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この現在紙を破るように空間が破れてこの現在がどこかにこぼれてしまえばよいと思う。(198711.19)
Nov 30, 2004
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真夜中のことである。私は透明自動車にはねられた。意識はしっかりしている。体が横たわっていて、足がバッタのように体から突き立っているのが、私にはわかる。体はまったく動かない。道を横切るとき、確かに車は見えなかった。前照燈をつけずに、走行してきた透明自動車に明らかに非がある。しかし、今、私が恐れているのは、それに乗っていた透明人間が、私の息の根を止めにくることだ。(1970.11.30)
Nov 29, 2004
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図書館を包み込むように、風が襲撃した。自転車が次々にひっくり返って、何百台もひっくり返って、大きな昆虫の死骸のように転がった。真昼の図書館はひっそりと縮こまっている。(1998.12.04)
Nov 28, 2004
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積極的な蛾積極的な蛾がなんと光を求めて炎の中に飛び込んでいく。この致命的な積極性!(1973.12.03)
Nov 27, 2004
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他の子供たちをあっという間に抜いて、ゴールをめがけて疾走していく少年に、全能の神ゼウスがささやく。「そんなに一生懸命走ったところで、犬より早く走れるわけでもないのに。」少年はそれでも走り続けて、予想通りに1番でゴールラインを駆け抜けた。走っている時に、何か声が聞こえたような気がしたのだが、照れくさそうに、それでも嬉しさに満ちて母親に手を振っているうちにそんなことを忘れてしまうのだ。(1981.11.25)
Nov 26, 2004
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ユリシスシャロン・ルーが捕まえようとしたユリシス (オーストラリア原産の濃い青の干渉色に輝く蝶。しかし、ある角度から見ると単なる黒色の蝶にしか見えないそうだ。)は、白いカップの縁にとまると、カップの中のまだ湯気のたつ紅茶にゆっくりとその身を浸漬していき、溶けてしまった。こうして青色の紅茶ができあがり、シャロン・ルーはようやく満足した。彼は、その紅茶を少しなめてみたのだ。(1978.11.23)Tessera Project Note:可能性があるのは、人間の非論理性である。(岩国治美 「可能性の現在」 1959)
Nov 25, 2004
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家族これが、また、うるさいマンションなんだ。購入した当時は、隣の道にはそんなに車は走っていなかったし、雨が窓ガラスを叩く音もそんなに気にならなかった。子供が旅立つということ。妻が押し黙っているということ。(1980.12.14)Tessera Project Note:長年の日常や平凡さの重みで人々が化石になっていく。(負の思考、正の思考 西宗龍雄 1966)
Nov 24, 2004
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何100メートルも下と言っても、ちゃんとふわふわのマットが敷いてありますから。そのマットが恐ろしく小さく見えるかもしれません。でも、人間のジャンプ力を考えると、飛び降りたときにそのマット以外のところに落ちることはありえないのです。風が考慮してあるかって?その質問は、本来、飛び降りる前にするべきだったのです。でも、心配ご無用です。台風の時ぐらいの強い風なら話は別ですが、今日ぐらいの肌に気持ちのよい風ならまったく問題ありません。さあ、体を大の字に大きく開いて、風を体で思いっきり受けてください。この一瞬なのです、あなたにプレゼントしたかったのは。あなたがこんな高さから飛び降りて、本当に助かるかどうか、そんなことはどうでもよい事なのです。いずれにしろ、あなたの意識はまもなく失われていきます。あなたが、次に意識を取り戻すか否かより、あなたが今の一瞬をこわがることなく感じていることが重要なのです。しょせんが、人は一瞬にしか生きていないのですから。(1984.11.20)
Nov 23, 2004
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透明自転車透明人間が透明自転車に乗っていて事故にあった。草むらに投げ出された透明人間の死体は腐敗して、昆虫達が気づいてくれた。茂みの奥深く突っ込んだ透明自転車の残骸は長い葉に包まれて、何年もひっそりしている。誰も気づかない。(1975.11.12)
Nov 22, 2004
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シュロッサー家の娘カラオケ屋にジムや会社の同僚と行った時のことである。ジムは日本の歌謡曲を器用に歌っていたのだが、何時の間にか、隣の客とけんかしている。ジムの巨体が立ち上がる。隣の巨体も立ち上がる。背丈はジムの方が少し低いが、横幅はジムの方がある。えらいことだ。二人がなぐりあったら、本当にえらいことだったのだ。僕は何かしなければいけないと立ち上がったのだけれども、何をするべきか考えていなかったし、急に立ち上がったものだから、アルコールが一気に頭に上って僕はくらくらとそのまま倒れてしまったのだ。幸いにも、この思わぬハプニングが二人の燃え上がった炎を消してくれた。その夜、ジムはけんかしそうになったことをすっかり忘れていたのだけれど、どうも力が余ったようだ。ベッドで隣に寝ていた若いシュロッサー家の娘をうつぶせにすると、盛り上がっている彼女のヒップを何度も叩いた。ジムがそのヒップとベッドの弾力を確認しているうちに、彼女は目を覚まし、怒り出した。しかし、シュロッサー家の娘は平手でジムの顔を2,3回激しく打ちつけると、唖然としてるジムに抱きついていって、キスをしたらしい。(1996.12.24)
Nov 21, 2004
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バタフライアイランド夢を食べたのは自分自身であるということに、シャロン・ルーは気がついた。その時既に、バタフライアイランドを通り過ぎていた。もう彼は飛び降りるわけにはいかなかった。現実の中で現実的に生きるのだ。しかし、シャロン・ルーには、どうしても納得がいかなかった。「その島は左に見える」とフライトアテンダントが言ったと妻と子供が主張するのだが、彼には「右に見える」と確かに聞こえたのだ。(1992.8.19)
Nov 20, 2004
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無限の可能性「あなたには無限の可能性がある」ということの本当の意味がわかるようになると自分にあきらめて子供に語りかけるわけだ「あなたには無限の可能性がある」と。(1972.11.27)Tessera Project Note:生命は生命につながっている。(不安の思想 松谷陶冶 1968)
Nov 19, 2004
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国会議事堂の警備員国会議事堂の警備員が仕事です。腕の筋肉が女性の太腿程にある屈強な肉体に女性のようなやさしい目をした頭をのせて彼は自己紹介した。夏の緑に、横たわる彼にほぼ垂直に日が射す。彼は今、少し昼寝をしているのだろうか。それとも、息を止めてしまったのだろうか。小さな子供がとことこ歩いてきてその小さな足で、彼の頭を力を込めて蹴り上げた。(1971.7.23)
Nov 18, 2004
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たっぷりと水をたたえた白い石のグラスに青い蝶がとまってから、1000年。さすがに有機物は消滅したが、グラスの中の水の青さ。(1974.11.8)Tessera Project Note:感覚としての言葉!
