アキハバラ的散財生活

2002年05月11日
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NHKのプロジェクトXも2年目に入ってさすがに「ネタ切れ」かなぁ?と思いつつも、でも身近にもいろいろな「プロジェクトX」があるものです。まぁ数多くの「プロジェクト×(ペケ)」があって、その中から「プロジェクトX(エックス)」が出てくるんですよね。

今回のお話は×(ペケ)ではなくて、X(エックス)の方です。2年以上の歳月を経て、ついに終了した不眠不休のプロジェクトの報告会が催されました。私も一部関係していたのですが、全体を通じて話を聞くのは始めてで、ようやく点と点が繋がった、という感じです。

報告者は東山さん(仮名)。重役の方からは「プロジェクトの生き字引」などと賞賛されていました。実際、「あれは忘れもしない何年何月何日~」というフレーズが出てくるのは圧巻でした。普通、3ヶ月以上経ったらなかなか出てきません(^0^;)

会の進行は彼が過去の経緯を紐解きながら、「事件」の当事者達に当時を語ってもらう、という趣向で、プロジェクトに関わった人々が一同に集まっての盛大なものでした。まさに会社の利害を超えて、最後は人と人の繋がりで進めることができた、というのも頷けます。

それでは「事件」を中心にトモロヲ風にご紹介しておきましょう。



通信、それは現代の企業にとってまさにデータという名の血液を隅々まで送り届ける血管に等しい重要なインフラである。一度、血流が途絶えることになれば、それは企業にとって即、命を落とすことになりかねない。世界中に配置された通信機器は24時間メンテされてこそ、その真価を発揮する。

だが、突然「死の宣告」にも等しい通告を受け取った男がいる。
東山、彼は世界中の通信機器の統轄部門にいた。

...焦った...

「期限付」ではあるが、保守の打ち切りが通告された。
M&Aの結果だろうが、それにしても唐突であった。

彼に残された期間は2年間しかなかった。

2.「販売中止になりました」
新しく通信機器の販売と保守をしてくれる会社、しかも全世界を相手にしてくれる会社をさがすことになった。

端末機器を卸しているBB社の製品を検討した。
通信機器に接続している端末はBB社の製品が多い。
機器交換をするのも、問題ないと思われた。早速、重役を迎えてBB社のプレゼンを聞いてもらうことになった。

好評だった。

だが翌日、1枚のFAXが東山を襲うことになった。
BB社は今後一切の通信機器を販売中止する、という内容だった。

計画は暗礁に乗り上げた。

3.「ミューラーって誰だ?」
BB社の計らいで新興の通信機器会社を紹介された。
海外の導入実績も問題なかった。

ただ国内では無名であり、かつレガシーな要素を含むBB社の端末との相性が心配された。

BB社と新しい通信機機会社とのタッグでプロジェクトを発足することになった。
順調とは言えないが、しかし確実にプロジェクトは進んでいった。

だが事件は起きた。
日本国内から世界中に発送した機器の宛先がすべて「ミューラー」という男になっていた。「彼」がいるのはとある1国だけで、他は違う宛先が入らなければいけなかった。

宛名作成時のミスであった。

混乱はすぐに起きた。返品もされた。クレームもあった。世界中から東山の許に電話とメールの嵐が送りつけられた。

4.「技術の壁」
BB社の端末との疎通はすべてうまくいった。
だが、肝心のパフォーマンスが上がらなかった。1秒間に5個の電文が渡せるようでなければ、脆弱なインフラと言われかねない。

問題はBB社の端末で使われていたプロトコルでは?と疑われた。

上位のプロトコルに上げなければ、パフォーマンスの要件を満たすことが出来ない。だが、それには端末側の手当を通信機器の更改にあわせて行わなければならなかった。

通信部門だけではない、すべての部署がこのプロジェクトに参加せざるを得なくなった。総責任者は東山である。

東山は...震えた。

だが、光明はあった。十分ではないが、ヒト、カネの支援は取り付けることが出来た。
プロジェクトは中盤の峠を越えた。

5.「9月11日」
惨劇は突然起きた。

NYCの通信は崩れたビルの真下を通っていた。バックアップの通信は隣のビルに用意されていた。だが、警官隊により立ち入り禁止になってしまった。

予定は大幅にずれるかもしれない...そんな予感を払拭するべく最後の巻き返しが行われた。現地の職員、保守要員が総動員された。
100名を越える技術者も動員された。異例のことだった。

6.大団円
この間にスタッフが作成した資料は1万ファイルを越えた。
世界中の通信機器の設定値を細かに記した結果だった。

世界の裏側を相手にするため、2交代で業務が継続された。
みな、昼も夜も同じ食堂を利用した。

「金曜日のカレーがおいしい」

女性スタッフの意見であった。いつもと変わらない...だが気持ちの上では晴れやかな、そんなときに食べるカレーは、やはり美味しい。皆、ナットクした。

通信は、今日もアタリマエのように動いている。動いて当然、と言われる世界で、当然の仕事をした東山の胸中は自信に満ちて晴れやかだった。






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最終更新日  2002年05月11日 19時58分06秒
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Re:世界中の通信網を更改せよ~2年間の軌跡(5/11)  
お話を伺うだけでビッグなプロジェクトだと解ります。<br>こういうお話はどうしても「仮称」になってしまうのが<br>非常に惜しいです。<br>「無名の戦士たちを世に紹介できれば・・・」<br>と私も常々思っております。<br>その点が解消されれば、私も紹介したい話があります。<br>発掘すれば、沢山のプロジェクトXがあるでしょう。 (2002年05月11日 15時32分05秒)

Re:世界中の通信網を更改せよ?2年間の軌跡(5/11)  
巨頭星人  さん
たばきんさま<br>いーですねー。プロジェクトXの企画対象として十分ではないでしょうか。<br>某国営放送もネタに困りがちになっているようですからもちかけてみたら。<br>でもこんな事例はほとんどの会社にあるのでしょうね。成功不成功の差はあるにしても..。実はサラリーマンのこんな人たちが戦後の経済成長を支えてきたと私は信じているのですが。<br>簡潔な語り口が不思議な説得力をもっています。散文詩的な文体と言えるでしょうか。<br>巨頭星人<br> (2002年05月11日 19時58分06秒)

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