多分ブルゴーニュ古酒を飲みつけている人なら解ると思うが、60−70年代のブルゴーニュに幽玄さ、浮遊感、緩さ、出汁という古酒独特のキャラクターに魅入られる人は多い。翻って今のワインを見てみると、それらが熟成して行った時に果たして優れた60−70年代のワインの高みに到達できるかどうかは不明だ。
主観なので間違っているかもしれないが、個人的にはしっかりと凝縮感を出し、果実を全面に出し、フィルターやコラージュをかけず、酸化防止剤を抑え早のみが出来る様にフレッシュで modern な作りになった事も一因だと思う。端的に言うとフィルターをかけず浮遊物が有るワインは時間が経つとどうも味に濁りを生じ出汁感が出ず、 SO2 が少ないと比較的早く酸化が進み果実がフェードし、マデラになってしまう。実際今90年代半ばのワインを飲んでみると枯れていたり酸化してマディラになっている物も多くこの考えはあながち間違っていないように思える。特に最近流行りの酢酸系ブルゴーニュワインは殆ど熟成せず色褪せて行くのではと思っている。結局のところ短期的な飲み易さと熟成のポテンシャルという二律背反(でもないのだが)の命題の optimal mix を狙わず前者に注力した、謂わばイングリッシュガーデンを狙わず、フラワーアレンジメントなのだろう。
閑話休題、さて今日のお題のワインだがこれは今は亡き Pommard のパーカー4つ星。アペラシオンは単なるレジョナルなのだがこれはかなり素晴らしかった。 45 年経過しているが澱はあまり無く、フィルターを掛けていると思われる。そのせいか味わいは薄いが澄んでいる。熟成したレジョナルに良く感じられるようなちょっとひねたマディラのような香り、癒しを感じさせる緩さもなく、気高ささえ感じさせる。粗で有り野で有るが卑ではないというのが優れたレジョナルの定義だがこれは決して粗野ではない。寧ろその対極の浮遊感を持った至高の1本。こういうのを飲むと GC というのが如何に monolithic で monotone な作りかという事が判る。
まあ、その域に達するには有る程度 GC を飲む事が肝要なのだが。
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