サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.08.24
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 これについては以前、このブログを始めたころに「Military Freak」(2006年8月8日)という項目で、男=オスがMilitaryにどうしようもなく魅せられる理由について、「それが本来的に内包している、甘味な死の予感が放つ美の感触に、男=オスは惹かれるのではないか?」というようなことを、思いつくままに少ししましたが、これについてはずうっと引っかかるところがあって、折りに触れてなぜそんなことを思いついたのか反芻していたのでした。
 今回の「戦争報道」の話は、そのテーマをもう少し敷衍(ふえん)してみたいと思って始めたのです。しかしその前に、昨今書店を賑わす戦争Freak向けのさまざまな書物、明らかにゲーム受けを狙ったようなまがい物は論外としても、例えば「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(中公文庫)のような、かなり専門的あるいは理論的な装いをほどこした本などを読んでいても、戦争という行為そのものが持っている真の本質が、本当に腑に落ちてくるかといえば、やはり充分という気分にはほど遠いのです(ちなみに、この本はかつては小室直樹さん、今どきでは例の勝間和代さんなどが推奨されてますね。まあ失敗の事例を冷徹に分析する姿勢というのが、日本人のマインドに容易に馴染まない、ということに対する警鐘という意味もあったのでしょうが)。

 その気分がどこから来るものなのか?いろいろ考えていると、結局のところこれらの論議では、その結果生み出された敵味方双方の想像を絶する膨大な死者の山とどう対峙するかという、いわば敗戦後日本に問いかけられた根本的な命題には何一つ答えていない、ということに尽きます。一言でいえばこうした戦略論と先ほどの死者の山は、同じ地平では絶対に結び合って来ないということで、そうであるかぎり相変わらず毎年似たような戦争報道が繰り返される、という退屈な事態は終わらないでしょう(断っておきますが、こうした失敗の本質の戦略的分析が、まるきり無益だと謗っているわけではありません。戦争という行為の本質に迫るのには、先の戦争報道と同じく十全にはこれらは答えてくれない、ということです)。
 こんな話をしているのには、昨年少し話題になった「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」加藤陽子著(朝日出版社, 2009年)という本を読んで、それまで腑に落ちない感覚の一部が何であったかのか、多少分かったような気がしたからでした。

 この本については、私などそのタイトルを見ただけで「これは読まなきゃしょうがないな」と思ったものです。そうなのです。いくら後づけで「当時の日本人は愚かだった」「日本の指導部はどうかしていた」などと、したり顔に嘆いたところで「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」という事実は歴史上から消すことなど出来っこない。これは上手いタイトルだし、その中味も充分予測させるわけで、さっそく買いに行ったものでした。
 期待が大きかったぶん、多少隔靴掻痒(かっかそうよう)の感はあるのですが、歴史家の物をみる見かたというのは、充分伝わってくる書物です。一言でいえば歴史的事実は消せない、取り返しようのない事実だけを前提にして、その理由を厳密に時系列の文脈の中で分析するという態度です。本の表紙に伏せられた、

 ― 普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか? ―

という言葉に、ほとんどこの本の意図は含まれていると言っていいでしょう。

― つづく ―





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Last updated  2010.08.24 12:03:46
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
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