2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全8件 (8件中 1-8件目)
1
洗面所で手を洗ったと言うのに、殺菌ティッシュで手をふかないと気がすまないシャロン・ルーの若い妻は、飛行機から彼を突き落とそうとした。フライトアテンダンドは、たまたま数人の客がまとまってトマトジュースがほしいと言い出したので、そちらに気がとられていたし、周囲の乗客はいつものように自分のことで手がいっぱいだった。幸運にも、シャロン・ルーは半透明になりかけていた。ふわりとシャロン・ルーは若い妻の節くれだった指をかわそうと、そして、実際にかわしたつもりだった。しかし、最大の誤算は、若い妻は透明だったということだ。(Tesseraのメモ 夏)補足:透明感覚電子メールで文字は残すのだが、軽く接触すると、跡を残さないように人々はすーっと立ち去っていく。そのような透明性。(透明感覚としての現在 1998)
Oct 31, 2004
コメント(0)
水玉の散歩直径が1メートルはあろうかという大きな水玉が川岸の草原をゆっくりと転がっていく。さすがにきれいな球形を維持するのは難しいらしく、重力の影響で少し横方向につぶれた楕円形をしている。水玉の中を水が回転するように流れていて、とてもゆっくりであるが、確かに水玉が前進している。河から上がってきたのだろう、その大きな水玉の進んできた水の跡がそれを示している。私はこの水玉の前に立ちふさがり、通せんぼをする。それでも、水玉は私に向かってきて、私の下半身を飲み込んで、進んでいく。私の体を通りすぎると何事もなかったように、あいかわらず前進を続ける。でも、水玉は疲れたのだ。進む方向が少しづつ変わり、出てきた河に帰っていった。私は、体が濡れたせいであろう、大きなくしゃみをした。これは、月の出ていない真夜中の話である。
Oct 30, 2004
コメント(0)
美しい肉肉を売っているのだそうだ。それも、とても美しい肉を。そういうわけで、多くの人々がその肉屋に並んでいる。その美しい肉を汚さないように人々は静かに待っている。一体、誰の肉なのだろう。(未来の詩 嘉村幸平 1963)
Oct 29, 2004
コメント(0)
鶏を静かにさせること。鶏を静かに、静かにさせること。首をきゅっと。もしくは、注射をぷすっと。注射で静かに、静かになった鶏の肉は、柔らかいのだそうだ。注:このとき、外は透き通る寒空。
Oct 28, 2004
コメント(0)
空気玉: 極めて特殊な条件が重なり、大気中に空気の高密度な部分ができる。その密度が周囲よりも高いために、それは大気中を落下していく。最後は周辺の空気に紛れてしまうが、しばらくの間、ほんの数秒であるが、球状を維持して落下を続ける。これが空気玉と呼ばれるものである。 空気玉と周辺の密度差のために、屈折現象が起こり、空気玉が落下している周辺は、空間がぐにゃりと曲がって見える場合がある。 空気玉はまっすぐ落ちていくことは珍しく、緩やかなカーブを描いて消えていくケースが多いようである。 この現象は日本ではほとんど知られていないが、南アメリカやアフリカ、まれに東ヨーロッパの一部で発生していると言われている。(脅威の自然 1973)
Oct 27, 2004
コメント(0)
グーゲン・バー(1923~1997)が、1948年の秋の終わりに、10ページばかりの「自由のハンバーガー」を書き終えたときは既に深夜で、外は雨が激しく降っていた。 彼は、その著作の中で述べている。「自由は深い闇のように神経を突き刺す。」と。
Oct 26, 2004
コメント(0)
夕方だというのに、透明な光が白いカーテンを斜めに突き抜いてくるので、朝を感じる時刻。白い皿。プラスティックのようにぱりぱりのレタスの葉が1枚。その上に、透明な蛸の足が吸盤までもスライスされて、数枚。そこにドレッシングを薄くかけて、分離したオイルが光にさらされて揺れている。(台所にあったTesseraのメモ、夏)注1:透明な蛸はアフリカのどこかの国立水産試験所で飼育されているらしい。Tesseraがどうやって、この透明な蛸を手にいれたのか、今となっては、わからない。注2:透明な光の突き抜けてくる白いカーテンの向こう側。蝶が苦しそうに飛んでいた。時刻は夕方!
Oct 25, 2004
コメント(0)
リーマン・ストールというブルガリアの生物の教師が、茶色いカマキリを研究していたときのことだ。車道にカマキリがいたので、ストールは踏まれては可哀想だと思って、手を差し伸べてあげた。しかし、立ち尽くしていたその茶色いカマキリは、ストールが触れるやいなや、手足を固く縮め、棒のようになってしまった。ストールは、いままで本当にカマキリを丁重に扱って観察していた。何しろ、ストールはカマキリを傷つけてはいけないと思って、研究していたにもかかわらずカマキリに触れたこともなかった。こんなに親切に扱ってあげたのに、死んだふりをしやがって。少しばかり、ストールは疲れていた。ストールは、その棒と化したカマキリの端をつかむと、無関心そうにぽいっと草むらに投げ込んだ。こうして、ストールのカマキリに関する研究論文は日の目をみることはなくなり、ストール自身も一高校教師として終わってしまった。(世界の生物学者:シリーズ4892Q)
Oct 24, 2004
コメント(0)
全8件 (8件中 1-8件目)
1