、初めて4輪ドリフトを体験できました。それまでRUFでは、スプーンカーブを過ぎた西ストレート立体交差からの最終コーナーで口から心臓が飛び出そうになる恐怖感に駆られていました。それだけにサーキット走行での真逆の安心感につながるNSXのセーフティマージン思考には強く共感したものです。ただ、それが普段の乗用車然とした退屈さと裏腹であったため、結局我慢できずに購入後11か月で売却しました。ホンダの方からは随分怒られました。初期オーナーで売却した初めてのケースだったので、ホンダの青山本社に呼ばれて短期売却の理由を説明したくらいです。CB750K0やK1、CL350、SL350のバイクコレクションを知って、やっと納得していただきました。「フェラーリを本気にさせた唯一の日本車」として史上に残る名車でしょうが、振り返ってみますと、300Nmのトルク不足と超高速での直進安定性の悪さ(トーイン±ゼロが標準値で、雨中の高速では過敏なハンドリングに泣かされました)、日常の刺激のなさが課題でした。フェラーリはNSXのこうした弱点を冷静に徹底分析し、5バルブと11.0の高圧縮比による370Nmの高トルクと素晴らしいエキゾーストサウンド、切れのよいフィオラノハンドリングパッケージでF355をリベンジにぶつけてきたのはさすがでした。NSXを追い出して、512BBとガレージに収まるF355です。フェラーリ社のドヤ顔が見えそうです。名車F355。F345を凌駕したNSX初期型を買ってわずか11カ月で追い出したフェラーリのリベンジ回答車ですが、リベンジを急いだために弱点もあります。エアコントラブルや内装ベタベタに加え、5バルブで限界まで高回転化させた無理が災いして、ゴム製のタイミングベルトが伸びても自動テンショナーでは吸収し切れず、結果的に吸気タイミングがずれてタペット音の異音症状が出たほか、後期型に遅らせてもなお未成熟だったF1マチックのトラブルに見舞われます。458以降、これらの弱点はECUの基盤改良、電子制御デュアルクラッチ、タイミングチェーン化で克服されましたが、高回転NAエンジンのトルク不足課題は制御の難しい5バルブを放棄して、488以降のツインターボ化まで解決が持ち越されました。ツインターボは1987年のF40が最初ですが、まだまだ怖いKKK製のドッカンターボで、ロードカーでの実用化はIHI製の小型軽量高回転ターボが開発されるまで遅れました。テスタロッサはピリンファリーナとは言え、フィオラバンティが関与しなかったので、328とは異なり全体的にゆったりした雰囲気に纏められていました。走るとパワーとトルクを実感してグループCカーに乗っているようでした。ただ、ワインディングは苦手で、エンジン、ミッションの二階建てによる高重心でヨーイングが大きく、タイヤだけでトラクションを押さえるのはとても無理と感じました。また、12気筒ボクサーエンジンは加工精度の問題でフィリクションロスが大きく、タイミングベルトのコマ飛びやヘッドカバーからのオイル漏れに苦しみました。私は経験しませんでしたが、ゼロヨンのような急加速を繰り返すと、ドライブシャフトの折損トラブルも出たようです。操安性が悪かったテスタの弱点を見事に改良した512TR。リアフレームを根本的に作り変えてまでエンジンとミッションの二階建ての高さを低く抑えましたが、今のような電子制御がある訳もなく、弱点のヨーイングをさらに封じ込めるトラクションをリアタイヤに頼っていたので、ピレリP ZEROでも悲鳴を上げて、トレッドのカーカスが露出する摩耗し、2万Kmは持ちませんでした。中学生のころ、近所のオジサンがいつも磨いていたのを羨望のまなざしで見ていた憧れの1971年「ムスタング 」マッハ1のフルオプション仕様車を再現しようと一念発起。近鉄モータース輸入の貴重なワンオーナーカーを探し出し、徹底的にレストアしました。今も有名なアメ車コレクターの許で元気でいるのが嬉しいです。ヤフオクで安く買った1973年式のマッハ1です。前オーナーが相模原のヤンキーだったので室内をシャギー張りにするなどかなり改造してあり、ドアトリム・シートなどのオプションも貧相でしたが、正規輸入車だったので1971年式を念頭にアメリカからリプロパーツを大量に取り寄せて元に戻そうとかなり努力しました。でもベース車を選ばないと結局、行き詰まることを思い知りました。