Welcome to My Novel Jewel Box
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夏である。暑い夏には...コワイ話が読みたい。 そういう息子の要望に応えて、山岸涼子さん(「涼子」の字がパソコンで変換できませんが...)の短編集を2冊買った。 『天人唐草』 と 『神かくし』 である。 どちらも、私が以前読んだ時、「怖くて怖くて、もう読みたくない」と思った作品が収められている。 最初の本の表題作である「天人唐草」。 これについては後日、述べるが、もう本当に怖かった。 次の本に収められている作品「負の暗示」。 私は10年ほど前、この作品を読んで、あまりのショックに熱を出してしまった。 この作品は、昭和13年にある僻村で起きた大量殺人事件をもとに、まず有名な小説家である横溝正史さんが、「八墓村」として世に出した。 横溝正史=「八墓村」と思えるほど、両者のつながりは濃いんである。 この事件は、資料が乏しい。 それを、今度は山岸さんが少女漫画にした。 私は、この「負の暗示」という作品が、横溝さんの「八墓村」なのだと、今回ネットで注文する際、購読者のレビューで初めて知った。 とにかく、少年時代はまともで、成績も優秀であったのに、貧しい家庭環境や、病弱な体、知的職業につけないという焦り、徴兵検査で一番下位の「丙種」に認定された悔しさ、それをもとに、村の女たちからも、昔の旧友たちからも馬鹿にされてしまうー これらの数々の現実が、主人公の青年春雄の自尊心やプライドを打ち砕き、彼の理性は地の底にまで墜ちてしまう。 そして、彼は、「自分は女にコケにされるような男ではない。立派なひとかどの人物だということを思い知らせてやる」と決意し、村人への復讐を実行に移すのである。 その復讐とは、自分を馬鹿にし、無視した村人たちすべてを「あの世に送る」ことであった。 私が怖かったのは、この青年の心理の劇的な変容であり、また、復讐のための武器の装備と訓練に1年あまりをかけたということであり、そして...... 昭和13年のある日、村の電源すべてを切り、午前2時の暗闇の中、懐中電灯を2本、頭に縛りつけ、自転車用ライトを胸につけて、これから「復讐」をいざ実践せんとする、春雄の鬼のような凄まじい表情と姿だった。 今一度、読んでみたが、熱は出なかった。 それでも、怖い話には違いない。 それを息子は「読んだよ」と言うので、感想を訊いた。 「ち~っとも怖くないじゃん。そりゃ、人が死んで倒れている場面は、ちょっと怖かったけど。でも、これから復讐しようとしているあの姿、カッコいいじゃん。なんか、ハンターみたいでさ」 私はこれを聞いて、「はぁ~やっぱり男の子の感じ方は違うんだなあ」と思った。 12歳と半年なりに、その主人公の姿に、恐ろしさよりも、「いざ出陣」みたいな「勇ましさ」?を感じたのだろう。 しかし、息子も、もしあと5,6年以上経って、この作品を読むと、主人公の心理の闇に戦慄を覚え、人間のさまざまな有り様を考えざるを得なくなるのではないだろうか。
August 9, 2007
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