サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.01.10
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 じつは年が明けてからも、いろいろ私事が重なってブログのUPが滞っています。私のつもりでは「玉鬘十帖」で紫式部が四苦八苦している部分は、できるだけ軽く端折って、面白そうなところを重点的に話そうと思っていたのですが、しゃべるこちらのほうがあれこれ足を取られて、思うにまかせません。

 白状しますと、上のような私事だけでなく、私の関心がここのところ別の方面に向かっているのが、よく分かるのです。それが何かというと、先日も少し触れましたが、「時間論」というやつで、文系方面の哲学用語を弄ぶような議論にヘキエキしていた私としては、例の橋元淳一郎さんの「時間はどこで生まれるのか」(集英社新書)という本は、それこそ眼からウロコのような衝撃で、あまりの明晰さに逆にためらいを感じるほどの中味だったのです。
 この本は昨年の正月に、寂聴さんの口語訳源氏といっしょに買って、早く話しせねばと思っていたのですが、「源氏」のほうが思いのほかというか、予想をはるかに超えて深入りしてしまったので、内心どうしたものかウズウズしていたのでした。
 橋元さんというのは、大学教授、SF作家兼予備校の人気物理学講師とかで、もちろん理系の方なのですが、今どきの私たちにとっては晦渋な哲学論議よりは、分からなくても明晰な肌合いの理系的手法のほうが、はるかに親しみを感じる。これは例えばアインシュタインの「相対性理論」がまったく分からなくても、「時空のゆがみ」といった議論に親和性を感じるのと同じことだと思うのです。じつは、この本でもはじめのほうで、相対性理論の解説がしてあって、文系にはお手上げの数式でも、こけおどしの絵解き解説でもなく、グラフで時空のゆがみを説明されます。私としては初めてこの理論の考え方が、少し理解できたような気がしました。この世で光の速度だけが絶対的(光速度一定の法則)なものとすれば、時間と空間の縦横軸は連動して歪んでこざるを得ないということ?がです。
 このあたりは、しかし文系頭の私の説明ではかえって、読む人が混乱するばかりでしょう。

 私はむしろこの本のおわりのほう、

― 過去と未来は生命という『意思』によって生じる ―

という結論が魅力的で、「自然界のエントロピー拡散の圧力から、生命的秩序を維持するために、生命は時間を創り出した」というのはどこかで似たような話があったな、と思っていたら、二年ほど前に「Bio Fragments」という項目で取り上げた福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)に出てきた、

― 生命とはエントロピー拡散の圧力から、生命的秩序を維持するために「動的平衡」でなりたっている存在である ―

というようなくだりを思い出したのです。で、そこの話でも福岡氏が目下取り組んでおられるらしい、ノックアウトマウスが何度ノックアウトしても、くたばらない。くたばらない理由がどうも時間に絡んでいるのではないか、生命というのが、受精した瞬間から時間の相のもとにあって、片時たりと変化することを止めない(止めた瞬間エントロピー拡散の方向へ向かう、すなわち死ぬ)結果、ある種の部品を取り除くように、遺伝子情報の一部を切り取った(ノックアウトした)としても、生命はその秩序の維持を止めないのではないか、というような話だったと思います。

 両方ともあまり簡単に話せる中味ではないので、私自身じゅうぶん咀嚼してから話そうと思っているのですが、なかなか難しいですね。こういう話は得てして、巷にあふれるエセ科学とかスピリチュアルに結びつきやすい性格があって、げんに福岡さんの論に対してはさまざまな所から批判も出ているようです。 
 今のところ私は、福岡さんは現役の分子生物学の専門家であるということで、その話にしばらくはつき合って行こうと思っているし、橋元さんの話は純粋思考実験のようなところがあって、やっぱり手放せない。

 というわけで、この正月休み、この人たちの新たな本を買うハメになってしまいした。

福岡氏のは、そのものズバリ、 ― 「動的平衡」(木楽舎)
橋元氏のは、これもまた似てますが、 ― 「時間はなぜ取り戻せないのか」(PHPサイエンスワールド新書)

 両方とも前の本と同工異曲な感じもするし、とくに福岡さんのはハードカバーで、新書の約二倍の値段、二倍の値打ちがあるかといえば私は疑問符をつけますが、まあ出版社の事情もあるのでしょう。橋元氏のは前の時間論の発展系で、そのぶん私には難解になっています。
 というわけで、決してこの手の本を皆さんにすすめるつもりはありませんが(「源氏物語」はおすすめします!?)、今どきの私が何を考えているのか、いわばアリバイ作りのような話をしてしまいました、すいません。





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Last updated  2010.01.10 12:37:27
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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