サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.12.21
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 「倫理学」というものが、「善とは何か、義務とは何か、価値とか規範とは何かといった諸問題について、人間存在のあるべき姿との連関において、原理的に考察するものである」(Yahoo!百科事典)とすれば、受験対策にとってこれほど実践的でない教科もないのです。なぜなら、そういうふうに「受験対策」に取り組む自分自身の行動に対して、いちいち「問いを立て」てみるのが「倫理学」ということなのですから。

 私の通っていた高校(そして間違いなく、当時のほとんどの高校)では、明らかにそうした「問いの立てかた」を避けて通っていました。これは例えば、若者にとって喫緊の課題であった「性」にかんする話題を、学校に限らず世間一般で明らかに忌避していたのと同じ構図だったような印象があります(今はどうなっているのでしょう?ひょっとすると両方とも話題にするのも野暮って感じですか)。
 たまに比較的「話の分かる」教師がいたとしても(高校の先生というのは大変だと思いますよ。生徒は恐ろしく批評的になっていて、相手教師が「話の分かる人間」か「うわべだけの人間」か、瞬時に嗅ぎ取りますから)、上に類する質問にはまず答えることはしなかったというか、話題を逸らしましたね。私にとってはなぜ逸らすのか、そこが問題だったのですが、たいていの「よく出来る若者」は、そこで瞬時に「問い詰め」を止める。世間で言うところの「素直」とは、こういう態度を言うのです。

 しかしまあ、他の人の話はさておき、特に若いころには人というのは、こうした本源的な「問い詰め」というのに、どうしても行き当たらざるを得ない場面というのがある、ということもまた確かにあるので、要はその「問い詰め」の方法が、人によって様々に違っていた ― スポーツでも音楽でも、そしてたぶん受験対策行動そのもの(そうした面倒なことはサッサと済ましてしまう、という意味で)でも、、そうした「問い詰め」はたぶんあり得たのです ― 、ということなのでしょう。
 今どき、やはりこんな話は、いくらやっても野暮なのですかね。しかし話題に上がらないからと言って、当該の問題が世の中から消えてなくなったわけじゃないですよ。

― 閑話休題 ― 
 話を戻します。
 それにしても、私がさかんに言い立てていた、日本人に通有しているという「臣民」のマインド、この「臣民」の対概念を立ててみるとすると、どうもそれは、私がずうっと思い描いていた漠然とした妄想より(つまり、江戸時代以前といった歴史的文脈で考えるより)、もっと原初的な在り様、要するに「生き物」としての対概念にまで、押し上げて考えたほうが、あるいは分かりやすいのかも、というのが現時点での感触なのです。

 そんなことに思い至ったのは、先に、
― 他所からの「何か」というのが、外面はいくら強面の「恐怖」を伴っていても、いずれ「何か好いこと」に転化できることを、経験的に薄々知っているので、首をすくめるほどに怖いにもかかわらず、ひたすらそれを「待ち焦がれる」という構図になる ― (いわゆる戦争報道について 78.)
という、一見まるきり相矛盾する、日本人の振るまいかたの話をしながら、これって要は「怖いもの見たさ」の心理構造と一緒じゃないの!?という感じがして、となると、これをたんに日本の歴史的文脈だけで追いかけても、とても覆いきれないのではないか?と感じたからです。
 かと言って、それをよくある「風土論」のような地平に還元してしまうのも、何となく新味に欠けるし、もう少し気の利いたアプローチはないものか?

 歴史的文脈で辿っていけば、戦国末期から江戸時代の初めにかけて確立した「統治する者」と「統治される者」という関係が、徳川三百年の間に「臣民」としての日本人の様態として骨がらみに沁み付いた、それが明治以降の中央集権化の過程でもけっこううまく作動したために、今に至るもごく意識されないまま、ずうっと継承されているのではないか?
 したがって、「臣民」の対概念が江戸期では「将軍様」あるいは「(各藩の)殿様」であったのが、明治期にはそれが近代立憲君主制を体現する「天皇」に置き換わっただけで、日本人全般の基本的な「臣民」という基底のマインドは、いささかも変わっていないのではないか?というような話の筋だったのでした。

 しかし、今やそうした歴史的文脈だけで把握するだけでは、とても収まり切らないような、「臣民」的思考態度、あるいは振るまいかたに対置するものを想定してみないと、どうもしっくりと腑に落ちない。
 それはむしろ先の「怖いもの見たさ」の心理構造とか、あるいは生物生存本能のような角度から、それに対置するものを考えれば、これまた多少違った地平が見えて来るのではないか?と思っているのです。

― つづく ―





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Last updated  2010.12.21 15:29:51
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
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