Nov 17, 2004
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別れ女がしんなりと3次元から切り出されて平面化してぺたんと地にはりついてしまう。(1976.10.23)
Nov 16, 2004
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妻のにらみつける眼季節が心を動かさない。もっと深刻なことに心が心を動かさない。(1987.12.09)
Nov 15, 2004
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生け花心やさしい彼女が静かに横たわる生命を斜めに切断する。(1974.1.4)
Nov 14, 2004
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言葉が螺旋の航跡を描いてずぼんと人々の心の分厚い肉に食い込んでいけばよいと思った。(1987.9.14)Tessera Project Note:・人間の思想や思考、感情や感覚は、生体内の化学反応から生じています。Tessera Projectも、化学反応による戦いです。人間の欺きも自然界の化学反応を欺くことはできません。・物質がある限り、その速度はともあれ、化学反応は進んでいます。存在している限り、停止や終焉はありません。
Nov 13, 2004
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明日とか昨日からおそろしく離れていてくるんと軽やかでガラスのようにもろい”今”。(1984.11.2)Tessera Project Note:周囲の空間に溶け込みそうなぐらいの透明性を完成するのに2000年かかったというのに、一瞬の不安がこのグラスを粉々にした。
Nov 11, 2004
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この平凡な街に笑い続ける男が一人。何故にと問う者もいない。(1972.11.9)
Nov 10, 2004
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思考が(ゆっくりと!)プールの水の中に落ちていく。そういう若さということ。脂肪感に満ちているということ。沈んでいく思考を拾いあげるために彼女は飛び込んだ。(1972.11.7)
Nov 9, 2004
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電車に乗っていて、(雪の記憶!)軽いめまい。嘆く言葉は、女が氷のように透き通ると。男が凍結されて砕かれると。(1974.11.4)
Nov 8, 2004
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深夜の街の金属感に疲れた私が終電車に乗って、気をゆるしたとたんに。茶色が濃くなり、緑が滲み出て、女は土の塊になっていく。私は、女の青ざめた顔が見たいのに。(1988.10.24)
Nov 7, 2004
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女達の柔らかさ美しい蝶すらもよく見ると醜悪であると気づいてから、時が経ちすぎた。内臓が詰まった、女達の柔らかさにたじろいてしまってから、やり直すことができなくなった。(1989.11.2)Tessera Project Note:人が裏返しにされる、あの内臓感覚。
Nov 6, 2004
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(おそらく南米の通信社からのニュース)薬草を採りにいった16歳の少年ラキュノ村で無事保護される。キューグロ郡ラキュノ村の山中に薬草を採りにでかけ、行方がわからなくなった少年が、2週間ぶりに警察官に発見され、保護された。手足に擦り傷があるほかは、外傷はないが、髪の毛がすっかり白くなっており、見つけた警察官は彼がとても16歳に見えなかったという。少年は山中で空腹に耐えかね、色の鮮やかなキノコを食べた。すぐに気分が悪くなり吐いたが、意識がなくなり、気づいた時には数日が過ぎていたらしい。ただ、夜がぎらぎらしていたという記憶があるという。(1972.11.01)
Nov 5, 2004
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幸福の重さ電車の中で娘は父親の肩にもたれて息子は母親のお腹の上にうつぶせになり眠っている。これが幸せの重さだからと父親も母親もじっとしている。(1979.10.23)
Nov 4, 2004
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薄べったいイカの肉のような白い過去が、つるんと伸びて。15歳の時、19歳の女と駆け落ちして大阪に飛び出した。動物園の飼育係をやったが、半年ぐらいで連れ戻された。彼は、まだ、けっこう若くて、接待費が使えるから営業が好いと言って、会社にしがみついている。(1992.10.9)Tessera Project Note: "彼” 池村 涯 (1944-1995)一時期、学生運動を支援。いろいろな仕事を経験したが、最後の仕事は営業マン。若くして癌を患ったが、年の離れた奥さんと最後まで笑っていた。
Nov 3, 2004
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可哀想に、彼女は部屋で何時間も待っていたと言うのに、あなたがなかなか帰ってこないから。窓から飛び降りちゃったのよ。部屋に行くと確かに窓が開いている。窓の下を見ると。手を振る彼女の笑顔。(驚かせやがって)やがて、彼女は手に持つ日傘を広げ。(1989.10.14)
Nov 2, 2004
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自然の柔らかい曲線ばかりであれば、よかったものを。不幸が始まったのは、人が直線を見つけてからだ。それ以来、鋭利な感覚が、まっすぐに人を刺すようになった。(1988.9.24)
Nov 1, 2004
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