サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.12.02
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 ここにもまた、物事を出来るだけ「軽く済ませたい」、要は「楽に済ませてしまいたい」という感じがあったのではないか?前原さんが国交大臣のとき、あれほど強気に中国人船長の国内法での処分を進めていたのに、外部大臣になったとたんに、それを引っ込めたというのは(もちろんアメリカの意向も働いていたのでしょうが)、先に触れたように、この問題が「砲火を交えない戦争」になっていることに気付いたからでしょう。
 外交紛争というのは、自分都合の国内法では処理できないわけで、どこで折り合いをつけるかだけがポイントになる。そしてその場合、たいてい両者ともに不満足の状態で終わるのが常で、こちらの言い分が何もかも通らなかったと言って、むやみに慨嘆したり興奮したりするのは大人気ないというか、現実的な処理の仕方ではない。
 何度も言いますが、今回の「尖閣諸島問題」で、より多く国際的に疵を負ったのは北京のほうだと私は思っています。それが証拠に、あれ以降静かになっているでしょう。北京としては再びこの問題が熱くなるのは、今時点では得策でないと考えているのです(ただし、将来は別ですよ)。

 こういうとき、はなはだ威勢の好い外野席のプロパガンダに、いっさい耳を貸さずに頑として突っ切る構えが、仙石さんや菅さんにあったのかどうか?「楽に済ませたい」のであれば、別にそれで構わない。ただし外交で楽をした場合、内政にフリクションが生じることは当然予想しないといけない。ここの場合で言えば、検察と海保には充分な根回しがないとおかしいのですが、これまた傲然と言いっぱなしで済ませた可能性が高い。
 組織というのは形さえあれば、オートマティックに動くというものではない。このあたりも政権運営をしたことがない民主党という党の弱点が現れているような気がする。こういう「超法規的処置」をした場合、自組織内のどこにどのようなフリクションが生じ、それをどうやって抑えておくかというのもまた、管理者リーダーとしての必須の気配りの条件だと思うのですが、悲しいほどにこの党は、そちらに関しては「行き届かない」ことが多いですね。野党時代に威勢良く「官僚政治の解体、政治主導」を呼号してきた手前、やることなすこと「言いっぱなし」のリゴリズム(厳粛主義、カチカチの石頭)が支配しているような気がする。

 すべてが「フジタ社員開放」という外交課題のもとに行われたのであれば、そうであることを前もって海保にも検察にも言っておく必要がある。これは外交問題(砲火を交えない戦争)なのだ、ということを納得させれば、検察も海保も今回の「中国人船長開放」という処置に関して、軽々に不満を鳴らすということはなかったはずなのです(早い話、検察も海保もフジタ社員の開放に対しては、国外の事件なので関与のしようがないでしょう)。
 それを充分な説明抜きにやっておいて、「そちらで察してくれ」というのは、やはり管理者リーダーとしては不十分。検察も海保も「多分そうじゃないかな」と思っていても、明確な説明がなければ、自組織下部への説明に困ってしまう。それが端的に現れたのが、那覇地検のはなはだ政治的な釈明を交えた釈放理由でしたね。「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」などというコメントは、どう考えても地検の判断を超えた理由づけで、これは明らかに政府への不信を露わにしたコメントと言える。管理者リーダーは、こうしたシグナルは見逃すべきではない。すぐさま呼んで理由を質し、自身の行き届かなさについても謝る、ということをしなければ、「そうか、こういうふうに言ってもいいんだ」ということになってしまうのです。

 このあたり、率直に言って「おかしいな」と気づいていても、誰もそれをどうするかについて首相、官房長に意見具申した形跡がなさそうなのです(想像ですよ)。あるいは気づいていても、どう対処していいか分からなかった、ということでしょうか。そうであるとすれば、そのあたりにも「政権運営」というものについて、何となくタカを括ったようなところがあるのではないか、とさえ思ってしまいます。
 こうしたコメントが、下部から平然と出てくるということは、明らかに政府所管の官庁の規律が緩んでいる、ということの証しに他ならないからです。

― つづく ―





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Last updated  2010.12.02 12:00:05
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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