印象の強烈さではポンティアック ファイアーバードトランザムはアメ車の中でも3本の指に入るではないでしょうか。イーグルマスクにボンネットのデカールとスイングバルジの3連発にしびれた若者は数知れません。不良っぽいというか、アバンギャルドなイメージはダッジチャレンジャーとともに一度見たら忘れられないインパクトがありました。バートレイノルズ主演の映画「トランザム7000」「キャノンボール」などでさらに一般の知名度も向上。乗っていても隣のクルマから声を掛けられたことが最も多く、高速のサービスエリアでは必ず立ち止まってご覧になっている方がいました。派手な外観に反し、排ガス規制で6.6Lのエンジンはトルクがなく、乗ってみると普通の乗用車セダンと変わりなかったので、12万円を超える毎年の自動車税の負担感が大きかったのが忘れられません。今も有名なアメ車コレクターの許で元気でいるのが嬉しいです。シェルビーGT500。トランプさんのようなクルマでした。マッハ1のフルレストア車を手放してからもアメ車の魅力が忘れられず、力強いデザインとシェルビーのハイパワーに惚れて買いましたが、「クルマはカッコと直進だけではだめ」と勉強した次第です。ジャガーは昔のXJシリーズ以前のイメージが強く、未だにお爺さんのクルマと勘違いしている方が多いですが、フォード資本が入ってから開発体制がしっかりして、XKは故障知らず。ネコ足の伝統を受け継いだ乗り心地と操安性が両立したサスペンションや自然なキックダウンに代表されるパドルとミッションの絶妙なコンビネーションなど、バランスの取れた素晴らしいクルマでした。走行距離の出ていない中古車でも割安なので、アウディTTクーペと並んで、皆さまにぜひお薦めしたい現代的なスポーツカーです。RUF BTR3.4。暴力的加速と不安定な荷重変化に酔い痴れる麻薬のようなクルマでした。同じポルシェでも73のカレラRSとは真逆でしたが、火遊びに惹かれて結局18年間乗りました。しかし、高いポテンシャルを引き出すのは難題で、黒沢元治さんにFISCOで指導してもらいましたが、素人の私ではアンダーからオーバーステアに変わる瞬間にアクセルを戻してしまい、黒沢さんやステファンローザのようにドリフトの態勢を維持できない限界を痛感した次第です。DB9からDB11AMRに乗り替えた時の八光さんでの記念スナップ。どのクルマにもない、伝統とエレガンス、伝わってくる開発者の想い・・、クルマ好きなら一度は乗ってみる価値があります。余談ですが、あのクルマ好きのYOSHIKIも黒と赤のDB11を東京とロスで所有しています。以前に特注色の登録リスト(オーダー実績のある色見本)を見ていたら、「ロッソコルサ」とあって誰がオーダーしたのか不思議に思っていましたが、フェラーリも持っているので、彼かも知れません。言葉は要らないです。別れても好きな人。17年間乗りましたので、走馬灯のように人生を振り返る時、様々なシーンで登場します。1台目 ハコスカGTRです。私には眩しい憧れのクルマで、カタログを穴のあくまで何回見たか、分かりません。それだけに盛岡の日産ディーラーでメカニックだった前オーナーから譲っていただいた時は非常に嬉しかったです。2台目 ハコスカGTR。買ってすぐにFISCOのショートコース奥に残された旧30度バンクを訪れた時のスナップです。この2台も忘れられません。S20エンジンばかりが称賛されますが、ショートホイールベースの操安性の良さも抜きん出ていました。特に432のあとに続けて乗ると、その印象は強かったです。ただ、「速い遅いは好きと関係ない・・」名車とは言え、当時の雑誌で0→100kmが12.3秒とあり、50年後、ピスタや296GTBは2.9秒で走り抜くのですから、時の流れは残酷です。初恋のひとと50年後の同窓会で会ったほうがいいのでしょうか。都会の絵具に染まった私には木綿のハンカチがセピア色に見えるかも・・今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。閲覧数が40,000件を超え、クルマに関する別稿テーマもご覧ください。https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/ctgylist/?ctgy=1
2024.02.09
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